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「光と絶望の境目」(2014/11/30 (日) 18:34:10) の最新版変更点
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(ユフィの為なら僕は誰であっても躊躇いなく殺せる)
(悟史君、悟史君、悟史君、悟史君、悟史君)
(僕はボンゴレを倒せればそれで良いのに……)
3人、別の思惑を見せながらの交戦を繰り広げる森の中。
1人1人がこの戦いに背負うべきものを体に秘めていた。
枢木スザクは死んでしまったはずの愛する者を生存させる為。
園崎詩音は愛する者の元へ帰る為。
古里炎真は家族を皆殺しにしたボンゴレファミリーに復讐をする為。
それぞれ、負けられない気持ちは誰よりも高いと自負していた。
だが、皆どの様に動くかわからないので詩音の乱入後、睨み合いが続いていた。
下手に動くと自分以外の2人が襲うかもしれない。
誰もが襲う2人でありたいと思うのは当然であった。
『……そうだ、これなら無駄な時間は過ごさずに決着が着くかもしれない』
一番にこのバトルの前提が間違っている事に気付いたのはナイトオブゼロであり、ルルーシュの騎士である枢木スザクであった。
確かに勝つ為には1人を2人で襲い殺して、残り2人になったところでまた戦った方が勝率が上がるのは当然だ。
だが、これが当てはまるのは皆が武装をしている場合である。
炎真の武器であったグロック17をスザクが奪い取り武器を持っていないのである。
つまり炎真は現在武器の持っていない丸腰の中学生に過ぎない。
詩音には誰もが振り返る程大きな『止まれ』の標識。
つまり炎真は戦力なんか皆無であった。
スザクにとってただの一般人だとわかれば恐れるはずがない。
(この女を先に殺した後なら少年をゆっくりと殺せるな――よし、勝てる!)
スザクの作戦は単純であった。
戦力のある詩音に手榴弾を投げつけて最初に殺す。
そして自分と炎真が2人になったところを殺せば良い。
騎士の経験、ギアスの力。
自分に負ける要素はない。
スザクの目が一瞬にして鷹の目に変わる。
「はぁっ!」
スザクは素早く手榴弾を取り出し、ピンを外し詩音に投げつける。
念には念を。
それと同じ行動をもう1回行い2つの手榴弾が詩音を襲う。
「な、なんだとぉぉ!?ふざけんじゃないわよっ!」
僅か5秒経つか経たないかの時間だ。
目で見ても体が追いつかない。
詩音が叫んだからといって手榴弾の動きが止まるわけでもなく、時間が止まるわけでもない。
起こり得るはスザクの行動の結果。
ボン、ボン。
「 」
詩音が何か叫んだのかもしれない。
だがその詩音から発した声は爆音にかき消されて何も聞こえない。
叫び声かもしれないし、悲鳴かもしれないし、もしかしたらスザクに対する呪いの言葉であったのかもしれない。
だが、動かない血塗れの彼女は何と言ったのか、もうリピートはしてくれない。
武器にしてずっと握っていた止まれの標識すら半握りの手の上に乗っているだけであった。
「君は確かに強かったけどそんな偶然で僕は倒せない」
マフィアのボスの中学生。
騎士の高校生。
口にすれば互角な戦いの様な気はする。
だが、マフィアのボスと騎士の戦闘力の差は離れすぎていた。
もし、炎が使えていたなら炎真が圧勝であったであろう。
しかし、これは1対1の白兵戦。
誰かを護る為に鍛えたスザクの力に炎真が適うはずがなかった。
スザクが炎真の溝を狙って蹴り上げると炎真のお腹から不自然な音を発して痛みが一緒で波紋の様に広がった。
そして無様に転がる。
森の土が接触した部分全体を染め上げる。
「ぁわわ」
勝てるはずがない。
沢田綱吉を殺したのと同じ男であるのが嘘の様であった。
今の炎真は不良に醜く素直に財布を差し出すカッコ悪い男子と同じ姿であった。
