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放射能汚染を不安がる姉との対話

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glasscatfish

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だれでも歓迎! 編集

 【glasscatfish】皆さんのお話を伺ってきたおかげで、何とか姉との話がうまく行った気がします。ありがとうございました。 togetter にした内容をこちらにも貼っておきます。

http://togetter.com/li/174223

夏休み帰省の一大イベント「放射能汚染を不安がる姉との対話」が終了。2時間かかったw 今の段階でまだ心配なこと・そう心配ないことを堂々巡りもしながら話してようやく分かってもらえた。ただ彼女が納得したのは新しい知識があったからじゃなく『こういう話をする機会が無かった』から。

 姉はかなりの勉強家なので、ラムサールの自然放射能が高いことも、バナナにカリウムが多くてそれ由来の内部被曝が自然にあることも知っていた。いきなり、『あの本が沢山並んでいる小出先生って、どういう人?』と言われたのには面食らった。

小出先生がちょっと困るのは、彼のかねてからの懸念が当たったことを強調するけど、これからどうやって生活していったらいいのかという提案が弱いこと。影響力あるんだから、少しみんなを前向きにさせて欲しい。姉は「それは sei くんの立場でしょ」と一刀両断w ぐわっ!

安心と不安は対等ではない。安心はいくつ積み重ねても一度の破綻で無くなるか出発点に戻るけど、不安は薄れていくとか慣れるとかはしても、決して破綻しない。どうしたら(どう考えたら)バランスよく暮らしていけるんだろ。

やはり、姉が不満に思い、不安の原因だったのは、原発事故に関して本当のことが隠されていたり分かりやすく伝えられなかったこと。でも、東電発表の生データーがあったし、宮城県の空間線量は東北大の先生の測定がずっと公表されていたはず。というと『どうしてそれが報道されないの?』

『不安を持つように人間は進化したから、安心するのは絶滅への道』とか言うけど、そんなん「不安を持ちすぎるようなのも絶滅」してるかもしれんから却下。

「不安と安心の非対称性」って、どこで仕入れた言葉か忘れたけど、報道や雑誌の世界でもこれはずい分あてはまるようだ。週刊誌で『あおらない』方針の某誌と、あおりまくりの某誌では後者の部数が3倍になるらしい。ネットやツイートでは10倍以上の差があるんじゃないか。


続・放射能をめぐる話)「100mSv以下の被曝なら心配ないのか?」ということは姉も気にしてたが、低線量効果をめぐる神学論争は避けたい。 100mSv0.5%発癌率が上がって、それ以下でも線量に応じて発癌率が上がるなら、個人はどう生活するかという話になった。

2)タバコの害は低線量被曝に比べてどの位かはもちろん姉も承知。でも、本人も家族もタバコを吸わない。アルコールもほどほど。カロリーの過多や栄養バランスなど普段から食べ物にも気を付けている。自然派で、あやしい健康法にも距離をおいている。

3)「いろいろ健康にも気を使って来たのに、放射能汚染でぶち壊し。もう、移住したい」って思っても無理もないかも。震災の被害やその後の何やかやがもちろん大きいのだけど。

4)事故はまだ収束していないから今でも放射性物質の放出が続いているという(しばしば誇張した)話はよく出回っている。でも、各地での放射性物質の降下量はどんどん低下して空間線量も落ち着いてきているという図はほとんど報道されないせいか、姉も見たことが無かった。

5)今回は仕事で研修用に作った図を持って行って姉にも見てもらった。研修では「この時期に自然放射能の話をするのは東電擁護だ」とか「千人に一人でも癌になった人は苦しむ。その意識がないから理学部出身者はダメなんだ!」とか話を聞いてるのか聞いてないのか頭ごなしの批判も。

6)言葉は便利だけどかなり抽象的なものだと実感。「漏れた(放出された)」とだけ聞くと、どのくらいか・今はどうなっているかも関係なくなってしまう。たとえを使った説明がしばしば混乱を起こすのも似た理由だろう。意味の中心を外して解釈が広がってしまう

