「17-853」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

17-853」(2008/02/18 (月) 03:08:52) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

853 :サイトの使い魔 ◆mQKcT9WQPM :2007/08/02(木) 00:45:18 ID:JRPQXd56 中庭の方から声が聞こえる。 あの人の声が。 窓から中庭を見下ろすと、あの人が主人から逃げているのが見えた。 きっと、また何か彼女の気に障ることをして追いかけられているのだろう。 いつもの光景。 しばらく見ていると、彼は主人に捕まって叩かれて踏み潰されて殴られている。 やっぱり乳か!乳がいいのか!という彼の主人のよく響く甲高い怒鳴り声が中庭から聞こえる。 …また、あのメイドと何かやらかしたみたい。それともトリステインの女王とかな。 私は中庭で伸されたパン生地みたいになっているサイトを見ながら、思った。 …とーぜんの報い。 そこまで考えて、私ははっとなる。 …守るって、言ったのに。 かつて、私は誓った。命を賭けて私を守ってくれた彼に、命を捧げると。この命を賭して、彼を守ると。 なのに。 今の私は…嫉妬に駆られて、彼の不幸を望んでいる。 それは。 私が彼を、知ってしまったから。 彼の優しさを、温もりを、彼の味を。 でもそれは言い訳。 私の中のもう一人の私が冷酷にそう言い放つ。 彼の優しさに甘えているだけ。 そう…なのかもしれない…。 所詮、私が捧げたのは身体だけ。それも・・・今では、彼のため、というより自分のため…。 自分の満足のためだけに、彼の傍にいて、彼に抱かれて。 私は本当に、彼の為に全てを捧げているのだろうか…? もし、彼にそう尋ねたら、きっと。 彼は。きっと肯定するだろう。サイトは、誰よりも優しいから。 彼は優しすぎるのだ。 だから私は、その優しさについ甘えてしまう。彼の優しさは、私の決意や覚悟を簡単に溶かしてしまう。 私はもう一度、窓の外を見る。 あれだけさんざんルイズに痛めつけられても、彼はまた、彼女の下に戻っていく。 使い魔だから?多分違う。 彼はルイズに、主人に対する以上の感情を抱いている。 私はそれを知っていて、彼に抱かれる。 その時だけは、彼は私だけのものだから。 醜い独占欲。彼は私のモノなんかじゃない。彼の選ぶ選択肢に、私は介入してはいけない。 私は彼のモノで、彼のためだけにあるべき者だから。 …でも。 この心のモヤモヤは、なくならない。 どれだけ論理的に考えても。どれだけ心を静めても。 カレハワタシノモノ。 そう叫ぶ心の魔物は、けしていなくならない。もう、理性じゃどうしようもない。 私は彼が好きだから。世界で一番大事な人だから。 他の何もいらない。彼だけいれば、それでいい。 ぐるぐる回る想いが、私の思考をぐちゃぐちゃにする。 そんな時、不意に。 「おねえさまー!おなかすいたのねー!」 ドアを開けて、人間の格好をしたシルフィードが部屋に入ってきた。 …全く、この脳天気な使い魔は、人の悩みも知らないで…。 「だれがのーてんきなのね!日がな一日サイトのことばっか考えてるおねえさまに言われたくないのね!」 …どーしてこんなのが使い魔なんだろう…。 使い魔。そう、使い魔だ。 私は、ある事を思いついた。 それは、彼に全てを捧げる方法。肉体だけでなく、心も、全て。 私はシルフィードに私の分のお昼を食べていいから、と告げ、部屋を飛び出したのだった。 880 :サイトの使い魔 ◆mQKcT9WQPM :2007/08/03(金) 00:42:01 ID:niyEW2bw 死、死ぬかと思ったぜ…。 俺はルイズに殴られ、踏み潰され、半死半生だった。 いやまあ、シエスタといちゃいちゃしてた俺も悪いんだけどさ。 …正直俺よく身体もってるよな実際。 俺は身体を休める事も兼ねて、中庭の芝生に大の字になって寝転がる。 あー、今日はこのまま寝てようかなあ。 と、俺がのびをしていると。 不意に、視界が陰った。 「…サイト」 そこには、俺の顔を覗き込んでいるシャルロットがいた。 …ん?なんか思いつめたみたいな顔してんな。 