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かみのおとされもの(後編)」(2012/08/15 (水) 17:46:15) の最新版変更点

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 ◆◇◆◇◆◇ 姫萩咲実は下校途中を最後に元の世界の記憶は無かった。 つまり彼女は下校途中にゲームに巻き込まれたのだろう。 そんな咲実は実はキョンとニンフには話していないが、肉親を失っている過去を持つ。 そして親戚を転々としたが酷い生活、酷い生活の転々とした暮らしでもあった。 人の信じる事にかけた彼女は学校でも良い生活とは言えなかった。 そして、皮肉にもこのゲームに巻き込まれたキョンとニンフが彼女の支えとなった。 わずか数時間としか話せなかったがそれは確かに彼女を強くさせようとする事であった。 だが、それは急遽殺人者の乱入続きでついに自分の死が決まってしまった。 こんなゲームで何がしたいのだろう? ん な 私の価値とは? の 人として生まれて幸せじゃなかった! 生   と   せ っ   は   に て   な   なきたいな……。 結   ん   り 局   な   た な   の   かなしむ人なんて。 ん   だ   っ   な だ   ろ   た   ん っ   う   な   て た   ?   …   嫌 の       …   い だ       。   。 ろ うーん……絶望。 ?    対      に      狂      っ      て      い      た      私      の      物      語る事はもうない……。      に      幕      。 どうせ……。 私なんて……。 ツイていない憑かれた人生だったなー……。 そうだね、私は……。 神様から落とされた子供なんだ……。 ◆◇◆◇◆◇ 「姫萩さん!……姫萩さん!」 彼女は最後に何を思ったのか? 絶望した様な……。 全てを諦めた様な……。 そんな可哀想な死に顔だった……。 キョンは目を背けたかったが、咲実の死に顔が忘れられなく……とても印象的であった……。 「おい、悲しみに暮れている時間はないぞ小僧」 往人のニューナンブがキョンに向けられる。 「(自分も姫萩さんと同じ運命を辿るか……。仲間と同じ運命を辿れるなら…… ――俺は本望なんだよっ!)」 「さっきの少女にはお別れの時間すらなかったが、お前はもうお別れは済んだといったところか」 キョンは目を瞑る。 (どうせ何回か死んだ様な命なんか奪いやがれよ……) (長門……ごめんな結局殺されちまう……) (朝比奈さん……もう一回メイド姿見たかったな……) (古泉……なんでお前と会えないとなると毎回微笑みフェイスが見たいと思ってしまうんだ?……) (ニンフ……ごめんな、先に逝ってるよ……) (ハルヒ……すまん。特にお前には言う事ないみたいだ。だけど、俺お前の事……) 「諦めるんじゃないわよー!キョン!」 「は、ハルヒ……か?」 「は?完全に頭イかれたのキョン?」 口調がハルヒだと思ったらどうやらニンフであった事にキョンは驚いていた。 どうやらあの男と女は追って来ていない様だった。 ニンフが俺を引きずっていた。 今にも折れそうな細い手で。 「すぐに……、街に戻って……民家に連れて行くから……」 「……ごめんなニンフ。色々巻き込んじまったな……」 数十分前まではキョンもニンフも咲実も笑っていた。 初対面には思えないほど親しくなれた。 だが、今はもう長門とも敵対し咲実という犠牲を出してしまった……。 「生きてるのが辛いよニンフ……」 「キョンのくせに死ぬなんて許さないんだからね!」 (嗚呼、やっぱりニンフってハルヒにどことなく似ているかもな……) キョンの意識はニンフに引きずられたまま民家に入った瞬間に途切れたのだった。 「良かった……。危ないけどまだ生きてる……」 長門が渡してくれた救急箱、それに今から入る民家にも救急箱ぐらいあるだろう。 