スザクが殺す為の武器、グロック17を向ける。
引き金が指に掛かる。
「散れ、千本桜」
と、桜の花びらであろうか。
キレイな形をした刃が炎真とスザクの頭から足のつま先までの体全体を襲う。
「まだ――死ねないっ!」
スザクの鷹の目が赤く宿り、ロボットの様な目へと変貌する。
本来であるならば炎真を殺す立場のスザク。
だが炎真がこの刃を喰らう=自分もこの刃を喰らう事になる。
つまり自分が助かれば、炎真を助ける行動にもなり得る。
ボン。
手榴弾を刃の塊に投げつけると爆発し、花びらの様な刃は周りに飛び散る。
スザクと炎真は無事に千本桜から身を守れたのであった。
「フフフ、良いな小僧。是非私と戦ってはくれぬか」
アサシンのサーヴァント佐々木小次郎。
刃の如き殺気を放ちながらスザクに立ちはだかる。
そして、既にスザクの刈りし獲物であった炎真の姿は消えていた。
◆◆◆◇◇◇
『ご機嫌いかがですか皆さん』
郷田真弓の声が響き、炎真はようやく長かった6時間が過ぎた事に気付いた。
そこで炎真は呼ばれる名前に耳を傾ける。
(おそらく先ほど死んだ女の名前も呼ばれるはずだが名前がわからない。……けどっ)
沢田綱吉。
この名前が出てくればこの放送は真実を語っているという証拠になる。
それに沢田綱吉が万が一にもないが、生き延びている事などあってはならないのだ。
名前は古河渚の名前からはじまる。
順に直枝理樹、霧島佳乃の名が呼ばれる。
まだか、沢田綱吉の名は。
早く呼ばれろ沢田綱吉と祈る炎真。
そして沢田綱吉の名は7番目に呼ばれたのであった。
(よし、この放送は真実だしあの沢田綱吉は確実に僕の手で葬ったぞ)
炎真は喜んだが、未だボンゴレファミリーである雲雀恭弥と六道骸が呼ばれていない事には不機嫌になるのであった。
(あんなザコとは違ってまだあの2人は殺されるわけがないか)
炎真はスザクとアサシンの場から離れて行っていた。
この時炎真は気付いていなかった。
自分のスタートした位置のルートを辿っているという事は。
◆◆◆◇◇◇
「なんだよお前……!?」
見事な刀裁き。
見慣れている刀裁きであるがアサシンである男の刀裁きは目で追えないスザクであった。
そして、その危険の察知でスザクの目にギアスが宿る。
(ユフィは死んでいないというのに……)
禁止エリアとユフィの生存。
スザクはアサシンと戦闘しながら放送で必要な情報だけを頭に記憶する。
「スタンガンだけでなんて勝てる相手じゃないな……」
手榴弾にグロック17。
自分は3つの武器に恵まれている。
それにギアスの戦闘強化。
アサシンは強いサーヴァントであるが、この状態のスザクはアサシンとでも充分な戦いを繰り広げられるであろう。
「いざ、尋常に!」
「勝負!」
ギアスの力を持ったスザクとサーヴァントのアサシン。
騎士と侍が銃と刀を向けながら戦闘が開始される。
【C-5 野原/朝】
【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】
【装備:詩音のスタンガン@ひぐらしのなく頃に グロック17(15/17)@現実】
【所持品:支給品一式 手榴弾11/15@現実 ランダム支給品×1】
【状態:足に怪我(深い切り傷)】
【思考・行動】
1:ユフィを優勝させる為に殺し合いに乗る。
2:侍を殺す。
3:ルルーシュには………会いたくない。
【備考】
※R2最終話からの参戦。
【アサシン@Fate/stay night】
【装備:千本桜@BLEACH】
【所持品:支給品一式 ランダム支給品×2】
【状態:疲労(小)、健康】
【思考・行動】
1:強い者の為に刀を振るう。
2:目の前の騎士と戦う。
3:相沢祐一といずれ決着を付ける。
4:自分の行く先を見つける。
【備考】
※セイバールートのセイバー戦以後からの参戦。
※一応燕返しは出来ますが物干し竿がないと本来の力は使えません。
※このバトルロワイアルを特集な聖杯戦争だと思っております。
