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暗い暗い部屋。
灯りという灯りはなく並べられたモニターの薄暗い灯りのみ。

「ゲーム開始2時間の経過ね」

全ての参加者を映し出す100個のモニター。
その100個のモニターの内消えているモニターは9つ。
消えたモニターの順番は古河渚、霧島佳乃、上条当麻、直枝理樹、マリア、花村陽介、沢田綱吉、園崎魅音、ライダー。
このバトルロワイアルで散っていったゲームの駒。
この部屋で観察し、足立さんに情報を送っている。

それはともかく今、私はとても頭を悩まされている。
今は確かに順調に数は消えているが問題はマーダーである。
マーダーの数はむしろバランスが良い。

だが、質の問題だ。
せっかくシャルルが色々な世界から集めた駒の選りすぐりな中、人間じゃない超人枠も設けた。
サーヴァント、死神、破面、未確認生物、宇宙人。
魔術師やペルソナ使い、能力者などではなく、完全に人間ではない者達を。
だがその超人マーダーが不足している。
キャスターはゲームに乗っているが延々と更木剣八と戦っている。
バーサーカー、長門有希は取り逃がし。
まともな成果を上げたのはアーチャーのみ。

「そういえば真アサシンもライダーを殺したけど聖杯戦争と勘違いしているバカでしたわね。バトルロワイアルと何回も言ったのに。むしろ真アサシンがサーヴァントを殺し過ぎると進行に困るし……
役に経たない英雄達ですね。もう真アサシンは首輪爆発させたいぐらいですわ」

未確認生物のニンフとアストレアに至ってはただ遊んでいるだけ。

ウルキオラとイカロスは動きなし。

「いつもみたいに私が動くしかないのかしらね」

いつもは参加者に混ざってジョーカーを務めているけど、その役割は足立さんが務めている。

「本当は早朝か1回目放送ぐらいに使いたかったんだけど、まぁいっか。シャルルさんに止められてないし、好きに使えって言われたし質の高いマーダー作り♪」

いや、質が高いところが最強のマーダー作りね。

私は2つのモニターに目をやる。
そこには少女の騎士と片腕の戦士の姿が見えていた。


―――――


セイバーとグリムジョー。
そもそもこの2人には交渉の余地はない。


セイバー
秩序が善のイングランドの伝説的英雄。
――アルトリア・ペンドラゴン。

グリムジョー
『破壊』の死を司る破面であり元・第6十刃。
――グリムジョー・ジャガージャック。


セイバーは人間の正の英雄であるなら、グリムジョーは死の負の英雄。
それは言わば永遠に平行線の混ざり込む事自体有り得ない。
分かり合えるはずなどない。
いや、分かり合おうとも両者はしない事であろう。

「お前……、人間の女の分際でこの俺を殺せると思ってんのか?」

グリムジョーはセイバーがサーヴァントという存在など知るはずがない。
知らない人が見ればセイバーは身長154cm、体重42kgの小柄な女性でしかない。
グリムジョーは身長186cmと約30cmというものさし1本以上高く、体重は約2倍の80kg。
筋肉もグリムジョーは鍛えられたガチガチの胸板で対し、セイバーは見るからに一般人。

いくら左腕がなかろうと普通はグリムジョーに軍配が上がるであろう。

そう、普通なら。

「――風王結界」
「何!?なんだそれは?」

セイバーの宝具『風王結界(インビジブル・エア)』が惜しみなく使われる。
本来は自分の有名過ぎる武器の宝具、光の剣『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』の姿を隠す為に使う能力。

だがそれ以外にも使われる意味はある。
武器を不可視に能力である。
武器全体に風を纏い光の屈折率を上げ、元の武器の形状を見せなくするのだ


そんな光景を見てグリムジョーが顔を変える。
刀身が見えなくなる斬魄刀の能力か?
いや、彼女の持つ斬魄刀は階級の低い死神に渡される解放も何もない、名もなき斬魄刀『浅打』なのはグリムジョーは知っている。
だが彼女は死神ですらないのに斬魄刀を握っている。
これが制限や未知の力ってか。
虚閃はもう撃てなくなっちまっている。

だが見えないだけで能力が強くなる様なのは皆無だ。

「ははっ、そんなんで勝てるかよ!」

グリムジョーがセイバーに走り翔る。

――ザクッ。

グリムジョーの鼻近くに斬られた感触が走った。
斬られ口から勢い弱く血が放出され、下に垂れ落ち口元を赤く汚した。

「ぐっ……」
「油断しただろ男、普通剣や刀は見えて当たり前だ。だが刀身が見えないと自分で長さを考えて当たりにいかなくてはいけない。
見えない刀を元の長さより短過ぎず長過ぎずの距離を把握しながら戦うなんてのは誰にも出来ないさ」
「こ、このガキがぁ!」