いや、影になっているせいでそう見えるだけなんだろう。きっと。 「何か用?」 俺は起き上がりながらシャルロットにそう尋ねた。 シャルロットは、いきなり俺の手をきゅっと握って、 「来て」 それだけ言った。 …また何か企んでんのか?このチビっこ。 用件を話そうとしないシャルロットに、俺はもう一度聞いた。 「いきなり来てってだけ言われてもなあ。用件をちゃんと言ってくれよ」 そう言うと、シャルロットは俯いてしまう。 …なんか俺まずい事言ったか? しかし、そう思ったのもつかの間。 シャルロットは顔を上げた。 その目には、はっきりと見て分かるほど、力がこもっていた。 「私を、サイトの物にして欲しい」 …へ? …あのーう?またソレっすか? ていうことはアレっすか、ベッドの上の格闘戦の相手をしろと? 「…違う、そういう意味じゃない」 俺の表情から考えを読んだのか、シャルロットは首を振る。 そして、説明は無駄だと言わんばかりに俺の手を引く。 「あ、あのさ、そう言う意味じゃないんだったらどういう意味なわけ?」 俺はひっぱられながらそう質問するけど。 「部屋に着いたら説明する」 シャルロットはそれだけ言って。 結局、シャルロットの部屋の中に入るまで、説明はお預けだった。 881 :サイトの使い魔 ◆mQKcT9WQPM :2007/08/03(金) 00:43:12 ID:niyEW2bw タバサは部屋に着くと、とりあえず才人を椅子に座らせた。 そして、約束どおり、彼に説明を始める。 「あなたがこの世界に来たときの事、覚えてる?」 タバサの言葉に、才人は頷く。 今でも鮮明に覚えている。 抜けるような青空を背に、自分を覗き込むルイズの不審げな顔。 自分を見て笑う、ルイズのクラスメート達。 そして、いきなりのキス。 忘れようにも、忘れられようはずもない。 あれから、才人のハルケギニアでの第二の人生が始まったのだ。 「あの儀式を、もう一度やる」 へ?と才人は疑問を露にする。 つまり、どういうことだ? 才人の思考は、一つの結論をはじき出す。 「まさか、俺をシャルロットの使い魔にしようっての?」 才人を独り占めするために、タバサが使い魔の儀式をやり直そうと考えているのだと、才人は誤解した。 タバサはその才人の台詞を、首を振って否定する。 「違う。その逆」 「はい?」 「私を、サイトの使い魔にして」 真剣な瞳で、タバサは才人を見つめる。 そして、まだ信じられないといった顔をしている才人に、説明する。 「メイジでないあなたが、コントラクト・サーヴァントの儀式をしても、何も起きないかもしれない。  でも、これは私の気持ちの問題。  あなたに全て捧げると誓った、証が欲しい。カタチだけでもいいから」 そして、じっと才人を見つめる。 なるほど、そういうことか。 才人は取りあえず納得する。 シャルロットがそれで満足するなら、付き合ってやるか。 「わかったよシャルロット。  んじゃ、俺はどうすればいいんだ?」 才人の言葉に、タバサの頬が自然に緩む。 こんなふうに、普通に笑えるようになったのも…この人のお陰。 タバサはそんなことを考えながら、応える。 「今から言う呪文を覚えて。  大丈夫、コモン・マジックだから、ルーンは使わない」 そしてタバサは、才人がいつか聞いた、聞き覚えのある呪文を言った。 882 :サイトの使い魔 ◆mQKcT9WQPM :2007/08/03(金) 00:44:18 ID:niyEW2bw 「手順は…覚えてる…?」 「もちろん」 少し照れたようにそう言ったタバサに、才人は頷く。 才人の肯定を受け、タバサは才人の前に跪き、頭を垂れた。 それは、いつか才人が受けた、騎士の叙勲の動作に似ていた。 「…始めて」 俯いたまま、タバサはそう言った。 才人は跪くタバサの前に立つと、朗々と呪を唱えた。 「我が名は平賀才人。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔と成せ」 その呪文を聞いたタバサが、顔を上げる。 才人はタバサと同じように跪き、そして、タバサの細い顎に手を掛ける。 タバサの身体がぴくん、と小さく震えた。 才人の唇が、タバサに近寄る。 吐息が絡み合い、それぞれの視界がお互いの顔で一杯になる。 