"AdroadAlternate"キャンペーン:ブランク #6 Orpheus
導入
「……悪魔からの手紙とは、ぞっとしませんね…。」
紅茶を入れる手を止めて、眉を顰めて呻く青年。
「……開いてみようではないか?貸せ、ハインツ」
「だ、駄目ですよ! 他の方へのお手紙なんですからっ」
興味が沸いた、とばかり傲岸不遜な笑みを浮かべ、それに手を伸ばす青年とその手を止めようとする女。
「バーグさんまずいですよッ、帝国法だと犯罪になります」
「知るものか。俺は恐れ多くも教皇庁のスーパーエリートの」
「神の僕がそんなことしちゃだめですうっ!」
「なァにを騒いでおるんだ馬鹿者どもがァッ!」
* * *
「…全く、重要な事ではないか!何故、私の元にもってこんのだ。静ぅかに、迅速に! ―― ……アレハンドラ卿ももう少し、落ち着きをもって頂きたいものですな…」
深い溜息と共に騒いでいた三名を睥睨しながら、珍しく社交用の上質な服の襟を整え、アドルフは呟いた。
そんな彼の機嫌を取る様にハイティーを頃合良い温度で淹れて差し出したのは軍服の男性。
「アドルフ卿は今日は社交界にお出になるんでしょう。お邪魔をしては、と思いまして…。」
「帝国騎士団の腹探りだ。つまらん……。お前は来なくていいのか。」
苦笑して紅茶を差し出したハインツの言葉にあっさりと返しながら、不機嫌そうに紅茶に口をつける。
「辞めて下さい、騎士団なんて私が目を合わせたが最後、簀巻きにして下水川に投げられてしまいます…ご存知でしょう?」
「ほお。何かやらかしたのか貴様」
「御茶をどうぞ。 ……いえ、何でも」
誤魔化そうと紅茶のカップを差し出すハインツをよそに、アドルフは礼服を調えながら意地の悪い笑みを珍しく浮べて。
「それは騎士団の出身だ。…これで、だがな。」
「あーもう…」
「えー! 凄いじゃないですかっ」
「剣も槍も扱える。 盾には重宝するぞ」
「ほぉ。 今度ボディガードに雇いたいぐらいだな。いくらだ」
「あのですね…」
嘆息しながら、観念したようにかちゃりと紅茶の陶器セットを置いてハインツは振り返る。
「…この任務は一応、皇帝陛下から信任を受けたアドルフ伯の御命令で遂行しているものですから。別に暇だから、とかそんな理由で仕事をしているわけではありませんし、賃金を支払われてもですね…」
「イオタに送り返すぞ」
「……」
「で、でも、今は確か弓兵隊さん…なんですよね?なんで騎士団から…」
「ええ。 実力不足という事でして。 まあ、入団試験の結果だけは良かったと、それだけの話です。……では、私は皆さんを呼びに行って参りますので」
「…逃げられたな。ふん」
「あっ、もしかして…、わ、私悪いことお聞きしちゃって――」
「……実力不足とは笑わせる。……まあいい、私はもう出る。 アンジェラ、不在の間、精々問題が起きんようにしろ。…貴様が副責任者だ」
「えぇっ……わ、わかりました……でも、じゃあ責任者は、」
「わざわざ聞くな。 冒険者どもには、精々しくじらんように伝えておけ」
あらすじ
まだ書いてないよ!
コメント
- 導入文ありがとうございます! 里帰りしないで教会に混ざりたい -- しるこ (2011-12-01 01:01:29)
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最終更新:2011年12月01日 01:01