ニンフはボロボロの傷だらけの笑みをこぼした。 ◆◇◆◇◆◇ 「しかし、なんだあの小娘の技」 羽根の生えた少女の口から放たれた『超々超音波振動子(パラダイス=ソング)』という、周囲に音波を放つ技に往人も舞も足止めをくらってしまっていた。 そしてようやく、動けるぐらいまで回復をした。 「まぁ、最初の戦いにしては充分だろうな」 ニューナンブに新しい弾を込めながら満足そうに語りかける往人。 「……そう」 一人の少女を殺し、武器といえば一応武器である竹刀を手に入れた。 二人ぐらい逃がしてもどうせあんなにボロボロ。 どうせすぐに死んでしまうだろう。 「行くぞ舞、次の参加者を殺しに」 「……わかった往人」 本当は殺人などしたくはない二人の殺人劇はまだ開幕をしたばかりであった。   ◆◇◆◇◆◇ 『いやー……さっきの爆発みたいな音すごかったなー』 興味津々。 無駄なところに今更出遅れた不幸の塊の男(球磨川禊)がやって来た。 数時間前、宗像形を狂人にした男は目的なくブラブラと歩いていた。 だが、みんな不幸を避けるかの様に誰とも出会えない。 しかし、さっきニンフの放った『超々超音波振動子』の高い音を耳にキャッチした球磨川は走ってその場に向かった。 球磨川の好きなジャンプマンガなどの主人公が言うところの『戦いが俺を待っている』という様な感じだ。 ――だが実際音源となった場所に来てみると惨劇のあと。 血、血液、血痕。 この周辺の野原の葉は大体が赤く染まったものでたくさんであった。 そして、球磨川の求めていた戦いは既に終わった後。 変わりに1つのその戦いを告げたものを見つけた。 『うわっ!?人が死んでる!?』 本気なのか冗談なのかわからないリアクションをする球磨川。 横たわっている少女。 彼女の周りだけ血が濃い。 そっと、そっと、意味もなく彼女に近付きその顔を見てみた。 『うーん……良い顔で死んでるなー……』 全てに絶望した表情。 胸と頭にそれぞれ一発ずつの銃痕。 なんとも惨い死に方だと球磨川は思った。 さて、球磨川にとって予想外な事になってきた。 『……』 球磨川は自分の両手を見る。 自分の生まれつきの不幸、過負荷の力を発揮させる力を持つ。 『さて、こんな力を使ったら彼女は喜ぶのかな? それともやっぱり絶望するのかな?』 考える素振りを見せる球磨川。 だが、答えは出ない。 『まぁ、いっか。僕ってつくづく甘い性格だよなぁ。 人類は僕のこの慈悲深いこの行いを尊敬するべきだね』 死んだ少女の胸に手を当てる球磨川。 流れの止まった血が球磨川の両手を汚す。 染み込む様に、呪う様に、乗り移る様に、その真っ赤な血が触れた物を汚す。 『――大嘘憑き(オールフィクション)』 現実(全て)を虚構(なかった事)にする球磨川十八番のスキルが発動する。 すれと先程までに死に絶えていた少女の2つの銃痕は消え、穴や傷の開いた服装すら復元する。 全て一瞬の出来事だった。 「ぅ、ううん……」 『起きたね♪』 それから少し眠っていた彼女も5分くらいしたら目を覚ました。 目を覚ました少女、姫萩咲実は知らない男の声をした方向を向く。 「ひぃ、だ……誰……?」 『僕の名前は球磨川禊 安心して良いよ、僕は君を助けたんだよ、喜んで良いよ アシュラマンみたく「カーカッカッカッ」って笑っても良いよ』 「……アシュラ、マン?」 『やっぱり今の子にキン肉マンは伝わらないか……』 ジャンプマンガの大好きな球磨川のジャンプ知識にぽかんと見ている彼女になんか自分が滑ったみたいで少し恥ずかしくなったりした。 それ以前に球磨川は『今の子に』と言っていたが、球磨川と咲実の年齢は対して変わらない。 どちらも高校生である。 『君、名前は?』 「え?あぁ、すいません名乗っていませんでしたね。姫萩咲実です ……で、球磨川さん話があります」 『?』 咲実の表情は少し強張っていた。 大体球磨川はその表情から言いたい事がわかった。 『「どうして私を蘇らせたの?どうせ私なんて死んだままで良かったのに……」なる程ね咲実ちゃん』 「っ!?」 馴れ馴れしく球磨川は咲実を既に名前+ちゃん付けで呼んでいた。 