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「う〜…ひっくなのです」 目の前の光景に、衛宮士郎は呆然としていた。 10歳くらいと思われる女の子が、顔を赤くしながらへらへらと陽気に笑っている。 その手に持っているのは…酒瓶。 「っておい、子供がそんなもの飲むんじゃない!」 我に返った士郎は、少女の手から酒瓶を奪い取ると、投げ捨てる。 投げ捨てられた酒瓶は、木っ端みじんに砕け散る。 「…何するのよ」 酒瓶を割られ、少女は士郎をぎろりと睨み付ける。 子供とは思えないその雰囲気とドスの利いた声に士郎は一瞬びびる。 「…まあいいわ。十分憂さ晴らしは出来たし。それじゃあさようなら」 そういった少女は、懐からナイフを取り出し、自らの胸に… 「させるかぁ!」 …突き立てようとしたところへ、士郎が少女の腕をつかみ、それを止める。 「放してよ!私は沙都子のいないこの世界には興味はない!もう一度昭和58年の6月をやり直すんだから!」 少女…古手梨花は、自分を止めようとする男に対して暴れていた。 苦難の末、北条沙都子を意地悪な叔父の手から救い出した。 そして、全員そろった明日の綿流しを楽しみにしながら、眠りについたはずだった。 それなのに目を覚ますと…そこに待っていたのは唐突な殺し合いの開始の宣言と、北条沙都子の死だった。 どうして…どうしてなの! 沙都子を救い出して、惨劇を回避できたと思ったのに! その先に、幸せな未来が待ってると信じてたのに! どうして…どうして! 「自殺なんて馬鹿な真似はやめろ!その沙都子って子だって、あんたが死ぬのを喜ぶはずがないだろ!」 男は、相変わらず自分を止めようとしていた。 別に死ぬわけじゃない。もう一度やり直すだけだ。 沙都子が…仲間がそろわない未来を生きるなんてごめんだ。 しかし、所詮は10歳程度の女の子の力だ。 ナイフはあっさりと男の手によって奪い取られる。 「…どうして止めたの」 「目の前に命を捨てようとするやつがいて、止めないわけがないだろ!」 梨花の言葉に、士郎は迷いなく答えた。 その熱い言葉に梨花は、どことなく前原圭一の面影を感じた。 「あんたが死ねば、きっとあんたの親や、友達が悲しむ。悲しむ人が増えるのを、俺は見過ごすわけにはいかない」 正義の味方として、と士郎は付け加えた。 「私が死んで…悲しむ?」 一方の梨花は、士郎の言葉にぽかんとしていた。 自分が死んで、誰かが悲しむ。 圭一が、レナが、魅音が…? 今までいくつもの死を経験してきたが、自分が死んだあとの世界のことなんて、考えたことがなかった。 「あ……」 そこで、梨花は気づいた。 そうだ。どうして気づかなかったんだろう。 沙都子は…自分が死ぬのをいくつもの世界で経験し、そのたびに悲しんできたのだ。 それなのに今の自分はなんだ。 同じ立場に立たされて、自暴自棄になっている自分はなんなのだ。 「あ……ああ!」 そもそも自分は沙都子を叔父から救う決意をしたとき、この世界を最後の世界とする覚悟でいたはずじゃなかったのか。 それなのに自分は…自分は…… 「うわあああああああああああああん!!!」 あふれ出る感情に耐え切れず、梨花は士郎の胸に向かって号泣していた。 「私は…どうしたらいいの」 どうにか自殺を思いとどまった梨花だったが、その心にはまだぽっかりと穴が開いていた。 とりあえず現在は「あんたを殺させはしない!俺が守ってみせる!」という士郎の言葉に従い、彼と行動を共にしている。 似たようなセリフを吐いた東京の刑事は肝心な時に役立たずだったが、とりあえず信用は出来るだろう。 それよりも自分の方針だ。 とりあえず自殺することは今はもう考えていない。 沙都子が何度も経験してきた悲しみに目を背けたまま死んでは、彼女に合わす顔がない。 しかし、最後の一人まで殺しあうというこの場所で、いったい自分はどうすればいいのか。 「…士郎。あなたはこの殺し合いの場で、どうするつもりなのですか」 「決まってるだろ!一人でも多くの人を救って、主催者を倒してこのゲームをぶっ潰すんだ!」 士郎の決意の言葉に、やっぱり圭一に似ている、と梨花は思った。 いや、その正義感はある意味圭一以上かもしれない。 