ドラゴン

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世界が生まれる前より世界を統べしはドラゴンなり。

  エベロンの創世神話のほとんどすべてが、ドラゴンの物語で幕を開ける。そのうち最もよく知られているものには、シベイ、エベロン、カイバーという3匹のドラゴンの闘争が描かれる。また、それ以外の創世神話にもドラゴンは登場する。トラベラーがドラゴンのはらわたから世界を引き出したとするもの。オナターがドラゴンの鱗に槌をふるって世界をつくりだしたとするもの。また、ウレオンが「世界よ、在れ」と言ったのは竜語だったとするもの等々。いずれにせよ、ドラゴンは太古の力を有するクリーチャーであり、その起源は創世の昔にまでさかのぼるようだ。
 世界が形作られると、ドラゴンはその支配権を手にするために戦った。文字で書かれた記録こそ残されていないものの、伝説に語られるこの時代の様子は、たんなる神話ではない。たとえば、シャドウ・マーチ、クバーラ、ゼンドリック、そしておそらくアルゴネッセンにも、“デーモンの時代”の遺跡が今なお存在するが、こうした地には原初のドラゴン族とカイバーのフィーンドたちが百万年の長きにわたって繰り広げたという戦いの物的証拠が残されている。この争いはけっきょく、コアトルの自己犠牲のおかげでドラゴン側の勝利に終わった。しかし、ドラゴンたちはフィーンドになりかわって世界に君臨するかと思いきや、アルゴネッセンにしりぞいて“予言書”について思索をめぐらす道を選ぶ。こうしてフィーンドとドラゴンが姿を消したあるじ不在の世界に満ちていったのが、いわゆる“下級種族”──最初はゼンドリックの巨人族、続いて多種多様な人型生物である。
 事実からは程遠いが、人型生物はドラゴンを結束の固い一大勢力のように見ている。ドラゴンをひとくくりにして、彼らが遠いアルゴネッセンの地で統一された社会を形成していると考えるのはたやすいことだ。なにしろ、ドラゴンの本拠におもむいて、かの地に深く分け入り、無事帰還して見聞を語った人型生物などほとんどいないのだから。コーヴェアまで伝わった数少ない情報(そのうちのいくつかは、はぐれドラゴンによってもたらされたものだ)によれば、ドラゴンの営む社会──“社会”という言葉が適切であるかどうかはこの際おくとして──は、一般に信じられているよりはるかに統制が緩いもののようだ。
 アルゴネッセンは“ドラゴンの国”と記述されることもあるが、じっさい、ある意味では国家に似ている。たとえばエアレナルがアルゴネッセンと戦端をひらいたとき、エルフたちが戦ったのは統率されたドラゴンの軍団であり、それは人型生物の国が戦場に展開する軍隊と非常によく似たものだった。どうやら指揮命令系統が存在するようであり、士官と兵卒の違いがあるようにも見え、あまつさえ徴兵制すら敷かれているように見受けられたという。また、チャンバーのエージェントがひそかに国境を越えるとき、あるいはドラゴンが流浪の身となってコーヴェアに身をひそめるとき、彼らは警察に類似した組織──詳細な知識と恐るべき連携で武装したドラゴンの一団──による懲罰を覚悟しなければならない。ただ、そうした軍制や組織がアルゴネッセンのなかだけで適用されるものなのか、それとも外界から脅威がせまったときのみ動員されるものなのかという点は、まだ完全には解明されていない。

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最終更新:2013年03月07日 22:53
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