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「騎神咆哮バーサーカー」(2012/11/24 (土) 21:41:57) の最新版変更点
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■■■■■■■■―――――――!
木霊する音。
振るわせる地。
湖の騎士にして裏切りのナイト――ランスロット――。
面影すら残っていない狂った1人の騎士の英雄であった者の雄叫びは一体何を意味する?
自らの勝利か?
それとも、自らの敗北か?
それとも、自らの死か?
答えは――――?
対峙するはツインテールの髪型をした幼き少女が1人。
これは狂った騎士と1人の少女の戦いの結末の<物語>。
―――――――――――――――――――――――――――
「お姉さまは死ななくて、わたくしのお姉さまの恋路を邪魔するあの男の名前が呼ばれたのにどうして心の中がこう、……もわっとするのでしょうね……」
中学生のジャッジメントの白井黒子は放送の死亡者で数少ない知り合いの名前を聞かされた。
心に残るのは渦。
それはおそらく今まで人が死んだ事を無理矢理に忘れようとしていたが現実がそれを拒む。
3人の人間が首を飛ばされた。
黒子はまず最初にお姉さまである御坂美琴を探そうと行動。
美琴と再会しても脱出出来ないとわかっているのに。
美琴を優勝させる為に殺し合いに乗っているわけではないのに。
並盛中とは知らない学校であったが、それの風紀委員長と名乗る雲雀恭弥とは戦いを繰り広げたが黒子にとっては無意識にいつもの不良と戦う日常と変わらないと思っていた。
ただ、結果が負けたという事で。
逃避をしていたのだ。
そうやって人殺しなんか起きていないと目を逸らしていたが、名も知らない少女――竜宮レナ――に本物の刀を持って襲われた。
憎しみが限界を越した人間の表情を見た事が無かった。
怒りが限界を越した人間の声を聞いた事が無かった。
そして見てしまった首が無く、心臓が貫かれた死体。
殺し合いは行われていた。
自分の居た同じ島の数キロ近くの位置にて。
それからは忘れようと、死体から目を背けようと美琴を探した。
ただ声が聞きたかった。
ただ一緒に歩きたかった。
ただ美琴に抱かれたかった。
そうやって自分の能力の空間移動や、自らの足を使って。
ただ立ち止まらずに美琴だけを探す目となりて。
だが目を逸らすだけではいけなかった。
人が死んだ事を告げた郷田真弓の声が耳から入り込んだからだ。
目は閉じていても、耳は塞いでいなかった。
突きつけられた現実。
狂った現実。
狂った末の現実。
そして、
バトルロワイアルの意味を知る。
自分も、誰も、
その命は儚くて、壊れやすくて、
そして大事にされる。
「いやですわね、わたくしったら。柄にもない事を考えてしまって。あんな男の事などわたくしには関係のない事ですわ……」
ただ真っ直ぐで、正直で、誰をも受け入れる、強いのに弱くて、弱いのに強い男の事が離れなかった。
ライバルが居なくなった。
なんてつまらない事だろう。
黒子は名簿の『上条当麻』と書かれたところだけをただずっと凝視していた。
―――――――――――――――――――――――――――
■■■■■■■■■■■■■■■■■、■■■■■。
■■■■■■■■■■■■■■。
■■■■■■■■■。
――――■■■■■■■■■■■■■。
■■■■、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■、■■■■■、■■■■■■。
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■■■■、――■■。
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■■■■■■!
