※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

番長GSS ごきげんようで始まるDP戦略

累積点数 点



「ごきげんようで始まるDP戦略-04-B ~afternoon tea~」



1)
―妃芽薗探偵部―

その部屋は個人事務所という態をとっていた。
そこからはハードボイルド小説の探偵にみるような乱雑さは欠片も感じない。
あるのは知性を感じられる整頓された道具、そして入れたての紅茶と砂糖菓子の匂い。

妃芽薗学園潜入生徒・阿野次のもじは午前に判明した学園全域記憶喪失事件の「解説」
(注:解決ではない)を依頼すべく妃芽薗の探偵部を訪れていた。

彼女を出迎えた、この部室の主、現役女子高生探偵加藤・佐藤は話を聞き終すと
自らがいれた砂糖を一杯、二杯…依頼人がどんだけ入れるんだと見守る中、9杯まで目入れ
優雅にかきまわす。そしてそのままごきゅと一口紅茶を飲む。
おお小さく感嘆の声を上げるのもじ。奇人だ、変態でなく奇人さんの部類だと。

それから彼女は席を立ち後ろの棚からファイルを何枚か取り出し中身を確認すると
「所謂”組織”による犯行ではありませんね。恐らく後者の『安全神話』の影響でしょう」
そう断じた。
「守秘義務に反するので詳しくは申し上げれませんが、生徒会関連のファイルの中に
その方の名前が存在します。半年前、生徒会関係者だったという痕跡がそのまま
残っているんです。組織的犯行ならザルすぎます。
記録を改ざんするほうが全員の記憶を消して廻るより、容易いですから。」

次にご自身の御手持ちの資料を見てください。
のもじは指さされ、自ら持ちこんだ”極秘資料集~NO13どこまでいっても13”を広げる。
微妙なラインで自己主張してくる秘密結社である。
無論、そんな秘密結社の存在など一般生徒が知っているわけがなく、両者ともに綺麗にスル―される。

「報道部、この場合、小野寺さんが作られた資料になりますか。安全院ゆらぎさんに関する
情報が持ちだされています。これをみても学園側は『ATフィールド』(「安全神話」の学園側
通称)に関してそれほど注目していなかったと見るべきでしょう。能力原理も完全に誤解してたよう
ですし、生徒会側は戦略上、かなり重点をおいていた能力みたいですが…」

ここで加藤は一つの重大な見落としに気づいた。箇所は生徒会のファイル、探偵部への依頼人の
名前は……酷い。自らのセンスのなさに苦笑しつつもひとまず続ける。

2)
「問題はむしろ、小野寺さんが記憶を失っていない点です。」
??と首をかしげる依頼人に言葉を重ねる探偵。

「”失っていた”のなら、言い換えれば彼女に少しでも危害が及んでいる可能性があるなら、
彼女の狂信的信奉者である古谷さんが、貴方を無条件で放置したりはしませんよ。
今頃は質問が拷問に変わっているはずです。ですので彼女の身には何も起こっていないのか、
逆にその件に関しては問題解決済みと見ていいでしょう。

そして塩素さんの入れ替わりで学園に入った古谷さんも記憶を失ってないご様子ですが…
これは後者の説に立てば問題ないですね。彼女は安全院ゆらぎさんと面識がない―
『安全神話』に一度も”接触していない”―からという理解で済みます」

ここで依頼人も気がつく。なら小野寺塩素が例外となる理由はなんなのか。
探偵も頷く。
「なんなんでしょうね。
魔人能力での事件を考える上に置いて重要なファクター『原理』『効果』『制約』『範囲』
などがあります。これらを順番に丁寧に追っていけば必ず辿りつけるというのがわたくしの
持論なんですが、今回は対象が故人で有り、そして事件が過去。
しかも”過去を知る者が誰もいない”状態です。
手持ちの情報では、ここまでが限界でしょう。正式な御依頼があれば改めて―


