第二部第一話


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 第一話 <カップル爆騒の熱視線>


聖暦3354年 -神無月 九日-

唯一大陸アルヴェイス。
その南の一帯に広がる大都市“ラングフルク”は、夕暮れ時でも人の歩みを絶やすことが無い。
充分な広さをもった煉瓦製の大通りに、いまは等間隔に設けられた街灯の明かりと、夕陽とが差し込んでいる。
仕事帰りの男性達や、夕飯の買い出しを終えた主婦達の談笑が、さらに心地よく辺りを包む。

ラングフルクの特色として、まず治安の良さが挙げられる。
世界統治機構である“教会”お抱えの、“騎士警団”の本部がこの街にはある。
街のほぼ中央に位置する、石造りの巨大な砦こそ彼らの本部だ。
心身に優れた男女が、シミラー(機械人)ならではの高い戦闘力を発揮し、街の内外に目を光らせている。
犯罪を働こうものなら、全身を鋼の鎧で固めた者達がどこだろうとあっという間に駆けつけ、不届き者を縛り上げてしまうだろう。
騎士警団は街の勇者であり、せめて姿だけでも真似ようと、両親に武具をおねだりする子供も少なくない。

またラングフルクは他の大都市と比べ、商店の数がとても多い。
ラングフルクは“教会”の本部からも近く、商品の流通すべてにいちいち教会の目が光るのだが、
一方でそれは正しく検閲された品物しか売りに出されないということだ。

大通りにはたくさんの商店が並んでおり、
家路を急ぐ市民の行列に買い物を薦めるべく、どの店も盛んに呼び込みを行っている。
肉や果物などの食料を売る店。
競技用や、護身用としての武具を売る店。
ペットとして飼える生き物を売る店。
どの店先にも若い風貌の店員が立ち、笑顔を浮かべながら大声を張り上げている。

辺りを一見すれば、数千年前、ルネッサンスと称された時代の姿に似ている。
特に建物や人々の服装など、そのものだと言ってもよい。
だが、時は聖暦3354年である。シミラーが世を統べる世界なのだ。
当然のように、この時代ならではの商店もあるのであった。

「さぁさァ!疲れちゃってるそこのアナタ、ひとつウチの店で身体を替えていかないかい?
肩がこってるならイイ腕あるよ! 胃がもたれるってんならイイ腹あるよ!
今なら、今だけ全品二割引! ヲッシャア・機械身店はラングフルク一番の品揃えだ!
さぁ、見てった見てった!」

にきび面の小柄な青年が呼び込みを行っている商店など、最たる例である。
彼はショウウインドウの傍らに立ち、通行人に威勢のよい言葉を投げかけていた。

ふと彼が隣を見ると、ショウウインドウをしげしげと眺めているカップルの姿があるではないか。
どうやら、お客様のご登場である。
にきび面の店員はひとまず呼び込みを中断すると、両手をすり合わせ、さりげなくカップルに近付いていく。

カップルの視線の先にあるのは、店で最高級の品、すなわち“汎用男性型の右腕”であった。
その一品は、まるで生きている人間の一部をじかに持ってきたかのような(もちろん人間の一部になるべく造られたモノであるのだが)
大変な生々しさと、ある種の美しさとをあわせ持っている。
カップルのうち女のほうは、肉を差し出された飢えた動物のように、目を輝かせてそれに見入っていた。

「……お気に入りましたか?」

店員の声に、ややあって女が反応した。にこやかな笑みを浮かべると、店員のほうへ両手を後ろで組んだ身体を向ける。
「うん。と〜ってもネ!」

女は、外見だけで判断するならば二十歳くらいに見える。身長は百六十センチ前後か。
長い髪をポニーテールにしており、夕陽を浴びたそれは鮮やかな山吹色に染まっていた。
うねりも激しく、まさに尾と表現するに相応しい。
その頭髪の持ち主である女自身も、野性的な顔立ちをしている。
小顔であるがゆえ、明るい紫色の瞳が際立ち、これが油断のならぬ魔性の輝きを放っている。
第三の瞳であるかのように、耳たぶでは大きな星形のピアスが光る。
服装はというと、赤い燕尾服で華奢な上半身をスタイリッシュに着飾っており、
下半身には布地も少ない下着しか身につけていない。足は赤と黒の横しま模様のロングソックスで覆っているが、
張りのある太ももは幾らか見せるようにしている。極めつけに、靴は黒のハイヒール。