『どうやらこの場で何かあったみたいだね?もしかしたらこのバトルロワイアルの開始よりずっと、ずっと前から……』 見透かした目で球磨川は見る。 球磨川は思った。 不幸な人生を送ってきた少女を助けられないか? 自分もたくさん不幸を送ってきた故に、彼女には幸せななってほしくなってきた。 「……その……、……」 本来、人に言うべきではない話。 咲実はカウンセラーに話す様に球磨川に自分の生い立ち、さっき閉じた自分の人生の話をした。 球磨川は茶化した様子はない。 球磨川を知る人物なら全員、こんな球磨川は有り得ないと言われるだろう。 『うん。ありがとうね咲実ちゃん』 球磨川は『大嘘憑き』で彼女のその様な記憶だけ消そうとしたが制限されている上、どの様な記憶変化になるか想像がつかない。 根元の記憶すら虚構にしてしまうかもしれない。 それに根本的な話『大嘘憑き』はあと1時間は使えない。 『記憶の事ならあれがあったじゃないか』 デイパックを漁りながら球磨川は長い刀を取り出した。 武器の取り出しに怯える咲実。 当然先程殺されたので武器にトラウマがあるのは球磨川だって承知の上だった。 『これはね「ブック・オブ・ジ・エンド」っていうの。咲実ちゃん、これは人を殺す武器じゃないんだ、だから1回刺されてみて』 「……え?」 殺す武器ではない? おもちゃなのかと疑う咲実だが真剣に近い。 球磨川の言う事に理解しかねる。 『どうせ死んでも良いなんて考えているなら良いじゃん。これに刺されてからでも。恩返しって事でダメかな咲実ちゃん?』 「……わかりました」 ギブアンドテイク。 それを言われたら断るに断れない。 早いところ効果を確認したい球磨川は許可と同時にブック・オブ・ジ・エンドで胸を刺した。 「ぁれ?」 ――咲実の記憶が改ざんを始める。 ◆◇◆◇◆◇ 「あれ?いつも1人の私を支えてくれた球磨川さん?」 『ん?』 「学校でのいじめを助けてくれた球磨川さん。親戚で私と一緒に着いて来てくれた球磨川さん。バトルロワイアルが始まってキョンさんとニンフさんと一緒に仲間だった球磨川さん」 『……ちょっと効果強すぎないこれ?』 球磨川にとって調子の良いポジションに咲実の脳内の中で居た事になっている。 有りもしない記憶が次々と沸く様だ。 「私の初恋で、今も好きな―――さん」 『え?こ、これはない……これはない』 案外すぐに人を好きになるクセがある球磨川。 咲実の恥ずかしがる態度に球磨川は目も当てられなかった。 「着いていて良いですか球磨川さん?」 『……ぅ、うん、良いんじゃないかな?』 球磨川の顔も相当赤くなっていた。 普段は人には嫌われる球磨川のウブさが若干目立っていた。 『(確かもう一回あれで刺せば元に戻るらしいけど……なんかおいしいポジションだからもらっておこう)』 好き勝手に物事を進める球磨川。 彼がこのバトルロワイアルでやりたい事、したい事自体が未だ闇の中である。 ◆◇◆◇◆◇ 「キョン……。大丈夫だからね……」 「…………」 戦いを止めさせる為に今から回復をしていく者。 「涼宮ハルヒの優勝の為に……」 戦いに身を投じる者。 「舞、次は西の方へ行ってみるか?それとも北にするか?」 「……どっちでも良い」 協力し、大事な人物を守る為、鬼となる者。 『ハハハハハ……』 「球磨川さんが好きなアシュラマンみたく笑っても良いんですよ?」 全てを『嘘』に染める者。 様々な人間ドラマがそこでは繰り広げられていた。 ――では、次はどの人間ドラマを照らしあわせようか。 カメラは1人1人の姿を捉えていた。 【D-6 街/早朝】 【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】 【装備:なし】 【所持品:支給品一式 マフィン@リトルバスターズ! ランダム支給品×2】 【状態:気絶、疲労(大)、傷(多)】 【思考・行動】 1:ニンフと行動。 2:SOS団と合流。 3:殺し合いはしない。 4:……長門……、……姫萩さん……。 【備考】 ※涼宮ハルヒの消失終了後からの参戦です。 ※ニンフの気持ちに全く気付いていません。 【ニンフ@そらのおとしもの】 【装備:なし】 【所持品:支給品一式 救急箱@シークレットゲーム-KILLER QUEEN- 木彫りのヒトデ10/10@CLANNAD ゲームセンターのメダルの束50/50@とある魔術の禁書目録 ランダム支給品×3】 【状態:疲労(大)、傷(多)】 【思考・行動】 1:キョンと行動。 2:殺し合いはしない。 【備考】 ※カオス戦(1回目)からの参戦です。 ※キョンに対して色々な気持ちが生まれ始めています。 ※咲実のデイパックを回収しました。 【D-6 野原/早朝】 【長門有希@涼宮ハルヒの憂鬱】 【装備:ナイフ@現実】 【所持品:支給品一式 ランダム支給品×2】 【状態:健康、揺らぎ】 【思考・行動】 1:涼宮ハルヒを優勝させる。 2:……皆殺し。 3:……あなた……。 【備考】 ※涼宮ハルヒの暴走終了後からの参戦。 【川澄舞@Kanon】 【装備:三節棍@リトルバスターズ!】 【所持品:支給品一式 ランダム支給品×2】 【状態:怪我(小)】 【思考・行動】 1:佐祐理と祐一と共に日常に帰る。 2:往人の提案に乗り、佐祐理、祐一、観鈴以外の全参加者と主催者を殺す。 【備考】 ※舞ルートからの参戦です。 ※魔物を呼び出す力は制限されています。 【国崎往人@AIR】 【装備:ニューナンブ5/5@現実】 【所持品:支給品一式 ニューナンブの弾丸30/35 虎竹刀@Fate/stay night ランダム支給品×2】 【状態:怪我(小)】 【思考・行動】 1:観鈴を生き残らせる。 2:舞と共に観鈴、佐祐理、祐一以外の全参加者と主催者を殺す。 【備考】 ※観鈴ルート確定直前からの参戦。 ※法術は制限されていません。 【球磨川禊@めだかボックス】 【装備:ブック・オブ・ジ・エンド@BLEACH】 【所持品:支給品一式 ランダム支給品×2】 【状態:健康】 【思考・行動】 1:『目的なんて無いよ』 2:『咲実ちゃん可愛いな〜』 3:『安心院さんでも絡んでんじゃない?』 4:『めだかちゃんか善吉ちゃんにブック・オブ・ジ・エンドで斬りつけたい』 【備考】 ※戦挙編の庶務戦終了後からの参戦です。 ※大嘘憑きは回数制限です。自身の回復は5回まで、死者の復活も5回(残り4回)、自身の復活は3回、普通に能力として使うなら1時間に1回です。 【姫萩咲実@シークレットゲーム-KILLER QUEEN-】 【装備:なし】 【所持品:なし】 【状態:健康、記憶改ざん】 【思考・行動】 1:球磨川さんと行動。 2:球磨川さんは命の恩人。 3:球磨川さんは良い人。 4:球磨川さんは優しい人。 5:球磨川さんは初恋の……秘密♪ 【備考】 ※本編開始前からの参戦です。 ※ブック・オブ・ジ・エンドの効果により球磨川の事を信頼しておりますが、もう一度斬られると元に戻ります。 【救急箱@シークレットゲーム-KILLER QUEEN-】 傷や風邪を治す薬などがたくさん入っている。 EP2にて御剣総一のPDA破壊の事故の時に主催者側から意図的に渡された。 【木彫りのヒトデ@CLANNAD】 風子が1つ1つ丁寧に彫って作ったヒトデ。よく星に間違われる。 【ゲームセンターのメダルの束@とある魔術の禁書目録】 御坂美琴の武器。普通のメダルだが、これに美琴の電撃を付加すると最強の技『超電磁砲』となる。 【虎竹刀@Fate/stay night】 藤村大河愛用の竹刀。 |[[魔神が 目覚める 日]]|時系列|[[白騎士物語]]| |[[「ミッションスタートだ」]]|投下順|[[魔神が 目覚める 日]]| |[[ラブコメディは突然に]]|キョン|[[That is the question]]| |[[ラブコメディは突然に]]|ニンフ|[[That is the question]]| |[[少女の戦]]|川澄舞|[[]]| |[[少女の戦]]|国崎往人|[[]]| |[[ラブコメディは突然に]]|姫萩咲実|[[]]| |[[嘘の境界]]|球磨川禊|[[]]| |[[バトルロワイアル狂奏曲]]|長門有希|[[]]|
