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と、決意と同時にサーベルが総一の頭を狙っていた。

「うわぁっ……!」

総一はそれを後ろに吹っ飛ぶようにして避け――実際は転んだだけだが――事なきを得た。
しかし脅威は終わっていない。
狂った椎名の標的は、未だ総一のままだ。
総一は起き上がって、椎名からの攻撃に備える。
椎名は、サーベルを大上段に構えて勢いよく振り下ろそうとしている。
万事休す、ただの学生である総一が避けられる道理はない。
だが、幸運の女神が微笑んだのか。
総一は今度の攻撃も避けることができた。

「……っくそ!」
それが分かるとすぐに体勢を整え、総一は椎名に背を向けて走り出す。
椎名も遅れはしたが、素早く総一の背中を追い始める。
森の中、2人だけの追いかけっこが始まった。


◇◇◇


森の中を横に並んで歩く影が2つ。
黒神めだかと、桂ヒナギク。
眉目秀麗、才色兼備、文武両道といった言葉が良く似合う、2人の見目麗しい女性がいた。
2人は殺し合いには乗らず、参加者を集めて主催者に対抗することを考えている。

「めだかさん、あれ!」
「……ふむ、参加者か」
そんな彼女たちは、森の中で走っている2人を発見した。
めだかは2人の名前を確認し、悠然と総一たちに近付いて行く。
常識人のヒナギクはそんなめだかを急かすのだった。


◇◇◇


森の中を縦に並び歩く影が2つ。
北条かりん、そしてイカロス。
ボーイッシュな少女と、おとなしげな少女の、似合わないとも言えるコンビ。
しかして2人は、この島においては主従関係を結んでいた。

「マスター。参加者です」
「……2人ね」

殺し合いに乗っている彼女たちは、獲物となる参加者を発見した。
かりんは慣れない手つきで手元の銃の残弾を確認して、男の元へと駆け寄ろうとする。
イカロスはあくまで従者として、かりんの後から歩いて行った。


◇◇◇


俺は椎名さんから逃げるために、必死に走っていた。
これまで同行して、彼女の強さはよく分かっている。
年は近いのだろうが、少なくとも戦闘に関しては俺よりも数段上だ。
出会ったとき、俺が襲われたときのことを思い出す。
拳銃を持った少女の元へと恐れずに走っていき、俊敏な身のこなしで少女を無力化。
そして第三者が介入するや否や、俺との逃走を瞬時に選択した。

まったく、信じられなかった。
まるで映画のアクションシーンを見ているかのようで。
流れるような、ともすれば美しくも見える戦闘だった。
あの男も言っていたが、本当に彼女は「くノ一」と呼ばれる、本物の忍者なのか。
でなければ、格闘技でも習っているのだろう。
どちらにしても、俺みたいなごく普通の高校生では相手にもならない。
さらに、正気に戻す方法もまったく考えつかない。
くそっ、どうすればいいんだ!
なんて考えた次の瞬間にも、サーベルが背中を掠める勢いで向かってくる。
今は逃げることに集中した方が良い。そんな単純なことに今更気づく。
そして、もう何度目になるか分からない全力疾走をしようとして――
突然、4人の女の子が出てきた。


◇◇◇


「……」
互いに予期せぬ人たちが表れたため、6人は固まってしまった。
椎名は現れた4人に戸惑いサーベルを構えもせず。
かりんは拳銃を誰に向けるかを考えて。
ヒナギクは全員の挙動に目を光らせ。
総一は椎名が攻撃をしてこないことに安堵し。
イカロスは2人の女性の戦闘能力を推し量っていた。
そんな硬直した場を崩したのは。

「私は箱庭学園生徒会長、黒神めだか。24時間365日、私は誰からの相談でも受け付ける!!
 そこの貴女、なにか思うことがあるのならば、悩み事があるのならば、私に吐き出すがいい!!」

という、荒唐無稽な言葉だった。。
もちろんめだかとしては、総一を攻撃する椎名への発言で。
攻撃をやめろ、私と話をしろ、という意思表示だったのだが。
その場にいた誰も予想しない人物から、声がかかった。


◇◇◇


黒神と名乗る女性から、急に発せられた言葉。
私はそれに、なぜか怒りと嫌悪感が湧いてきた。
何を無責任なことを言っているのか。
だったら今ここで、私の妹を助けてくれと言ったら助けてくれるのか。
無理に決まってる。
殺そうとした男のことも忘れ、黒神めだかへの殺意に心を委ねる。

