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太陽が昇る。
僅かに肌寒い風が、二人の男の肌を撫でる。
方や、ブリタニア最強の騎士として名を馳せた男───枢木スザク。
方や、イレギュラーだが『暗殺者』のクラスとして現界した剣豪───アサシン。
戦士として飛び抜けた技量を持つ二人は、その場から動かない。
一度刀と銃を交えたその瞬間に互いの実力を把握した両者は、下手には動かない。
間合いを測っているのか、タイミングを合わせているのか。
そのどちらかはわからないが、両者は凛として見合ったまま、微動だにしなかった。
そして。
その沈黙を破ったのは、アサシンだった。

「───どうした。敵と見定めた者には容赦無く、そして誇りを持って戦に臨む獅子の類いかとお見受けしたが……私の見誤りだったか?」
「……君の間合いに入る訳にはいかないからね。此方の間合いで仕留めさせて貰う」
「ほう。其れならば結構、不粋なことをした。
 その足捌き、身のこなしから判断して剣士と見たが、其方が飛び道具を使うというのならば此方も遠慮はいるまい」

あくまでアサシンの口調は軽い。
飄々としたその軽さは、スザクの勘に障っていた。
スザクの脳内では常にギアスが叫んでいる。
生きろと。
逃げろと。
その場から背を向け生存を得るために逃亡せよ、と。
それだけの強敵なのだ。
だが、スザクはそのギアスを意思の強さで強引に捻じ曲げる。
生きるためにはこの男を殺すしかない、と。
逃げろためにはこの男を殺すしかない、と。
この場から逃げても殺される、勝って生存を掴み取れ、と。
それにより『生きろ』というギアスは彼の身体能力、反射神経の強化として作用する。
その瞳は既に、紅く染まっていた。

「───」
「───」

両者の間に、沈黙が再び訪れる。
呼吸を。鼓動を。神経を。
全てを研ぎ澄まし、攻撃へと備える。
そして、次の瞬間。
スザクの頬を伝って地面へと、ポツリと汗の雫が零れ落ちる。
それが、合図だった。

ドンッ!!!、と。
グロックから弾丸が吐き出され、スザクそのまま左に跳ぶ。
前後は危険だ。追いつかれれば斬り伏せられる。
ならば左右へと飛び、複数の角度から弾丸を叩き込む───それが、スザクの作戦だった。
始動はスザクの方が速い。ギアスによるブーストの効果のおかげもあるだろう。
弾丸も既にアサシンの正面、左斜め、左に一発ずつ放っている。
複数の角度からの合計三発。避けられる筈がない。
───避けられる筈が、なかったのに。

「ほう、そのような小さき筒から玉を吐き出すか。確かに速いが───直線過ぎる、見切るのは容易いぞ」

キンキンキンと軽い金属音を響かせ、全ての弾丸を斬り伏せたのだ。
まるで空中に止まった物を切り捨てるような鮮やかさで。
それはスザクを驚愕させ、動きを止めるには十分だった。

「我が剣先は燕ですら逃れ得ぬ。直線に飛ぶだけの玉では、些か力不足であったな。
 ───では、次は此方から行くぞ」

その動きは、美しさすら感じた。
まるで川が穏やかに流れるような、静かで流麗な歩法。
普段なら思わず見惚れそうになるほどであったが、ギアスがそれを許さない。
強制的に生存へと結び付けられたその意思は、スザクの肉体を全力駆動させる。
脚部の損傷など気にしている暇はない───既に、アサシンは目前へと迫っていた。

「ふッ───!」
「くうッ……!!」

アサシンの横薙ぎを、地面に伏せるようにして躱す。
掠る程度ならいい。
しかし直撃したら最後、あの刃は此方の肉体を容赦無く切り離すだろう。
それが分かっているからこそ、ギアスは全力で躱すことを肉体に命じる。
恐怖や緊張すら感じている余裕はない。
全神経、全体力をただ生存のためだけに注ぐ。
だが、一回躱しただけでは収らない。
返す刃で首を刈り取ろうと、袈裟斬りにしかけてきたその斬撃を、地面を跳ねることで躱す。
その勢いのまま掲げられた刃が、スザクの首を狩らんと振り下ろされる。
それを地面に手を突き身体を横に逸らし、逆立ちの要領で回避。
しかし、完全には避けきれない。
浅く、スザクの首の皮を切った。
次は振り下ろされた刃をそのまま横薙ぎに振るう。
狙いは地面についた手首。その手首を切り落とし、行動力を削ぐ。
それを片手で地面を殴り、僅かに空中へと浮くことで回避。
超至近距離。
僅かに対空したスザクと、刀を振り終えたアサシンの目線が交差する。
そこからのスザクの行動は迅速だった。
このチャンスを逃すまいと、至近距離でグロックの銃口をアサシンへと突きつける。
直後、発砲。都合三発、アサシンの身体を食い破らんと接近する。