、■■■■。■■■■■■■■■■■■■。
■■■。
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■■■。
■■■■■■■■■■、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。
「■■■■■■■■■―――――!!」
■■■■、■■■■■……。
■■■、■■■■■……。
■■■……。
「■■■■■■■■■■■■■■―――――――――!」
■■■■■、
■■■■■■■■■■■、
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■■■■■■■■■■■■■■、
■■■、
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■、
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■■■、■■■■■■。
――――■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。
―――――――――――――――――――――――――――
「な、なんですの!?」
何の音かはわからない。
だが黒子の耳にははっきりと雄叫びらしき大きな音を捉えた。
「幻聴……だとしたらわたくしの脳みそがおかしくなっているぐらいの音ですわね」
嫌な予感のする勘と反応する体が伝達する。
本当はここから逃げ出した方が良いのに。
わかっているのに。
「あ……」
動いた先に見えたのは負の塊を鎧の様に纏った騎士であった。
でたらめ過ぎる黒さ。
強いのはわかるのに何故かわからない彼の強さ。
黒子は今までの人生のどんな場面よりも危険を感じた。
雲雀恭弥や狂った女の子なんかとは比べものにするのも次元のおかしな話であろう。
あれは人間としての強さと狂いさだ。
だが、あれは人間の強さと狂いさではない。
怪物に近い。
理性があるのかすら疑うほどの獣と騎士の融合した姿。
おそらく目の前の怪物にはバトルロワイアルなど理解していないだろう。
「■■■■■■■■■■■――――――!!」
何故なら本能だけで参加者を殺しに来る様な自我なんかあってない様なものなのだろう。
黒子が捉えた大き過ぎる音の正体が繋がった瞬間――、黒子目掛けて追いかけてくる。
「品がまったくありませんのよ」
空間移動を使い、バーサーカーの後ろへ座標点を移動させる。
バーサーカーは当然攻撃している間は気付かなかったが、すぐに後ろに黒子が居る事に気付いた。
「頭が良いのか悪いのか……」
転がった岩に手を置く黒子。
持ち上げる事は出来ないぐらい大きな岩。
何故黒子はそんな事をしているのか?
「■■■■■■■■■■」
こちらへ走るバーサーカー相手に岩を空間移動させるのだ。
黒子の空間移動は自分の瞬間移動の他、物も瞬間移動出来る。
その岩がバーサーカーの頭の位置に急にCGで現したかの様に浮かび上がる。
これであの妙な鎧の正体を探ろうとしていた。
ただの霧の様に実態のないものか。
力が具現化したものなのか。
あれもあれで金属に含まれたものか。
「さぁ、答えを見せなさい狂戦士」
いくら彼に名前を聞いたところで恭弥の様に名前は答えないだろう。
彼の名前は参加者の『バーサーカー』だとは彼女も思っていたが、わからないので狂戦士と彼を呼んだ。
狂戦士の鎧の正体を見極める黒子の目。
その2つの眼に映像が再生される。
素早く岩の存在に気付くバーサーカーは雄叫びを上げながら跳び、両手で岩を握りしめて、破壊した。
「……もはや人間ではありませんのね」
黒子は狂戦士を見ていて少し哀れみを感じた。
自らの命の危険を忘れてまでの湧き上がる感情であった。
「あなたがもし人間だったとしたら……、そんな狂った格好を誰にも見せたくないのではないのかしら」
―――――――――――――――――――――――――――
自分がもしあんな格好になったとしたら……。
大切な人には見られたくない。
お姉さまにはいつもの、この姿の白井黒子として見てもらいたいですわ。
「わたくしが良かったらあなたを殺してあげますわ」
「■■■■■■■■■■――――――」
そんな醜い力の塊の姿となって誰があなたを認めてくださいますの?
確かにわたくしではこの狂戦士には勝てないでしょう。
でも、わたくしには負けるつもりはありませんのよ!
お姉さまに必ず会う、その時まで。
「白井黒子、行きます」
空間移動。
まばらに立っている木、木、木へと跳んでは狂戦士を足止めする様に障害物へと変えていく。