「……だったら相談です、黒神さん」
と言いながら、後ろの手に持った拳銃を握りしめる。
「む?貴方は……北条かりん殿か」
「……はい」
そしてめだかの方を向く。
「ああ、何故名前を知っているのか不審に思われたなら申し訳ないな。
しかし勘違いしないでくれ、支給品に参加者の詳細名簿が入っていただけだ」
「そんなことは、どうでもいいから……」
ゆっくりと拳銃をめだかに向け。
「……死んでくれる?」
殺意を込めて、引き金を引いた。


◇◇◇


発砲音が聞こえても、めだかさんは動かなかった。
撃たれたのかと思ったけど、そうではないらしい。
「……くそっ、イカロス!」
北条かりんが外しただけのようだ。
拳銃にも慣れていないところを見ると、ただの少女なのだろう。
「全員、殺して!」
――かなり、精神面が危ないようだけど。

「はい、マスター」
イカロスと呼ばれた少女がめだかさんに向かっていく。
手には波打つような刃の剣――確か、フランベルジェといったはず――を持っている。
大きく振りかぶって、薙ぎ払う。
ぶうん、と風を切る音。
身の丈以上の長さがあり、かなり重いはずの剣を、少女は軽々と振る。
しかし、めだかさんはそれを扇子で止めていた。
2人とも、相当な馬鹿力らしい。
(……どんなアクションゲームよ!)
心の中でツッコミを入れる。どうやらこの島では常識は通用しないようだ。

例えば。何もしていないのに、斬りかかられたりする。
サーベルの一撃をバットを構えて防ぎ、跳ね返す。
「まったく、早く知り合いと合流したいっていうのに!」
多少の怒りも含ませながら、ヒナギクは山本のバットを振って刀にする。
狂った忍者との戦いが始まった。


◇◇◇


追われていたはずの総一は、いつの間にか置いてけぼりにされていた。
ここに居たのが自分第一の現実主義者だったなら、助かる為にすぐに逃げただろう。
けれども総一は、その場から動こうとはしなかった。

(北条かりん……やっぱりあの子だったのか)
同じゲームの参加者『だった』、総一を襲ったこともある少女。
死んでしまったはずの少女が生きていることは不思議だったが。
少女が再び殺し合いに乗っていることが、総一にはショックだった。
(止めさせないと!)
少女に再び道を間違えさせるわけにはいかない。
ある種の使命感すら持って、総一はかりんに近付いた。


◇◇◇


(くっ、うまくいかない……)
かりんは内心、舌打ちをした。
(運がいいと思ったのに……)
数時間前のスタンド使いもそうだが、この島には強い人間ばかりだ。
この2人の女性は、とても楽に殺せる相手じゃない。
イカロスの馬鹿力でも敵わないのだから。
(どうする!?)
焦りが心を支配する。
自分だけが逃げれば、イカロスは捕まってしまうだろう。
そうなると1人きりになって、最初に逆戻りだ。
かといってイカロスと共に逃げれば、間違いなく女――黒神めだかは追って来る。
修羅場を潜り抜けてきたわけでもないかりんは、機転を利かせることもできず。
今の状況は、まさに八方ふさがりだった。


(どうする?どうする?どうする?)


「大丈夫?」
「!?」
唐突に声をかけられて、背筋が凍る。振り向くと、最初の標的だった男がいた。
「……何?」
「君を助けたい。俺は君を知っている。殺し合いに乗るような子じゃない」
早口で話す男の真意が分からなかった。
こんな男は知らないし、分かったような事を言われるのも腹が立つ。
「あなたにどうこう言われる筋合いはない!」
拳銃を男に向ける。脅しと本気が半々だ。
しかし男は動じない。
「……死にたいの?」


「君は撃たない」
断言される。拳銃を持つ手が震えた。
なんで、なんで拳銃を怖がらないんだろう。それが不思議で、怖かった。
「君は撃たない。優しい子だから」
男は子供をあやすように、私に優しく声をかける。
殺し合いだということを感じさせないその声が、なんだか、とても、心に響いた。
「殺し合いに乗ったのも、誰かの為なんじゃないのか?」
男が聞いてくる。
そうだ、かれん――。私はかれんの為に。
「そうよ!私はかれんの為に、優勝しなきゃいけな」
「だったら!」
言葉を遮られて、うっ、と詰まる。それくらい、男の声には有無を言わさぬ迫力があった。
「俺が協力する。元の世界に戻ったら、その子を助けるために何でもする」
力強く、言葉を続ける男。その目は真剣そのもので、そして――