店員は息を呑んだ。ずっと通りを見ていれば美人もそれなりに見かけるものの、現在目の前に居るのは間違いなく最上の部類だろう。
最近の流行はルネッサンスより幾らか先の時代の服装を取り入れるのだと聞いていたが、
まさかこれほど前衛的なファッションにお目にかかろうとは!
女の姿に見とれてしまい、危うく本来の仕事を忘れそうになったが、そこは彼も商売人である。
こほんと咳払いをすると、顔を赤くしたままお決まりの台詞を言った。

「是非、店内にいらして下さい。そちらの品はもちろん、もっと素敵な品もご用意していますので……」

言葉に続いて、頭を下げる。なおも女は笑顔を崩さない。
店員は満足し、誘導のため先に店内へ入ろうとしたが、ここで女の連れが一歩進み出た。

「……ちょいとその前にひとつ聞きたいんだが。この店の機械身ってのは、“エウレカ”入りか?」

男の言葉に、店の敷居をまたぐところだった店員はぎょっとして振り返った。
指摘が的を射ていたからである。

女にばかり気をとられ、連れのほうには不思議なくらい関心がいかなかったが、男もまた非常に個性的な人物であった。
百八十センチを超える長身で、肩幅も広く、火のように赤い髪を逆立てている。
シャツやズボンの上から身につけているのは騎士警団の使うものよりは軽装であるものの、胸当て、肩当て、腰当て、
いずれも実戦に耐えそうな防具であった。
さらに顔立ちは精悍そのもので、多少の茶目っ気を利かしているが、覇気に溢れている。
率直に表現するならば、戦士という言葉が実によく似合う男だ。

「はっきり答えろよ。“エウレカ”を入れて売ってるのか。そうでないのか。どうなんだ?」

そして男の眼には、嘘を許さぬ迫力がある。
そんな男に肩を掴まれると、小柄で実は小心でもあるこの店員としては震え上がるほか無い。
先ほど赤くなった顔はもとの色を通り越して青くなってしまったが、戦士の視線による追求は止まない。
傍らで、女が思わず苦笑した。

「アシュレイ兄さ〜ん、あんまり小者をいじめちゃ駄目だよ。これは間違い無いんだ。さっさと奥に行って責任者に会おう」
自らを兄さんと呼んだ女を見やって、戦士は小声で言った。

「おい、レラ。俺の名前を安易に出すんじゃねえって……俺は現在進行形で、ニド戦役の英雄にあるまじき行動を取ってるんだぞ」

兄の非難を受け流すように、レラと呼ばれた女は金髪をかきあげて切り返す。

「大丈夫っ!マロン特製のこの星形ピアスから出る電波のおかげで、いま半径十メートル以内にいる人は、誰も兄さんに関するメモリ(情報)を
思い起こせないんだ。もちろん僕に関するものもね。だから今の僕らは二人とも、他人の目からは 驚天動地の美少女とイイ男にしか見えない」

店員も男の隣でその言葉を聞いたが、頭がしっかりと働かず、自分で言ぅなよと咎める余力さえ残されていない。
なおも店員が居心地悪く冷や汗を流していると、不意にのんびりとした、ただし棘のある響きを含んだ低い声がする。

「店先で何を騒いどるんだね、カバレロくん」

そう言って店内から現れたのは、百キロはありそうなくらい太り、頭の禿げ上がった男だった。
出っ張った腹を片手で抱えるようにして、右へ左へ揺れながら歩いて来る。
部下がそうであるように、この男もまた小柄で、レラよりも身長が低い。
お世辞にも二枚目と呼べる風貌ではない。