グリムジョーの目に映るのは片腕を切り落とした憎き男、黒崎一護。
今のセイバーの戦う目があの男と同じ目に見える錯覚に陥った。

「刀が見えなくなったからか、目が変だな」

それにグリムジョーにはもう1つ油断していた事がある。
あのセイバーの武器『浅打』。

本来ならグリムジョーの高すぎる霊圧から触れる事すら出来ない棒切れみたいなあってもないみたいな刀であったから。

だが霊圧も制限されていたらしく、本来は卍解すら耐えられるグリムジョーの体は『浅打』如きに出血すら許したのだ。

「制限、制限ってうんざりなんだよっ!カスが消えやがれ」

八つ当たりの力がグリムジョーの動きを早めた。

霊圧がグリムジョーの右腕に溜まっていく。
セイバーはさっき少年を殺した光線を警戒する。

「さっきの虚閃(セロ)を警戒してんのか?この攻撃は威力は落ちるが速さは20倍だ」


   バラ
―――虚弾!!


「ぐぅ……」

警戒はしていたが直接くらったわけではない。20倍なんて予想出来ないし、しかも攻撃の瞬間に攻撃はセイバーの体に命中していた。

「まだ耐えられるのか?」
「私は王だ。こんな攻撃に耐えられないわけがないだろう」

グリムジョーの怒りが溜まっていく。
今の一言がグリムジョーの戦闘意欲を見せはじめる。

「さっきのガキみたいに普通は消し飛ぶんだがな。名を名乗れ女」
「セイバーのサーヴァント、アーサー・ペンドラゴン」

普通は名乗るはずのない真名。
だがセイバーが名乗った理由は1つ。

この男の力をセイバーが認めたからであった。

「俺は元6番十刃(エスパーダ)、グリムジョー・ジャガージャック

――そして

俺が王だ!」

ダンッ!
ダンッ!
ダンッ!
衝撃波の様な光弾が放たれる。

それは先程の攻撃の虚弾。一度に3連発のそれがセイバーを襲う。

「クソッ……」

既に一度見て、命中を許してしまった攻撃。
アーサー王に二度の同じ攻撃の命中は許されない。

「はぁ!」

風王結界を纏った浅打で虚弾を1度、2度と斬られる。

そして最後の虚弾も一閃。
セイバーの握る刀は見えない。

まるでセイバーの目の前で虚弾が消滅させられた様に見える。

――美しき正義の青い騎士・セイバー。

「ふはは……ふはははははは!おもしれぇ!おもしれぇぜセイバー!
黒崎一護にセイバー。殺したい奴が増えるから戦い(破壊)はやめられないぜ」

セイバーとグリムジョーの力は互角。
どちらが勝ってもおかしくない。
このロワイアルの名試合と挙げられても不思議ではない拮抗した戦いになるだろう。

だが主催側の進行役兼調整役の郷田真弓がそう問屋を降ろさなかった。

―――――

「いくら名試合だからって戦いが伸びて良い理由にはしないわ
それは両者共ゲーム終盤の参加者が居なくなったらやってなさい」

元々セイバーが対主催になるのは火を見るより明らかであった。
参加者の意志を曲げ、殺し合いを強制させる。
卑怯な方法。

「事故って事にしておこうかしらね」

今、全参加者にとってイレギュラーな最悪なシナリオがSTART(開始)する。

―――――

「オイ、セイバー」
「どうしたグリムジョー」
「なんだぁ、それは?」

異変に気付いたのはグリムジョーからであった。
最初にセイバーの足元に黒い何かが広がっていた。
それを彼は風王結界の様な特殊な能力だと思った。
だか黒い何かは浸食を徐々にセイバーの足元から膝辺りまで伸びていた。
そこでようやくセイバーと黒い何かは別々の存在である事を察知した。

「こ、これは……わからない。けど、逃げろグリムジョー!これは危険な物だ!」
「あぁ!?セイバー、貴様今更になって俺にびびったか?何かはわからんが試合続行だ!」
「貴様も危険な物だぞこれは!?」
「危険にびびって逃げる?バカか貴様!」

ライバルと認めたからこそ逃げてほしいセイバー。
ライバルと認めたからこそ戦い抜きたいグリムジョー。
話し合いは終わらない。

「私はこんな状況では動けない。万全を期して貴方と戦いたい」
「何!?そんな効果があったのか!?」

だがもう遅かった。
グリムジョーの指摘が遅く、逃げる時間をグリムジョーと言い合うのに使ってしまうという2つの不幸があった。

「今からの脱出はもう無理だ!でも、私の勘だが死にはしないだろう。でもそんな状況で戦いたいのかグリムジョー?」
「ちっ!?」

グリムジョーはセイバーに背中を向ける。
今戦って勝っても嬉しくもなく自慢にすらならない。

「絶対私は死なないからな!だからグリムジョー!貴様も生きて必ず決着するぞ!そして貴様の虚閃とかいう技で私を殺してみろ」
「虚閃だと?俺にはまだ『王虚の閃光(グラン・レイ・セロ)』っていう切り札が残ってる。虚閃で死ぬ方が情けないぜ」

