幻想殺しと幻想奏者(イマジンブレイカーとイマジンマスター)


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第一話 「幻想殺しと幻想奏者(イマジンブレイカーとイマジンマスター)」

聖杯戦争。
「万能の釜」また「願望機」とも呼ばれる、手にした者の望みをかなえる存在である聖杯をかけ、7人のマスターたちがそれぞれサーヴァントと呼ばれる英霊を従えて競い合う戦い。
サーヴァントのクラスはそれぞれ「セイバー」、「アーチャー」、「ランサー」、「ライダー」、「キャスター」、「アサシン」、「バーサーカー」に分かれる。
サーヴァントを使役し、その中で最後まで生き残った者が勝者となる。
来る時節である今宵もその戦いの火蓋が切って落とされようとしている。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
突然ではあるが、ワタクシこと上条当麻は途方に暮れていた。
何故か?と聞かれても自分でもよくわかっていない。
昨日の夢に見た内容をインデックスに教えたら、何故かインデックスは顔をこわばらせるとあわてて部屋を飛び出して行ってしまった。
追いかけようとして部屋を出ると、今度は土御門にバッタリ遭遇した。
インデックスが俺の昨日の夢を聞いた途端、部屋を出て行ったという事を土御門にも教えると土御門は急に顔色を変えてある場所に連絡した。
そして土御門に付いてこいと言われて連れられ、以前も来た事のあるあの潰れた劇場に着いた。
何が何だか全くわからない。想像すらできない。
ただ、俺の昨日の夢が関係している事は想像に難くなかった
昨日の晩、俺はこんな夢を見た。

――そこはまるでコンサートホールのような場所であった。
だが、明らかにコンサートホールと違うのがうかがい知れる。
まるでプラネタリウムの席のように、球状のその場所をぐるりと一遍の隙間もなく席が配置されている。
明らかに現実から離れた光景であった。
そんなトンデモ空間の中に、少女が3人となんとも言い難い化物のようなものがいた。
その少女たちのうち、赤い少女は黒髪と桃髪の少女との間に何やら鎖のようなものでできた壁でその化物と分断されていた。
赤い少女は何やら二言三言言葉を告げると髪留めをほどき、髪飾りをその手に握りしめながらその化物に向かい祈るような姿勢をとった。
すると、その少女の周囲にいきなり槍のようなものが無尽蔵に現れた。
さらにはその少女を持ちあげるかのように、足元からも槍(確か多節棍とか言ったよな?)が現れる。
その少女は化物に向かい何かを告げるとおそらく自分の武器である槍を携え、髪飾りに口づけをして自分の前方に放った。
その瞬間、髪飾りは弾けて見ていられないほどの光を放った。

――夢はそこで終わり、俺は目を覚ます。
何が起こったかは分からないけど、随分と不思議な夢だった。
あの子の使っていたのは何かの魔術の一種なのだろうか?
唐突にそう思って、インデックスに聞いてみようとその夢の内容について教えた。


      • そしたらこんなよくわからない展開になってしまった。
不幸だ・・・。
どうでもいいことだけど、朝から正体不明の痛みを左手に感じる。
土御門に連れられる前に医者に診てもらったが、手をほとんど見もしないでなんの問題もないと言われた。
      • もしかして、タトゥーか何かだと誤解されたのだろうか?
学園都市の技術をもってすれば、何の痛みもなくタトゥーを彫りこむことなど簡単だ。
そんなのどうでもいいことだと思われてしまったのだろう。
魔術の類かと思い、試しに右手で触れてみたけれども痛みは全くひかなかった。
どうやら異能の力を打ち消す幻想殺し(イマジンブレイカー)は発動しなかったらしい。
科学でも魔術でもないとしたら一体何が原因なのだろう?

