0時きっかり。
黄色の少し変わった制服を着ていた学生の岡崎朋也は目を覚ました。
先程の学校らしき場所からは変わって彼が横たわっていたのは別の場所であった。

位置と周りを確認すると大体森と野原の境目という位置に居るらしく、朋也は各々に配られるという参加者の100人の名前が書かれた名簿を見ながら立っていた。

田舎でも都会でもない。
そんな微妙な場所に住んでいる高校生の朋也は父親から連れられた事などなく、この様な場所に行った事はなかった。

いずれ恋人の古河渚と結婚し、働いた時の休日を取り、子供と海や山などに出かけたいと2人で語り合った。
その様な場所に行きたいと話していたのだが、まさかこの様な状況で連れられた事に皮肉を感じ、苛立ちを感じていた。

名簿には当然自分の名前が書き込まれてあった。
知らない名前ばかりがたくさん並んであったが、朋也は見覚えのある名前を見つけて、より詳しくその名簿を見ていった。
結果なんと恋人の古河渚の名前があるではないか。
そればかりでなく他にも親友の伊吹風子と坂上智代、そして悪友の春原陽平と知り合いが4人も来ていた。
朋也の心の中に1つの悪い心が芽生え始めた事が自分でも気付いていた。


―――――


「渚……」

渚は病気で運動神経だってない様なもんなんだぞ!
それに人に優しい渚がこのバトルロワイアルで生き残れるわけもない。
本人の力だけならば。

「ならっ――」

俺は名簿や筆記用具などの一式の他にもデイパックに入っていた『ドラグノフ』というライフルらしきものを取り出す。
大型な物で使いにくそうだが威力はありそうだ。
右腕が使えない俺には刀などよりありがたい武器である。

「渚を護るっ!」

たとえ風子、智代、春原、それ以外の人々が無害だとしても俺は躊躇いなく殺し、渚を優勝させてやる。
本当は殺したいはずがない。
だが、それ以上に渚の生存を望んでいた。
護る為に、殺す。

ドラグノフを強く握り決意を固める。

悪魔の決意とはわかっている。
それで許される事ではないのはわかっている。
だが勝たねばならない。

と、そこで朋也の両方の目には遠いながらも人影が見えた。
当然ゲームに乗った人物かもわからなければ、男か女かもわからない。

しかし『勝たねばならない』その決意を本物にする為……、
それを証明する為……、
――少し前を歩いているあの人間を殺す!
目に闘志が浮かび、即実行へ移す。

森側に行き、長い木に隠れてドラグノフのスコープで標的をロックオンする。
俺は躊躇いなくロックオンされた瞬間引き金を引いた。

――結果的に俺が引いたのは不幸の始まりの引き金であった。


―――――


起きた直後、不安で怖くて恐ろしくてたまらなかった。
だが怯えてばかりはいられない。
1人の少女は足を震わせながらも声だけは元気に出そうと歩く事を決めた。

「誰か居ませんか〜」

恋人の朋也や、親友の智代や陽平らを捜している渚は不用心に歩き、叫んでいた。
古河渚はすぐに名簿を見て、知り合いと合流する事を決めていた。
そして心優しい渚はデイパックは漁らず、地図と名簿以外は確認をしていなかった。

何故なら武器があってもそれを手には取らず、みんなで島を脱出する方法を探す事に決めていたから。
その為、主要な場所へ行けば誰かと会えるのではないかと、一番近かった森へ向かって……。

そんな事をしているうちに森が見えてきた。

森が見えた渚は躊躇いながらも森へ向かおうと歩みを始める。
隠れて自らを狙う人物と武器に気付かぬまま。

「え……?」

その時、腹を抉られる痛みが走る。

何が起きたか、わからない。
どうして……?
持病の病気でも起こった事のない症状。

血が流れる。
手で止めようとしても、隙間からドクドクと溢れて、制服と手を赤で汚す。

渚は最後の力を振り絞り痛みが飛んできた方向へ目を向ける。

――その人物は遠くて目が霞むが、
――そこには見慣れた気がする人影があった。

「と、もやく……ん」

その人影は自分をいつでも支えてくれた恋人の人影であった気がした……。


―――――


「渚……?」

いや。いや。いや。
違う。違う。違う。
見間違い。見間違い。見間違い。

そんなわけないと朋也は自分に語りかける。
1回2回、軽く深呼吸をして落ち着いてみる。

自分が撃ったはずの女が恋人――古河渚であるわけがない。

――だって俺が命を賭けて護ると誓って……。
――さっきの人間は元気そうに歩いていたではないか。

「ははは……何の冗談なんだよ……」

確かめたくはないが、罪は認識しなくてはならない。
そんな思考が朋也を歩ませる。
だが、死体に歩いて近付く度、見慣れた少女の姿に変換されていき……。

「うわぁぁぁぁぁ…………」

呼吸もせずに倒れている少女の側からの大きな絶叫の真ん中。
恋人を護ると決意した直後、恋人を手にかけた男の悲痛の叫びが360゚響き渡った。

だがいくら叫んでも悲しみが癒える事はなかった……。



【古河渚@CLANNAD  死亡】


【F-4 森と野原の境目/未明】

【岡崎朋也@CLANNAD】
【装備:ドラグノフ9/10@現実】
【所持品:支給品一式 ドラグノフの弾丸20/20 ランダム支給品×2】
【状態:健康、精神的大ダメージ】
【思考・行動】
1:渚……。
2:俺はこれから……。
【備考】
※渚ルートの卒業の少し前くらいの参戦です。


【ドラグノフ@現実】
セミオートタイプの狙撃ライフル。スコープに目を当てたまま次弾を撃てる為使いやすい。30発支給。岡崎朋也に支給された。


000:それはとても眩しい夜 時系列 002:ジャッジメントですの!
000:それはとても眩しい夜 投下順 002:ジャッジメントですの!
START 岡崎朋也 033:DEAD or ALIVE
START 古河渚 DEAD END

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最終更新:2012年12月27日 14:53