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番外放送が終わってから少し後。 草原の真ん中で、宗像形はゆっくりと立ち上がった。 枢木スザクとの戦闘を終えた後、宗像は疲労回復に努めていた。 とはいえ既に二時間近く経過していたから、充分だと判断したのだろう。 準備運動をするように、腰や腕を中心に、身体をぐるぐると回す――ついでにハルバードも回す。 その動きは精巧にして緻密。 武器、あるいは凶器を扱うことに長けた人間のものだ。 数時間前に戦闘を行い、傷を負ったとは思えないほどである。 無論、殺人にもなんら不都合はないのだろう。 身体の調子を確認し終えた宗像は、ひとつ息を付いた。 そして誰に告げるわけでもなく、小さな声で呟く。 「死んだのは十四人。今の放送によると一人生き返ったようだし――つまり、僕はあと八十六人殺せるってことだね」 その言葉からは、宗像形という人間の中の狂気が窺えた。 放送を聴いて、宗像は自分があと何人の人間を殺せるかを考えていたのだ。 悲しみを抱くわけでもなく。 怒りを覚えるわけでもなく。 焦りを感じるわけでもなく。 喜びに震えるわけでもなく。 ただただ、殺したいという衝動に駆られていた。 宗像の抱える『殺人衝動』が、そう渇望していたのだ。 そう、異常なまでに。 「それにしても武器が――いや、暗器がハルバード一つしかないのは心許ないな」 再び呟くと、宗像の手からハルバードが消えた。 否、そのように見えただけであって、実際は『暗器収納術』によるものだ。 『暗器収納術』とは、黒神めだかの兄である黒神真黒に開発されたスキルである。 これにより、宗像は自身の着用している制服に大量の暗器――もとい凶器を携帯できる。 日本刀、ハンマー、拳銃、手榴弾、ブーメラン、狼牙棒。 その種類は多岐にわたり、その量は計り知れない。 しかしバトルロワイアルに招かれるにあたって、それらの凶器は全て没収されていた。 故に現在宗像は、凶器と呼べるものは支給品のハルバードしか収納していない。 ちなみにその他の支給品も収納はしている。 だが、それでは到底足りないと宗像は考えていた。 「さっきの――枢木スザクのような強者を殺すためには、銃器かそれ以上のものが必要だ」 語りかけるかのように独白する宗像。 第一回放送前に戦闘を行った枢木スザクと、その武器についてだ。 スザクが使用したのは、強力なスタンガンと手榴弾の二つ。 あの二つがスザクの支給品なのだろうと宗像は推測していた。 宗像の支給品であるハルバードと比べて、単純な殺傷力ではあちらの方が明らかに上だ。 つまり、支給品の優劣には個人差があるということだ。 宗像自身の支給品も然り。 防犯ブザーとハルバードでは、どちらが凶器として有用か――あえて問うまでもない。 それでは、より有用な凶器を手に入れるにはどうすればいいか。 自身の支給品にそれがないとすれば、取る手段は一つだ。 「他の参加者を殺して、支給品を奪う」 結局、ごく単純な結論に辿り着いた。 行動指針が決まったところで、宗像は袖口から防犯ブザーを取り出した。 ランドセルに付いているのを見かけることも多いであろう、ごく一般的な市販の防犯ブザー。 宗像は勢いよくそれのひも状のスイッチを引っ張り、適当に放り投げた。 途端に周囲に大きな音が鳴り響く。 「これで人が集まってくるだろう」 子供の悲鳴にも似た甲高い音は、非常に人の耳に入りやすい。 まして殺し合いの最中ともなれば、参加者たちは耳を含めた全ての神経を研ぎ澄ませているはずだ。 とすると、防犯ブザーを鳴らすことで参加者が集まってくる可能性は高い。 そして集まった参加者を殺すことで、新たな凶器を入手することができる。 これを繰り返していけば、人を殺し尽くすのも容易だ。 少なくとも、人がいるというあても確証もなく歩き回るよりはいい。 宗像はそのように考えていた。 「それじゃあ、しばらく待つとしようか――僕に殺される人間を」 そう言って宗像は息を吐いた。 案山子のように突っ立っている痩身からは、まるで殺意は感じられない。 だが実際は、何よりも人間を殺害することを考えている。 “人間が好きな感情”が無くなった異常、今の宗像は殺人機械も同然。 