あまりにも純粋な理想を語る士郎の姿は、どことなく危なっかしくもあるが…同時に頼もしかった。 「主催者を倒す…か」 それはきっと困難な茨の道。 それでも、この衛宮士郎という男は止まらないだろう。 そして、おそらく圭一も今頃同じ道を進もうとしているのだろう。 「…面白いじゃない」 圭一は言った。 運命なんて簡単に変えられるのだと。 そして彼は、何度も奇跡を起こしてきた。 それなら自分も、この殺し合いという運命に抗ってみようじゃないか。 この程度の逆境で諦めていたら、たとえ何度やり直そうとも昭和58年6月を越えることなんて出来るわけがない。 なにより彼らは許せない。 沙都子をあっさりと殺し、私や私の仲間たちをこんな目に合わせた主催者達に一泡吹かせなければ、死んでも死に切れない。 「私は…負けない。たとえどんな困難が待っていようと、最後まで戦う!」 【F-4 森/未明】 【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】 【装備:大型ナイフ@現実】 【所持品:支給品一式、ランダム支給品×1】 【状態:酔っ払い(小)】 【思考・行動】 1:主催者を倒し、沙都子の分まで生きる 2:士郎についていく 【備考】 ※皆殺し編の沙都子救出後からの参戦です 【衛宮士郎@Fate/stay night】 【装備:不明】 【所持品:支給品一式、ランダム支給品×3】 【状態:健康】 【思考・行動】 1:正義の味方として一人でも多くの人を救い、主催者を倒す 2:梨花を守る ※F-4に酒瓶の破片が飛び散りました。 【大型ナイフ@現実】 大きなナイフ。切れ味抜群。 【酒瓶@現実】 アルコールの入った酒。 |[[汚染残留]]|時系列|[[少女の戦]]| |[[歪曲スル正義]]|投下順|[[DEAD or ALIVE]]| |&color(cyan){START}|古手梨花|[[ひぐらし/CLANNAD night]]| |&color(cyan){START}|衛宮士郎|[[ひぐらし/CLANNAD night]]|
「う〜…ひっくなのです」 目の前の光景に、衛宮士郎は呆然としていた。 10歳くらいと思われる女の子が、顔を赤くしながらへらへらと陽気に笑っている。 その手に持っているのは…酒瓶。 「っておい、子供がそんなもの飲むんじゃない!」 我に返った士郎は、少女の手から酒瓶を奪い取ると、投げ捨てる。 投げ捨てられた酒瓶は、木っ端みじんに砕け散る。 「…何するのよ」 酒瓶を割られ、少女は士郎をぎろりと睨み付ける。 子供とは思えないその雰囲気とドスの利いた声に士郎は一瞬びびる。 「…まあいいわ。十分憂さ晴らしは出来たし。それじゃあさようなら」 そういった少女は、懐からナイフを取り出し、自らの胸に… 「させるかぁ!」 …突き立てようとしたところへ、士郎が少女の腕をつかみ、それを止める。 「放してよ!私は沙都子のいないこの世界には興味はない!もう一度昭和58年の6月をやり直すんだから!」 少女…古手梨花は、自分を止めようとする男に対して暴れていた。 苦難の末、北条沙都子を意地悪な叔父の手から救い出した。 そして、全員そろった明日の綿流しを楽しみにしながら、眠りについたはずだった。 それなのに目を覚ますと…そこに待っていたのは唐突な殺し合いの開始の宣言と、北条沙都子の死だった。 どうして…どうしてなの! 沙都子を救い出して、惨劇を回避できたと思ったのに! その先に、幸せな未来が待ってると信じてたのに! どうして…どうして! 「自殺なんて馬鹿な真似はやめろ!その沙都子って子だって、あんたが死ぬのを喜ぶはずがないだろ!」 男は、相変わらず自分を止めようとしていた。 別に死ぬわけじゃない。もう一度やり直すだけだ。 沙都子が…仲間がそろわない未来を生きるなんてごめんだ。 しかし、所詮は10歳程度の女の子の力だ。 ナイフはあっさりと男の手によって奪い取られる。 「…どうして止めたの」 「目の前に命を捨てようとするやつがいて、止めないわけがないだろ!」 梨花の言葉に、士郎は迷いなく答えた。 その熱い言葉に梨花は、どことなく前原圭一の面影を感じた。 「あんたが死ねば、きっとあんたの親や、友達が悲しむ。