「あー・・・なんなのよこの森は・・・」

森の中を歩きながら文句を口にする。
見渡す限り、木、木、木・・・
こういう自然は絵になるし、昼寝にも最適な場所だから嫌いじゃないけど・・・

それはあくまで仕事でない時の事。

仕事で、しかもそれが人探しの時は、どうも好きになれなかった。


+++

カズ兄に着替えを頼んで直ぐ、あたしの耳に知らせが届いた。

「紫水、今からちょっと向かってほしい場所があるんだが・・・」

そう言ってきたのは、多分白郷の使いの人だろう。
これは、・・カズ兄が持ってきたのと違う仕事が入るかなぁ・・・

「ここより離れた山で、蒼樹帆希達が闇也と接触した。
今からお前にもそこに向かってもらいたい」

使いの人は、淡々と用件を有無言わさぬように告げてきた。
強制、なわけね・・。
でも帆希達が言ってるのに、何であたしが行かなきゃいけないんだ?

「あたしに入ってきた案件は後回しでいいんですか?」
「構わない。では直ぐに準備をしてくれ」



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そんなこんなで、一応目的の場所に辿り着いたはいいんだけど・・・
いったい帆希達はどこなのさ?
あたしをここに送ったヘリは、もう帰っちゃってるし・・・
送ってくれた人は、ただ帆希達を探してくれとしか伝えてくれないし。
自力で探すしかいけないという自体。
カズ兄を待たずに出てきたから、服はボロボロのままだしね。


とりあえず適当に歩いていると、一瞬耳に人の声が入った。
少ししたら無数の銃声。
そして更には、二つの足音。

どうやらこの辺、みたいだね。
あたしって運がいいのかもしんない。

とりあえず、二つの足音のほうを追ってみる事にした。



足音を追って行くと、開けた場所が見えてきた。
足音はそこ・・森の入り口らしき場所で止まった。
足音の主以外に、人がいるみたいで全員合わせて5人の人間の気配がした。

そ、っと木の陰から覗くと、人はやはり5人。
帆希と、帆希の護衛役の瑪瑙に・・・奏摩、だっけかな?
後の二人は知らない顔・・・多分闇也だね。
後は、たくさんの白使達の、死体。

あたしは木陰でいつでも抜刀できるように、鞘に刀身を収めたままの小烏丸の柄に手を添えた。
最終更新:2006年11月23日 00:35