「■■■■■■■■■―――――!」
だが、それを軽くあしらい所詮は木だとは言わんばかりに素手と素足だけではたき落とされた。
木の肉塊。
まるでそんな表現がよく似合う。
木は粉々に破壊されていた。
ありえませんわ。
「状況を理解するのよ黒子」
岩や木などは簡単に破壊出来る力。
暴れまわる様な戦闘スタイル。
大きな体。
結局は彼もゲームの参加者、不釣り合いに首元の鎧に捲く様に付けられた銀色の首輪。
「……そういえば」
この島に来た時からの事を思い出す。
見せしめの3人。
雲雀恭也にわたくしが負けた戦い。
女の子から逃げたわたくし。
既にヒントは提示されていた。
「このわたくしが勝つ事の出来るヒントとこのわたくしが判断した状況分析とわたくしにしか出来ない最大の武器で」
わたくしは笑う。
これからわたくしは人間であれ、怪物であれあの狂戦士を殺すのだ。
気の狂った様なわたくしですが、あれは危険過ぎますわ。
「さぁ、わたくしに踊らされなさい狂戦士!」
「■■■■■■■■■■■――――――!」
わたくしと狂戦士の気と気、気合いと気合い、声と声がぶつかり合う。
―――――――――――――――――――――――――――
勝利の雄叫びを上げるのは――。
―――――――――――――――――――――――――――
シュン。
黒子がバーサーカーの目の前へと自らの意志で空間移動をする。
バーサーカーは捕まえようとか殴ろうとかはわからないが黒子へ手を伸ばす。
当たる瞬間。
シュン。
黒子の姿が空気に溶け合い、また別の場所へ現れる。
次は蹴ろうと足を伸ばすバーサーカーだがそれも避けられる。
シュン、シュン、シュン。
次から次へと捕まえられる瞬間に消えては現れてを繰り返す。
バーサーカーの動きは大きい割りに速いが、黒子からすれば瞬間移動に慣れた目だ。
反応する力があれば避ける事は簡単である。
ただ黒子には体力がどんどん削られていく。
「座標点の移動……、計算するのに疲れてきましたわ……」
足がふらふらだ。
そろそろ勝負を仕掛ける時間が近づいている。
負けられない。
黒子はバーサーカーへ向き合う。
疲れた体でヘトヘトであっても、目の対抗心だけは消えていなかった。
むしろ燃える火でも映すかの様な目。
黒子は作戦を実行させる。
「震えている……、いやこれは怯えなどではないのよ黒子」
「当然能力使用による疲労に決まっているのよ」
「わたくしは死ぬ気なんかまったくありませんの」
「この狂戦士を殺して、お姉さまを見つけて、他の参加者達と協力して……」
「主催者を屈伏させる」
「出来る、出来ないの問題ではないのよ」
「する問題、しなくてはいけない問題なの」
「だからこれは死ぬ戦いじゃない」
「…………」
「…………」
「…………」
「生きる戦いですのよ!」
小さな体で立ち上がる。
あの大きな怪物を倒す為、いや生きる為。
黒子の体に闘志の炎が燃え上がる。
「行きますわ!」
シュン。
静かに、黒子は空間移動をする。
現れたのはバーサーカーの目の前、しかも地面などのない空中に、だ。
この戦いをこの場所から見た者であれば何をしているのかと思われるかもしれない。
しかし、
(それで良いのですわ)
黒子は……、ニヤリと頬を緩ませる。
その顔は勝利を確信した者の、顔。
中学生、女、小さい体、弱った精神、限界の体力。
そんな不利しか見まわれない彼女は上手く頭を使った作戦で勝利をもぎ取ったのだ。
シュン。
この戦い最後の空間移動。
あらかじめ座標の位置は決まっていた。
空中の空間移動から1秒から2秒といった短い間の出来事。
――バーサーカーは自らの首輪をもぎ取り、爆発して死ぬ。
哀れな狂気に満ちた彼だからこその敗北。
彼は『バーサーカー』であったが故に死ぬ事になる。
英雄ランスロットここで朽ち果てる。
―――――――――――――――――――――――――――
『単刀直入に言うならこの首輪は爆弾です。
どんな人物であっても必ず死んでしまいます。この首輪が爆発する条件は3つです。
1つはこの首輪を外そうとする事。
2つはこの首輪に大きいショックを与える事。
3つは禁止エリアに侵入する事です』
郷田真弓の声がリフレインされる。
本来ならあんな相手の話などまともに聞きたくはないが、だが今回はそれが役に経った。
このバトルロワイアルにおいてみんなは爆弾を抱えている事になる。
わたくしも、お姉さまも、このバトルロワイアルの参加者である限りだ。
だからこんな人殺しを自ら積極的に皆が動くのだ。
だからわたくしは考えましたの。
『どんな相手であっても首輪を爆発させれば――殺せるであろうと』
岩や木々を粉々にする様な力の持ち主だ。
