奮起する少年と機械の天使


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聖杯戦争。
「万能の釜」また「願望機」とも呼ばれる、手にした者の望みをかなえる存在である聖杯をかけ、7人のマスターたちがそれぞれサーヴァントと呼ばれる英霊を従えて競い合う戦い。
サーヴァントのクラスはそれぞれ「セイバー」、「アーチャー」、「ランサー」、「ライダー」、「キャスター」、「アサシン」、「バーサーカー」に分かれる。
サーヴァントを使役し、その中で最後まで生き残った者が勝者となる。
来る時節である今宵もその戦いの火蓋が切って落とされようとしている。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
俺は「奴ら」から逃れるためにひたすら逃げていた。
麗たちとは途中まで一緒だったが、「奴ら」の強襲にあって分断されてしまった。
今手にしている武器は、ライフル銃とハンドガンくらいだ。
できる限り音は立てたくないので、両方とも使用していない。
だから、「奴ら」から逃げるしか道はなかった。
こうして逃げている間も、皆の事が脳裏をよぎる。
麗、冴子、高木、平野、鞠川先生、ありすちゃん、ジーク。
皆無事であってほしい――
そう願いつつも、俺は「奴ら」をかいくぐりながらある場所を目指した。
強襲されたのでみんなとは落ち合う場所の約束すらできなかったが、高いところから街を望めば皆がどこにいるかわかるはずだ。
そう思い、展望台付きの公園がある山の方を目指した。

山の方もやはり「奴ら」がいたが、市内ほどではなかったから回避するのは簡単だった。
追跡の手も段々と弱まり、ついには誰も追ってこなくなった。
ひとまず落ち着ける場所を探して山の中を軽く歩き回る。
すると、少し先に小さな山小屋があるのを確認した。
逃げるのにかなり体力を使ってしまったので、一度その山小屋の中で休もうと思い、山小屋に近づいた。
その瞬間、中からいきなり人が現れた。
いや、人ではなく「奴ら」であった。
「奴ら」は扉を開ける際に体を押し付けたせいで思いっきり倒れた。
俺は起き上がろうとする「奴ら」と化したその人の頭に、銃床を力強く叩き込む。
「奴ら」は頭を砕かれて、完全に動かなくなった。
完全に死んだ事を確認すると、俺は再度周囲を確認する。
「奴ら」の気配もないし、人の気配もない。
続いて山小屋内も確認。
      • 誰もいないみたいだ。
そこでようやく俺は落ち着き、山小屋にあった椅子に座りこむ。
本当に疲れた。一度寝たいくらいだ。
そう考えてたら、床に何かが書いてあることに気づいて再び立ち上がる。
薄暗くてよく見えないが、何かの模様らしい。
よく見ようと思って、山小屋の電気をつける。
電灯はチカチカと瞬いていたが、次第に安定した光を放ち始めた。
床の模様の全容を見て、俺は思わず声を出した。

「何だよ・・・これ・・・!」

それはまるで魔法陣のようなものであった。
画材には赤いペンキを用いていて、その内側は気持ち悪いくらいにそれっぽさを再現していた。
もしかして、さっきの「奴ら」が描いたのだろうか?
何のためにかはわからないが、これを用いて儀式的な何かをしようとしたのだろうと適当で勝手な結論を出すと、他にも何かないかを探って小屋の中を歩きだした。
さほど歩かないうちに、小屋の中の机の上に1冊の大学ノートが置かれているのを発見した。
表紙には、『オカルト研究会』という題名だけ書かれていた。
当然ながら、それには訳のわからない事、理解しづらい事がたくさん書かれていた。
冒頭部分の掻い摘んだ内容だけを拾うとこんな感じだ。

ある地域では聖杯戦争という戦いがあるらしい。
聖杯といういかなる望みも叶える存在を賭けて、7人のマスターと呼ばれる魔術師(?)がそれぞれ1体のサーヴァントを従えて殺し合うみたいだ。
そして最後の一人になったマスターは聖杯を手に入れて自らの望みを叶える事が出来るらしい。

      • もし、そんな物があるならこの終わりを迎えた状況をなかったことにしてほしい、そう思った。
くだらないとは思いつつも、その続きを見てみる。
そこには、さっきの文章内に出てきたサーヴァントを呼ぶ方法らしきものが書かれていた。
その全ての内容を読み終えて、もう一度周囲を確認する。
これに書かれている事は、もうサーヴァントを呼ぶ呪文を唱える以外には実行済みであったようだ。
ここに書いてある内容を鵜呑みにすると、どうやらサーヴァントは相当に強い存在らしい。
もしそんな存在がいてくれるなら・・・。
気まぐれにやってみるかと思い、俺は呪文を唱えてみた。

「告げる――――
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に
聖杯の寄るべに従い、この意この理に従うならば応えよ
誓いを此処に、我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者
汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