「ヲッシャア支店長!」
カバレロはここぞとばかりにアシュレイの手を払いのけ、店長のもとにすっ飛んで行き耳打ちする。
伝えたのは、もちろん先ほどアシュレイがカバレロに問い質した内容である。
たちまちのうちに今度はヲッシャアの顔が青ざめたが、さすがに上司のほうが肝も座っているようである。

「は、はあ。お客様、しかし何を根拠にそのようなことを仰るのでしょうか……?
そもそもわたくしどもの商品は、いずれも教会による厳しい審査をパスしたものばかりですよ。
なんなら、教会による保証書をお見せしたっていい。すぐにご用意出来ますが」

そうやってなんとか言い返すと、男と女は無言だった。
ヲッシャアという中年型は、それを相手が言葉に詰まったのだと勘違いしたようだ。
額の汗を拭いながらもにやりと笑い、気味が悪いほど目を細めてみせる。

「お客樣方は、何か……確たる証拠をお持ちで?」
「無い」

女のほうが、あっさりと言い放つ。
ヲッシャアは否定の即答に一瞬面食らったが、それでさらに態度を高慢にする。
無論、女が小声で「いまはね」などと付け加えたことなど、知る由もない。

「商い上、言われの無い中傷を受けることもままありますが、お客様方のは
最低レベルのものと言わざるを得ませんな。化け物を……おっと、
最近では教会も扱いを変えたのでしたっけ。まぁ、人外知的生物ですよ。
そんなエウレカを、機械身に入れて売っているなんて……ありえません!技術的に不可能だ!」

笑いが止まらぬ、とでも言いたげに苦笑を始めるヲッシャア。
店長の強気な態度を見て、カバレロも気を持ち直したようだ。
「そんなことが出来れば原価八割オフで大儲けですよ!」

「らしいな。お前さんとこの店は、ラングフルクでもずば抜けた勢いで成長している」

カバレロの言葉を適当にあしらいながら、アシュレイはずかずかと店内に入って行き、レラも続く。
「……!」
この、客が店内に入るという極めて真っ当な図式に、とても不吉な予感を覚えたのはカバレロとヲッシャアである。
互いに顔を見合わせた後、慌てて二人を追う。

「お客様、あの……」
「間もなく閉店ですので、また翌日お越し下さい!」
そんな二人を気に留めることなく、アシュレイは広い店内を見渡して感慨深げに呟いた。
「いい店じゃねえか」

アシュレイは武具の収集を趣味としている。武器屋および防具屋にはいつも顔を出しているほどだ。
ヲッシャア・機械身店はそういった店と内装を殆ど変えることなく、目玉となる商品を一挙に陳列していた。
これは、内装を担当した者の工夫だろう。実に商品が選びやすい。
赤い布が被せられたテーブルにずらりと並ぶ腕パーツ。
天井からぶら下げられた脚パーツ。
もしも、この時代・この店のことを何も知らずに足を踏み入れたのなら、
猟奇殺人者のコレクションにでも出くわしたかと卒倒しかねない光景だが、
アシュレイのような者にとっては素直に宝の山だった。
ただし、ただ数の多さに目を奪われただけではない。
「すっげえなぁ、こりゃ!こいつらが全部“そう”だってのか」

アシュレイの野太い声に驚き、店内に居た客達がこぞって彼に視線を向ける。
さらにレラが入って来ると、もはや誰もが買い物どころではなくなったようだ。
店内に居た客は、閉店も近いせいか十名足らず。
しかし全員の視線は今、ひとつの場所に集まっている。
女性客はアシュレイに、男性客はレラに、こぞって魅入っていた。
そして一様に、アシュレイとレラを“どこかで見たような”感覚に陥っているが、
レラのピアスによる影響によって、どうしても思い出すことは出来ないのだ。