◆◆◆◇◇◇
「へっ、私が死ぬわけがないだろぅ」
スザクとアサシンの戦闘をしているすぐ側の爆発の向こう。
詩音は未だに健在であった。
手榴弾を投げられた詩音は急いで場から離れていた。
離れてはいたが手榴弾の爆発や破片を喰らって出血はしてしまったが、跳んでいた為に後ろへと跳ばされて倒されただけであった。
出血よりむしろ跳ばされて空中から地面に墜落した痛みの方が痛いくらいであった。
そして、倒れている振りをしただけで男2人は死人扱いをしてまた殺し合う。
実に滑稽な話で詩音は出来すぎた事を笑っていた。
「こんな馬鹿げた事には私は退散するよ」
炎真は逃げ出し、スザクは強そうな侍を相手にしている。
人は殺せなかったが充分に負けたという気はしないだろう。
「お姉が死んだって別に私が殺した相手だし興味ないね」
姉の死は彼女にとってはどうでも良し。
彼女を止められる者は誰も居ない。
雛見沢症候群の意識せずに彼女は首を少しだけ掻いていた。
そして、殺すべき相手を探す。
詩音の目は既に人間の目より、獣に近い目であった。
この獣には知識があるのであろうか。
【園崎詩音@ひぐらしのなく頃に】
【装備:止まれの標識@めだかボックス】
【所持品:支給品一式 ランダム支給品×2】
【状態:怪我(中)、雛見沢症候群Lv.3】
【思考・行動】
1:優勝して悟史君の元に帰る。
2:参加者全員を殺す。
【備考】
※目明し編からの参戦です。
◆◆◆◇◇◇
「あれ、まさかこんな位置にまで戻る事になるなんて」
そこには沢田綱吉の死体が転がっていた。
進むべき方向や景色を覚えていなかった炎真は道を戻っていた事に気付いていなくて、綱吉の死体を見てようやくその事を理解した。
「ふん、僕はもうお前の顔なんか見たくなかったんだけどな」
綱吉の死体に足を置く。
せっかく殺して満足したと思ったのだが、綱吉の死体を見たらまた憎しみがぶり返した炎真であった。
「ざまぁみろよボンゴレ!」
獄寺隼人や山本武に直接自分が沢田綱吉を殺した事を教え、絶望させてやりたくなった。
本当に沢田綱吉を前にしている時だけは別人格の様な炎真であったが、その表情はとある影を見つけて青ざめた。
「そうか、貴様がこの男を殺したのか」
黒い女騎士刀を構えていた。
炎真自身に襲いかかった刃を向けた者と同じ様な危険な感じがそこにある。
逃げなくてはいけない。
本能が告げる。
この女騎士にだけは近付いてはいけない。
そんな本能。
「さぞ強いだろうし楽しいのであろうな」
セイバーオルタは斬魄刀の浅打を握り炎真に斬りかかる。
最初に殺した一般人の女よりは楽しめるであろうと思いながら。
だが、セイバーオルタの考えとは裏腹に炎真のお腹に刀が抉られる。
大地のリングを持たない炎真は普通の弱い少年。
確かに強い少年は確かに弱い。
「ぐぅ……」
焼けていないのに焼けた様な痛み。
自分が大好きであった家族達も同じ苦しみを味わいながら死んだと考えると、やっぱりやりきれない事が脳裏に浮かぶ。
強いと思った自分ですら泣きたくなるくらい痛い。
地獄というのは死んだ後に行くというよりは、殺される瞬間が地獄なのではないだろうか?
炎真の頭には数々の事が思い浮かぶのに、既に口は動かせない状況。
セイバーオルタの殺気が本物のナイフの様にズキズキと炎真の体に突き刺さる。
「ゃ、やめて……」
少年は霞む声でセイバーオルタへ懇願する。
これだけは許してほしい。
そんな気持ちがよく伝わる弱い言葉であった。
「ふん、貴様ダメダメだな」
弱すぎる気力に弱すぎる言葉。
セイバーオルタにとって戦闘をこんなに萎えさせる言葉はなかった。
酷すぎる、炎真の事を弱い虫として見ていた。
気力も貫いてみせた。
――しかし、炎真の心の中ではそれを否定させる為に体が、脳が、全てが覚醒した。
(ダメダメだと……?こんなダメツナと僕とは違うんだ!僕は……僕は……ダメなんかじゃないっ!)