 ◆◇◆◇◆◇ 姫萩咲実は下校途中を最後に元の世界の記憶は無かった。 つまり彼女は下校途中にゲームに巻き込まれたのだろう。 そんな咲実は実はキョンとニンフには話していないが、肉親を失っている過去を持つ。 そして親戚を転々としたが酷い生活、酷い生活の転々とした暮らしでもあった。 人の信じる事にかけた彼女は学校でも良い生活とは言えなかった。 そして、皮肉にもこのゲームに巻き込まれたキョンとニンフが彼女の支えとなった。 わずか数時間としか話せなかったがそれは確かに彼女を強くさせようとする事であった。 だが、それは急遽殺人者の乱入続きでついに自分の死が決まってしまった。 こんなゲームで何がしたいのだろう? ん な 私の価値とは? の 人として生まれて幸せじゃなかった! 生   と   せ っ   は   に て   な   なきたいな……。 結   ん   り 局   な   た な   の   かなしむ人なんて。 ん   だ   っ   な だ   ろ   た   ん っ   う   な   て た   ?   …   嫌 の       …   い だ       。   。 ろ うーん……絶望。 ?    対      に      狂      っ      て      い      た      私      の      物      語る事はもうない……。      に      幕      。 どうせ……。 私なんて……。 ツイていない憑かれた人生だったなー……。 そうだね、私は……。 神様から落とされた子供なんだ……。 ◆◇◆◇◆◇ 「姫萩さん!……姫萩さん!」 彼女は最後に何を思ったのか? 絶望した様な……。 全てを諦めた様な……。 そんな可哀想な死に顔だった……。 キョンは目を背けたかったが、咲実の死に顔が忘れられなく……とても印象的であった……。 「おい、悲しみに暮れている時間はないぞ小僧」 往人のニューナンブがキョンに向けられる。 「(自分も姫萩さんと同じ運命を辿るか……。仲間と同じ運命を辿れるなら…… ――俺は本望なんだよっ!)」 「さっきの少女にはお別れの時間すらなかったが、お前はもうお別れは済んだといったところか」 キョンは目を瞑る。 (どうせ何回か死んだ様な命なんか奪いやがれよ……) (長門……ごめんな結局殺されちまう……) (朝比奈さん……もう一回メイド姿見たかったな……) (古泉……なんでお前と会えないとなると毎回微笑みフェイスが見たいと思ってしまうんだ?……) (ニンフ……ごめんな、先に逝ってるよ……) (ハルヒ……すまん。特にお前には言う事ないみたいだ。だけど、俺お前の事……) 「諦めるんじゃないわよー!キョン!」 「は、ハルヒ……か?」 「は?完全に頭イかれたのキョン?」 口調がハルヒだと思ったらどうやらニンフであった事にキョンは驚いていた。 どうやらあの男と女は追って来ていない様だった。 ニンフが俺を引きずっていた。 今にも折れそうな細い手で。 「すぐに……、街に戻って……民家に連れて行くから……」 「……ごめんなニンフ。色々巻き込んじまったな……」 数十分前まではキョンもニンフも咲実も笑っていた。 初対面には思えないほど親しくなれた。 だが、今はもう長門とも敵対し咲実という犠牲を出してしまった……。 「生きてるのが辛いよニンフ……」 「キョンのくせに死ぬなんて許さないんだからね!」 (嗚呼、やっぱりニンフってハルヒにどことなく似ているかもな……) キョンの意識はニンフに引きずられたまま民家に入った瞬間に途切れたのだった。 「良かった……。危ないけどまだ生きてる……」 長門が渡してくれた救急箱、それに今から入る民家にも救急箱ぐらいあるだろう。 ニンフはボロボロの傷だらけの笑みをこぼした。 ◆◇◆◇◆◇ 「しかし、なんだあの小娘の技」 羽根の生えた少女の口から放たれた『超々超音波振動子(パラダイス=ソング)』という、周囲に音波を放つ技に往人も舞も足止めをくらってしまっていた。 