こんな首輪を力付くで壊せる相手だからこそ、この作戦は通用する。
何故なら壊すという事は首輪にショックを与えるという事にイコールで結べるのであるからだ。
だから無理矢理外させれば首輪を作動させられる。
自分の能力の空間移動。
それで自分は狂戦士の首より少し上へ座標を合わせる。
当然理性があってない様な狂戦士はバカの1つ覚えの様に捕まえようとその手を伸ばすだろう。
わたくしはそれに合わせて狂戦士の手が首輪に伸びるであろう位置へワープする。
正直これが一番難しかった。
だから体力ギリギリまで逃げまどいその速さを計算した。
それをなんとかクリアさせたわたくしは捕まる直前にまた避けられる様に空間移動をする。
狂戦士の伸ばした腕は空を切ってそのまま首輪へ一直線。
ぶつかるにしても、首輪を握るとしても勢いよく首輪にぶつかればショックと見なされる。
そして首輪が作動。
狂戦士の鎧や兜に纏われた首は鎧や兜を爆発させながら首を飛ばす。
これがわたくしの考えたバトルロワイアルのルールを最大に生かした作戦よ。
こんな作戦はこんな理性のない狂戦士にしか通用しないだろう事だと思うけど。
―――――――――――――――――――――――――――
バーサーカーの手は首輪にショックを与えようとしている。
勢いがあり、もうこの手を止める事は力を出しているバーサーカーにすら制止は不可能だろう。
黒子は疲れ切った様子でそれを眺めている。
いや、もう疲れ切って動けないのだ。
動けない少女の目の前で英雄はその儚いサーヴァントとしての存在が終わる。
首輪にバーサーカーの手が当たった。
バーサーカーは首輪を握った様子だが、これは当然ショックを与えた。
「わたくしの勝ちです……のよ」
「■■■■■■■■■■■―――――!」
咆吼。
その咆吼はどこか悲鳴に聞こえてくる。
英雄が少女に負けるなど騎士にとって屈辱でしかない。
バーサーカー故に理性がないのはまだ幸せなのかもしれない。
「あ゛゛゛■ヴァアア゛ア゛唖、亞ああああ。ああぁア吾■■■々※アあァアアアア■■■□□゛ア々ああぁ――――」
最後の咆吼。
いや咆吼というより絶叫。
白井黒子の左腕が消失した。
な……んで……。
黒子の口はそう開いているが聞き取れない。
爆発するのは狂戦士の首。
しかし爆発したのは首輪すら捲かれていない左腕。
「■■■■■■■■■■――――――!」
黒子の目には壊れかけ寸前のカメラの様に勝利の咆吼を上げる狂戦士が見える。
そこには、首輪の形が見当たらない。
完全な黒一色となっている。
騎士は徒手にて死せず。
バーサーカーは手に掴んだ物を宝具にする宝具を聖杯戦争のサーヴァントとして受け継いだ。
バーサーカーは握った爆弾の首輪を握り締めて爆発の寸前に首輪を宝具化。
宝具化した爆弾を壊してそれを疲れ切った『敵』に投げつけた。
狙って投げたわけではないその爆弾は、『敵』の左腕1本を飛ばしただけでその役割を終えた。
「■■■■■■■■■■――――――!」
もはやバーサーカーには制限を強制させる首輪など存在しない。
1人1人逆らえないロボット達の中で一番最初に感情の持ったロボットの様にもうバーサーカーには止められる者など居やしない。
マスターも居ない、理性もないサーヴァント『バーサーカー』は真のランスロットとしてこの世に現界したと言っても過言ではない。
「■■■■■■■■■■■■■■■――――――!!」
騎神咆吼バーサーカー。
高い咆吼を周りへ周りへと反響させなから『敵』になど目もくれずに立ち去った。
【G-4 野原/朝】
【バーサーカー@Fate/Zero】
【装備:なし】
【所持品:支給品一式、無毀なる湖光@Fate/Zero(封印中)、ランダム支給品×2】
【状態:健康、狂化(永続)、首輪解除】
【思考・行動】
1:■■■■■■■■■―――――
【備考】
※間桐雁夜に召喚される前からの参加です。
※セイバー@Fate/stay nightを視認すると、全ての行動を放棄して彼女に襲いかかります
※首輪が解除され、戦闘能力が戻りました。
―――――――――――――――――――――――――――
静寂。
声を出す者などもう居ない。
あぁ……、わたくしは狂戦士に勝つどころが蘇らせてしまったのね……。
左腕がなく、血ももう生きていられるぶんがあるかないかの量だろう。
お姉さまに害を成さない事を願って黒子はこのまま眠ろうと思います。
だけどこの近くにお姉さまが居るとしたらまだ死に切れません。
お姉さま、早く黒子を迎えに来てくださいませ……。
お姉さま、お姉さま、お姉さま。
わたくしはもう少しお姉さまを待っていても良いですわよね……?