「だから――人殺しなんて、やめてくれ」
男は泣いていた。
情けない、と思う反面、かっこいい、とも思った。
今まで、私のことをここまで考えてくれた人はいなかった。
「わ、私、は……」
泣きそうになる。拳銃を持つ手は震えまくっている。
この男が、怖かった。私の事を知らないくせに、心配してくる男が。
「人殺しをして、そのかれんちゃんは喜ぶのか?」
男は私の心を覗き込んでくる。ズカズカと、遠慮なく。
けれど、と心が揺れる。つまりこの男は、本気で心配しているんだ。
初めて会った、名前も知らない筈のこの私の事を。


「……銃を渡してくれないか」
男は再び、優しく声をかける。
その言葉で決心した。今はこの男を、信じてみよう。
この人なら、どうにかしてくれる。そんな期待を込めて、銃を渡そうとして近寄った瞬間。



男の胸から、剣が生えた。


◇◇◇


「大丈夫ですか、マイマスター」
後ろから、そんな声が聞こえる。
この声はイカロスと呼ばれた少女か、と激痛に耐えながら考える。
視線を下に向けると、自分の血に染まった剣が見えた。
自分の胸から剣が生えているところを見るなんて、夢にも思わなかった。
あるいは、今この瞬間が夢なのか。


いや、夢じゃない。俺の前には確かに――北条かりんがいる。
泣きそうな顔をして、俺を見ている。信じられない、といった顔だ。
「……気に、しないで、くれ」
どうにか言葉を発する。気にするな、君のせいじゃない、そう伝えたかった。
しかし、その言葉を聞いたかりんは、余計に顔を歪ませた。
そして俺に背を向けて走り出す。何かを吹っ切るように、何かから逃げるように。


「マスター!」
この少女、イカロスが俺を刺したのは、恐らくかりんの為なのだろう。
なんでかは知らないがかりんに忠誠を誓っていて、そしてかりんに近寄った俺を敵と認識して刺した。
そんなところだろう。
お互いかりんを心配しての行動だったとしたら、報われないなと薄く笑った。
だがすぐに痛みが走り、顔が引きつる。

「マスター!待ってください!」
どうにかイカロスを目で追うと、かりんの消えていった方向を見ている。
走ってかりんを追おうとしたのだろうが、それは黒神めだかさんが許さなかったようだ。
「邪魔をしないでください!」
と言いながらも、武器なしで倒せる相手ではないと踏んだのだろう。
イカロスは俺の体から、剣を引き抜いた。
「ぐっ、あああ!!」
強引に引き抜かれたせいで、強烈な痛みが神経を伝わり、筋肉が、脳が、悲鳴を上げる。
地面に膝をつく。力を入れようにも入らない。そのまま前に倒れ込んだ。
分かる、自分はもう死ぬのだと。血と共に力が無くなるのを感じる。


ああ、北条かりんは、大丈夫だろうか。殺し合いに、乗ることはないだろうか。
考えてみれば、自分はこのバトルロワイアルで何一つ達成しないまま死ぬ。
麗佳にも二度と会えない。
主催者に対抗することも叶わない。
椎名さんも、結局正気に戻せなかった。後悔ばかりが頭をよぎる。
そういう運命だったなんて、割り切ることは出来ないけど。
いまさら何を言っても遅いのだろう。もう、眠くなってきた。
つまり、これは。
「……ゲームオーバー、ってことかな。はは……」
自嘲めいた笑いと共に、少年はその一生を終えた。





【御剣総一@シークレットゲーム-KILLER QUEEN-  死亡】





◇◇◇


「ふう、やっと倒れた」
桂ヒナギクは、自分にサーベルを向けてきた少女を見下ろす。
忍者のような身のこなしには苦戦させられたものの、相手も疲労が溜まっていたようだ。
激しい戦闘の末、少女は電池が切れたように倒れて気絶した。
狂ったように攻撃してきたことも含めて、この少女には聞きたいことが多くある。
だがそれも、少女の目が覚めてからになるだろう。