――などとといえればよかったんですが。…気づいてしまいました…」

何故か息を吐いて、前言を翻す探偵。
テーブルに手を伸ばし角砂糖を数個ほうばる。
まるでこれからの困難に立ち向かう覚悟を決めたかのように、戦略的咀嚼を行う。

「生徒会のファイル読みなおして『過去』を証言できる人物の心当たりが出てきました。
続行です。なんというか『大当たり』かもしれません。」

盛り上げに欠けますが。


†††
彼女は幾つかのファイルと資料、
そして彼女個人の過去の手帳・ノ―トなどテーブルに順においていく。

「探偵部は生徒会から受けた調査の仕事も請け負っていたのですが、当時の生徒会長、
外渉面で色々と問題がある方でして、多くは周囲の人たちが実務を分担して担っていたんです。
でこの名前を見かけました。」

依頼人名:銭由良・凪

「生徒会側の依頼人(クライアント)として銭由良・凪という名前あります。
ただこの名の生徒は生徒会どころか学園どこを探してもいません。架空というか単純な
アナグラムです。ええと、こう並びかえれば誰を指してるかは一目瞭然ですね。」


銭由良・凪
=zeniyura nagi
⇒ anzenin yuragi  -n

「安全院ゆらぎとなります。
彼女は毎日お茶会を開いていたとのことなので、この手の折衝にはうってつけだったん
でしょう。1文字足りませんけど、
そうですねNが足りません。だと、どこかで補わないといけない。ああ、ありました。


…で、これがNです。」

彼女が持ちだして来たのは依頼人ファイル『な行その他』。
ちなみに依頼人のリアクションはちょっと薄い。盛り上げようと頑張っているのだが
なかなか上手くいかないようだ。


開けると。そこにはセロテープで止められた金平糖。

そして
―恨むな、受け入れろ、わたくし―
彼女自身が書いたであろうメモ。


”都合の悪い記憶を奪ってしまう”能力者に対して”記憶を物質化して保存する”能力者。

彼女は事実を嚥下する。

わたしたちの相性はよかったのだろう。そう彼女は推測する。

そう、わたくしは彼女の個人的な依頼も受けていた。
探偵ファイルに工作し、記憶の保険をかけておいたのも自分自身だ。
このことを予期していたからだ。
探偵・加藤は安全院ゆらぎの学園における協力者だったわけだ。

そしてそのことを今まで”忘れていた”。だが今は―

探偵・加藤は再び席に着く。

「さて、話の続きをしましょう。ご期待に答えれればいいですが」

3)『秘密の花園』

クイーンが降り立ったのは名もない花が咲き乱れる、小さな御花畑だった。

それは彼女の小さな御花畑。

「貴方はだあれ?」

そこには10歳に満たない一人の少女がいた。


4)「流れよ泪と探偵はいった」
探偵は時代を回顧する。

―あの頃の安全院さんは事態の鎮静化に躍起でしたね。
模倣犯、便乗犯が学園を跋扈し、風紀治安、生徒たちのメンタルも最悪。
風紀委員や自警団も頑張っていましたが表からの力ではどうにもならない状態でした。

なので彼女は「裏」方を選択しました。
ただそのやり方は非常に悪辣で、道徳的には眉をひそまれる行為でした。
まず学院生徒全員、能力の影響下に収めつつ、問題点を”都合の悪いもの”として
片っぱしから消し去りました。誰それへの殺意なら殺意ごと吹き飛ばしましたし
痴情の縺れなら「恋愛感情」ごと痴情吹き飛ばしましたし、
不安を抱える生徒には、不安を消し飛ばしお茶会と言う安心空間を与え、疑似的な
精神安定―依存症ともいいますか―を、構築していったんです。

治安悪化の原因となった踊り場事件の犯人探しも同様で。
生徒教員関係者、虱潰し。”安全院さん”がお茶会で相手の警戒心を奪うと
ぽろっと犯人が過去の犯罪の殺害動機とか滔々と談笑(じはく)しだすんだから
そこのところ探偵稼業は楽で良かったですが―