次に目を覚まさせる相手がどうかお姉さまである様に。
このまま目を閉じたまま死ぬ可能性もある中、黒子は眠りますの。
お姉さま……。
【白井黒子@とある魔術の禁書目録】
【装備:なし】
【所持品:支給品一式 ランダム支給品×3】
【状態:精神的大ダメージ、左腕消失、気絶】
【思考・行動】
1:お姉様……、黒子を起こしてくださいませ。
【備考】
※夏休み終了後からの参戦です。
※『空間移動』は制限されています。移動は10メートル以内で連続の使用は体に負担が大きくなり、また物を体内や柱に入れる事は出来ません。
※このまま気絶し続けると死ぬかもしれません。
|[[シャングリラ]]|時系列|[[ブラッドチューン]]|
|[[輝きのトモキ]]|投下順|[[ブラッドチューン]]|
|[[決意と殺意が交わる時]]|バーサーカー|[[]]|
|[[Island Days]]|白井黒子|[[]]|
■■■■■■■■―――――――!
木霊する音。
振るわせる地。
湖の騎士にして裏切りのナイト――ランスロット――。
面影すら残っていない狂った1人の騎士の英雄であった者の雄叫びは一体何を意味する?
自らの勝利か?
それとも、自らの敗北か?
それとも、自らの死か?
答えは――――?
対峙するはツインテールの髪型をした幼き少女が1人。
これは狂った騎士と1人の少女の戦いの結末の<物語>。
―――――――――――――――――――――――――――
「お姉さまは死ななくて、わたくしのお姉さまの恋路を邪魔するあの男の名前が呼ばれたのにどうして心の中がこう、……もわっとするのでしょうね……」
中学生のジャッジメントの白井黒子は放送の死亡者で数少ない知り合いの名前を聞かされた。
心に残るのは渦。
それはおそらく今まで人が死んだ事を無理矢理に忘れようとしていたが現実がそれを拒む。
3人の人間が首を飛ばされた。
黒子はまず最初にお姉さまである御坂美琴を探そうと行動。
美琴と再会しても脱出出来ないとわかっているのに。
美琴を優勝させる為に殺し合いに乗っているわけではないのに。
並盛中とは知らない学校であったが、それの風紀委員長と名乗る雲雀恭弥とは戦いを繰り広げたが黒子にとっては無意識にいつもの不良と戦う日常と変わらないと思っていた。
ただ、結果が負けたという事で。
逃避をしていたのだ。
そうやって人殺しなんか起きていないと目を逸らしていたが、名も知らない少女――竜宮レナ――に本物の刀を持って襲われた。
憎しみが限界を越した人間の表情を見た事が無かった。
怒りが限界を越した人間の声を聞いた事が無かった。
そして見てしまった首が無く、心臓が貫かれた死体。
殺し合いは行われていた。
自分の居た同じ島の数キロ近くの位置にて。
それからは忘れようと、死体から目を背けようと美琴を探した。
ただ声が聞きたかった。
ただ一緒に歩きたかった。
ただ美琴に抱かれたかった。
そうやって自分の能力の空間移動や、自らの足を使って。
ただ立ち止まらずに美琴だけを探す目となりて。
だが目を逸らすだけではいけなかった。
人が死んだ事を告げた郷田真弓の声が耳から入り込んだからだ。
目は閉じていても、耳は塞いでいなかった。
突きつけられた現実。
狂った現実。
狂った末の現実。
そして、
バトルロワイアルの意味を知る。
自分も、誰も、
その命は儚くて、壊れやすくて、
そして大事にされる。
「いやですわね、わたくしったら。柄にもない事を考えてしまって。あんな男の事などわたくしには関係のない事ですわ……」
ただ真っ直ぐで、正直で、誰をも受け入れる、強いのに弱くて、弱いのに強い男の事が離れなかった。
ライバルが居なくなった。
なんてつまらない事だろう。
黒子は名簿の『上条当麻』と書かれたところだけをただずっと凝視していた。
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「な、なんですの!?」
何の音かはわからない。
だが黒子の耳にははっきりと雄叫びらしき大きな音を捉えた。
「幻聴……だとしたらわたくしの脳みそがおかしくなっているぐらいの音ですわね」
嫌な予感のする勘と反応する体が伝達する。
本当はここから逃げ出した方が良いのに。
わかっているのに。
「あ……」
動いた先に見えたのは負の塊を鎧の様に纏った騎士であった。
でたらめ過ぎる黒さ。
強いのはわかるのに何故かわからない彼の強さ。
黒子は今までの人生のどんな場面よりも危険を感じた。
雲雀恭弥や狂った女の子なんかとは比べものにするのも次元のおかしな話であろう。
あれは人間としての強さと狂いさだ。
だが、あれは人間の強さと狂いさではない。
怪物に近い。
理性があるのかすら疑うほどの獣と騎士の融合した姿。
おそらく目の前の怪物にはバトルロワイアルなど理解していないだろう。
「■■■■■■■■■■■――――――!!」
何故なら本能だけで参加者を殺しに来る様な自我なんかあってない様なものなのだろう。
黒子が捉えた大き過ぎる音の正体が繋がった瞬間――、黒子目掛けて追いかけてくる。
「品がまったくありませんのよ」
空間移動を使い、バーサーカーの後ろへ座標点を移動させる。
バーサーカーは当然攻撃している間は気付かなかったが、すぐに後ろに黒子が居る事に気付いた。
「頭が良いのか悪いのか……」
転がった岩に手を置く黒子。
持ち上げる事は出来ないぐらい大きな岩。
何故黒子はそんな事をしているのか?