死ぬ気。
実際は炎なんか出ていない。
だが、今の炎真はどんな死ぬ気モードよりも死ぬ気であった。
「僕は違うんだぁぁぁぁぁ!」
叫び声を上げながらセイバーオルタの体目掛けて走り出す。
前に立ちはだかる物や者を薙ぎ倒させる、そんな強い体当たりであった。
「なっ!?貴様っ!?」
セイバーオルタはあんな弱々しく、立ち上がるのも無理そうな少年が自分に立ち向かう事に目を見開いた。
そして気力すらも貫いたはずの少年がより強く蘇っていたのだから。
その瞳の炎真の闘志はセイバーオルタの殺意より勝っていた。
「確かに僕は弱い!沢田家光に復讐も果たしていないダメダメだっ!
でも死ぬ気になったら僕はなんだって出来るんだぁぁぁーっ!」
待っててアーデル、みんな。
シモンファミリーのボスの僕は必ず帰って復讐をやり遂げるからっ!
セイバーオルタ一直線にバイクの如き一撃の突進が狙っていた。
◆◆◆◇◇◇
「がはっ……」
吐血。
服を真っ赤に染め上げた自らの血。
自分の闘志の様に真っ赤な血は自分の敗北の証となる。
いや、『敗北の証』どころか『死そのもの』である。
「……次は気力と一緒に貴様を貫通させた」
斬魄刀の浅打はしっかりと一直線に炎真のお腹を突き刺した。
臓器に変な感触が蝕む様に炎真を包む。
終わりとは終わりでしかない。
終わりは始まりというが終わりでしかない。
始まるものがあるとしたら『終わりが始まる』。
その終わりは唐突に始まるのだ。
だが1つ言えるのはendのクレジットもなくただ終わるのだ。
「嫌だ……嫌だ……」
終わりが始まった。
それだけならまだ許せる範囲内。
どうせ生き残れるのは1/100の確率でしかないのだから。
でも同じ1/100だとしても沢田綱吉の横で倒れてなんて死にたくない。
「…………」
信じられないものを見た目でマヌケに倒れ伏す綱吉。
その横に仲良く横たわる自分。
沢田綱吉と同じ場所でなんか死にたくない。
さっきの茶髪の男に手榴弾で殺された方がマシだ。
いや、まだグロック17で殺された方がマシだ。
だからこんな男と一緒の場所では嫌だ。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。
「せ、せめて、、」
違う場所で死にたい。
&color(red){【古里炎真@家庭教師ヒットマンREBORN! 死亡】}
「貴様はなかなか面白かった人間だったぞ」
崩せなかった壁のセイバーオルタは古里炎真を見下げながらそう呟いていた。
本当は殺すつもりはなかったのだが、覚醒した炎真と戦いたくなり殺した。
「どうせだったら人間で戦うとしたら士郎と戦いたいもんだ」
元マスター、衛宮士郎。
古里炎真の覚醒は士郎の火事場の馬鹿力によく似ていた。
髪の色といい似ているところも多かった。
「士郎かグリムジョー。いや、誰でも良い。強き者は私に集まって来い」
満足のいく戦い。
心の底からの戦い。
セイバーオルタは強き者と戦う事に思いを馳せていた。
誇り高き騎士の意志を失いし1人の少女はだんだんと殺戮の道へ歩み始めていた。
【C-4 森/朝】
【セイバー(セイバーオルタ)@Fate/stay night】
【装備:浅打@BLEACH】
【所持品:支給品一式 ランダム支給品×2】
【状態:健康】
【思考・行動】
1:バトルロワイアルを楽しむ。
【備考】
※Fate編のギルガメッシュ戦終了後から参戦していました。
※記憶はまだ覚えているかもしれません。
|[[語られなかった想い]]|時系列|[[一人じゃないから]]|
|[[The Butterfly Effect]]|投下順|[[白色 の 最強]]|
|[[剣ツルギ物モノ語ガタリ]]|&color(red){古里炎真}|&color(red){DEAD END}|
|[[剣ツルギ物モノ語ガタリ]]|園崎詩音|[[]]|
