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「こ、殺し合い?ほ、本当にそんな事に巻き込まれているのかなぁ?」

私が目を覚ますと一番最初に出た言葉がこれだった。
普通の学生で、普通の一般人の自分がこんな殺し合いに巻き込まれた理由が思い当たらない。

喧嘩もなく。
問題もなく。
異常もなく。

いきなり、理不尽に、唐突に巻き込まれてしまった。

デイパックを開けると主催者が言っていた様な食料や地図など必要最低限の物は入っていた。

そして中には夏によくお姉ちゃんと食べるそうめんが3袋が出てきた。
そして鍋も入っている。
これに水がたくさん手に入れば食料には2日ぐらいは持つだろうか?

デイパックの最後の1つの支給品は黒光りした不思議な形をした鉄の塊だった。

いや、不思議というより見慣れていて、見慣れない形をしていた。

―――――

「こんな武器で人を殺すなんて犯罪だよ」

お姉ちゃんは医者をしている。
医者であるお姉ちゃんに仕事を増やすわけにはいかない。
あまり繁盛はしていないのだけれど……。

「誰か居ませんかー。殺し合いには乗っていませんよー」
と風と共に誰か男の人の声が聞こえた。

「わ、私も殺し合いには乗っていないよー」

遠くから見ると金髪で不良そうには見えるのだが、ただ悪ぶっているだけの優しそうな学生さんの姿が見えた。

私は彼は本当に人を殺さない人だと直感し、彼に近付いて行った。

―――――

「僕の名前は春原陽平です」
「私は霧島佳乃だよ〜。よろしく」

聞くと高校3年生らしい。
私より少しだけ年上らしい。

「いや、困ったよ。目が覚めるといきなり殺し合いをしろだし、信頼出来る知り合いには合流出来ないし」
「私もそうなんだぁ」

自分と陽平君が自分と同じ様な事になっていたらしく親近感が湧く。

「僕には何に使うかわからない様な赤いビー玉が」
「私にはそうめんと鍋なんてのがあったよ」

一般的に市販されているそうめんのパッケージを陽平君に見せる。
陽平君は「こんなのも支給されるんだ」と驚いていた。

「それと便座カバー」
「あはは〜。なにそれ〜」

真面目な顔をして便座カバーを出して変なマネをする陽平君が可笑しくて笑ってしまう。

私、こんな楽しい人と出会えて良かったかも。
往人君ぐらいに変な人だけど面白い人だ。
またお姉ちゃんと往人君とポテトと私で遊びたいな。
いや、次は陽平君も混ぜても楽しいだろう。

「こんなバトルロワイアルが終わったら陽平君を私の友達とお姉ちゃんと混ぜて遊びたいな〜」
「え……?」

なんて夢を語る。
でも少しくらい夢を語っても良いよね。
いつ死ぬかわからないんだから。

「僕の支給品はビー玉、それと便座カバー、それと――」
「な、なんで……。よぅへぃ君……」

その『いつ』かは、今来ていた。

―――――

「ひ、ひぃ……」

いつも岡崎や杏相手に驚く様な高い声が僕の口から出ていた。

理由は1つ。
自分で手にかけた事により、命を失った少女の体が横たわっているから。

僕は殺すつもりは無かったんだ。
なんて誰も聞いていない言い訳を自分以外の誰かにしていた。

「じゃあ僕はなんで佳乃ちゃんを殺したんだ?」

自分の右手に握られてある血塗られたサバイバルナイフを凝視しながら思い出す。

直前の佳乃ちゃんの行動。
直前の佳乃ちゃんの仕草。
直前の佳乃ちゃんの言動。

『こんなバトルロワイアルが終わったら陽平君を私の友達とお姉ちゃんと混ぜて遊びたいな〜』
確か佳乃ちゃんはこう言っていた。

「そういう事か」

頭が悪い自分でもわかってしまった。
ついさっき自分が衝動的に佳乃ちゃんを刺して殺してしまったのか。

「佳乃ちゃんがお姉ちゃんと単語を出したから僕は芽衣を思い出したんだ……」

自分がもし死んだら兄として誰が芽衣の成長を見届けてやれる?
自分がもし死んだら兄として誰が芽衣をしかってやれる?
自分がもし死んだら兄として誰が遊んでやれる?

誰も彼も、変わりなんか務められるわけないじゃないか!

「佳乃ちゃん……ごめんね」

本人に聞こえない謝罪。
だが僕はこれを彼女に言わなきゃ、自分が罪の重さに絶えられなくなり自分も死んでしまいそうに感じてしまったから。

佳乃ちゃんのデイパックの荷物を全て僕のデイパックに移す。
こんなところで武器が手に入るのもラッキーだ。

「せめて顔くらいは隠してあけないと……」

ポケットにはハンカチはないし、デイパックには便座カバーがあるのだがそれでは失礼過ぎる。

だから彼女が大事そうに巻いていた黄色のバンダナを顔に乗せてあげた。

「さよなら、佳乃ちゃん。さよなら、元の自分」

僕は良心ある元の自分を佳乃ちゃんと棄てた。
いや、佳乃ちゃんと一緒に殺した。

そのまま僕は自分を置いてきた。



【霧島佳乃@AIR  死亡】



【H-1 野原/未明】

【春原陽平@CLANNAD】
【装備:サバイバルナイフ@現実】
【所持品:支給品一式 赤いビー玉@Kanon 便座カバー@現実 そうめん@AIR 鍋@現実 ベレッタM92(15/15)ベレッタM92の弾丸×15@現実】
【状態:健康】
【思考・行動】
1:優勝してこの島から帰る。
2:生き残る為ならどんな事だってする。
【備考】
※渚ルート終盤からの参戦。
※佳乃の支給品を回収しました。

※H-1に霧島佳乃の遺体があります。顔を覆うように黄色いバンダナが乗っています。


【サバイバルナイフ@現実】
軍事行動中、遭難などで他の装備をなくした時に、何とかして生き残る為に設計された大型のシースナイフ。

【赤いビー玉@Kanon】
祐一が名雪に買ってあげたビー玉。

【便座カバー@現実】
便座につけるカバー。かの有名な『それと便座カバー』は陽平の迷ゼリフ。

【そうめん@AIR】
聖が往人と佳乃とポテトに振る舞った流しそうめんに使ったそうめん。

【鍋@現実】
普通に使えば調理、叩けば痛い、防御には被る。万能。

【ベレッタM92@現実】
ハンドガンともいう。装弾数15発と豊富で操作性も高い。知名度も高い。


010:その男ら、凶暴につき 時系列 036:天城雪子は笑えない
006:嘘の境界 投下順 008:Melodia〜僕に捧げるIの歌〜
START 春原陽平 048:にげないで 過ちも 真実も 嘘も 全て赦す魔法へと変えよう
START 霧島佳乃 DEAD END
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