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鴻海がパネル事業再編へ 「眼球計画」、シャープの存在感大きく

中証網】 シャープとの出資交渉が行き詰まっている台湾の鴻海集団は、自らの産業チェーンを延長し、商業価値を高める努力をあきらめていない。鴻海集団はこのほど、タッチパネルやテレビ用パネルなどの再編を「眼球計画」として打ち出した。 リサーチ会社、パネルサーチのリポートでは、鴻海の「眼球計画」の第一の「目玉」は成長ペースが最も速いモバイルタッチパネルとなる。鴻海集団はタッチパネルと関連部品の部門を統合する計画だ。
中でも、モバイルパネル事業では2012年2月に成都天億科技第6世代LTPS液晶パネル生産ラインを着工し、群創深超光電第5.5世代生産ラインをLTPS生産ラインにアップグレードしている。奇美電子はまた、中小型非結晶シリコンやLTPS、IPSなどのパネルを導入した。 テレビパネル分野では奇美電子のパネル以外に、鴻海は2012年に660億円を投じ、シャープの堺工場の権益の37.6%を取得し、第10世代生産ラインの生産能力の50%を獲得、ソニーなどの取引先に向け、60型以上パネル、4K×2K超高画質パネルを供給する。
鴻海の「眼球計画」で、窮地に陥っているシャープは重要な存在だ。鴻海はシャープからの委託生産を受けるほか、シャープのIGZO技術を交渉により獲得しようとしている。
■大きな「眼球計画」
鴻海がこれまで展開してきたのは液晶テレビや液晶パネル、ノートPCなどの非常に成熟し、伸びが明らかに減速しているパネルの分野だ。ただ、スマートフォンやタブレットPC、大型高画質テレビなどの急成長に伴い、鴻海の事業は新たな需要に対応できなくなった。
伸び率が3桁に近いスマホやタブレットPCなどの分野で、鴻海は米アップルの最大の受託加工企業として、10%前後のパネルなどの部品を供給しているが、同市場は今、LGDやシャープ、ジャパンディスプレイなどの日韓ブランドに支配されている。アップルは中核部品の「脱サムスン」を推進しているとは言え、鴻海傘下の奇美は勝ち組ではない。例えば、新型iPadの注文に占めるLGDの比率は70%、間もなく発売されるiPadMini向けの納品で、LGDと台湾の友達は勝ち組となる。
モバイルパネルのウィークポイントを補うには、鴻海は既存のパネル事業を統廃合する必要があり、これが鴻海「眼球計画」の背景にある。iPhone向けにパネルを少量供給する奇美は非結晶シリコン技術をもとに、第5、6世代生産ラインをLTPS液晶生産ラインにアップグレードし、モバイルパネルの需要に対応する。
深超光電の関係者は「鴻海は2012年末以前に深センの第5.5世代生産ラインの生産能力の30%をLTPS生産ラインにアップグレードし、深センの富士康科技集団(フォックスコン)の一部需要に対応する」と語った。
また、天億科技が先頭に立ち、鴻海集団が運営し、長虹集団が株式参加する成都LTPS第6世代生産ラインは土木工事、ビル建設を始めており、早ければ13年4月に量産に入り、成都や綿陽、重慶などの富士康に向け、スマホやタブレットPC用パネルを供給する。
しかし、パネルはタッチパネルの一部に過ぎない。鴻海はこれまでタッチパネルやタッチセンサー分野での展開に向け、G-Tech、台湾キン成(キンは品の口部分が金)、業成などの法人を設立している。中でも、キン成と業成はこのほど、一つの企業に合併させ、「GIS」として改めて発足。GISは「眼球計画」でタッチパネルに関わる責任者と位置付けられ、奇美がタッチセンサーを展開し、液晶モジュールとの一体化生産を進めていることもあり、鴻海のモバイルタッチパネルの生産コストは大幅に低減している。