今の宗像にとって、親友である人吉善吉を含めた全ての参加者、全ての人間はただの知り合いだ。 親愛も愛憎もなく――あるのは衝動のみ。 「斬って殴って嬲って刺して晒して垂らして殺して殺して殺して――殺す」 自制できない衝動が、呟きとなって漏れる。 果たして、誰が最初にハルバードの――殺人衝動の餌食になるのだろうか。 それはまだ分からない。 だが、吹き始めた風に乗った殺意が、誰かに届くのに時間はかからないだろう。 【C-5 草原/午前】 【宗像形@めだかボックス】 【装備:野田のハルバード@Angel Beats!】 【所持品:支給品一式、壊れているストーブ@Fate/stay night】 【状態:服が若干ボロボロ、傷(小)】 【思考・行動】 0:やってきた人間を殺す。それまで必要以上に動かない。 1:強力な凶器が必要だ。 2:凶器を手に入れて全員殺す。 【備考】 ※戦挙編〜次世代育成プログラムの間からの参戦です。 ※人間が好きな感情がなくなり、殺人衝動だけが残る人間になりました。 ※『暗器収納術』を使用しているので、周囲から見ると徒手空拳の状態です。 防犯ブザーの音が鳴り響く中、宗像のことを観察する者がいた。 その名は園崎詩音。 既にこの世を去った園崎魅音の双子の妹であり、想い人のためにこの殺し合いに乗った少女である。 枢木スザクの手榴弾による怪我を負った詩音は、ひたすら逃げていた。 詩音の目的は優勝して北条悟史と再会すること。 唯一にして絶対の目的の為にも、犬死には御免だった。 だから強者は相手にせず、逃走を図ったという訳だ。 そんな詩音が次に人を発見したのは、番外放送を軽く聴き流した後のことだった。 その男は、何もない野原にぼうっと立っていた。 武器も道具も持たず、無防備なその姿を、しかし詩音は警戒した。 今までに詩音が遭遇した参加者は四人。 最初に襲った金髪の少年。 銃を撃ってきた桃色の少女。 続いて襲った赤い髪の少年と茶髪の少年。 その中で詩音が実際に殺害できた者はいない。 (優勝することは思っていたよりも難しい) 詩音自身が目にして来た参加者の姿を思い出す。 主催者に反抗した大柄な男は、理屈は不明だが腕が変形していた。 桃色の少女は拳銃を持ち、躊躇いなく発砲した。 茶髪の少年は手榴弾を持ち、殺意とともにそれを放った。 この島にいる人間の多くは、むやみに襲いかかるだけでは殺せない――そのことを、詩音は理解し始めていた。 だからこそ詩音は、観察することにした。 この男を殺すことは可能かどうかを見極めるために。 (……たぶん、無理だ) 名前も知らない男の、異様な行動。 何もない所からハルバードを取り出したこと。 身の丈ほどもあったそれを楽々と振り回したこと。 「殺す」という物騒な単語を連呼していたこと。 防犯ブザーのスイッチを入れて投げたこと。 それら全てを、詩音はずっと観察していた。 そう結論を出したのは、当然だったと言えよう。 (アイツは危険だ) 詩音が宗像を観察した結果は、その一言に尽きた。 行動も言動も挙動も、何もかもが身の危険を感じさせる。 (絶対にアイツには近付かない――近付きたくない) それは宗像の殺人衝動を肌で感じた詩音が、本能で危険を感じ取ったからかもしれない。 あるいは宗像に負けず劣らず狂気に染まっている詩音が、生理的な嫌悪感を抱いたからかもしれない。 なににせよ詩音は、宗像には近付かないことを決めた。 (とにかくアイツに気付かれる前に、早くこの場から離れなきゃ。 ……くそっ、アイツがブザーを鳴らさなきゃ、ゆっくり休んでいられたのに) 怪我の程度は軽いものの、休息はとっておきたかった。 詩音の目的は、あくまで優勝することのみ。 その為には、詩音以外の八十六人をどうにか排除しなければならない。 排除する――と言っても、詩音は圧倒的な力を備えている訳ではない。 人を殺すにあたっては、万全の状態でいたかったのだ。 (一番近い施設は……墓地と廃墟、それに……ジュネス?) 休息を取るためにも、近くの施設を目指そうと地図を開く。 詩音が今居るC-5エリアには施設がないが、隣接する三つのエリアに施設があった。 しかし、墓地は休息を取るには些か気分の悪い場所だ。 