そしてようやく、動けるぐらいまで回復をした。 「まぁ、最初の戦いにしては充分だろうな」 ニューナンブに新しい弾を込めながら満足そうに語りかける往人。 「……そう」 一人の少女を殺し、武器といえば一応武器である竹刀を手に入れた。 二人ぐらい逃がしてもどうせあんなにボロボロ。 どうせすぐに死んでしまうだろう。 「行くぞ舞、次の参加者を殺しに」 「……わかった往人」 本当は殺人などしたくはない二人の殺人劇はまだ開幕をしたばかりであった。   ◆◇◆◇◆◇ 『いやー……さっきの爆発みたいな音すごかったなー』 興味津々。 無駄なところに今更出遅れた不幸の塊の男(球磨川禊)がやって来た。 数時間前、宗像形を狂人にした男は目的なくブラブラと歩いていた。 だが、みんな不幸を避けるかの様に誰とも出会えない。 しかし、さっきニンフの放った『超々超音波振動子』の高い音を耳にキャッチした球磨川は走ってその場に向かった。 球磨川の好きなジャンプマンガなどの主人公が言うところの『戦いが俺を待っている』という様な感じだ。 ――だが実際音源となった場所に来てみると惨劇のあと。 血、血液、血痕。 この周辺の野原の葉は大体が赤く染まったものでたくさんであった。 そして、球磨川の求めていた戦いは既に終わった後。 変わりに1つのその戦いを告げたものを見つけた。 『うわっ!?人が死んでる!?』 本気なのか冗談なのかわからないリアクションをする球磨川。 横たわっている少女。 彼女の周りだけ血が濃い。 そっと、そっと、意味もなく彼女に近付きその顔を見てみた。 『うーん……良い顔で死んでるなー……』 全てに絶望した表情。 胸と頭にそれぞれ一発ずつの銃痕。 なんとも惨い死に方だと球磨川は思った。 さて、球磨川にとって予想外な事になってきた。 『……』 球磨川は自分の両手を見る。 自分の生まれつきの不幸、過負荷の力を発揮させる力を持つ。 『さて、こんな力を使ったら彼女は喜ぶのかな? それともやっぱり絶望するのかな?』 考える素振りを見せる球磨川。 だが、答えは出ない。 『まぁ、いっか。僕ってつくづく甘い性格だよなぁ。 人類は僕のこの慈悲深いこの行いを尊敬するべきだね』 死んだ少女の胸に手を当てる球磨川。 流れの止まった血が球磨川の両手を汚す。 染み込む様に、呪う様に、乗り移る様に、その真っ赤な血が触れた物を汚す。 『――大嘘憑き(オールフィクション)』 現実(全て)を虚構(なかった事)にする球磨川十八番のスキルが発動する。 すれと先程までに死に絶えていた少女の2つの銃痕は消え、穴や傷の開いた服装すら復元する。 全て一瞬の出来事だった。 「ぅ、ううん……」 『起きたね♪』 それから少し眠っていた彼女も5分くらいしたら目を覚ました。 目を覚ました少女、姫萩咲実は知らない男の声をした方向を向く。 「ひぃ、だ……誰……?」 『僕の名前は球磨川禊 安心して良いよ、僕は君を助けたんだよ、喜んで良いよ アシュラマンみたく「カーカッカッカッ」って笑っても良いよ』 「……アシュラ、マン?」 『やっぱり今の子にキン肉マンは伝わらないか……』 ジャンプマンガの大好きな球磨川のジャンプ知識にぽかんと見ている彼女になんか自分が滑ったみたいで少し恥ずかしくなったりした。 それ以前に球磨川は『今の子に』と言っていたが、球磨川と咲実の年齢は対して変わらない。 どちらも高校生である。 『君、名前は?』 「え?あぁ、すいません名乗っていませんでしたね。姫萩咲実です ……で、球磨川さん話があります」 『?』 咲実の表情は少し強張っていた。 大体球磨川はその表情から言いたい事がわかった。 『「どうして私を蘇らせたの?どうせ私なんて死んだままで良かったのに……」なる程ね咲実ちゃん』 「っ!?」 馴れ馴れしく球磨川は咲実を既に名前+ちゃん付けで呼んでいた。 『どうやらこの場で何かあったみたいだね?もしかしたらこのバトルロワイアルの開始よりずっと、ずっと前から……』 見透かした目で球磨川は見る。 球磨川は思った。 不幸な人生を送ってきた少女を助けられないか? 