劇場で待つ事30分、慌てた様子のステイルが現れた。
ステイルは挨拶もなしにズカズカと急ぎ足で俺に歩み寄り、いきなり無言で俺の左手を乱暴に取った。

「・・・痛ってえな!何するんだよ!」

ステイルはその左手をまじまじと見つめると、あからさまに大きくため息をついた。
ため息をつきたいのはこっちの方だと言わんばかりに睨みつけながら、ステイルの手を振り払う。

「・・・全く、キミというやつはつくづく面倒を起こすのが得意なんだな。」
「・・・は?面倒?一体何の事だよ?」
「ステイルは、その左手の模様についての事を言ってるんだにゃー。」

そう土御門に言われて、改めて左手の模様を見る。
真っ赤な色をした、一見難の模様かは分からないが、何となくこっちに何かを伝えようとしている意思を持った不思議なものであった。

「で、これが一体何だっていうんだよ?」
「それは『聖杯戦争』と呼ばれる、あらゆる望みを叶える万能の器を賭けた戦いにおいてマスターと呼ばれる存在がその身に受ける令呪という刻印だ。」
「マスターは誰もが必ずそれを持っていて、それがある限りマスターはサーヴァントという自分の英霊を支配下におけるのですたい。」
「これって魔術なのか?」

そういうと俺は左手を二人にかざした。
土御門は何故か少し呆れたような表情を作って答えた。

「おいおい、カミやん。それ自体は魔術なんかとは遠くかけ離れたものなんだぜ?さっきここに来る途中、自分でも確かめたはずだろ?そいつは聖杯戦争が終わるまでは消えない。」
「そもそも聖杯戦争って何なんだよ?」
「聖杯戦争っていうのはさっきも言った通り、万能の願望機を賭けて7人のマスターが最後の1人になるまでやりあう殺し合いさ。」
「何?」
「正直、僕も混乱しているんだ。アークビショップが自分のもとに届いた荷物を見た途端、随分と嬉しそうにしながら僕を呼んでそれを伝えたんだよ。その聖杯戦争というものについてね。」
「何でも、監督役の一人として選ばれたとか何とか。俺もステイルからある程度のことを教えてもらっただけの聞きかじりのヤツだからあまり詳しくは知らないにゃー。オルソラ達にもそれについて調査を依頼したらしいが成果は全然上がってきてねーですたい。」
「・・・そうだ。アークビショップからこれをマスターが見つかったら、その者に渡すように言われていたんだ。」


そういうとステイルはポケットから何か小さなものを取り出して、俺に投げてよこした。
俺はそれを『右手』で捕らえる。
その瞬間、俺はしまった!と思ってしまった。
イギリス清教へと届けられた物品なのだから、魔術や異能の力に関わる物である事は想像に難くない。
それを『右手』なんかで触れてしまったら・・・!
      • と考えていたのだが、いつまで経っても幻想殺しは発動しない。
恐る恐る手を開いてみるが、「それ」はちゃんと原型もとどめているし、何らかのオーラらしきものも失われていない。
「それ」は一見すると十字架のようにも見えるが、それとは大きく異なったものである事は容易に想像できた。
「それ」は夢に出てきた赤い少女の持ち物にソックリであった。
俺は改めて「それ」を不思議そうに眺めてみる。

「カミやん、そんなに不思議そうな顔をしてどうした?そいつが幻想殺しに反応しなかったのがそんなに不思議か?」
「だって、これはお前らのトップ宛てに届いたものなんだろ?だったら魔術に関わる物かと思って・・・。」
「どうやらそれはそういう類のものではないらしいんだ。僕も初めて手にしたときは何かは感じるが、何を感じ取ったかは全くわからなくてね。そいつを一度調べてもらったんだが、やはり結果は出なかった。」
「おそらく、カミやんのその左手についた模様と何か関係があるんだろうぜ。何せ、そいつも右手に反応しなかったんだからな。それにカミやん、ここに来る前に俺に昨日の夢について教えてくれたよな?」
「あ、ああ。それはそうだけど。」
「おそらくそいつはこれらの物となんかの因果で結ばれているんだろうぜ。俺にもそいつの正体はわからないからな。」
「・・・。」
「君はその聖杯戦争に出るつもりなのか?」

考える。
確かにあらゆる望みが叶うというのはかなりおいしいとは思う。
だが、それは人を殺し、踏み台にしてまでする事なのだろうか?
人によってはそうかもしれない。
でも、俺はそんな奴らとは絶対に違う道を通って今まで「上条当麻」を演じてきた。
だから、答えはノーだ。
そう考えをまとめた瞬間、ステイルはこう言った。

「ま、聖杯が君を選んだんだ。君の意志なんかは全く関係ないけどね。」

何だって・・・?

