アンデール


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アンデールは大地と大空の国である。地上では名もなき民草が田畑を耕し、穀物を育て、村や共同体の繁栄を願って汗を流している。この国の田畑やぶどう園はコーヴェアでも一、二を争うほど実り豊かで、1つの田畑やぶどう園の世話は、同じ一族で代々受け継ぐのがアンデール流だ。国内有数の大都会には大陸全土から商人や冒険者が集まってくるが、アンデールの民のほとんどは今も素朴な田舎暮らしを営む。彼らには彼らなりの大地に根づいた叡智があるにもかかわらず、理想主義者たちはアンデールの民――アンデールが誇る秘術魔道師も含む――の啓発に余念がない。
 アーララ女王が座る玉座の背後には強大なウィザードが何人も控え、彼らが国政を壟断しているのだと揶揄する皮肉屋もいるが、秘術をあやつる者たちが王権に過度な影響をおよぼしているという証拠はほとんどない。たしかにアンデールは熟練の魔道師たちの力を国防に利用しているが、一般の民衆は民衆で十分な自衛力をそなえている。彼らは堅忍不抜を地でゆき、自分たちの知識や能力、守備力といったものに絶大な信頼を置いている。最終戦争という前世紀の試練でさえ、彼らの覚悟をいっそう堅固なものにしたに過ぎない。たとえ魔法に頼らずとも、平均的なアンデール人ならばそのぶん長く、懸命に打ち込むことで初志を貫徹する。魔法が使えれば、それこそ鬼に金棒だろう。
 アンデールにはいくつもの騎士団が存在するが、常備軍を支援するのは一般市民から徴用された民兵である。これは必要にせまられてそうしているというよりも、むしろ伝統のなせるわざと言える。この国では血縁関係で結ばれた大きな一族が珍しくなく、身内の一大事には遠くの親類縁者も加勢に駆けつけるのが普通だからだ。戦争が近いとなれば、若者は男女の別なく野に集められ、単純武器と軍用武器の訓練にはげむ。そして貴族の号令一つで、大軍団が糾合される。祖国と女王のために命がけで戦うことをいとわない一コ モナー般人が大挙して馳せ参じるさまは、まるで平原の空に群れつどう嵐雲さながらである。
 普段はアルカニックスやスターピークス・アカデミーその他、俗世間から離れた学園で研究にいそしむウィザード兵たちが、ひとたび研究室を出て集結すれば、その力は侮れないものとなる。敵戦術家にとって、アンデールの軍隊に対する攻撃は準備できても、ウィザードの流儀を予測するのははるかに難しい。今にいたるも、ウィザード、ソーサラー、メイジライト、アーティフィサーがアンデールで尊敬を集めるゆえんである。
 ウィザード魔法とソーサラー魔法の影響が絶大なこの国では、おのずと知性や機知を尊ぶ気風が生まれた。それこそ下々の民から王侯貴族にいたるまで、アンデール人の大半は何かしらに一家言を持ち、丁々発止の議論を好む。一介の農夫がその土地の地理や風土に関する該博な知識を持ち合わせていたとしてもなんら不思議はないし、卿や女卿であれば郷土史のこぼれ話を披露して座を楽しませることなど造作もないことなのである。体を動かせばたしかにそれなりの対価を得られるが、頭を絞って懸命に考え抜けばおよそどんな問題でも解決できるという信念が、平均的なアンデール人には行き渡っている。魔法はたんにそうした特質を強化し、実証するものに過ぎない。じっさい、アンデールから才能豊かなウィザードが大勢輩出する理由の1つは、機転と知的訓練を尊ぶこの国の気風にあると見ておそらく間違いあるまい。