「”死亡者・行方不明者を除き”当時の生徒はほぼ全員にあたりました。ただ、
それでも血の踊り場事件の真犯人は見つからない。引っかかるのは模倣犯ばかり。

そのうちに彼女は学園側が何かを画策していること、そして学園地下にあるという
『施設』の存在に行きつきいたんです。」

高二力フィールド発生の施設。
その調査を依頼されたのが、加藤佐藤、自分だったという。そしてその過程で
依頼人は自身の変調に気づく。

「切っ掛けは高二力フィールド。彼女は『安全神話』の欠陥に気がつきました。
彼女の能力特性が「消去」でなく「廃棄」だと気が付いたのです。
臨界点を迎えれば今までためた力がなだれ込み爆発する。それが彼女の結論でした。」

ハルマゲドンの混乱に乗じて施設に侵入、高二フィールドに突っ込み自爆する
計画を立てたようだが、これは小野寺塩素の策略の影響で未発に終わった。

「後の事件の鎮静化を考えると、結果的にはよかったかもしれません。」
彼女は冷静に告げる。
「残りの問題は死後の後始末です。
安全院さん死亡による虚構『安全神話』ブランド崩壊による学園秩序の悪化。
もしくは学園内での彼女の記憶を丸ごと消去しての混乱。
『崩壊』『喪失』どちらがダメージが大きいか。」

選択はどちらだったのかは言うまでもない。

「懸念はあったんです。
例えば古谷さんが塩素さんのことを喪失した場合どうなるか想像もつかないでしょう?
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
そういう子もいたので心配していたのですが、実際の影響は驚くほど薄かったです。
ほとんどの人にとっては『安全院さん』は代替の効くモノだったんです。
話し相手が代わったり、憧れの君が代わったり、全幅の忠誠対象を学園に替えて
模範生になったりと色々でした。
わたくしはそれを見届け、或いはフォローした後、自身の『記憶』を吐き出した
のです。それが…わたくしへの彼女の最後の依頼でしたから。」

以上。ご質問はありますか?探偵はここで初めてにっこりと笑った。



†††

わたくしへ。

すべきことを一つ、思い出しました。


†††

「どう?ヒント見つかった。」
『ああ判った。安全院さんという娘が、かなりのドジっこキャラというのがな。
本人は「消しさる」と認識していたが、依頼人の内容に照らして見ると奴の能力特性は
「奪う」でなく「循環」だ。要するに排出する部分が故障して吸い込んで貯めに貯めた
力の処理に困っているだけだ。
テメエの能力内容取り違えるとか、普通ねぇぞ』
「おお、砂糖と塩間違っちゃった感じ。ドジ娘萌え!」

その箇所を調整し、貯めた力を一気に利用すれば蘇生も可能。依頼通り”彼女の能力を
コントロールして”蘇生させることが可能になる。
クイーンはそう結論付けた。
『あの探偵からガイシャの新鮮(?)な「記憶」も貰ったしな。こっちもデカイ。
前準備としてはボチボチ及第点。突入するぞ。夜、抜けるから準備しておけよ』
「アラホラサッサー」

                               (「エピソード」へ)



