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少女の剣は強く大きく、どうあっても勝ち目は無かった。
ここまでの体力の消耗の激しさに、つい腰を地に付けてしまう。
「どうする…」
剣を持ってジリジリと近づいて来る少女に、ローティスは手を上に上げた。
「降参ですよ…"燐"…」
「やっぱりそうなのか…」
「私は卿に付いていけなくなったんです。それだけの事。
どっちにいても目的は変わりません」
言いながら、ローティスは銃弾を抜く。
「一つ聞いても良いですか?」
「…なんだ」
「もし私が降参しなければ、貴女は私を殺しましたか?」
「……」
「…殺しはしないけど、動けなくはさせましたよね?
 私が死んだら、戒が可哀相だ…と思って」
「…適わんな。相変わらず良い勘をお持ちじゃないか」
「お褒めに預かり光栄です」
会話をしながら別の銃弾を詰めて、上に3発発砲する。
-帰還の合図-。
「これで完全に貴女と私が殺し合う必要はなくなりました。
あの坊やも無事に帰しますよ。私が保証します」
「坊やって…アンタはよく知ってるだろ?師匠なんだから」
「…さあ?何の事だか」
ローティスは悪戯っ子のように笑って、近くの木に捕まりながら立った。
「でも…成長しましたね。弾筋が鋭い上にスピードも出て来てます。
…それだけ、想いが強いんですね、"帆希様"は」
「炉都…」
「私はそこまでの想いはありませんから。ただ…」
「ただ?」
「技術と度胸は、私の方がまだ上ですよ」
そう言ったローティスの顔は、とても穏やかだった。

入り口付近に戻ると、黒龍と一流が駆け寄ってくる。
「もう終わりかよ」
「…つまらない」
「私が負けを認めてしまったので。すみませんね」
彼らに笑ってそう言いながら、視線は帆希へ。
護衛の手当てをしながら、見知らぬ少女と言葉を交わす彼を見ていると、
なんだかとても可哀相な気持ちが出てくる。
彼はただ取り戻したいだけなのだ…蝶という名の少女を。
それだけなのに、道はこうも険しい。
「「…どうした(の)?」」
「いいえ。何でもありませんよ」
一瞬でも自分の思考が昔に戻っていた事に気付き、
ローティスは誰にも気付かれない程度に苦笑いした。