7)姉がなるほど、と思ったというたとえ話はお湯にいれたカエルは逃げるけど、水にいれて温めると気づかずに茹で上がってしまうという話。だから少しの放射線でも避けなければいけないと。もちろん、修復機能が働くとか大して熱くならない?とかツッコミどころ多し。

9)最初に戻ると、100mSv0.5%, 20mSvなら0.1%の発癌リスクがある時、個人はどうする?数mSv単位で被曝を下げることが出来る方法があるなら積極的に取り入れよう。自分でも行政に要求しても。コンマ%以下のリスクがイヤなら移住という選択肢もあるし。

105mSvとか20mSvは職業的な被曝の範囲内だから、大人は職業的な被曝をする人くらいの注意をして暮らすという考え方もある。年2回の検診を必ず、というところか。実際に広島での被曝者検診は死亡率を非被曝者より下げたという話もあった。

11一般の人たちに職業被曝レベルの被曝があるなら、相応のメリットが無いと正当化できない。もしくは検診以外にもリスクに対する金銭的補償が必要となるかもしれない。こういう医療経済的計算は既に十分されて民間企業では危険手当のような形になっているはず。

12)実際に姉が気にしているのは現時点での宮城県の空間線量や内部被曝。原発事故による増加分はどの程度になるのか。具体的な数字は個々人によってちがうけど、被曝下げたいならその方法によってどの位低下できるか・コストがかかるかを目安にしたらいいのじゃないかと。

13普段でも食物由来の内部被曝が0.4mSv/yr、ラドン由来の内部被曝が1mSv/yrある時に、食品由来の内部被曝の1mSvを減らすには個人はどれだけコストと手間をかけるのか。0.1mSvならどの位かけるのか?その人の価値観次第。

14)実際は数字では分かっていても、理屈じゃないことがある。もともと自然放射能があるとは分かっていて危険なレベルでなくても、何となく気持が悪い。福島で活動後WBCを受けた広島大の放射線の先生でさえそう言ってた。[DAN] http://bit.ly/nNQGPe 

15)「100mSVがそう心配ないといって、それを政策にしたんでしょ?と姉。ここが大事な所かもしれない。個人にとっての0.1%のリスクと行政にとっての0.1%の意味は絶対に混同できない。行政は0.01%のリスクであっても無視してはならない。対象は何万人もいる。

16)交通事故死とか先進国での出産時の母体死の確率が0.01%くらいらしい。でも個人は、車に乗るし子供も持つ。リスクを上げないような注意はしながら。行政の側はそのリスクを更に下げるような努力をしている・もしくはするべきだろう。

17)結局、姉にとっては何ら新しい話は無かったのだけど、なんとなくスッキリ納得してくれた。心配している人に「心配ない」とか言っても頭ごなしに過ぎないんだなぁ、と実感。現状把握と判断の方法がわかれば自分の価値観で勝手に考えてくれる。

18)命も無事だし怪我も無かったけど、姉のところも放射能だけではなく家や土地の問題で更に困ったことも多い。特に被災地のゴタゴタの噂には「あなたのことじゃないでしょ!」と言いたくなるくらい考え込んでしまっていた。

19近所の人なんかと放射能の話をしても、不安だァ、からさらに深刻な震災被害の話になって解消しない。家族はそれぞれ忙しく「お母さん気にしすぎ!」で片付けられたり。

20)姉の場合はたまたま僕と話をしたわけだけど、今後中学理科で放射線教育が導入されたりすると、世間にはもっとよく説明出来る人が増えてくれるんじゃないかと期待したい。 

教える内容はともかく、その意味付けにはあれこれ制限があちこちからついて、現場の先生が苦労しそうな気もします。確率ということについての教員研修が激しく必要かと。

 

[2011/08/14(日)] [08:45:57]

 

 

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