|[[剣ツルギ物モノ語ガタリ]]|枢木スザク|[[]]|
|[[セッキン]]|アサシン|[[]]|
|[[悪がもう一人の自分をつくる]]|セイバー|[[]]|
(ユフィの為なら僕は誰であっても躊躇いなく殺せる)
(悟史君、悟史君、悟史君、悟史君、悟史君)
(僕はボンゴレを倒せればそれで良いのに……)
3人、別の思惑を見せながらの交戦を繰り広げる森の中。
1人1人がこの戦いに背負うべきものを体に秘めていた。
枢木スザクは死んでしまったはずの愛する者を生存させる為。
園崎詩音は愛する者の元へ帰る為。
古里炎真は家族を皆殺しにしたボンゴレファミリーに復讐をする為。
それぞれ、負けられない気持ちは誰よりも高いと自負していた。
だが、皆どの様に動くかわからないので詩音の乱入後、睨み合いが続いていた。
下手に動くと自分以外の2人が襲うかもしれない。
誰もが襲う2人でありたいと思うのは当然であった。
『……そうだ、これなら無駄な時間は過ごさずに決着が着くかもしれない』
一番にこのバトルの前提が間違っている事に気付いたのはナイトオブゼロであり、ルルーシュの騎士である枢木スザクであった。
確かに勝つ為には1人を2人で襲い殺して、残り2人になったところでまた戦った方が勝率が上がるのは当然だ。
だが、これが当てはまるのは皆が武装をしている場合である。
炎真の武器であったグロック17をスザクが奪い取り武器を持っていないのである。
つまり炎真は現在武器の持っていない丸腰の中学生に過ぎない。
詩音には誰もが振り返る程大きな『止まれ』の標識。
つまり炎真は戦力なんか皆無であった。
スザクにとってただの一般人だとわかれば恐れるはずがない。
(この女を先に殺した後なら少年をゆっくりと殺せるな――よし、勝てる!)
スザクの作戦は単純であった。
戦力のある詩音に手榴弾を投げつけて最初に殺す。
そして自分と炎真が2人になったところを殺せば良い。
騎士の経験、ギアスの力。
自分に負ける要素はない。
スザクの目が一瞬にして鷹の目に変わる。
「はぁっ!」
スザクは素早く手榴弾を取り出し、ピンを外し詩音に投げつける。
念には念を。
それと同じ行動をもう1回行い2つの手榴弾が詩音を襲う。
「な、なんだとぉぉ!?ふざけんじゃないわよっ!」
僅か5秒経つか経たないかの時間だ。
目で見ても体が追いつかない。
詩音が叫んだからといって手榴弾の動きが止まるわけでもなく、時間が止まるわけでもない。
起こり得るはスザクの行動の結果。
ボン、ボン。
「 」
詩音が何か叫んだのかもしれない。
だがその詩音から発した声は爆音にかき消されて何も聞こえない。
叫び声かもしれないし、悲鳴かもしれないし、もしかしたらスザクに対する呪いの言葉であったのかもしれない。
だが、動かない血塗れの彼女は何と言ったのか、もうリピートはしてくれない。
武器にしてずっと握っていた止まれの標識すら半握りの手の上に乗っているだけであった。
「君は確かに強かったけどそんな偶然で僕は倒せない」
マフィアのボスの中学生。
騎士の高校生。
口にすれば互角な戦いの様な気はする。
だが、マフィアのボスと騎士の戦闘力の差は離れすぎていた。
もし、炎が使えていたなら炎真が圧勝であったであろう。
しかし、これは1対1の白兵戦。
誰かを護る為に鍛えたスザクの力に炎真が適うはずがなかった。
スザクが炎真の溝を狙って蹴り上げると炎真のお腹から不自然な音を発して痛みが一緒で波紋の様に広がった。
そして無様に転がる。
森の土が接触した部分全体を染め上げる。
「ぁわわ」
勝てるはずがない。
沢田綱吉を殺したのと同じ男であるのが嘘の様であった。
今の炎真は不良に醜く素直に財布を差し出すカッコ悪い男子と同じ姿であった。
スザクが殺す為の武器、グロック17を向ける。
引き金が指に掛かる。
「散れ、千本桜」
と、桜の花びらであろうか。