悲しむ人が増えるのを、俺は見過ごすわけにはいかない」 正義の味方として、と士郎は付け加えた。 「私が死んで…悲しむ?」 一方の梨花は、士郎の言葉にぽかんとしていた。 自分が死んで、誰かが悲しむ。 圭一が、レナが、魅音が…? 今までいくつもの死を経験してきたが、自分が死んだあとの世界のことなんて、考えたことがなかった。 「あ……」 そこで、梨花は気づいた。 そうだ。どうして気づかなかったんだろう。 沙都子は…自分が死ぬのをいくつもの世界で経験し、そのたびに悲しんできたのだ。 それなのに今の自分はなんだ。 同じ立場に立たされて、自暴自棄になっている自分はなんなのだ。 「あ……ああ!」 そもそも自分は沙都子を叔父から救う決意をしたとき、この世界を最後の世界とする覚悟でいたはずじゃなかったのか。 それなのに自分は…自分は…… 「うわあああああああああああああん!!!」 あふれ出る感情に耐え切れず、梨花は士郎の胸に向かって号泣していた。 「私は…どうしたらいいの」 どうにか自殺を思いとどまった梨花だったが、その心にはまだぽっかりと穴が開いていた。 とりあえず現在は「あんたを殺させはしない!俺が守ってみせる!」という士郎の言葉に従い、彼と行動を共にしている。 似たようなセリフを吐いた東京の刑事は肝心な時に役立たずだったが、とりあえず信用は出来るだろう。 それよりも自分の方針だ。 とりあえず自殺することは今はもう考えていない。 沙都子が何度も経験してきた悲しみに目を背けたまま死んでは、彼女に合わす顔がない。 しかし、最後の一人まで殺しあうというこの場所で、いったい自分はどうすればいいのか。 「…士郎。あなたはこの殺し合いの場で、どうするつもりなのですか」 「決まってるだろ!一人でも多くの人を救って、主催者を倒してこのゲームをぶっ潰すんだ!」 士郎の決意の言葉に、やっぱり圭一に似ている、と梨花は思った。 いや、その正義感はある意味圭一以上かもしれない。 あまりにも純粋な理想を語る士郎の姿は、どことなく危なっかしくもあるが…同時に頼もしかった。 「主催者を倒す…か」 それはきっと困難な茨の道。 それでも、この衛宮士郎という男は止まらないだろう。 そして、おそらく圭一も今頃同じ道を進もうとしているのだろう。 「…面白いじゃない」 圭一は言った。 運命なんて簡単に変えられるのだと。 そして彼は、何度も奇跡を起こしてきた。 それなら自分も、この殺し合いという運命に抗ってみようじゃないか。 この程度の逆境で諦めていたら、たとえ何度やり直そうとも昭和58年6月を越えることなんて出来るわけがない。 なにより彼らは許せない。 沙都子をあっさりと殺し、私や私の仲間たちをこんな目に合わせた主催者達に一泡吹かせなければ、死んでも死に切れない。 「私は…負けない。たとえどんな困難が待っていようと、最後まで戦う!」 【F-4 森/未明】 【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】 【装備:大型ナイフ@現実】 【所持品:支給品一式、ランダム支給品×1】 【状態:酔っ払い(小)】 【思考・行動】 1:主催者を倒し、沙都子の分まで生きる 2:士郎についていく 【備考】 ※皆殺し編の沙都子救出後からの参戦です 【衛宮士郎@Fate/stay night】 【装備:不明】 【所持品:支給品一式、ランダム支給品×3】 【状態:健康】 【思考・行動】 1:正義の味方として一人でも多くの人を救い、主催者を倒す 2:梨花を守る ※F-4に酒瓶の破片が飛び散りました。 【大型ナイフ@現実】 大きなナイフ。切れ味抜群。 【酒瓶@現実】 アルコールの入った酒。 |013:[[汚染残留]]|時系列|017:[[破面の告白]]| |031:[[歪曲スル正義]]|投下順|033:[[DEAD or ALIVE]]| |&color(cyan){START}|古手梨花|066:[[ひぐらし/CLANNAD night]]| |&color(cyan){START}|衛宮士郎|~|

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