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殺した。
殺した。殺した。
殺した。殺した。殺した。

成し遂げた。
成し遂げた。成し遂げた。
成し遂げた。成し遂げた。成し遂げた。

目的だった復讐、シモンファミリーの悲願を首尾よく遂げてやった。
しっかり死体は確認した。間違いなく、あいつ―――沢田綱吉の頭をぶち抜いて、殺したんだ。
もしも大空のリングを持っていたら危なかったけれど、間抜けなことにあいつは丸腰で、敵対している僕に向かってきた。そして、すぐに殺した。
ああも拍子抜けする程あっさり殺されるとは、ボンゴレの呪われた名が泣いているだろうな。
ざまあみろ。お前等のボスは死んだ。
誇りも何もない、どうしようもなく無様な最期だったぞ。
心配するな、残った奴らもすぐにボスの元へ逝かせてやる…………。
ボンゴレに肩を貸す者も当然皆殺し―――――1人だって、生かしてやるものか。


しかし、ここはバトルロワイアルなんて異色の場でもある。
ボンゴレだけを闇雲に追っていては、きっと身を滅ぼすことになるだろう。
大地のリングがあれば大抵の人間なら一方的に倒せるだろうけれど、目当ての代物が現状では何処にあるのか分からない以上、慢心はせずに細心の注意を払って行動するのが得策。
いや、そもそも探し物がこの会場にあるのかも分からない。
リングの力は強大だ、自己の力の自慢をするわけではないが、下手をするとこの殺し合いを崩壊させる可能性にさえなる、主催者側から見ればかなりの危険因子。
リング自体がシャルル達の手中にあったとしても何ら不思議はない。
だから、この場では大地のリングの力は借りられないと思っていた方がいい。
慎重に立ち回って、女子供だろうと決して油断しない。
それだけを肝に銘じて、それを踏まえてボンゴレへの復讐を目指す。

勘違いしないでほしいけど、僕は殺し合いを潰そうとしている。
殺すのは忌まわしきあいつらだけで、何の罪もない人が死ぬことは僕だって望んでなんかいない。
殺人対象とそれを擁護する連中を皆殺しにして、その上で殺し合いを潰す。
きっと仲間たちも心配してくれているだろうし、もう動き始めていてもいい頃だ。

そろそろ、行こうか。
闇雲に歩いて疲れたから休憩をしていた、体力がなくていけない。

そういえば、ひとつだけ気になったことがある。
さっき殺したあの忌々しき男、沢田綱吉。
あいつがたとえ取り返しのつかない程の馬鹿だとしても、あの反応にはちょっと違和感があった。
自分達を狙う敵に対して、あまりにも不用心すぎる反応。
まるで、『親友』と合流できたとでもいうかのような喜び方。

―――所詮、気のせいだろうけど。

◇◆

枢木スザクは、未だに自分の取るべき方針を決定づけられずにいた。
『親友』か、『初恋の人』か。
ルルーシュに付けば、バトルロワイアルを打倒できる可能性は格段に上がるだろう。彼の頭脳と『ギアス』、そしてスザク自身の運動能力とかけられた『ギアス』が合わされば、敵は居ないといっても過言ではない。
敵に回せばこれ以上ない難敵になるだろうが味方なら百人力。
より多くの人命を、より確実に救うことが出来るなら間違いなく彼に着くべきだ。
しかし、一度『剣』になると誓ったユーフェミア・リ・ブリタニアを見捨てる―――それは、あまりに『騎士』から逸脱している、暴挙と罵られるべき所行である。
すぐにでも彼女の元に駆けつけて、今度こそ騎士として彼女を守りたい―――。
初恋の女(ひと)を守りたいというその意志を、誰が責め立てられるだろうか。
枢木スザクの中で、彼の『正義』が揺れていた。

より多くの命を確実に救う。
大切な人の命を確実に救う。

第三者の観点から考えれば、ルルーシュに着くことが一番良い選択だといえるだろう。
愛にうるさい人なら、ユーフェミアを守る道を選ぶかもしれない。
例えば、同じくこの殺し合いに呼ばれた一人のフリー暗殺者だったなら、より多くの人命を助ける為に少数を切り捨てる、『天秤の計り手』であろうとしたかもしれない。
尤もその彼は殺し合いに乗ってしまったのだが、とかく男は迷わなかったろう。
枢木スザクは、騎士だった。
どこまでも騎士で、だからこそどちらかを選ぶことが出来ない。

今こうしている間にも、バトルロワイアルは進んでいる。先の殺人衝動を具現化したような危険人物が、罪のない救われるべき命を奪い取っている可能性は十分にあるのだ。
もしも自分が迷うことなくすぐに誰に着くかを決められていたなら、守れた命があったかもしれないと思うと―――自分の不甲斐なさがつくづく嫌になる。