できない、というわけではないが、休むにあたっては遠慮したい場所である。 では廃墟はどうか。文字を見ると敬遠したくなるが、同じ理由で他の参加者も避けるのではないかと予想できる。 休息を取るには適した場所かも知れない。 残る一つ、ジュネスはどうか。これは未知というほかない。 まず施設の概要が全く不明だ。 詩音がいた雛見沢には、ジュネスなどという場所は存在しなかった。 よって、どういった施設か推測することも、今の状況では不可能だ。 (でも……街の中にあるということは、ある程度は設備の整った施設なのかな?) 未知数と分かっていながらも、そう期待してしまう詩音。 廃墟で休息することを回避したいという思いがあるのか、はたまた未知なる施設への僅かな好奇心があるのか。 だが、逡巡したのも一瞬。 詩音は俯いていた顔を前へ向けると、デイパックを担ぎ直した。 (速く……速く速く速く、悟史君の元に帰るんだッ!!!) 心に刻むのは“絶対に帰る”という意志。 その意志の強さは、双眸に宿る光の強さからも見て取れた。 詩音はそのまま、傷を負った身体で、目的とする施設に向かって駆けていく。 幸運にも、風は追い風だった。 【園崎詩音@ひぐらしのなく頃に】 【装備:止まれの標識@めだかボックス】 【所持品:支給品一式、ランダム支給品×2】 【状態:怪我(中)、雛見沢症候群L3】 【思考・行動】 0:ひとまず男(宗像)から離れて、休憩できる場所(墓地か廃墟かジュネス)へ行く。 1:優勝して悟史君の元に帰る。 2:参加者全員を殺す。 【備考】 ※目明し編からの参戦です。 ※宗像形を危険視しています。 ※どこを目的地にしたかは以降の書き手さんにお任せします。 【その他備考】 ※C-5に防犯ブザーが落ちていて、鳴り響いています。半径1kmの範囲内であれば聞こえるかもしれません。 |103:[[イキキル(非)日常編]]|時系列|[[]]| |105:[[*~アスタリスク~]]|投下順|107:[[CODE:Revise]]| |082:[[光と絶望の境目]]|園崎詩音|[[]]| |043:[[白騎士物語]]|宗像形|[[]]|
番外放送が終わってから少し後。 草原の真ん中で、宗像形はゆっくりと立ち上がった。 枢木スザクとの戦闘を終えた後、宗像は疲労回復に努めていた。 とはいえ既に二時間近く経過していたから、充分だと判断したのだろう。 準備運動をするように、腰や腕を中心に、身体をぐるぐると回す――ついでにハルバードも回す。 その動きは精巧にして緻密。 武器、あるいは凶器を扱うことに長けた人間のものだ。 数時間前に戦闘を行い、傷を負ったとは思えないほどである。 無論、殺人にもなんら不都合はないのだろう。 身体の調子を確認し終えた宗像は、ひとつ息を付いた。 そして誰に告げるわけでもなく、小さな声で呟く。 「死んだのは十四人。今の放送によると一人生き返ったようだし――僕はあと八十六人殺せるってことだね」 その言葉からは、宗像形という人間の中の狂気が窺えた。 放送を聴いて、宗像は自分があと何人の人間を殺せるかを考えていたのだ。 悲しみを抱くわけでもなく。 怒りを覚えるわけでもなく。 焦りを感じるわけでもなく。 喜びに震えるわけでもなく。 ただただ、殺したいという衝動に駆られていた。 宗像の抱える『殺人衝動』が、そう渇望していたのだ。 そう、異常なまでに。 「それにしても武器が――いや、暗器がハルバード一つしかないのは心許ないな」 再び呟くと、宗像の手からハルバードが消えた。 否、そのように見えただけであって、実際は『暗器収納術』によるものだ。 『暗器収納術』とは、黒神めだかの兄である黒神真黒に開発されたスキルである。 これにより、宗像は自身の着用している制服に大量の暗器――もとい凶器を携帯できる。 日本刀、ハンマー、拳銃、手榴弾、ブーメラン、狼牙棒。 その種類は多岐にわたり、その量は計り知れない。 しかしバトルロワイアルに招かれるにあたって、それらの凶器は全て没収されていた。 故に現在宗像は、凶器と呼べるものは支給品のハルバードしか収納していない。 ちなみにその他の支給品も収納はしている。 だが、それでは到底足りないと宗像は考えていた。 