謎SS「ごきげんようで始まるDP戦略-04-A ~genocider~」


唯野アキカンが、スタメンにクイーンがいないことにうちしがらていた頃
学園、水面下では恐るべき事態が進行していた…


―精神世界~ゆらぎさん・心境~―


「半年?3年でなく、たった半年ですか。あんだけ大騒ぎして即ハルマゲドンだなんて



               ちょっとみんな頭冷やそうか?          」

三三三三ニ≠三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三=\
三三三ニ≠三三三三三三三_,.-、 f=|´|三三三三三三三三ニf!三三三r‐‐ュ、
三三ニ≠/三三三三ニ_,..-'´   | | |_,.!: : : : : : : : : : : : : : : : :| {: : : : / ィ ヘ \
三三/|//三三三r‐'´    _,..-! |:`¨:__,..--レ' ̄~7: : : :\: : : ヽヽ: :(='==! ̄!=\/
三r-、/ヘfー‐、: : :|  _,..-'´: : : | |: : ::j  | |;  /: : : : :__,ヽ::ノ! } }: : :==キ fニニ、ハ
ニニフ rュ、) f! !_fl: レ'´: : : : : _,..'  |: : : |__j--7 /、: : : :{ f´:!.ヽ`¨ro': :=r==、 r、_ィ=ニハ
ニァ=f |=ノ===、¨: : : :__,.-‐'´   |: : : |: : : ゝ≠}. .:i!ト、ゝ、'⌒V__ノ: : :=、=キ=、| i! /ニハ
ニ: / ,. r、_) v く: : : :/_     _,..: :': : : :|ヽⅥj.. :i!l. ..:i!:.:!(   (: : : : ::=ゝノレ'=| iK三ニヽ
ニゝ'^|_|__,ィ ヘ、__ァ: : : :!  ,..: :'!: : : : : : : ::! Ⅵ|.. :!|. :.:i!_.jゝ‐、 ノ::r、: : :|`¨rュネ| f!ヽ三ニ
ニi:、___コ`ヽ=、:Ⅶ|: ::レ': : : ::|: : : : : : :i: !..::..Ⅵ_j レ'リ´ |: ムノ/ |/ ∨: |__,=、__j__j=='三ニ
三ヽ=テ= {‐‐': :Vj: : : : : : : : ト.:.、: : : : !: i..::...Ⅵ斗≠リ㌣!. /卞、≧j: : : : :∧三三ニr、ヽ
三!: : {ゝ' }: : : : :Ⅵ: : : : : : : :!、..、 、: : :ハ: !::..::!| フセイ: : _:ソハ  心 |: : : :∧三三三ハ
三: 、__ノ_ノ: : : : : :Ⅵ、: : : : : : ト、 \、: : 、:|  レ' i! i、ゝ'_ノ |  ソ. |: : :/ |三三三|ハ
三ニ` ̄=、r=、: : : : Ⅵ\: : : : :',..:...::::\: : 、    ゝ、 `  ノノ // ,:/  /三三=|ⅵハ
三三} /:.| /: : : : :.ヽゝ'\: : : :\.: \`ヽ     `¨ ¨    / |  /三三三|  リ
三三|_/: :|_/: 、丶、: : :ヽ‥'`ー  ヽ                  .レ'三=ト三リ
三ハr=、 r=、、: :\\ゝ: : 、::'     `                 /三≠V∨/
三!、ゝ': :ゝ'\`ヽ:\ :.: ̄`        ,              ∧三≠ |/
Ⅵl \三三∧:: :: :.,:'            `             / /ノ

敵も味方も、ぶっ生き返して

全部

ゴッ

倒す!
          (ごきげんようで始まるDP戦略~てんぱい~そくり~わーいわーい編 缶~)



エピローグSS「ごきげんようで始まるDP戦略-05-C ~Main dish そして全ては振り出しに戻る~」




―A1―薔薇の園―

予感を感じていた。
違和感を感じていた。

そこは彼女の始まりにして終りの場所、全ての因果の集積地。

「」


十束学園に絶対的な忠誠を持ち、どんな非道な任務であろうとこなす非情なる戦士。
その右手に光るは、その証、黄金の輝き‐時の導き手-クロックアーム-


「」

彼女は標的を捕捉すべく、行動を開始した。


―D1―落下地点―

「これは一体。」
その彼女に怪奇現象が襲っていた。

…クロックアームが作動しない。
正確には先に進ましても戻しても、同じく時間が”巻き戻され”同じ刻に引き戻される。

十束学園、秘蔵の品。
”これによる時間改変はあらゆる能力による改変よりも優先される”というS級神具、
だが、改変以前に飛べたてなくては意味がない、飛べない鳥はそも降り立つこともできない。