「■■■■■■■■■■」
こちらへ走るバーサーカー相手に岩を空間移動させるのだ。
黒子の空間移動は自分の瞬間移動の他、物も瞬間移動出来る。
その岩がバーサーカーの頭の位置に急にCGで現したかの様に浮かび上がる。
これであの妙な鎧の正体を探ろうとしていた。
ただの霧の様に実態のないものか。
力が具現化したものなのか。
あれもあれで金属に含まれたものか。
「さぁ、答えを見せなさい狂戦士」
いくら彼に名前を聞いたところで恭弥の様に名前は答えないだろう。
彼の名前は参加者の『バーサーカー』だとは彼女も思っていたが、わからないので狂戦士と彼を呼んだ。
狂戦士の鎧の正体を見極める黒子の目。
その2つの眼に映像が再生される。
素早く岩の存在に気付くバーサーカーは雄叫びを上げながら跳び、両手で岩を握りしめて、破壊した。
「……もはや人間ではありませんのね」
黒子は狂戦士を見ていて少し哀れみを感じた。
自らの命の危険を忘れてまでの湧き上がる感情であった。
「あなたがもし人間だったとしたら……、そんな狂った格好を誰にも見せたくないのではないのかしら」
―――――――――――――――――――――――――――
自分がもしあんな格好になったとしたら……。
大切な人には見られたくない。
お姉さまにはいつもの、この姿の白井黒子として見てもらいたいですわ。
「わたくしが良かったらあなたを殺してあげますわ」
「■■■■■■■■■■――――――」
そんな醜い力の塊の姿となって誰があなたを認めてくださいますの?
確かにわたくしではこの狂戦士には勝てないでしょう。
でも、わたくしには負けるつもりはありませんのよ!
お姉さまに必ず会う、その時まで。
「白井黒子、行きます」
空間移動。
まばらに立っている木、木、木へと跳んでは狂戦士を足止めする様に障害物へと変えていく。
「■■■■■■■■■―――――!」
だが、それを軽くあしらい所詮は木だとは言わんばかりに素手と素足だけではたき落とされた。
木の肉塊。
まるでそんな表現がよく似合う。
木は粉々に破壊されていた。
ありえませんわ。
「状況を理解するのよ黒子」
岩や木などは簡単に破壊出来る力。
暴れまわる様な戦闘スタイル。
大きな体。
結局は彼もゲームの参加者、不釣り合いに首元の鎧に捲く様に付けられた銀色の首輪。
「……そういえば」
この島に来た時からの事を思い出す。
見せしめの3人。
雲雀恭弥にわたくしが負けた戦い。
女の子から逃げたわたくし。
既にヒントは提示されていた。
「このわたくしが勝つ事の出来るヒントとこのわたくしが判断した状況分析とわたくしにしか出来ない最大の武器で」
わたくしは笑う。
これからわたくしは人間であれ、怪物であれあの狂戦士を殺すのだ。
気の狂った様なわたくしですが、あれは危険過ぎますわ。
「さぁ、わたくしに踊らされなさい狂戦士!」
「■■■■■■■■■■■――――――!」
わたくしと狂戦士の気と気、気合いと気合い、声と声がぶつかり合う。
―――――――――――――――――――――――――――
勝利の雄叫びを上げるのは――。
―――――――――――――――――――――――――――
シュン。
黒子がバーサーカーの目の前へと自らの意志で空間移動をする。
バーサーカーは捕まえようとか殴ろうとかはわからないが黒子へ手を伸ばす。
当たる瞬間。
シュン。
黒子の姿が空気に溶け合い、また別の場所へ現れる。
次は蹴ろうと足を伸ばすバーサーカーだがそれも避けられる。
シュン、シュン、シュン。
次から次へと捕まえられる瞬間に消えては現れてを繰り返す。
バーサーカーの動きは大きい割りに速いが、黒子からすれば瞬間移動に慣れた目だ。
反応する力があれば避ける事は簡単である。
ただ黒子には体力がどんどん削られていく。
「座標点の移動……、計算するのに疲れてきましたわ……」
足がふらふらだ。
そろそろ勝負を仕掛ける時間が近づいている。
負けられない。
黒子はバーサーカーへ向き合う。
疲れた体でヘトヘトであっても、目の対抗心だけは消えていなかった。