「さっきの――枢木スザクのような強者を殺すためには、銃器かそれ以上のものが必要だ」 語りかけるかのように独白する宗像。 第一回放送前に戦闘を行った枢木スザクと、その武器についてだ。 スザクが使用したのは、強力なスタンガンと手榴弾の二つ。 あの二つがスザクの支給品なのだろうと宗像は推測していた。 宗像の支給品であるハルバードと比べて、単純な殺傷力ではあちらの方が明らかに上だ。 つまり、支給品の優劣には個人差があるということだ。 宗像自身の支給品も然り。 防犯ブザーとハルバードでは、どちらが凶器として有用か――あえて問うまでもない。 それでは、より有用な凶器を手に入れるにはどうすればいいか。 自身の支給品にそれがないとすれば、取る手段は一つだ。 「他の参加者を殺して、支給品を奪う」 結局、ごく単純な結論に辿り着いた。 行動指針が決まったところで、宗像は袖口から防犯ブザーを取り出した。 ランドセルに付いているのを見かけることも多いであろう、ごく一般的な市販の防犯ブザー。 宗像は勢いよくそれのひも状のスイッチを引っ張り、適当に放り投げた。 途端に周囲に大きな音が鳴り響く。 「これで人が集まってくるだろう」 子供の悲鳴にも似た甲高い音は、非常に人の耳に入りやすい。 まして殺し合いの最中ともなれば、参加者たちは耳を含めた全ての神経を研ぎ澄ませているはずだ。 とすると、防犯ブザーを鳴らすことで参加者が集まってくる可能性は高い。 そして集まった参加者を殺すことで、新たな凶器を入手することができる。 これを繰り返していけば、人を殺し尽くすのも容易だ。 少なくとも、人がいるというあても確証もなく歩き回るよりはいい。 宗像はそのように考えていた。 「それじゃあ、しばらく待つとしようか――僕に殺される人間を」 そう言って宗像は息を吐いた。 案山子のように突っ立っている痩身からは、まるで殺意は感じられない。 だが実際は、何よりも人間を殺害することを考えている。 “人間が好きな感情”が無くなった異常、今の宗像は殺人機械も同然。 今の宗像にとって、親友である人吉善吉を含めた全ての参加者、全ての人間はただの知り合いだ。 親愛も愛憎もなく――あるのは衝動のみ。 「斬って殴って嬲って刺して晒して垂らして殺して殺して殺して――殺す」 自制できない衝動が、呟きとなって漏れる。 果たして、誰が最初にハルバードの――殺人衝動の餌食になるのだろうか。 それはまだ分からない。 だが、吹き始めた風に乗った殺意が、誰かに届くのに時間はかからないだろう。 【C-5 草原/午前】 【宗像形@めだかボックス】 【装備:野田のハルバード@Angel Beats!】 【所持品:支給品一式、壊れているストーブ@Fate/stay night】 【状態:服が若干ボロボロ、傷(小)】 【思考・行動】 0:やってきた人間を殺す。それまで必要以上に動かない。 1:強力な凶器が必要だ。 2:凶器を手に入れて全員殺す。 【備考】 ※戦挙編〜次世代育成プログラムの間からの参戦です。 ※人間が好きな感情がなくなり、殺人衝動だけが残る人間になりました。 ※『暗器収納術』を使用しているので、周囲から見ると徒手空拳の状態です。 防犯ブザーの音が鳴り響く中、宗像のことを観察する者がいた。 その名は園崎詩音。 既にこの世を去った園崎魅音の双子の妹であり、想い人のためにこの殺し合いに乗った少女である。 枢木スザクの手榴弾による怪我を負った詩音は、ひたすら逃げていた。 詩音の目的は優勝して北条悟史と再会すること。 唯一にして絶対の目的の為にも、犬死には御免だった。 だから強者は相手にせず、逃走を図ったという訳だ。 そんな詩音が次に人を発見したのは、番外放送を軽く聴き流した後のことだった。 その男は、何もない野原にぼうっと立っていた。 武器も道具も持たず、無防備なその姿を、しかし詩音は警戒した。 今までに詩音が遭遇した参加者は四人。 最初に襲った金髪の少年。 銃を撃ってきた桃色の少女。 続いて襲った赤い髪の少年と茶髪の少年。 その中で詩音が実際に殺害できた者はいない。 (優勝することは思っていたよりも難しい) 詩音自身が目にして来た参加者の姿を思い出す。 主催者に反抗した大柄な男は、理屈は不明だが腕が変形していた。 桃色の少女は拳銃を持ち、躊躇いなく発砲した。 