「面白い事、ないかな?」
そう一人呟いた。
今、私は白使サン達を追って場所場所を移動している最中だ。
行けども行けども案件に当たる場所ではないらしく、白使サンは誰も居ない。
貰ったリストの中をしらみつぶしに当たっていて、残す所あと一つになっている。
最後の一つも誰も居なかったら、とんだ無駄足だ。

ローの兄さんに文句でも言ってやろうか。
そんな事を思いながら、人の波に飲まれつつ歩いていた。
すると、前方に何となくクサイ連中が歩いているのが見える。
恰好、態度、雰囲気、どれをとっても白使サン達だろう。
ナイスタイミングってヤツだろうか?
私は気配を消しつつコッソリ、そして迅速に彼らの背後につき、その後を付けだした。

辿り着いた所は、広々とした公園だった。
しかし、何処を見渡しても蝶のお嬢さんらしき人物は見あたらない。
コイツらも無駄足か。
そのまま何もせずに帰るのならば、ちょっと遊んで貰おうかな?

「はーい、兄さんら御機嫌よう。そしてさようなら」
「な・・・ッ闇也か!?」
仰々しく頭を下げてから、にやりと笑ってやる。
「その通り。持ってる情報全部ばらして、それから私と遊んでよ?」
「誰がお前なんかに話すかッ」
「有り得ないよ。私の前に立ってそんな事言えるなんて、よっぽどの下っ端なのかな?」

腰に吊ってある鉄扇を外し、左手に構える。
相手は懐から銃を取り出して、私の方へと銃口を向けた。
それを見て、思わず笑いがこみ上げる。
銃なんか恐くないし、脅しにもならないね。
閉じてある鉄扇を相手に向ける。
そして、ゆっくりと彼らと目を合わせた。

「”兄さん達は私に持っている情報を全て吐き出す”」

一言ずつゆっくりと口に乗せる。
これが私の能力。
とはいえ、余り強力すぎるのは使えないけど。
その一言が効いてきたのか、銃を持っていない手で懐から手紙のようなモノを取り出した。
「アリガトねー」
パッとそれを奪ってから、二人とも鉄扇で頭を殴りつける。
鉄製だから、それはそれは痛いでしょう。ご愁傷様。

二人が地面に伏したのを見届けてから、その場を去ろうとした。
すると、一人はまだ意識が飛んでいなかったらしく、地面に伏したままの恰好で私を撃ってきた。
勢いよく肩の肉が抉られる。
痛みはない。
ただ、こみ上げるのは怒り。

「何の能力もない楽しめない下っ端が私の肌に傷付けていいと思ってんの?」
手に持っていた鉄扇を勢いよく広げて、相手に斬りかかる。
縦一文字に切り傷が出来、そこから血が噴き出した。
それを無感情に見詰め、背を向ける。
早く本拠地に戻ろう、と、その場を早足に後にした。

「ローの兄さんにこの情報の書いてあるッぽい紙渡して、誰かに手当てしてもらおーっと」
最終更新:2006年11月23日 00:06