そして唇は重なった。 その瞬間、才人は己の身体の中に何か熱い物が点るのを感じた。 それは、体中を駆け巡り、才人の身体を火照らせる。 …なんだ、これ…? 例えていうなら、酒に酔った時に近い感覚だったが、酒に酔った時と違い、感覚が鈍る事はなかった。 しばらくそうして唇を重ねたあと、二人はどちらからともなく唇を離す。 「えっと…これで終わり、なんだよな」 才人の言葉に、タバサは頬を染めたまま、嬉しそうに頷く。 やっぱり、何も起きない。 でも、これで。 これで、私は、彼の物。カタチだけとはいえ・・・。 タバサの思考がそこまで考えた瞬間。 ずきん! 「うあっ!うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!」 体中に走った痛みに、タバサは思わず床に倒れこみ、叫び声をあげる。 「!大丈夫かシャルロット!」 突然苦しみだしたタバサを、才人は慌てて抱きかかえ、介抱する。 しかし、タバサの身体の痛みは治まらない。 …ひょっとして、ルーンが刻まれてんのか! 才人の脳裏を、あの時の痛みがかすめる。 才人は思わず、タバサを抱き締める。 「大丈夫だシャルロット、すぐ、すぐ終わるからな…!」 タバサは痛みのあまり才人にきつくきつく抱きつく。 才人の服の上から、爪をきつく立てるほど。 「く、うぁ、あぁぁ…!」 びくびくとタバサの身体が痛みに震える。 初めての時の痛みより、ずっと激しい痛みだった。 例えるなら、体の内側から、肉を突き破られるような痛み。 そしてその痛みは、才人の言うとおり、すぐに納まった。 才人は、腕の中のタバサの震えが納まった事で、タバサの痛みが止んだ事を知った。 883 :サイトの使い魔 ◆mQKcT9WQPM :2007/08/03(金) 00:45:51 ID:niyEW2bw 「大丈夫か?シャルロット」 才人は己の肩にもたれかかるタバサに、そう語りかける。 タバサは一度深く息を吸うと、無事を才人に伝えるため、身体を離して才人と正対した。 「平気」 それだけ言って、軽く微笑む。 才人はその笑顔を見て安心するが。 「…成功、しちゃったみたいだな。コントラクト・サーヴァント」 言って頬をぽりぽりと掻く。 タバサも、まさかメイジでない才人が儀式を行っても、儀式が成立するなどとは思っていなかった。 そして、儀式が成功したという事は、タバサのどこかに使い魔のルーンが刻まれているという事。 「…あ」 才人は、それをすぐに見つけた。 手を伸ばし、タバサの柔らかい前髪を、すき上げる。 それは、タバサの右の眉の少し上にあった。 何重も折り重なった六角形の中心から、放射状に伸びる直線、そして六角形の角からから飛び出た線からは、放射状に線が枝分かれしていた。 青みがかった銀色で構成されたその図形は、まさに。 雪の結晶、そのものだった。 「こんなところに…」 髪を下ろしていれば目立たない位置だったが、仮にも女の子の顔である。 才人は、ちょっとした罪悪感とともに、その印をなぞった。 タバサは、才人のなぞったそこを才人に習い、指でなぞる。印の分、少し肉が盛り上がっているのが分かった。 そしてその後のタバサの反応は、才人の予想していた物と違っていた。 「…嬉しい」 泣きそうなほど潤んだ瞳でそう微笑んで、タバサはもう一度才人に抱きつく。 今度は優しく、最大級の愛を込めて。 「これで、私はあなたのモノ。身体も、心も」 言って、才人の肩に頭を預ける。 いやあ、んなこと言われると・・・。 「…サイト」 タバサが呆れたような声を出す。 「あはは…ゴメン」 呆れたタバサが身体を離したそこでは。 才人のズボンの股間の布が、テントを張っていた。 「もう」 最初は呆れていたタバサだったが。 「しょうがないひと」 言って、そのまま才人のズボンのジッパーを降ろしたのだった。 884 :サイトの使い魔 ◆mQKcT9WQPM :2007/08/03(金) 00:46:41 ID:niyEW2bw シャルロットは小さな舌で、まるで棒つきのキャンディーを舐めるように俺の先端をぺろぺろと舐めている。 いつもならそのままぱっくり咥えるところなんだけど。 今日は、俺の息子を取り出してから、ずっと舌でぺろぺろしてる。 