茶髪の少年は手榴弾を持ち、殺意とともにそれを放った。 この島にいる人間の多くは、むやみに襲いかかるだけでは殺せない――そのことを、詩音は理解し始めていた。 だからこそ詩音は、観察することにした。 この男を殺すことは可能かどうかを見極めるために。 (……たぶん、無理だ) 名前も知らない男の、異様な行動。 何もない所からハルバードを取り出したこと。 身の丈ほどもあったそれを楽々と振り回したこと。 「殺す」という物騒な単語を連呼していたこと。 防犯ブザーのスイッチを入れて投げたこと。 それら全てを、詩音はずっと観察していた。 そう結論を出したのは、当然だったと言えよう。 (アイツは危険だ) 詩音が宗像を観察した結果は、その一言に尽きた。 行動も言動も挙動も、何もかもが身の危険を感じさせる。 (絶対にアイツには近付かない――近付きたくない) それは宗像の殺人衝動を肌で感じた詩音が、本能で危険を感じ取ったからかもしれない。 あるいは宗像に負けず劣らず狂気に染まっている詩音が、生理的な嫌悪感を抱いたからかもしれない。 なににせよ詩音は、宗像には近付かないことを決めた。 (とにかくアイツに気付かれる前に、早くこの場から離れなきゃ。 ……くそっ、アイツがブザーを鳴らさなきゃ、ゆっくり休んでいられたのに) 怪我の程度は軽いものの、休息はとっておきたかった。 詩音の目的は、あくまで優勝することのみ。 その為には、詩音以外の八十六人をどうにか排除しなければならない。 排除する――と言っても、詩音は圧倒的な力を備えている訳ではない。 人を殺すにあたっては、万全の状態でいたかったのだ。 (一番近い施設は……墓地と廃墟、それに……ジュネス?) 休息を取るためにも、近くの施設を目指そうと地図を開く。 詩音が今居るC-5エリアには施設がないが、隣接する三つのエリアに施設があった。 しかし、墓地は休息を取るには些か気分の悪い場所だ。 できない、というわけではないが、休むにあたっては遠慮したい場所である。 では廃墟はどうか。文字を見ると敬遠したくなるが、同じ理由で他の参加者も避けるのではないかと予想できる。 休息を取るには適した場所かも知れない。 残る一つ、ジュネスはどうか。これは未知というほかない。 まず施設の概要が全く不明だ。 詩音がいた雛見沢には、ジュネスなどという場所は存在しなかった。 よって、どういった施設か推測することも、今の状況では不可能だ。 (でも……街の中にあるということは、ある程度は設備の整った施設なのかな?) 未知数と分かっていながらも、そう期待してしまう詩音。 廃墟で休息することを回避したいという思いがあるのか、はたまた未知なる施設への僅かな好奇心があるのか。 だが、逡巡したのも一瞬。 詩音は俯いていた顔を前へ向けると、デイパックを担ぎ直した。 (速く……速く速く速く、悟史君の元に帰るんだッ!!!) 心に刻むのは“絶対に帰る”という意志。 その意志の強さは、双眸に宿る光の強さからも見て取れた。 詩音はそのまま、傷を負った身体で、目的とする施設に向かって駆けていく。 幸運にも、風は追い風だった。 【園崎詩音@ひぐらしのなく頃に】 【装備:止まれの標識@めだかボックス】 【所持品:支給品一式、ランダム支給品×2】 【状態:怪我(中)、雛見沢症候群L3】 【思考・行動】 0:ひとまず男(宗像)から離れて、休憩できる場所(墓地か廃墟かジュネス)へ行く。 1:優勝して悟史君の元に帰る。 2:参加者全員を殺す。 【備考】 ※目明し編からの参戦です。 ※宗像形を危険視しています。 ※どこを目的地にしたかは以降の書き手さんにお任せします。 【その他備考】 ※C-5に防犯ブザーが落ちていて、鳴り響いています。半径1kmの範囲内であれば聞こえるかもしれません。 |103:[[イキキル(非)日常編]]|時系列|[[]]| |105:[[*~アスタリスク~]]|投下順|107:[[CODE:Revise]]| |082:[[光と絶望の境目]]|園崎詩音|[[]]| |043:[[白騎士物語]]|宗像形|[[]]|

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