キレイな形をした刃が炎真とスザクの頭から足のつま先までの体全体を襲う。
「まだ――死ねないっ!」
スザクの鷹の目が赤く宿り、ロボットの様な目へと変貌する。
本来であるならば炎真を殺す立場のスザク。
だが炎真がこの刃を喰らう=自分もこの刃を喰らう事になる。
つまり自分が助かれば、炎真を助ける行動にもなり得る。
ボン。
手榴弾を刃の塊に投げつけると爆発し、花びらの様な刃は周りに飛び散る。
スザクと炎真は無事に千本桜から身を守れたのであった。
「フフフ、良いな小僧。是非私と戦ってはくれぬか」
アサシンのサーヴァント佐々木小次郎。
刃の如き殺気を放ちながらスザクに立ちはだかる。
そして、既にスザクの刈りし獲物であった炎真の姿は消えていた。
◆◆◆◇◇◇
『ご機嫌いかがですか皆さん』
郷田真弓の声が響き、炎真はようやく長かった6時間が過ぎた事に気付いた。
そこで炎真は呼ばれる名前に耳を傾ける。
(おそらく先ほど死んだ女の名前も呼ばれるはずだが名前がわからない。……けどっ)
沢田綱吉。
この名前が出てくればこの放送は真実を語っているという証拠になる。
それに沢田綱吉が万が一にもないが、生き延びている事などあってはならないのだ。
名前は古河渚の名前からはじまる。
順に直枝理樹、霧島佳乃の名が呼ばれる。
まだか、沢田綱吉の名は。
早く呼ばれろ沢田綱吉と祈る炎真。
そして沢田綱吉の名は7番目に呼ばれたのであった。
(よし、この放送は真実だしあの沢田綱吉は確実に僕の手で葬ったぞ)
炎真は喜んだが、未だボンゴレファミリーである雲雀恭弥と六道骸が呼ばれていない事には不機嫌になるのであった。
(あんなザコとは違ってまだあの2人は殺されるわけがないか)
炎真はスザクとアサシンの場から離れて行っていた。
この時炎真は気付いていなかった。
自分のスタートした位置のルートを辿っているという事は。
◆◆◆◇◇◇
「なんだよお前……!?」
見事な刀裁き。
見慣れている刀裁きであるがアサシンである男の刀裁きは目で追えないスザクであった。
そして、その危険の察知でスザクの目にギアスが宿る。
(ユフィは死んでいないというのに……)
禁止エリアとユフィの生存。
スザクはアサシンと戦闘しながら放送で必要な情報だけを頭に記憶する。
「スタンガンだけでなんて勝てる相手じゃないな……」
手榴弾にグロック17。
自分は3つの武器に恵まれている。
それにギアスの戦闘強化。
アサシンは強いサーヴァントであるが、この状態のスザクはアサシンとでも充分な戦いを繰り広げられるであろう。
「いざ、尋常に!」
「勝負!」
ギアスの力を持ったスザクとサーヴァントのアサシン。
騎士と侍が銃と刀を向けながら戦闘が開始される。
【C-5 野原/朝】
【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】
【装備:詩音のスタンガン@ひぐらしのなく頃に グロック17(15/17)@現実】
【所持品:支給品一式 手榴弾11/15@現実 ランダム支給品×1】
【状態:足に怪我(深い切り傷)】
【思考・行動】
1:ユフィを優勝させる為に殺し合いに乗る。
2:侍を殺す。
3:ルルーシュには………会いたくない。
【備考】
※R2最終話からの参戦。
【アサシン@Fate/stay night】
【装備:千本桜@BLEACH】
【所持品:支給品一式 ランダム支給品×2】
【状態:疲労(小)、健康】
【思考・行動】
1:強い者の為に刀を振るう。
2:目の前の騎士と戦う。
3:相沢祐一といずれ決着を付ける。
4:自分の行く先を見つける。
【備考】
※セイバールートのセイバー戦以後からの参戦。
※一応燕返しは出来ますが物干し竿がないと本来の力は使えません。
※このバトルロワイアルを特集な聖杯戦争だと思っております。
◆◆◆◇◇◇