「…………僕は」

はっきりさせる。
自分が胸を張って進める、決して後悔だけはしないと断言できる道を、選ぶ。
迷っている時間はもうない。
今まで迷い続けてきた時間が長すぎたのだ、これ以上時間を無駄に浪費してしまうのは他ならぬスザク自身が許せないことだった。
いや――――もしかしたら、スザクの心が選ぶ道は最初から一つだったのかもしれない。


「僕は、ユフィを優勝させる。それが―――彼女の剣として一番正しいことだ」


彼の選んだ道は、修羅。
ユーフェミア・リ・ブリタニア以外の全てを抹殺する、正義に反する悪の道。
世界の全てが、ユフィの敵になるなら―――ユフィの敵を、ただ殺すだけの、道。
もう人を悪人呼ばわりすることは出来ない。
親友にして殺し合い打倒の最大の可能性、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアも殺す。

騎士から剣へ。澄み切った正義の心を、錆び付かせて修羅を往く覚悟はとうに決まっていた。

そして同時に、前方からやってくる一人の少年を殺す決意も、固まった。


◇◆

古里炎真の抱いた感情は、驚愕だった。
やっと人を見つけたのだ、声を掛けてみようと思った時に、スザクが突進してきた。
その速度は生身の人間としてはどう考えても異常、リングのない状態で対処するのは厳しいと思われた。
というより、無理だ。
古里炎真の普段の身体能力は並より低い、とてもじゃないがまともに相手は出来ないだろう。
懐のグロック17を取り出すにも、ここまで距離を詰められていては遅すぎる。
混乱する頭が何かしらの結論を出す前に、炎真の腹に強い衝撃が響いた。

「がはっ!!」

腹を殴られて胃液が口から吐き出され、間髪入れずに回し蹴りが炎真の脇腹に叩き込まれる。
体が真横に吹き飛び、勢いよく地面に叩きつけられた。
グロックに手を伸ばそうとするも、スザクの足がそれを弾き飛ばす。

殺せる。枢木スザクは手榴弾を用いずとも、この少年を殺すのは容易だと判断した。
グロックを拾い上げ、その安全装置を外して炎真の頭に銃口を向ける。
何と皮肉なことか。
自らの復讐相手を殺した凶器が今、他ならぬ炎真に向けられているのだ。
その事実が―――古里炎真に、力を与えた。

突然スザクに飛びかかり、グロック17を奪い取ろうとする。
星が消え始めた空に、空砲が放たれた。
腹に強烈な膝蹴りをもらうが、掴みかかった体勢のまま離れようとはしない。

「くっ」

スザクがデイパックより取り出したそれから、青白い火花がバチバチッ、と音を立てる。
スタンガン―――それを炎真の腹にでも押し当ててしまえば、スザクの勝ちはもう完全に決まったようなものだ。
改造が施された一品を、リングの力なしで耐えきるなど不可能だ。

だが――――そこに、一人の乱入者が現れる――――


緑髪の、標識を持った少女。


「ぶちまけられてえかぁぁぁぁぁあああああああ!!」


三つ巴の戦い、制するのは一体誰なのか。



【C-5 野原/早朝】


【古里炎真@家庭教師ヒットマンREBORN!】
【装備:なし】
【所持品:支給品一式 グロック17予備弾薬(33/33)@現実、ランダム支給品×2】
【状態:全身にダメージ(小)、腹部にダメージ(中)】
【思考・行動】
1:バトルロワイアルを打倒して元の世界に帰る。
2:ボンゴレファミリー及びそれを援助する者は皆殺しにする。
3:ボンゴレと関わりがない人物は出来るだけ殺したくない。
4:目の前の二人をどうにかする。
【備考】
※継承式編、ボンゴレとの戦闘開始直後からの参加です
※リングを見つければ大地の炎は使用できますが、威力は大分抑えられています


【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】
【装備:詩音のスタンガン@ひぐらしのなく頃に】
【所持品:支給品一式 手榴弾14/15@現実 グロック17(15/17)@現実 ランダム支給品×1】
【状態:足に怪我(深い切り傷)】
【思考・行動】
1:ユフィを優勝させる為に殺し合いに乗る。
2:目の前の二人を殺す。
3:ルルーシュには………会いたくない。
【備考】
※R2最終話からの参戦。


【園崎詩音@ひぐらしのなく頃に】
【装備:止まれの標識@めだかボックス】
【所持品:支給品一式 ランダム支給品×2】
【状態:健康、雛見沢症候群】
【思考・行動】
1:優勝して悟史君の元に帰る。
2:目の前の二人を殺す。
【備考】
※目明し編からの参戦です。
※彼女は雛見沢症候群にかかっていますがどの程度なのかは次の書き手さんにお任せします。



077:運命は、英語で言うとデスティニー 時系列 075:学園黙示録
049:ああっ、侍さまっ 投下順 051:偽善正義
031:歪曲スル正義 古里炎真 082:光と絶望の境目
043:白騎士物語 枢木スザク
019:俺の救世主さま 園崎詩音

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最終更新:2015年03月15日 17:06