だがしかし、当たらない。
アサシンはその身をまるで風に揺れる柳の葉のように、力の流れに逆らわずその場で態勢をゆらりと変える。
それだけで、銃弾は掠りもせずに去っていく。
生前は、風の流れを読み飛び回る燕を斬るために研鑽を積み続けたアサシンだ。
ただ直線にしか飛ばない銃弾が、当たる筈もなかった。
そして発砲した直後隙を突き、アサシンがその刀を振るう。
その隙を狙われたスザクには、躱す余裕などなかった。

「ぁ、かぁ───ッ」

痛みに意識を手放しかけるが、ギアスが強引にその意識を手放すまいと引き戻す。
無様に地面に倒れ伏せるスザク。
しかし、両断されるには至っていない。
胴体に斜めに切り裂かれた傷はついたものの、スザクはまだ行動が可能だった。

「───まだ息があるとはな。首を飛ばし心の臓を両断するつもりだったのだが、存外丈夫らしい」

アサシンの言葉は、もうスザクへと届いていない。
───生きろ。
───生きろ。
───生きろ。
生存の意思のみがスザクの脳を支配し、会話に応じようとなどという余裕は既に残されていなかった。

「俺、は……ま、だ」

スザクは辛うじて動くその口を開く。
まだなんだ。
まだ、生きなきゃいけないんだ。
生きて欲しかった人がいる。
幸せになって欲しかった人がいる。
護りたいと願い───護れなかった人がいる。
だから、まだ死ねない。
彼女の───ユフィの騎士として。
彼女を傷つける、全てのものから護らなきゃならないんだ。
一度はこの手から零れ落ちてしまったれど。
再びこの手で救い出せる瞬間が来たのだから。
だからこそ。

「───俺は、死ねない」

───赤き輝きを瞳に携えた、白き騎士は再び立ち上がる。
しかし、その手にはグロックしか握られていない。
倒れた際に何処かに落としたのか、スタンガンは無くなっていた。
だが、構うものか。この銃一つでも、勝ち抜いてみせる───そう誓ったスザクの瞳を、アサシンは読み取った。

「……これを使うといい」

アサシンがデイパックから何かを取り出し、スザクの足元へと放り投げる。
手榴弾かと身構えたが、どうやら違うらしい。
スザクは放られたそれを拾い、それがなんなのかを把握する。
───これは、剣だ。
突きを主体とする細身の剣……レイピアと呼ぶべきだろうか。
しかし、振るうことでも中々の切れ味を持っているらしい。
その剣には装飾が施してあり、貴族用の剣だと予想できた。

「『ドレスソード』……という刀らしくてな。
 私の支給品らしい。
 だが煌びやかな装飾の西洋剣は私には合わぬ───この身には、この刀で十分」

その手に握った刀……千本桜を手に、アサシンは語る。
しかし、スザクは逆に疑問を浮かべていた。

「……何故武器を俺に?」
「何、其方も騎士なのであろう?ならば全力を出せずに敗北するのは不本意であろう、とな。
 どうやら其方の身体から見て繰り出せるであろう反撃はもはや一撃程度、長く続ける時間もなかろう。
 ───ならば、その本気をこじ開けてやろうと思うただけよ」

獲物をやるから本気を見せてみろ、と。
アサシンはそう言っているのだ。
その言葉を聞いた瞬間、スザクの視界が驚くほどクリアになっていく。
生きろと命じたそのギアスが、スザクの全ての力をその一振りへと注いでいるのだ。
打ち倒せ、と。
斬り伏せろ、と。
そして勝利を掴み取れ───と。
ああ、ならばやろう。
ユフィの騎士として───ここは、負けられない。

「……良い目になった、其方のような誉れ高き騎士と刀を交えることができるとは、この催しも意味があったと言うものよ。
 ……其方、名前は?」

アサシンの問いかけに、枢木スザクは反応する。
名前は、と聞かれたのだ。
名前。
ラウンズの七番手、ナイトオブセブン。
ブリタニア最強のラウンズ、ナイトオブゼロ。
そして、仮面の男ゼロ。
既に、名乗る名など捨てたものばかりだ。
だが、しかし。
敢えて名乗る名があるとすれば、もう一度この名を名乗りたい。

「───ユーフェミア皇女殿下の選任騎士、枢木スザク」
「ほう、朱雀とな。雄々しい良い名だ。
 ───私はアサシンのサーヴァント、佐々木小次郎」

名乗り終わると同時に、両者は互いに刀を構える。
そして、再び訪れた沈黙。
だが今回の沈黙は、3秒と持たなかった。

「ハァッ───!」

スザクはその場で、駆け出したのだ。
ギアスの効力により身体能力を最大にまで引き出し。
その贅力を全て使った、跳躍。
そして次に行うのは、回転だった。
グルグルと、その場で回転し遠心力を働かせた一撃を放つための、跳躍。
凄まじい勢いでアサシンに迫るが、当のアサシンは刀を構えたまま、ひっそりと呟いた。