グリムジョーは教会から一歩踏み出す。
もう後ろは振り向かない。

「死ぬんじゃあねぇセイバー。殺して良いのは俺だけだ」

ライバルにのみ許される言葉を残しグリムジョーは跳んで消えていった。

「ごめんグリムジョー……。本当は死ぬかもしれない……」

全身が黒く覆われたセイバーに自分の意志はもうない。





【C-2 教会周辺/黎明】

【グリムジョー・ジャガージャック@BLEACH】
【装備:不明】
【所持品:支給品一式 ランダム支給品×3】
【状態:健康】
【思考・行動】
1:セイバーと決着をつける。
2:黒崎一護と決着をつける。
3:死なない様にはする。ザコ(一般人)には興味自体無くなった。
【備考】
※片手が無い時期からの参戦です。
※虚閃(セロ)は半日に一発と言う制限です。
※虚弾(バラ)は五発撃って半日回復制限。一般人を大怪我させるくらいの威力で無傷の一般人相手には、最低三発喰らわせないと死には至らないくらい威力制限されています。


―――――


1人の騎士王の記憶。

アルトリアという少女が選定の剣を抜き、男と偽った王が生まれた。
国の為、身を粉にして誰もが理想とする王であり続けた。
だがあまりに私情を殺した王に騎士から『アーサー王は人の気持ちがわからない』と疑問を抱かれ、1人1人忠誠心のあった名のある騎士が王から離れ、孤立し、最後は部下の騎士達に裏切られ、護りたかった国に裏切られその生涯を終える。
――そんな自分は『王国の救済』を聖杯に願い、死の寸前で聖杯を手にする条件に世界と契約しサーヴァントとなった。
だがライダー(イスカンダル)とアーチャー(ギルガメッシュ)とに王同士の宴で『王としてのあり方』を説かれ、やがて彼女は『選定の剣は自分を間違って選定したのではないか?』と疑問を持ち、王の選定のやり直しの為聖杯を求める事を誓い、聖杯へ託す願いを変えた。

そしてサーヴァントとして、
衛宮切嗣から召喚され女だとびっくりさせられた事。
アーチャー(ギルガメッシュ)と聖杯を巡って死闘を繰り広げた事。
切嗣の命令で聖杯を破壊した事。
前マスター切嗣の息子の士郎に召喚されすぐにランサー(クー・フーリン)とアーチャー(エミヤ)と戦った事。
凛と協力しバーサーカー(ヘラクレス)と戦うと決めた事。
アーチャー(ギルガメッシュ)と因縁の再戦。
――そしてだんだん正義の味方の衛宮士郎に惹かれていった事。
グリムジョーと敵同士交わした約束。
全ての過去が闇に消え、黒に消え、力に消え――





やがて『 』になった。





「これは予想以上に素晴らしい出来ね」

郷田は100個のモニターの1個、セイバーのモニターをまるでドラマを見る感じで監視をしている。
郷田がセイバーに気付かれないまま画面越しに放射した『この世全ての悪(アンリマユ)』に全体を覆われたセイバー。

これの入手はとても難しかったらしい。
とある世界の聖杯『間桐桜』から入手したとてつもない『悪』。
これの入手など1つの世界の技術では不可能。
だから色々な世界の技術を総出でようやく入手。
それをこんな1人の参加者の為に使われるのだ。
ゲームが盛り上がるという理由だけで使用される。
どうにかしている。

「このバトルロワイアルに参加しているサーヴァントにマスターは居ないわ。それはセイバーにも例外ではない」

セイバーを抑えつける事はもはや誰にも不可能。

セイバーの全てが反転し、礼儀正しい性格も暴君となり、属性の秩序も善から悪に変わるであろう。
能力は制限されているがそれでもトップクラスの参加者、トップクラスのマーダーになるであろう。

「すごい……。あんな少量でセイバーをこんなにも変えてしまうなんて……」

画面に移ったセイバーの目は全てを見下す目、禍々しく形状の変化した鎧、青白くなった肌。
先程のセイバーと同一人物であるのが見た目でもわかるのにも関わらず、今のセイバーは本当に別人であった。

――バトルロワイアルの参加者の全ての役者は出揃った。



―――――

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