スレイン


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おおシルヴァー・フレイムよ、戦と闇と絶望を透かし
われらが行く手を照らしたまえ
おおシルヴァー・フレイムよ、われら迷うことなし!
スレインの守護霊よ、われらが祈りを聞き届けたまえ
いかなる敵によっても、御身が銀の光輝は陰らじ
いかなる童も御身が光の届かぬ場所では育たじ
剣の柄握りしめ
御身が兵士らは立ちぬ
おおシルヴァー・フレイムよ、とこしえに燃えたまえ!

――スレイン国歌『道を照らしたまえ』



 王国暦299年オラルーンのある夜、スレインの開拓民と農民はタモール丘陵の空に黒雲が群れ集うのを目にする。丘陵の地面には裂け目が生じ、そこから赤みがかった光が漏れ出した。この地溝の探索に向かった者たちは、二度と帰ってこなかった。それから数カ月たつと、丘陵の裂け目から魔物と血に飢えた野獣が次々に這い出してきて、地上を脅かすようになる。その年、世に言う“血と炎の年”は想像を絶する恐怖が人々を見舞った秋だったが、同時に天啓が示された秋でもあった。聖戦士ティラ・ミロンがあまたの僧侶と戦士を糾合し、闇との戦いに挑んだのである。幻視によって垣間見た1つのイメージだけをよりどころに、ティラ・ミロンは、タモール地溝でついに悪の軍勢と対峙する。そこでティラはフィーンドの王に縛めをかけ、その暗い焔を銀色の光の源に変えた。この自己犠牲を通じて、ティラはシルヴァー・フレイムが人々の魂に触れるための導管、つまりは霊的な“器”となったのである。

 スレイン人の多くは“血と炎の年”が潮目だったと考えている。ティラの自己犠牲に触発されたスレイン人たちは、地上に残っていたフィーンドを倒すか、または地底に追い返すことで一掃する。民衆はこぞって新しい教会に足を運ぶようになり、ほどなくしてフレイムキープの城砦が築かれた。やがて新興宗教シルヴァー・フレイム教会がコーヴェア全土に広まっても、その中心たるスレインの地位は揺るがなかった。スレインの善男善女はくびきから解き放たれた悪の恐ろしさを目の当たりにし、一致団結して闇の勢力に立ち向かうことを決意したのである。この熱狂的な布教活動は、ときに制御不能におちいることもあった。じっさいジョリアナ女王のシルヴァー・フレイムに対する傾倒が、ジャロット王の死より何世紀も前にガリファー王国を崩壊寸前まで追い込んだこともある。もっとも、シルヴァー・フレイムに帰依する者の大半はほかの信仰を奉じる者たちに寛容さを示してきた。これには、人外の超自然的な悪と戦うために力を温存しておきたいという彼らなりの事情が多分にはたらいている。
 “血と炎の年”がスレイン史を前後に隔てる最初の大きな節目だとしたら、2つめのそれはサリン王の死に違いない。当時シルヴァー・フレイムの枢機卿評議会は日に日に力を増しつつあり、いっぽうサリン王の後継者であるダスリン王子は性質惰弱として見くびられがちであった。なによりも、最終戦争という戦時下のことである。枢機卿たちはさしたる苦労もなくシルヴァー・フレイム教会を王権より上位に据えることを国民に納得させることに成功、ダスリン自身、争うこともなく評議会の要求を受け容れる。こうして王国暦914年、スレインは正式にシルヴァー・フレイム教会を政体と認め、コーヴェアで最初の神権国家となったのである。
 大司教や枢機卿のなかには、みずからの権勢を増すことに汲々とする者もいる。けれどもそれはごく一部であり、大半の大司教や枢機卿はシルヴァー・フレイムによる統治がスレインのみならずコーヴェア全体にとって最善だと心の底から信じているのである。この妥協を知らない宗教的情熱がかえって仇になり、最終戦争当時のスレインはどの国と同盟を組んでも長続きさせることができなかった。その反面、シルヴァー・フレイムのクレリックとパラディンの不屈の決意があったればこそ、スレインは四面楚歌の苦境を幾度となく乗り切ることができたともいえる。新たに“炎の護り手”の座に就いたジャエラ・ダランは、コーヴェア大陸がまたぞろ戦火に包まれてもシルヴァー・フレイム教会の大義に資するところはないと考えている。しかしながら、シルヴァー・フレイム教会のもとでふたたび統一された新ガリファーを見たいと望む騎士や枢機卿はいまだに少なくない。また、宮廷の随所にわだかまる影のなかでは、今や飾りものでしかない“女王”のディアーニ・イル=ワイナーンが王家の歴史を顧みては、みずからの血統に実権を取り戻す日を夢見ているのである。

戦後のスレイン



 周りを怒れる隣人たちに取り囲まれている自分を想像してみてほしい。そうすれば、スレインの民衆の気持ちが理解できるはずだ。スレインは長年の仇敵である4国すべてと国境を接している。また、スレインだけがガリファーの王統を廃し、神権政治に移行したという事情もある。そのうえ、スレインはアンデールとブレランドから領土の一部を奪っており、アーララ女王もボラネル王も失地回復を目指している。さらに言うなら、スレインはその冷酷非情なふるまいで各国の非難を浴びることが少なくない。たとえばサイアリ滅亡後新天地を求めてやってきた難民たち。スレインは無情にも彼らの受け入れを拒んで世界中の顰蹙を買った。また、首都ロートにスレインの猛攻撃を受けたカルナスは、いまだその恨みを忘れていない。なにしろスレインの大胆不敵な攻撃によって、あの尊大なカルナス市民が一時なんとも無防備で不安な気分を味わわされる羽目におちいったのだから。こうした遺恨や敵意に取り巻かれているスレインの人々に、呑気で安楽な暮らしなど望むべくもない。それでも、彼らはシルヴァー・フレイム信仰に大きな安らぎを見出している。なぜなら、“炎”(フレイム)はけっして彼らを裏切らないし、彼らを迷わせることもないからである。

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