「───秘剣」

構えを崩さないアサシンの元へ、遠心力を味方に付けたスザクの剣が迫る。
しかし、アサシンは受け止めようとすらしない。
そして。

「おおぉぉぉォォォォォォォッ!!!」

「───『燕返し』」

両者の一撃が、互いの首を狩らんと激突した。




◆ ◆ ◆

ぼと、ぼとり、と。
地面に堕ちたその肉塊を見つめ───アサシンは一人立ち尽くす。

「全く……勇猛な獅子の類かと思えば、知恵を回す鴉であったか」

その地面に堕ちた肉塊───具体的に述べるならば、枢木スザクの『左腕』を眺めながら、アサシンは呟く。
最後の一騎打ちの、その瞬間。
アサシンの燕返しの一の太刀をその刀で受けたスザクは、左手に握っていたグロックを発砲したのだ。
しかし、それだけで止まる程度の技ではない。
同時に迫った回避を封じる二の太刀が発砲した直後の左腕を切断した。
しかし、同時に放たれた最後の三の太刀が首を切り取るはずが───慣れてない刀を振るった影響か、僅かに逸れ、スザクに躱されたのである。
そして放たれた銃弾は燕返しを放った直後の隙のアサシンを捉え、その左肩を貫通したのだ。
そしてアサシンが怯んだ隙に、枢木スザクは脱兎の如く、逃げ出したのである。

「まさか、我が秘剣を躱すとはな」

ふと呟いたその言葉に潜んでいるのは、僅かな苛立ちと尊敬の念だった。
次こそは燕返しでその身を断ち切るという決意と。
人の身でありながらこの秘剣を躱してみせたその技量に。

「───枢木スザク。その首、次こそは私が貰い受ける」

暗殺者の剣豪は、密かにその闘志を燃やす。


【C-5 野原/朝】

※どこかに詩音のスタンガン@ひぐらしのなく頃に が落ちています。

【アサシン@Fate/stay night】
【装備:千本桜@BLEACH】
【所持品:支給品一式 ランダム支給品×1】
【状態:疲労(中)、左肩に銃創】
【思考・行動】
1:強い者の為に刀を振るう。
2:枢木スザクとの決着を。
3:相沢祐一といずれ決着を付ける。
4:自分の行く先を見つける。
【備考】
※セイバールートのセイバー戦以後からの参戦。
※一応燕返しは出来ますが物干し竿がないと本来の力は使えません。
※このバトルロワイアルを特集な聖杯戦争だと思っております。



「ぁ、あ、はぁ、は───」

枢木スザクは、生きていた。
だが、そこに本人の意思はない。
最後の一撃の瞬間心身共に限界だった枢木スザクは、生きろというギアスに支配された。
勝つ道ではなく、強制的に生存のための逃走を選ばされた。
左腕という大きな犠牲を払いながら、それでも逃げ延びたのである。
もし、この場にナイトメアフレームがあったならば。
枢木スザクも、アサシンにここまでやられることはなかったであろう。
互角───またはそれ以上の戦いができたはずなのだ。
しかし、現実にはナイトメアフレームは存在しなかった。
パイロットとして、枢木スザクは全力を出せる状態ではなかったのだ。
重ねて戦闘前から脚部に深い傷を負っていた。
戦闘を振り返れば───枢木スザクの不利であった。
あそこは戦うべきではなかった。
枢木スザクは、逃げるべきだったのだ。

「俺、は、生きる───」

しかし。
現実は覆らない。
その瞳に赤き光を携えたまま、枢木スザクは生存のみのために生き続ける───。

【C-5(西) 野原/朝】

【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】
【装備:ドレスソード@とある魔術の禁書目録 グロック17(15/17)@現実】
【所持品:支給品一式 手榴弾11/15@現実 ランダム支給品×1】
【状態:足に怪我(深い切り傷)、胸に刀傷(致命傷ではない)、左腕欠損】
【思考・行動】
0:生きる。
1:ユフィを優勝させる為に殺し合いに乗る。
2:ここから逃げる。
3:ルルーシュには………会いたくない。
【備考】
※R2最終話からの参戦。
※生きろギアス発動中。


【ドレスソード@とある魔術の禁書目録】
天草式十字正教の浦上が使用する西洋刀。
細身のレイピアを金銀宝石で豪華に飾りつけた貴族用の西洋剣。
本来突きが主体の剣のはずだが、大抵の物は両断してしまう様子。
剣としては軽い部類に入り、重みで叩き斬る使い方はできない。
先端が球根のように丸く膨らんでいるのが特徴。
アサシンに支給。


107:CODE:Revise 時系列 096:シャングリラ
110:circulation(前編) 投下順 112:[[]]
082:光と絶望の境目 枢木スザク
アサシン
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