果たして一体何が起こっているのか? その疑問に答えるように。
その地に『悪夢』が堕ちてきた。


『悪夢』は彼女と同じ妃芽薗の制服を身にまとった姿で現れた。
それは高空より落下してきたはずなのに衝撃やダメージも何もなかったようにくるりと
身をひるがえすと足をこちらに向けた。
”さも何もなかった”ように、いや”きっと都合が悪いから、着地の衝撃などなかったことにしたのだろう”

―私は彼女を知っている。

彼女は直観した。そして同時に悟る。何故、この地に来るのを恐れていたのか。
何を忘れていたのかを

―それは過去の自分に会うこと
―ではない
―本当に恐ろしいのは。今まで積み重ねてきた”自分”。価値観を根底から覆されること。

相手も自分の領域内に入った対象の感触から、なんらかの異常に気づいたようだ。
軽く小首を傾げた後、一転笑顔で手を打つ。

「驚きました。てっきり(首謀者は)学園外の方かと思ってましたのに、
半年でまるで見違えましたわ。ごきげんよう。白河さん。御喧騒そうで何よりです。」

さてどうしましょうか。と彼女は目線で  …倒さねば…
親しみを籠った目で自分を…罪罪罪罰罰悪夢悪夢悪夢悪夢任務任務罪罰
任務悪夢悪夢悪夢悪夢悪夢悪夢悪夢悪夢罪罪罪罪罰罰罪罪罪罰罰罪罪罪
罰罰罪罪罪罰罰罪罪罰罰罪悪夢任務悪夢悪夢悪夢悪夢罪罪罪罪罪罪罪罪






                      …………………… 。

「さてさてさて、今回の件で”少し”お聞きしたいことがあるのですが。
御事情お聞かせ願ってよろしいでしょうか?」


嗚呼、これが本当に悪夢なら目覚めなければいいのに

†††
―B7―展望台―
そこに佇むのは妃芽薗学園の制服に紅コートを着た一人の女性。
望遠鏡で某所における『推理』通りの能力発動を見届けた後、女はこう評した。

「あの女王様は本当に「よい仕事」をしてくれた。流石、年の功、空気が読めるヒトだ。
まあ、なんかアレ、次会ったらぶっ殺す!という意思表示のような気がしないでも
ないですが、ともかく御蔭で新たなキャラ立て演出が相成りました。…と、む…」

PPPPPPPPP…着音。女は着信先も見ずに携帯にでる。

「ええ、予定通りです。彼女なら今”安全院さん”と『面接中』ですよ。結果が
どこにどう転がるにせよ。前準備は終了です。
これで最後の大仕事に取りかかれます。ええ、報告は改めてさせていただきます。」

P…
女は簡潔に状況を説明すると携帯を切る。
そして芝居がかった口調―そして何故かカメラ目線で―で滔々と再び独白を始める。

「ふぅ、今回は苦労しました。何せ時間を自由に遡行できる貴方に対して私の属性
『虐殺』はほとんど意味がない。『密室』を折角作ってもいざとなればクロックアーム
で”死ぬ手前まで”や”死んだ後”に逃げることができるんですから。
だからこその『巻き戻し』なんです。メタれるヒト探すの大変でしたよ。」

該当者、ヒトじゃなかったですが、まさにメタるモンスター…なんちゃって。
女は続ける。
「ただ白河さん、貴方のルーツに関してはこちらで調査済みです。その点、探偵の
調査力を舐めてはいけません。また同時にキャラを必要以上に被せてもいけません。
おかげで大変面倒なことになってしまいました。」
キャラ被りは関係ないと思われるが、その点、妙に強調する女。独演は続く。

「貴方にとっての始まりであり終着地点である。2014年学園。
当時ここで何が起こっていたのか?過去の奔流に流され、思い出せないと理由を付け、
貴方はきっと今の今まで忘却し”忘れていた”でしょうが、
貴方も在籍して以上、れっきとした『安全神話』とその喪失事件の被害者なのです。