 浮遊要塞のウィザードたち、蔦に覆われた大学、香り高いぶどう園、黄金色に輝く小麦畑……。豊かなイメージに彩られたアンデールは、最終戦争が幕を下ろした今、昔日の栄光を取り戻そうと懸命に努力している。国土と領民の一部をエルデン・リーチに奪われ、領土の一部をスレインに事実上割譲したこの国は、かつての姿そのままではない。それでも、アンデールは依然として誇り高い民が誇り高い女王に導かれる、誇り高い国であり続けている。
 ほぼ農業国と言ってよいアンデールの庶民は、自分たちの土地を守るためとあらば一歩も退かず、機知と虚勢に価値を置き、知識と魔法が結びついたときいかに大きな力となるかを実演してみせる。
 ガリファー登場以前、のちにアンデールとなる人間の集落はサイオン海峡の北西岸に沿って発達した。これは現在サリオストがある場所とおよそ一致する。というよりも、この都市は建国当初の国名にちなんで名づけられたのである。首都がフェアヘイヴンに変わったのは、時代をくだってアンデールが西に拡大した後代のことだ。
 こんにちのアンデールはエルデン湾とサイオン海峡から南下してブラックキャップスに至る縦に細長い形をしている。西の国境はワイナーン川だが、東の国境線は判然とせず、これをめぐってはスレインとのあいだで熾烈な係争が続いている。

戦後のアンデール



 アンデールは最終戦争の大半を通じてカルナスおよびスレインと交戦状態にあり、この2カ国とは今でもライバル関係にある。スローンホールド条約によってアンデールとカルナスの国境線はサイオン海峡と定められ、以来、両国は厚い防備をほどこした海岸線越しに睨み合いを続けている。アンデール海軍の小型艦艇のほとんどが常時サイオン海峡とエルデン湾をパトロールし、同じように海上の哨戒活動にいそしむカルナスの船艇を注意深く見守っているのである。
 アンデール人にとって、東部のサリオストを失ったことはまさに痛恨のきわみだった。この地方はスローンホールド条約によってけっきょくスレインの所有に帰せられたのだが、アンデール人の多くはそこが“アンデール固有の領土”だと言ってはばからないし、交渉にのぞんだアーララ女王の外交使節団はいかにも弱腰だったと思っている。かたや、スローンホールド条約が調印された当時、いわゆる“北伐”の途上にあったスレイン軍がサリオストに進駐していた(さらに言えば、王国暦977年以降ほぼずっとサリオストを掌握していた)のであり、この地をスレインが手中に収めることになったのは驚くに当たらないと指摘する者もいる。いずれにせよ、外交的手段によるか軍事力によるかはともかく、アンデールはおそらくいつかサリオストを奪回するに違いない。
 いっぽう、西部の領土を失ったこともまた、アンデール人とその指導者たちを歯噛みさせている。今から40年前、エルデン・リーチが独立を宣言したことで、アンデールは国土のじつに3分の2と人口の5分の1を失った。最終戦争のさなかに繰り返し“西アンデール”の奪還が試みられたが、これらはいずれも惨憺たる結果に終わっている。今でも、アンデールの国境守備隊とエルデン・リーチの人々のあいだでは散発的な小競り合いが後を絶たない。
 国土の少なからぬ割合を失ったアンデールだが、この国はその戦略的野心に見合った強みをいくつもそなえている。陸軍と海軍は終戦直後の目を覆わんばかりの惨憺たる状態から徐々に再建を進めているうえ、“サリオスト開放”のスローガンを掲げたデモンストレーションを定期的におこなって、入隊志願の若者を着実に集めている。また秘術評議会(後述)が存在するおかげで、アンデールはどこででも普通に手に入る魔法(ドラゴンマーク氏族の内部だけで使われている魔法を除く)をしばしば凌駕する優れた秘術魔法を利用することができる。魔法といえば、アンデールほど軍事に秘術魔法を活用している国はない。歩兵部隊にはマジック・ミサイルを発動するソーサラーをつけ、アーティフィサーには秘術魔法を利用した武器兵器をつくらせ、強大なウィザードにはクリーチャーを招来させ、驚天動地の呪文を発動させる。こうした秘術の力を目の当たりにすれば、どんな敵でもアンデールと正面切ってぶつかることに二の足を踏むだろう。

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