「さて、と……」
周りを見ると、未だにめだかさんはイカロスと闘っていた。
そのそばには、少年――詳細名簿には御剣総一とあった――が倒れている。
「あれって……死んでる!?」
戦闘に巻き込まれないよう静かに近付いてみると、確かに死んでいた。
胸には酷い傷があり、そこから大量の血が流れ出ている。
おそらくは、イカロスの剣によるものだ。よく見れば、今も血が付着している。
許せない。けれど、今はめだかさんと闘っているから手出しは出来ない。
一応、御剣総一の物だろうデイパックを回収しておく。


「……あれ?」
そういえば、イカロスがマスターと言っていた、北条かりんがいない。
いきなり発砲するあたり、彼女もそうとう精神が参っているに違いない。
話を聞きたかったが、いったいどこへ行ったのだろうか。
そして、一番の問題は、この先どうするか。
めだかさんとイカロスの闘いに、どう決着がつくかにもよるのだが。
あと数十分もすれば、放送が始まるはずだ。それを聞いてから決めるのもいいだろう。
戦闘音が響く中、桂ヒナギクは今後のことについて思考することにした。





【E-4 森/早朝】

【北条かりん@シークレットゲーム-KILLER QUEEN-】
【装備:S&W M37エアーウェイト3/5@現実】
【所持品:支給品一式、S&W M37の弾丸45/45@現実、ランダム支給品×2】
【状態:健康、精神的ショック】
【思考・行動】
0:?????
1:優勝してかれんの元に賞金を持って帰る?
2:イカロスと共に参加者を皆殺し?
【備考】
※本編開始前からの参戦。
※黒神めだかの名前と容姿を記憶しました。


【イカロス@そらのおとしもの】
【装備:フランベルジェ@とある魔術の禁書目録】
【所持品:支給品一式、ランダム支給品×2】
【状態:健康】
【思考・行動】
1:マスターの命令に従う。
2:命令通り参加者の皆殺し。
3:めだかを殺して、マスターと合流。
【備考】
※本編開始前からの参戦。
※桜井智樹ではなく北条かりんがマスターです。
※武器は没収、羽根で飛ぶ事は制限です。
※馬鹿力は制限されていません。


【黒神めだか@めだかボックス】
【装備:原初の海@ペルソナ4】
【所持品:支給品一式、ランダム支給品×1】
【状態:健康】
【思考・行動】
1:桂二年生と行動。
2:主催者から参加者全員に謝らせる。
3:イカロスを捕える。
【備考】
※オリエンテーション開始直前からの参戦。
※参加者全員の顔と名前を一致させています。
※乱神モードは3時間待って10分、改神モードは制限で1日1回の制限です。


【桂ヒナギク@ハヤテのごとく!】
【装備:山本のバット@家庭教師ヒットマンREBORN!】
【所持品:支給品一式×2、羽根の付いたランドセル@Kanon、こけし@そらのおとしもの、
サーベル@ハヤテのごとく!参加者全員の全身写真@その他、ランダム支給品×2】
【状態:疲労(小)】
【思考・行動】
1:めだかさんと行動。
2:このゲームを止める。
3:少女(椎名)が目を覚ました後、話を聞く。
【備考】
※アテネ編終了後からの参戦です。
※めだかの知り合いの事を教えてもらいました。
※参加者のある程度の顔と名前を一致しました。
※北条かりん、イカロスを危険視しています。


【椎名@Angel Beats!】
【装備:なし】
【所持品:支給品一式、ランダム支給品×2】
【状態:気絶、疲労(大)】
【思考・行動】
1:……。
【備考】
※ユイ消滅前からの参戦。
※ギアスは解けたようです。



【フランベルジェ@とある魔術の禁書目録】
イカロスに支給。
一八〇センチを越える巨大な剣で重さも相当。
両刃の刀身は波状に作られており、肉を引き裂き、止血しにくくする。
治りづらい傷を作るため、「死よりも苦痛を与える剣」として知られる。
天草式十字凄教に所属する建宮斎字は、これを片手で振りまわしている。


剣ツルギ物モノ語ガタリ 時系列 つぎへの方向
仮面は微笑む。 投下順 つぎへの方向
堕ちないネイロ 御剣総一 DEAD END
椎名 HEROES
生徒会の一存 黒神めだか
桂ヒナギク
fallen down 北条かりん
イカロス
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