モバイルタッチパネルは新計画の一つの「目玉」に過ぎず、もう一つの目玉は液晶テレビだ。奇美電子は中国本土テレビメーカー最大のパネルサプライヤーだが、京東方や華星光電などの生産開始が相次ぐに伴い、奇美のシェアは同業他社に影響を受けている。こうした中、奇美はシャープの第10世代生産ラインを吸収することでコストを低減させ、大型パネルや新技術パネルに対する支配を強化しようとしている。
■シャープの存在感大きく
鴻海と傘下の奇美にとって、唯一の第8.5世代生産ラインを設置し、大型液晶パネル分野での投資を中止することは賢明な選択だ。液晶テレビパネルの価格が下落を持続していることで、大型パネルメーカーは過去数年間、苦しい経営を余儀なくされてきた。
鴻海は世界パネル産業の低迷やシャープの投資ミスを利用し、わずか660億円でシャープの第10世代生産ラインの生産能力の50%を取得。今回の投資が完了後、鴻海は第3四半期以降、同工場から供給される60型、70型超高画質パネルを利用し始め、ソニーと瑞軒に向けに大型液晶テレビを生産する。これにより、シャープの第10世代生産ラインの利用率は初めて70%に達する。
ディスプレイサーチの最新のリポートでは、鴻海は12年にソニー向けに750万台の液晶テレビを受託加工し、シャープと瑞軒に向け、それぞれ40万台、30万台のテレビを受託生産する。ただ、奇美などはそれに向け、大半のパネルを供給している。鴻海はこれらの注文に堺工場第10世代生産ラインの生産能力の50%を活用することができない。しかも、それは第10世代生産ラインの在庫増を招きかねない。
うわさされているアップルTVの発売は何度も先送りされている。関係者によると、鴻海は量産時期が決まっていないアップルTVではなく、既存の需要に向け、第10世代生産ラインに株式参加した。シャープもアップルTVに第10世代生産ラインの運命を託すことができない。
注意すべきは、鴻海がシャープ第10世代生産ラインに投資する目的がシャープのIGZO技術獲得にあることだ。IGZO技術を再起に関わる肝心な存在とみているシャープはこの技術を移転するかどうか、とまどっている。鴻海にとって中小型パネルにしか利用されないLTPS技術と対照的に、IGZO技術はさまざまなパネルに利用されるものだ。
鴻海の「眼球計画」では、奇美の第6世代以上生産ライン、設置中の成都LTPS第6世代生産ラインをアップグレードする上で、シャープのIGZO技術はその選択肢だ。もちろん、成都第6世代生産ラインはAM-OLED技術を導入する計画だ。
シャープによれば、鴻海との交渉は現在、一時停止している。ただ、鴻海は第10世代生産ラインに資本参加する手法を模倣し、亀山中小型パネル工場に出資する計画を持ちかけ、さらにシャープにIGZO技術移転を望んでいるが、シャープはそれに反対している。
鴻海の「眼球計画」で、シャープは重要な存在となる。ただ、9月末に来るとみられる短期債務危機に悩むシャープは鴻海との交渉で不利な立場にある。
日本のみずほなどの銀行がシャープに向け、3000億円の新規融資を計画し、また、シャープがインテルと「出資と引き換えに、3億8300万ドルの資金を獲得する」との計画を交渉しているとは言え、鴻海の目には、それはシャープの候補計画に過ぎず、鴻海との交渉はすぐ終了することはなく、最終的に、シャープはIGZOを武器に、鴻海の投資を呼び込むと映っている。
ただ、シャープのIGZO技術は現在、問題に直面している。関係者によると、シャープのカードとなるIGZO技術は未熟で、量産に入っているとは言え、技術障害が生じている。それを背景に、アップルの新型iPadはシャープ向けのパネル注文を削減。また、LTPSや非結晶シリコンからIGZOに切り替われば、元に戻れないため、鴻海はIGZOに疑問を持ち始めたとの指摘もある。
危機に直面するシャープは交渉で受動的な立場に陥っている。最終的に、鴻海は交渉の勝ち組となり、シャープの中核技術は鴻海「眼球計画」の重要な一部となるとみられている。
(翻訳 李継東/編集翻訳 恩田有紀)