「へっ、私が死ぬわけがないだろぅ」
スザクとアサシンの戦闘をしているすぐ側の爆発の向こう。
詩音は未だに健在であった。
手榴弾を投げられた詩音は急いで場から離れていた。
離れてはいたが手榴弾の爆発や破片を喰らって出血はしてしまったが、跳んでいた為に後ろへと跳ばされて倒されただけであった。
出血よりむしろ跳ばされて空中から地面に墜落した痛みの方が痛いくらいであった。
そして、倒れている振りをしただけで男2人は死人扱いをしてまた殺し合う。
実に滑稽な話で詩音は出来すぎた事を笑っていた。
「こんな馬鹿げた事には私は退散するよ」
炎真は逃げ出し、スザクは強そうな侍を相手にしている。
人は殺せなかったが充分に負けたという気はしないだろう。
「お姉が死んだって別に私が殺した相手だし興味ないね」
姉の死は彼女にとってはどうでも良し。
彼女を止められる者は誰も居ない。
雛見沢症候群の意識せずに彼女は首を少しだけ掻いていた。
そして、殺すべき相手を探す。
詩音の目は既に人間の目より、獣に近い目であった。
この獣には知識があるのであろうか。
【園崎詩音@ひぐらしのなく頃に】
【装備:止まれの標識@めだかボックス】
【所持品:支給品一式 ランダム支給品×2】
【状態:怪我(中)、雛見沢症候群Lv.3】
【思考・行動】
1:優勝して悟史君の元に帰る。
2:参加者全員を殺す。
【備考】
※目明し編からの参戦です。
◆◆◆◇◇◇
「あれ、まさかこんな位置にまで戻る事になるなんて」
そこには沢田綱吉の死体が転がっていた。
進むべき方向や景色を覚えていなかった炎真は道を戻っていた事に気付いていなくて、綱吉の死体を見てようやくその事を理解した。
「ふん、僕はもうお前の顔なんか見たくなかったんだけどな」
綱吉の死体に足を置く。
せっかく殺して満足したと思ったのだが、綱吉の死体を見たらまた憎しみがぶり返した炎真であった。
「ざまぁみろよボンゴレ!」
獄寺隼人や山本武に直接自分が沢田綱吉を殺した事を教え、絶望させてやりたくなった。
本当に沢田綱吉を前にしている時だけは別人格の様な炎真であったが、その表情はとある影を見つけて青ざめた。
「そうか、貴様がこの男を殺したのか」
黒い女騎士刀を構えていた。
炎真自身に襲いかかった刃を向けた者と同じ様な危険な感じがそこにある。
逃げなくてはいけない。
本能が告げる。
この女騎士にだけは近付いてはいけない。
そんな本能。
「さぞ強いだろうし楽しいのであろうな」
セイバーオルタは斬魄刀の浅打を握り炎真に斬りかかる。
最初に殺した一般人の女よりは楽しめるであろうと思いながら。
だが、セイバーオルタの考えとは裏腹に炎真のお腹に刀が抉られる。
大地のリングを持たない炎真は普通の弱い少年。
確かに強い少年は確かに弱い。
「ぐぅ……」
焼けていないのに焼けた様な痛み。
自分が大好きであった家族達も同じ苦しみを味わいながら死んだと考えると、やっぱりやりきれない事が脳裏に浮かぶ。
強いと思った自分ですら泣きたくなるくらい痛い。
地獄というのは死んだ後に行くというよりは、殺される瞬間が地獄なのではないだろうか?
炎真の頭には数々の事が思い浮かぶのに、既に口は動かせない状況。
セイバーオルタの殺気が本物のナイフの様にズキズキと炎真の体に突き刺さる。
「ゃ、やめて……」
少年は霞む声でセイバーオルタへ懇願する。
これだけは許してほしい。
そんな気持ちがよく伝わる弱い言葉であった。
「ふん、貴様ダメダメだな」
弱すぎる気力に弱すぎる言葉。
セイバーオルタにとって戦闘をこんなに萎えさせる言葉はなかった。
酷すぎる、炎真の事を弱い虫として見ていた。
気力も貫いてみせた。
――しかし、炎真の心の中ではそれを否定させる為に体が、脳が、全てが覚醒した。
(ダメダメだと……?こんなダメツナと僕とは違うんだ!僕は……僕は……ダメなんかじゃないっ!)