いやまあ、キモチいいんだけど。 このいけそでいけないギリギリのカンジ、なんとかなりませんかーっ! 「あ、あのシャルロット?」 俺は何度目かの呼びかけをシャルロットにする。 しかし、何度目か忘れたその呼びかけは結局ガン無視されるわけで。 くう。どうしたもんか。いい加減咥えてくれとか言った方がいいのかな。 とか思ってると。 「…ごめんなさい」 口を離して、シャルロットは謝った。 え?何?なんで謝るの? 「サイト、咥えるほうが好きなんだ」 いきなり図星を突かれた。 待て、俺は何にも言ってないぞ? 「…考えてる事、伝わってくる」 え。まさか。 そう思った俺の思考に、またシャルロットは応えた。 「…私がサイトの使い魔になったから…」 考えてる事を、言葉じゃなくても伝えられる? 「そう…だから」 言って、シャルロットは嬉しそうに微笑んで、俺のモノを咥えた。 伝えたいと思ったことは、言葉にしなくても伝わるの。 シャルロットの声が直接心に響いた。シャルロットの口は俺のモノで埋まっている。これは空耳なんかじゃない。 そうか、さっきのは俺が『言おうとしてたこと』だから、シャルロットに伝わったのか。 なんかヘンなカンジだな。使い魔ってのは。 …ルイズとこういうのは、したことないの? そういやないんだよな。アイツの目を通して物を見たりとかはあっても、心で会話とかは今のところ、ない。 …そうなんだ。 今の声には、なんとなく優越感みたいなものが感じられた。 まあルイズと比べるのもなんだけど、コイツも結構負けず嫌いだよな。 とか考えてると。 ヤバ、限界くせえ! どくどくどくっ! シャルロットの口の中で俺の一物が弾け、シャルロットの小さな口の中に欲望を吐き出す。 ちょっと勢いがよすぎたのか、シャルロットは軽く咽こむ。 885 :サイトの使い魔 ◆mQKcT9WQPM :2007/08/03(金) 00:47:25 ID:niyEW2bw …出すなら言ってよ…。 咽こみながら、今度は心の声で文句を言ってくるシャルロット。 しょーがないだろ、シャルロットの口が気持ちよすぎるのがイケナイ。 …………………ばか。 うを、なんだ今の!なんかすっごいきゅんきゅんしたカンジのが伝わってきたぞ!? ひょ、ひょっとしてあれか!嬉し恥ずか死にそうってカンジのアレか! 言葉じゃ伝わらないようなこういうビミョーな感情も伝えられるのか。すごいな、コレ。 よしじゃあ俺もありったけの感情を込めて見る事にする。 …………………………………………っと。 伝え終わると。 シャルロットの顔が、ぽん!と音を立てそうな勢いで真っ赤になった。 …………も、もう、ホントに種馬なんだから……。 種馬ってのは酷いなシャルロット。 ……そうでしょ。いきなり、あんな……。 シャルロットが可愛いのがいけないんだぞー? ……………………………………………ばかぁ…………………………。 うわぁ!なんかまたキタ!すっごいぎゅんぎゅんキタ! ひょっとして、女の子の『したい』ってこーいう感じなのか!?いやむしろシャルロット限定? くぁー。なんかもうたまんないや。 俺は自分の理性の限界を感じ、シャルロットをそのまま床の上に押し倒す。そして、心で伝える。 じゃあ、いくよ、シャルロット? ………うん。 キスと一緒に届いたその言葉には、とても暖かい気持ちが載っていた。 目を醒ますと。 私はベッドの上で、シーツに包まったハダカの彼の腕に抱かれていた。 私のほうは、ニーソックスだけ履いただけの格好。 …サイトがこういうのがいい、って言うから。 ううん。言ったんじゃないけど。 ちょっとアレかな、とは思うけど。彼の望む事だから。 そう、私はこの先、彼の望むことには全て従う。 私は彼の使い魔だから。 私はそっと右の額に手を伸ばす。 そこには確かに、使い魔の印が刻まれている。 この印こそが、私が彼の物である印。 私と彼を結ぶ、幸せの鎖。 私は彼を起こさないように、言葉だけでなく心も伝えないように、そのまま彼の腕を枕に、まどろむ。 そして心の中だけで、こう囁いた。 ずっと一緒だよ、ご主人様…。  〜fin

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
目安箱バナー