自分もたくさん不幸を送ってきた故に、彼女には幸せななってほしくなってきた。 「……その……、……」 本来、人に言うべきではない話。 咲実はカウンセラーに話す様に球磨川に自分の生い立ち、さっき閉じた自分の人生の話をした。 球磨川は茶化した様子はない。 球磨川を知る人物なら全員、こんな球磨川は有り得ないと言われるだろう。 『うん。ありがとうね咲実ちゃん』 球磨川は『大嘘憑き』で彼女のその様な記憶だけ消そうとしたが制限されている上、どの様な記憶変化になるか想像がつかない。 根元の記憶すら虚構にしてしまうかもしれない。 それに根本的な話『大嘘憑き』はあと1時間は使えない。 『記憶の事ならあれがあったじゃないか』 デイパックを漁りながら球磨川は長い刀を取り出した。 武器の取り出しに怯える咲実。 当然先程殺されたので武器にトラウマがあるのは球磨川だって承知の上だった。 『これはね「ブック・オブ・ジ・エンド」っていうの。咲実ちゃん、これは人を殺す武器じゃないんだ、だから1回刺されてみて』 「……え?」 殺す武器ではない? おもちゃなのかと疑う咲実だが真剣に近い。 球磨川の言う事に理解しかねる。 『どうせ死んでも良いなんて考えているなら良いじゃん。これに刺されてからでも。恩返しって事でダメかな咲実ちゃん?』 「……わかりました」 ギブアンドテイク。 それを言われたら断るに断れない。 早いところ効果を確認したい球磨川は許可と同時にブック・オブ・ジ・エンドで胸を刺した。 「ぁれ?」 ――咲実の記憶が改ざんを始める。 ◆◇◆◇◆◇ 「あれ?いつも1人の私を支えてくれた球磨川さん?」 『ん?』 「学校でのいじめを助けてくれた球磨川さん。親戚で私と一緒に着いて来てくれた球磨川さん。バトルロワイアルが始まってキョンさんとニンフさんと一緒に仲間だった球磨川さん」 『……ちょっと効果強すぎないこれ?』 球磨川にとって調子の良いポジションに咲実の脳内の中で居た事になっている。 有りもしない記憶が次々と沸く様だ。 「私の初恋で、今も好きな―――さん」 『え?こ、これはない……これはない』 案外すぐに人を好きになるクセがある球磨川。 咲実の恥ずかしがる態度に球磨川は目も当てられなかった。 「着いていて良いですか球磨川さん?」 『……ぅ、うん、良いんじゃないかな?』 球磨川の顔も相当赤くなっていた。 普段は人には嫌われる球磨川のウブさが若干目立っていた。 『(確かもう一回あれで刺せば元に戻るらしいけど……なんかおいしいポジションだからもらっておこう)』 好き勝手に物事を進める球磨川。 彼がこのバトルロワイアルでやりたい事、したい事自体が未だ闇の中である。 ◆◇◆◇◆◇ 「キョン……。大丈夫だからね……」 「…………」 戦いを止めさせる為に今から回復をしていく者。 「涼宮ハルヒの優勝の為に……」 戦いに身を投じる者。 「舞、次は西の方へ行ってみるか?それとも北にするか?」 「……どっちでも良い」 協力し、大事な人物を守る為、鬼となる者。 『ハハハハハ……』 「球磨川さんが好きなアシュラマンみたく笑っても良いんですよ?」 全てを『嘘』に染める者。 様々な人間ドラマがそこでは繰り広げられていた。 ――では、次はどの人間ドラマを照らしあわせようか。 カメラは1人1人の姿を捉えていた。 【D-6 街/早朝】 【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】 【装備:なし】 【所持品:支給品一式 マフィン@リトルバスターズ! ランダム支給品×2】 【状態:気絶、疲労(大)、傷(多)】 【思考・行動】 1:ニンフと行動。 2:SOS団と合流。 3:殺し合いはしない。 4:……長門……、……姫萩さん……。 【備考】 ※涼宮ハルヒの消失終了後からの参戦です。 ※ニンフの気持ちに全く気付いていません。 【ニンフ@そらのおとしもの】 【装備:なし】 【所持品:支給品一式 救急箱@シークレットゲーム-KILLER QUEEN- 木彫りのヒトデ10/10@CLANNAD ゲームセンターのメダルの束50/50@とある魔術の禁書目録 ランダム支給品×3】 【状態:疲労(大)、傷(多)】 【思考・行動】 1:キョンと行動。 