むしろ燃える火でも映すかの様な目。
黒子は作戦を実行させる。
「震えている……、いやこれは怯えなどではないのよ黒子」
「当然能力使用による疲労に決まっているのよ」
「わたくしは死ぬ気なんかまったくありませんの」
「この狂戦士を殺して、お姉さまを見つけて、他の参加者達と協力して……」
「主催者を屈伏させる」
「出来る、出来ないの問題ではないのよ」
「する問題、しなくてはいけない問題なの」
「だからこれは死ぬ戦いじゃない」
「…………」
「…………」
「…………」
「生きる戦いですのよ!」
小さな体で立ち上がる。
あの大きな怪物を倒す為、いや生きる為。
黒子の体に闘志の炎が燃え上がる。
「行きますわ!」
シュン。
静かに、黒子は空間移動をする。
現れたのはバーサーカーの目の前、しかも地面などのない空中に、だ。
この戦いをこの場所から見た者であれば何をしているのかと思われるかもしれない。
しかし、
(それで良いのですわ)
黒子は……、ニヤリと頬を緩ませる。
その顔は勝利を確信した者の、顔。
中学生、女、小さい体、弱った精神、限界の体力。
そんな不利しか見まわれない彼女は上手く頭を使った作戦で勝利をもぎ取ったのだ。
シュン。
この戦い最後の空間移動。
あらかじめ座標の位置は決まっていた。
空中の空間移動から1秒から2秒といった短い間の出来事。
――バーサーカーは自らの首輪をもぎ取り、爆発して死ぬ。
哀れな狂気に満ちた彼だからこその敗北。
彼は『バーサーカー』であったが故に死ぬ事になる。
英雄ランスロットここで朽ち果てる。
―――――――――――――――――――――――――――
『単刀直入に言うならこの首輪は爆弾です。
どんな人物であっても必ず死んでしまいます。この首輪が爆発する条件は3つです。
1つはこの首輪を外そうとする事。
2つはこの首輪に大きいショックを与える事。
3つは禁止エリアに侵入する事です』
郷田真弓の声がリフレインされる。
本来ならあんな相手の話などまともに聞きたくはないが、だが今回はそれが役に経った。
このバトルロワイアルにおいてみんなは爆弾を抱えている事になる。
わたくしも、お姉さまも、このバトルロワイアルの参加者である限りだ。
だからこんな人殺しを自ら積極的に皆が動くのだ。
だからわたくしは考えましたの。
『どんな相手であっても首輪を爆発させれば――殺せるであろうと』
岩や木々を粉々にする様な力の持ち主だ。
こんな首輪を力付くで壊せる相手だからこそ、この作戦は通用する。
何故なら壊すという事は首輪にショックを与えるという事にイコールで結べるのであるからだ。
だから無理矢理外させれば首輪を作動させられる。
自分の能力の空間移動。
それで自分は狂戦士の首より少し上へ座標を合わせる。
当然理性があってない様な狂戦士はバカの1つ覚えの様に捕まえようとその手を伸ばすだろう。
わたくしはそれに合わせて狂戦士の手が首輪に伸びるであろう位置へワープする。
正直これが一番難しかった。
だから体力ギリギリまで逃げまどいその速さを計算した。
それをなんとかクリアさせたわたくしは捕まる直前にまた避けられる様に空間移動をする。
狂戦士の伸ばした腕は空を切ってそのまま首輪へ一直線。
ぶつかるにしても、首輪を握るとしても勢いよく首輪にぶつかればショックと見なされる。
そして首輪が作動。
狂戦士の鎧や兜に纏われた首は鎧や兜を爆発させながら首を飛ばす。
これがわたくしの考えたバトルロワイアルのルールを最大に生かした作戦よ。
こんな作戦はこんな理性のない狂戦士にしか通用しないだろう事だと思うけど。
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バーサーカーの手は首輪にショックを与えようとしている。
勢いがあり、もうこの手を止める事は力を出しているバーサーカーにすら制止は不可能だろう。
黒子は疲れ切った様子でそれを眺めている。
いや、もう疲れ切って動けないのだ。
動けない少女の目の前で英雄はその儚いサーヴァントとしての存在が終わる。