唱えたが、何も起こらない。
やっぱりくだらない事だったんだなと結論付けると、俺は寝るスペースと扉の前にバリケードを作り仮眠をとった。

      • 久しぶりに夢を見た。
どこだかわからないが、随分と長閑そうな風景が広がっている。
そんな場所で激しく戦い合う二体の天使がいた。
片方は剣と盾を持って激しくぶつかり、もう片方は広げた羽を刃のように使ってそれに応戦する。
剣の天使は羽の天使に対して何かを激しく言っている。
内容は分からないがとても必死そうだ。
そうこうしているうちに、剣の天使が追いつめられてしまい、盾での防戦一方となり―――

そこで俺は目覚めた。
右手に軽い痛みが奔っている。
それが原因で起きたのだろう。
改めて確認するが、小屋の中には誰もいない。
何が起きたのかと右手を覗く。
そこには見たこともないような模様がいつの間にか描かれていた。
その部分を触ってみるが、特に出血らしきものは見受けられない。
とにかくこの手の模様を消そうと服にこすりつけてみたけど効果は全くなかった。
見たところ外傷らしきものでもないし、何かが起こる前触れらしくも見えなかったので放置することにした。
後で先生に診てもらおう。
そう思っていると、外の方が騒がしくなっていた。
どうやら俺以外に誰かいるみたいだ。
俺はそいつを助けようと装備を整えて外に出る。
扉を開けた途端、驚くべきものが目に入った。

「ぎゃー!こっちこないでよ、もう!」

そんな間抜けな悲鳴を上げて、手に持った剣を振り回す一人の少女がいた。
いや、そいつは少女というよりもむしろ・・・
天使、といった方がいいのかもしれない。
夢に出てきたそのままの格好をした、赤い目に金髪の天使だった。
そいつは闇雲に剣を振り回しているうちに、俺に気づいて大きな声で俺に呼び声を掛けた。

「おーい!そこのアンター!」
「げっ・・・!」
「そんなとこに突っ立ってないで、私を助けてよー!」
「そんな大声だすな、バカ!「奴ら」がさらに寄ってくるだろ!」

控えめに相手に聞こえる程度の声量でそいつにこたえる。
すると、そいつは少しふくれっ面をして俺の言葉に対し返答した。

「何ですってー!バカって言った方がバカなのよ!」
「んな事はどうでもいいから、黙ってこいつらを片づけるぞ!」

そう言って、俺は小屋の中にあった角材で的確に「奴ら」の頭を割っていく。
そいつも俺に言われた通りに、黙って倒していった。
一通り倒したのを確認すると、俺はそいつに話しかけようとした。
が、いない。
どこにいったのかと辺りを軽く見回すと、そいつは切り株から生えた得体のしれないキノコを採取していた。

「・・・何やってんの?」
「へ?何ってキノコを採ってんのよ。」
「食えるのか?」
「食べてみなければわからないじゃない!」

その返事を聞いて俺は確信した。
こいつはただのバカらしい。
それにしたって、さっきの戦いぶりは凄かった。
「奴ら」が束になってかかってきても、怯えることなく作業のように倒せていた。
何者なのだろう?

「ところで、お前は誰なんだ?」
「ふぇ?」
「食うなよ、毒が入ってるかもしれないぞ?」
「嘘っ!!ホント!?」
「わかんないからやめとけって。で、あんたは誰なんだ?」
「あたし?あたしはセイバー!真名はアストレアね。アンタは?」
「俺は小室孝、孝って呼んでくれ。」
「タカシ、ね。わかったわ。アンタが私のマスターなの?」
「?・・・マスター?」

さっきのノートの内容を思い出す。
      • もしかして、こいつがサーヴァントとかいうやつか?
だとすると、あれは本当の事を書いていたのか?
考える仕草をしようと右手を顎に近づけようとしたら、いきなりセイバーが大声を出した。

「あーーーー!!!!!」
「な、何だよ?大声出すなっていっただろ?」
「ソレよ、ソレ!」

そう言って、俺の右手を指さす。
それをもう一度見てから尋ね出した。

「この模様がどうかしたのか?」
「ソレがアンタが私のマスターである、っていう証拠よ!」
「そうなのか?」
「そうよ!よかったー、もし見つからなかったらどうしようかと思ったわ。」

そう言うと、そいつはいきなり俺の手をとった。

「さあ、行きましょう!」
「・・・何処へ?」
「決まってるじゃない、冬木市って所よ!」
「・・・どうやって?」
「こうやってよ!!」

体が宙に浮く感覚がした。
足元を見降ろす。
遥か下にさっきまで俺たちがいた山小屋があった。

「ちょ・・・!何だよコレ!!!」
「行くわよ~!」
「待てよ!俺にはやらなければいけない事が―――!」

言い終わる前に、セイバーはすごいスピードで飛び出していった。
床主市が遥か向こうに見える。
何が何だかわからないが、これだけは言える。
どうやら俺は聖杯戦争に巻き込まれたらしい・・・。
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