そう、2014年に入学したのなら当然、会ってるんですよ。彼女のお茶会で貴方も
あの安全院家の御嬢様にね。
そしてその後、起こったハルマゲドン―彼女の死亡と共に貴方は何を『喪失』した。
そう喪失したはずです。私の今回の企みの出発点はそこからでした。」

蠍座の名探偵は探偵らしくポーズを決める。
                     、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
「私と被ってない部分、比類ない「忠誠心」と「勤勉さ」一体それがどこに起因していたのか

―『安全院さん』は代替の効くモノだったんです
―話し相手が代わったり、
―憧れの君が代わったり、
―全幅の忠誠対象を学園に替えて模範生になったりと色々で―

結論は『代替』。
将来の名探偵、甘味の御嬢さんが心配するほどの、不安定さが、その将来を心配して経過を
見守るほどの”傾倒”が、貴方の中にはあった、そう『推理』したわけです。」

甘味の御嬢さんはある時『人の心』の不安定さを説いた。それはその通りなのだ。間違いない。
違うのは、世の名探偵はそれを人助けに活用しようとし、蠍座は虐殺に利用する点だ。

安全院ゆらぎは事件の黒幕「今回の首謀者」が見知りの学園生徒”だった”としれば当然
その籠絡を謀るだろう。そして、それに成功すれば当然彼女は学園の裏に潜む真実を知る
こととなり、彼女は確実に十束学園と敵対関係に身を置く。
そして高二力フィールドで守られた難攻不落の学園施設を『攻略』できる彼女の能力により
「十束学園」は大きな打撃を受けることになるだろう。

そして白河一。
この『面談』の結果、彼女が膝をつき十束学園を裏切るならば彼女の「謎の組織に属する」
というカテゴライズが消滅する。つまり、その点での自分とのキャラ被りが解消する。
逆に、安全院さんを一つのトラウマとして克服し、殺してのけるなら、それもいい。
おそらくそれで「殺した相手に薔薇を捧げる」という今までの仕様が失われるだろうから。
即ち、
キャラ被りが消滅する。

結局、どう転んでも「仮面の十三」と自分にとって事態の改善になるのだ。


『蠍座の名探偵』
    未来探偵・紅蠍。



今回どんだけキャラ被り気にしてたんだ、この人。

キャラ被り問題から解放された彼女はやれやれと首をすくめ、コートを身に寄せる。
転校生でも寒いものは寒い。そして今回、彼女の手に紅い薔薇はなかった。

「そしてここからが私の本番。
安全院ゆらぎが、形はどうあれ現世に復活したら、戦う道を選択するなら、否応なく
求めるはずです『貴方』を。
私の大本命。未だ攻略の糸口すらつかめない『貴方』と、もう一度、共に歩もうとね。


あの男も逝きました、白金の彼も逝きました。
次の標的(ターゲット)は
  、、、、、、、
『真野・片菜』。

貴方だ。
貴方は簡単に”すり潰されたり”しないでしょうけれど。その御活躍楽しみにしていますよ。
それでは。」
”ごきげんよう”

その言葉を最後に女は学園を立ちさる。その地に薔薇の刻印を残して…
アキカーン・クイーンによるDP戦略発動の際、大地に描かれた魔法陣「生命の樹」、
そこには大きく
花咲く”真紅の薔薇”が描かれていた。


古今東西の作家たちがあらゆる謎ときよりも伏線よりも頭を悩ませた問題、その問題を
彼女は今自力で解決して見せたのである。恐るべき『蠍座の名探偵』の底力であった。


『推理小説の主役を張る以上、キャラ被りは極力、避けなけらばならない。』

それが名探偵、13番目の法則である。

                『未来探偵・紅蠍の人間推理』
                『安全院ゆらぎの人間相談R』
                『ごきげんようで始まるDP戦略』(了)