「おい、ステイル!それはどういうことなんだ!」
「落ち着け、カミやん。ステイルの話はまだ終わっちゃいない。」
「ふざけんな!人が人を踏みにじってまで叶える願いに何の価値が―――」
「君ならそういうと思ったよ。」
「何・・・?」
「確かに聖杯戦争は7人のマスターが最後の1人になるまで殺しあう戦いだ。だが、マスターである条件はサーヴァントを従えているというものなんだ。だから、サーヴァントさえ倒せればマスターを殺す必要などなくなる。」
「じゃあ・・・」
「そうだ。君は自分の願いを叶えたければひたすらにサーヴァントを狙っていくしかない。だが、これは至難の業だ。サーヴァントはマスターと違ってかなり頑丈な奴が多い。だから倒すには相当な労力を要する。そこまでして君には叶えたい願いがあるのか?」

また考える。
今の俺は「上条当麻」を演じているだけの存在。
でも、もし願いがかなうとしたら―――
あの日以前の記憶を取り戻したい。
そして本当の上条当麻として復活したい。
そう強く思う。だから―――


「ああ、あるぜ。・・・絶対に叶えたい願いが。」
「・・・そうかい、それなら話を進めよう。聖杯戦争においてマスターには参加資格としてサーヴァントが必要になる事は教えたね?」
「ああ。」
「いきなりだが、これからサーヴァントを召喚する儀式を執り行う。いいね?」
「え?何だって?」
「カミやん、お前の聖杯戦争でのパートナーを今から呼ぶんだよ。ま、大方呼ばれる英霊は想像できるがな。」

そういうと二人はいつも描いているものとは違った何やら特殊な魔法陣を描き始めた。
俺はすることがないので、そこから少し離れたところで見ていた。
二人とも初めて描く魔法陣なのか、ステイルの取り出した紙を時折見ながら描いていた。
そうこうしているうちに魔法陣は描き終わり、二人はその外へと出た。

「完成っと。いやー初めて描く魔法陣は骨が折れるにゃー。」
「さあ上条当麻、この紙に書かれている呪文を読むんだ。君の持っているそれをここに置いてね。」

そう言ってステイルは劇場の一番上の段を指さす。
俺はステイルの指示通りに事を行い、魔法陣の近くに待機する。
準備が整ったことを確認して、俺は呪文を読み上げる。

「告げる――――
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に
聖杯の寄るべに従い、この意この理に従うならば応えよ
誓いを此処に、我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者
汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

そう言い終えた途端、魔法陣が強く輝いてその内側に「何か」を呼び寄せた。
俺は何かに体力を持っていかれるようなそんな感覚を覚えたが、それをこらえて魔法陣の内側を見る。
夢に出てきた赤い少女がそのまま夢から飛び出したようにその少女は現れた。
見た目は中学生くらいの、赤を基調とした服装に胸元に赤い宝石を飾り、紙を黒いリボンで結び、槍を携えた少女は閉じていた目をゆっくりと開くと俺を認めた。
そしてその少女は口を開き、俺に向かってこう言った。

「あたしを呼んだのはアンタか?」

あまりに突然のことで驚きを隠せないでいるが、俺は反射的に答えた。

「あ、ああ。そうだ。」
「そっか。あたしはランサー、真名は佐倉杏子だ。少しの間だけどよろしくな。」
「俺は上条当麻。よろしく。」

俺がそう言うと、彼女――佐倉杏子――は微笑んで手に持っていたポッキーをこっちに向かって差し出した。

「食うかい?」

それがワタクシこと上条当麻とランサー、佐倉杏子との出会いであった。
これを境に俺の聖杯戦争は始まりを告げた―――
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