死ぬ気。
実際は炎なんか出ていない。
だが、今の炎真はどんな死ぬ気モードよりも死ぬ気であった。
「僕は違うんだぁぁぁぁぁ!」
叫び声を上げながらセイバーオルタの体目掛けて走り出す。
前に立ちはだかる物や者を薙ぎ倒させる、そんな強い体当たりであった。
「なっ!?貴様っ!?」
セイバーオルタはあんな弱々しく、立ち上がるのも無理そうな少年が自分に立ち向かう事に目を見開いた。
そして気力すらも貫いたはずの少年がより強く蘇っていたのだから。
その瞳の炎真の闘志はセイバーオルタの殺意より勝っていた。
「確かに僕は弱い!沢田家光に復讐も果たしていないダメダメだっ!
でも死ぬ気になったら僕はなんだって出来るんだぁぁぁーっ!」
待っててアーデル、みんな。
シモンファミリーのボスの僕は必ず帰って復讐をやり遂げるからっ!
セイバーオルタ一直線にバイクの如き一撃の突進が狙っていた。
◆◆◆◇◇◇
「がはっ……」
吐血。
服を真っ赤に染め上げた自らの血。
自分の闘志の様に真っ赤な血は自分の敗北の証となる。
いや、『敗北の証』どころか『死そのもの』である。
「……次は気力と一緒に貴様を貫通させた」
斬魄刀の浅打はしっかりと一直線に炎真のお腹を突き刺した。
臓器に変な感触が蝕む様に炎真を包む。
終わりとは終わりでしかない。
終わりは始まりというが終わりでしかない。
始まるものがあるとしたら『終わりが始まる』。
その終わりは唐突に始まるのだ。
だが1つ言えるのはendのクレジットもなくただ終わるのだ。
「嫌だ……嫌だ……」
終わりが始まった。
それだけならまだ許せる範囲内。
どうせ生き残れるのは1/100の確率でしかないのだから。
でも同じ1/100だとしても沢田綱吉の横で倒れてなんて死にたくない。
「…………」
信じられないものを見た目でマヌケに倒れ伏す綱吉。
その横に仲良く横たわる自分。
沢田綱吉と同じ場所でなんか死にたくない。
さっきの茶髪の男に手榴弾で殺された方がマシだ。
いや、まだグロック17で殺された方がマシだ。
だからこんな男と一緒の場所では嫌だ。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。
「せ、せめて、、」
違う場所で死にたい。
&color(red){【古里炎真@家庭教師ヒットマンREBORN! 死亡】}
「貴様はなかなか面白かった人間だったぞ」
崩せなかった壁のセイバーオルタは古里炎真を見下げながらそう呟いていた。
本当は殺すつもりはなかったのだが、覚醒した炎真と戦いたくなり殺した。
「どうせだったら人間で戦うとしたら士郎と戦いたいもんだ」
元マスター、衛宮士郎。
古里炎真の覚醒は士郎の火事場の馬鹿力によく似ていた。
髪の色といい似ているところも多かった。
「士郎かグリムジョー。いや、誰でも良い。強き者は私に集まって来い」
満足のいく戦い。
心の底からの戦い。
セイバーオルタは強き者と戦う事に思いを馳せていた。
誇り高き騎士の意志を失いし1人の少女はだんだんと殺戮の道へ歩み始めていた。
【C-4 森/朝】
【セイバー(セイバーオルタ)@Fate/stay night】
【装備:浅打@BLEACH】
【所持品:支給品一式 ランダム支給品×2】
【状態:健康】
【思考・行動】
1:バトルロワイアルを楽しむ。
【備考】
※Fate編のギルガメッシュ戦終了後から参戦していました。
※記憶はまだ覚えているかもしれません。
|095:[[語られなかった想い]]|時系列|088:[[一人じゃないから]]|
|081:[[The Butterfly Effect]]|投下順|083:[[白色 の 最強]]|
|050:[[剣ツルギ物モノ語ガタリ]]|&color(red){古里炎真}|&color(red){DEAD END}|
|~|園崎詩音|106:[[かぜ~breeze~]]|
|~|枢木スザク|111:[[「生きろ」]]|
|074:[[セッキン]]|アサシン|~|
|037:[[悪がもう一人の自分をつくる(前編)>悪がもう一人の自分をつくる]]|セイバー|108:[[Big mouth]]|