アシュレイに続いて現れたレラは店内の機械身を眺めると、深刻な表情をして言った。
「百聞は一見にしかず、っていうけど……我慢ならないね。レラには、彼らの悲鳴が聴こえてくるようだよ」
対してアシュレイは、テーブルに置かれた一品、店先にあったのと同じ腕を取り上げながらのんびりと言う。
「そんじゃまぁ、早いとこオペを始めましょうか。“お医車サマ”」
「おぅ」
“医車”と兄に呼ばれたレラは不敵に笑う。
目を閉じ、これからタクトを振るう指揮者のごとく両腕を横に広げ———————静かに叫ぶ。
「“ヴァーチャルタイピング”、エントリー開始……」

“ヴァーチャルタイピング”。
それは、物体の召喚を行う儀式、とでもいうべきものだ。
タイピングプログラムを備えているシミラーが行えるスキルであり、珍しい技術ではない。

何もない虚空を、両手の指を使い、高速で“叩いて”いく。
コンピューターのキーボードを打つ仕草によく似ているだろうか。
そうやって、公共の四次元倉庫“MSC”(メガ・セイクリッド・コンピューター)に信号を送っているのである。
指で叩かれた空間は、その部分だけ瞬時の光を放つ。

■エントリーネーム/ 「ティルミン・レラ」
■アクセスパスワード/ 「MELTYGIGS−666616」

次いで、宙に出現する透明なディスプレイ達が、足下から頭上までレラを取り囲んでゆく。
店内に居た客達、および後ろから追いついてきた店の人間二人も、改めて目を見張る事となった。

信号が具現化し、黄金色の厚みの無い文字列、それが集まり四角形のディスプレイとなっている。
ディスプレイ自体はタイピングの際に必ず発現するものである。
ところがいまタイピングを行っている少女の場合、周囲にはべらせている数が尋常ではない。
悠に二十はあるだろうか。これは、転送している情報量の多さを意味している。

■ダウンロードファイル名/ 「ニルベングルグの書」
どれもがはっきり視認出来るほど美しい上に、レラを包む卵の殻であるかの如く
なめらかな曲線を描き、レラを金色で彩っている。レラはその中でタイピングを続けていた。

■ファイルパスワード /「EUREKA-ISBN-41235474571-Archimendez」
長い呪詞(ワード)を最後まで一瞬で打ち終えると、集まっていたディスプレイが突然弾けるようにして消え失せる。

代わってレラの手元には、モザイクがかったような紫色の四角い物体が現れていた。
それもまた一瞬のことで、すぐに一冊の書物へと姿を変える。
紫色の分厚いカバーに覆われたものは、どうやら辞典のようである。
レラはこほんと咳払いすると、聖成(召喚)完了した辞典をおもむろに読み上げ始めた。

「———傲慢の狼!」
彼女の言葉に反応したのは、なんと店の商品達だ。
ごとごと、ごとごと。機械身が激しく振動し、紫色に発光する。

「———劣情の蝶!」
レラが叫ぶ度に光は増えて行き、皆その輝きに目を覆っている。

「や、やめろ……」
現在店で何が起こり始めているのか。
それが分かっているらしいヲッシャアは、必死にレラのもとへ駆け寄ろうとするが、
不敵に笑う大男アシュレイが通せんぼする。
「オペのとき、患者は黙って医車を信じるもんだぜ?」
ウインクまでしてみせるアシュレイは、この光の中でもまるで平気らしい。

「何を言う!あんたは、連れの小娘が何をしているか分かっているのか?
エウレカに名前など与えてみろ、そんなことをしたら……」
「成る程。やっぱり、機械身の中はエウレカなんだな」
「ぐっ!」
脂汗を浮かべ、口ごもるヲッシャア。