首輪にバーサーカーの手が当たった。
バーサーカーは首輪を握った様子だが、これは当然ショックを与えた。
「わたくしの勝ちです……のよ」
「■■■■■■■■■■■―――――!」
咆吼。
その咆吼はどこか悲鳴に聞こえてくる。
英雄が少女に負けるなど騎士にとって屈辱でしかない。
バーサーカー故に理性がないのはまだ幸せなのかもしれない。
「あ゛゛゛■ヴァアア゛ア゛唖、亞ああああ。ああぁア吾■■■々※アあァアアアア■■■□□゛ア々ああぁ――――」
最後の咆吼。
いや咆吼というより絶叫。
白井黒子の左腕が消失した。
な……んで……。
黒子の口はそう開いているが聞き取れない。
爆発するのは狂戦士の首。
しかし爆発したのは首輪すら捲かれていない左腕。
「■■■■■■■■■■――――――!」
黒子の目には壊れかけ寸前のカメラの様に勝利の咆吼を上げる狂戦士が見える。
そこには、首輪の形が見当たらない。
完全な黒一色となっている。
騎士は徒手にて死せず。
バーサーカーは手に掴んだ物を宝具にする宝具を聖杯戦争のサーヴァントとして受け継いだ。
バーサーカーは握った爆弾の首輪を握り締めて爆発の寸前に首輪を宝具化。
宝具化した爆弾を壊してそれを疲れ切った『敵』に投げつけた。
狙って投げたわけではないその爆弾は、『敵』の左腕1本を飛ばしただけでその役割を終えた。
「■■■■■■■■■■――――――!」
もはやバーサーカーには制限を強制させる首輪など存在しない。
1人1人逆らえないロボット達の中で一番最初に感情の持ったロボットの様にもうバーサーカーには止められる者など居やしない。
マスターも居ない、理性もないサーヴァント『バーサーカー』は真のランスロットとしてこの世に現界したと言っても過言ではない。
「■■■■■■■■■■■■■■■――――――!!」
騎神咆吼バーサーカー。
高い咆吼を周りへ周りへと反響させなから『敵』になど目もくれずに立ち去った。
【G-4 野原/朝】
【バーサーカー@Fate/Zero】
【装備:なし】
【所持品:支給品一式、無毀なる湖光@Fate/Zero(封印中)、ランダム支給品×2】
【状態:健康、狂化(永続)、首輪解除】
【思考・行動】
1:■■■■■■■■■―――――
【備考】
※間桐雁夜に召喚される前からの参加です。
※セイバー@Fate/stay nightを視認すると、全ての行動を放棄して彼女に襲いかかります
※首輪が解除され、戦闘能力が戻りました。
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静寂。
声を出す者などもう居ない。
あぁ……、わたくしは狂戦士に勝つどころが蘇らせてしまったのね……。
左腕がなく、血ももう生きていられるぶんがあるかないかの量だろう。
お姉さまに害を成さない事を願って黒子はこのまま眠ろうと思います。
だけどこの近くにお姉さまが居るとしたらまだ死に切れません。
お姉さま、早く黒子を迎えに来てくださいませ……。
お姉さま、お姉さま、お姉さま。
わたくしはもう少しお姉さまを待っていても良いですわよね……?
次に目を覚まさせる相手がどうかお姉さまである様に。
このまま目を閉じたまま死ぬ可能性もある中、黒子は眠りますの。
お姉さま……。
【白井黒子@とある魔術の禁書目録】
【装備:なし】
【所持品:支給品一式 ランダム支給品×3】
【状態:精神的大ダメージ、左腕消失、気絶】
【思考・行動】
1:お姉様……、黒子を起こしてくださいませ。
【備考】
※夏休み終了後からの参戦です。
※『空間移動』は制限されています。移動は10メートル以内で連続の使用は体に負担が大きくなり、また物を体内や柱に入れる事は出来ません。
※このまま気絶し続けると死ぬかもしれません。
|[[シャングリラ]]|時系列|[[ブラッドチューン]]|
|[[輝きのトモキ]]|投下順|[[ブラッドチューン]]|
|[[決意と殺意が交わる時]]|バーサーカー|[[]]|
|[[Island Days]]|白井黒子|[[]]|