2:殺し合いはしない。 【備考】 ※カオス戦(1回目)からの参戦です。 ※キョンに対して色々な気持ちが生まれ始めています。 ※咲実のデイパックを回収しました。 【D-6 野原/早朝】 【長門有希@涼宮ハルヒの憂鬱】 【装備:ナイフ@現実】 【所持品:支給品一式 ランダム支給品×2】 【状態:健康、揺らぎ】 【思考・行動】 1:涼宮ハルヒを優勝させる。 2:……皆殺し。 3:……あなた……。 【備考】 ※涼宮ハルヒの暴走終了後からの参戦。 【川澄舞@Kanon】 【装備:三節棍@リトルバスターズ!】 【所持品:支給品一式 ランダム支給品×2】 【状態:怪我(小)】 【思考・行動】 1:佐祐理と祐一と共に日常に帰る。 2:往人の提案に乗り、佐祐理、祐一、観鈴以外の全参加者と主催者を殺す。 【備考】 ※舞ルートからの参戦です。 ※魔物を呼び出す力は制限されています。 【国崎往人@AIR】 【装備:ニューナンブ5/5@現実】 【所持品:支給品一式 ニューナンブの弾丸30/35 虎竹刀@Fate/stay night ランダム支給品×2】 【状態:怪我(小)】 【思考・行動】 1:観鈴を生き残らせる。 2:舞と共に観鈴、佐祐理、祐一以外の全参加者と主催者を殺す。 【備考】 ※観鈴ルート確定直前からの参戦。 ※法術は制限されていません。 【球磨川禊@めだかボックス】 【装備:ブック・オブ・ジ・エンド@BLEACH】 【所持品:支給品一式 ランダム支給品×2】 【状態:健康】 【思考・行動】 1:『目的なんて無いよ』 2:『咲実ちゃん可愛いな〜』 3:『安心院さんでも絡んでんじゃない?』 4:『めだかちゃんか善吉ちゃんにブック・オブ・ジ・エンドで斬りつけたい』 【備考】 ※戦挙編の庶務戦終了後からの参戦です。 ※大嘘憑きは回数制限です。自身の回復は5回まで、死者の復活も5回(残り4回)、自身の復活は3回、普通に能力として使うなら1時間に1回です。 【姫萩咲実@シークレットゲーム-KILLER QUEEN-】 【装備:なし】 【所持品:なし】 【状態:健康、記憶改ざん】 【思考・行動】 1:球磨川さんと行動。 2:球磨川さんは命の恩人。 3:球磨川さんは良い人。 4:球磨川さんは優しい人。 5:球磨川さんは初恋の……秘密♪ 【備考】 ※本編開始前からの参戦です。 ※ブック・オブ・ジ・エンドの効果により球磨川の事を信頼しておりますが、もう一度斬られると元に戻ります。 【救急箱@シークレットゲーム-KILLER QUEEN-】 傷や風邪を治す薬などがたくさん入っている。 EP2にて御剣総一のPDA破壊の事故の時に主催者側から意図的に渡された。 【木彫りのヒトデ@CLANNAD】 風子が1つ1つ丁寧に彫って作ったヒトデ。よく星に間違われる。 【ゲームセンターのメダルの束@とある魔術の禁書目録】 御坂美琴の武器。普通のメダルだが、これに美琴の電撃を付加すると最強の技『超電磁砲』となる。 【虎竹刀@Fate/stay night】 藤村大河愛用の竹刀。 |[[魔神が 目覚める 日]]|時系列|[[白騎士物語]]| |[[「ミッションスタートだ」]]|投下順|[[魔神が 目覚める 日]]| |[[ラブコメディは突然に]]|キョン|[[That is the question]]| |[[ラブコメディは突然に]]|ニンフ|[[That is the question]]| |[[少女の戦]]|川澄舞|[[]]| |[[少女の戦]]|国崎往人|[[]]| |[[ラブコメディは突然に]]|姫萩咲実|[[ある日 森の中 球磨川さんに出会った]]| |[[嘘の境界]]|球磨川禊|[[ある日 森の中 球磨川さんに出会った]]| |[[バトルロワイアル狂奏曲]]|長門有希|[[]]|

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