ようやく発光が収まった店内で、床に散らばっているのは機械身の残骸だ。
その傍らには———————様々なエウレカが現れているではないか!
異形の一団が空間を占拠していた。
数十匹の、紫狼。
毛並みから眼球まで紫に染まった狼達は、彫刻のように店の至るところで寝そべっている。
狼を祝福するようにして、数えきれないほどの紫の蝶が舞う。
狼にも蝶にも、大きさに統一は全く無い。
手の平に収まる程度の狼も居れば、二メートルはあろうかという蝶が羽ばたく。
しかし彼らは一様に美しく、また神秘的であった。
さながら生きたラベンダー畑が、幻想的な物語から抜け出てきたようであった。
「美しい……」
誰ともなしに、そんな呟きが漏れる。

アシュレイも、カバレロさえも感嘆する中、ただひとりヲッシャアだけが情けない声をあげた。
「わ、ワシの機械身がぁぁ……!」
へろへろと座り込んだヲッシャアを睨みつけながら、アシュレイはヲッシャアに向けて、自分の腕をぐいと突き出した。
その腕には、小柄で愛らしい狼がぶら下がっている。
くわっ
不意に牙を剥いた狼を前に、ヲッシャアは卒倒して床に倒れた。
カバレロも倣うようにしてぶっ倒れる。
「ひ、ひいいいぃ!」
二人は抱き合うようにして、怯えに怯えた。
そこへレラが、狼達を伴って歩いて来る。
先頭のひときわ巨大な一頭など、今にも襲いかからんばかりだ。獰猛に唸っている。
大口を開ければ、どちらかは一飲み出来てしまうだろう。
レラは腰を抜かしているヲッシャア達を鼻で笑うと、彼の目の前で辞典を閉じた。
その途端、蝶も、狼も、すべて幻のごとく消え失せてしまう。
全て、あっという間の出来事であった。
脅威が去ったことすら認識出来ず、ヲッシャアもカバレロも抱き合ったまま眼をしばたくばかり。
だがここに、まだ金色の獣が残っている。
レラは自慢の金髪をかきあげると、鋭い目でヲッシャアを見下ろし、言葉を続けた。

「彼らを、すべて解放した。みんなしっかりと、あんたのことを恨んでたよ。
これほど多くのエウレカをどうやって手に入れたいんだい?」
「俺も知りたいな。機械身にエウレカを馴染ませる技術をどこで手に入れたのか、
そっから説明してもらおうか」
「うぬぅ……」
驚天動地の美少女とイイ男に詰め寄られ、ヲッシャアは大量の汗を浮かべながら、
必死に言い逃れる方法を考えているようだ。しかしそれにしても、顔色の悪さが尋常で無い。
彼の顔はもはや、紫色を帯びてきている。
「…………」
「て、店長?」
カバレロがさすがに心配になって声をかけると、ヲッシャアは突然目を見開き、四つん這いの姿勢になった。
「!」
アシュレイとレラすらぎょっとする中、ヲッシャアは両手両足を使い、すごい勢いで店から飛び出して行く。
まるで、巨大な蛙が蛇に驚いて逃げ去るかのように。
「……兄さん!」
「ああ、追うぞレラ!」
続いて二人まで出て行ってしまうと、店には客達と、カバレロだけが残される。
誰もがあまりの展開について行けずにいた。カバレロがどうにか紡いだ一言。
「あ、おきゃくさま。もう閉店時間を過ぎてますので……」
またのお越しを、とはとても言えなかった。

ぼんやりした客達と共に、自分もこの店から逃げ出したかったが。
入れ違いに店に入ってきたのは、全身を鋼の鎧で固めた一団だった。
その中からリーダーらしき銀髪の女が一歩進み出て、恭しく礼をした。

「匿名の通報があって駆けつけました、騎士警団第四小隊長のエリザ・バミッシュです。
なんでも、おたくの店が不当にエウレカを扱っているとか。
おまえけにずいぶんと店が散らかっていますねぇ。少々お時間を頂いてよろしいでしょうか?」

しかし、口調と目つきは辛辣だ。
まるで全てを見透かしているような笑みを浮かべる女に威圧され、
両手を上げたカバレロは素直に事の顛末を語り始めるのだった。



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