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375 名前:359[sage] 投稿日:2006/08/30(水) 18:49:40 ID:fESvXxMR
メイジは生前の得意属性に準じた葬られ方を最後の演出とすることもある。
とはいっても大半が貴族であるメイジが屍を醜く朽ちさせるはずもなく
荼毘にふした後、火属は死火山の火口・風属は強風の渓谷・水属は故人ゆかりの水辺などに散骨される
といった辺りだが土属のように特段場所を選ばない例もあり土式が選択されることも少なくない。
そして今また一人のメイジの墓標がこのゲルマニアの地に作られた。
墓石の前には紅髪と蒼髪の少女が2人佇むのみ。見送りが少なくは有るが珍しい例でもない。
墓の主がトリステインという異郷で倒れた身より無き異邦人である、ということを除いて。
自分よりは幾分に興味薄げに感じられつつも付き合ってくれている蒼髪の友人から手前へ
視線を向け直し、墓の主に語りかけ始める。
「ミスタ・・・以前『火の本質』について私にお訪ねになりましたわね。
そして私の答えにこうも返されました。
?情熱はともかく『火』が司るものが破壊だけでは寂しい?と、そして?だがそのとおりだ?とも」
先生が二十年かけても明確に見つけられなかった火の寂しさを補うもの・・・ラ・ヴァリエールの
使い魔の彼がそのヒントをもたらしてくれた矢先での戦争と学院への襲撃・・・心残りがあったか
どうかまでは勘繰るべきではないかもしれない。
少なくとも彼は過去の因縁に区切りをつけて逝ったのだから。
「でも、それでも私は探しますわ。そして今度こそ胸を張って『火の本領』を開帳してみせます。
この宿題が達成できた暁にはあの指輪を形見分けしてもらっても宜しいですよね、ミスタ・コルベール」
彼の遺品、というよりも研究小屋の一切合財は再調達可能なものは処分、再入手困難であるうちの経年劣化しそうなものには固定化呪文がかけられ墓地近くの祠兼保管庫に収められている。
そう、あの指輪も。
170 名前:前375より1/2[sage] 投稿日:2006/09/09(土) 18:02:12 ID:vwcg2lYu
「さてと挨拶は済ませちゃったし、後はお見送りしかできないけど・・・」
紅髪の少女は少し離れて黙祷するかのように瞼を閉じている蒼髪の友人に向き直った。
「せっかく同行してもらったんだしもう一肌脱いでくれない?シャロ」
蒼髪の少女には聞こえているはずだが返事も反応も無かった。
「聞こえてるんでしょ〜? あんまり気乗りしない事かもしれないけど、私にとって区切り
付けるのに必要なんだからお願いよぅ」
両肩に手を置き揺さぶられようとする直前、反応があった。主ではなくその使い魔である
風竜の幼生が二人のもとに舞い降りてきたのである。ついで多少怪訝な面持ちの主の声。
「聞こえてる・・・けどシャロって誰のこと?」
「誰のことも何もここには私と貴方しかいないわよ。その上で私が呼んだんだから普通は
貴方のことになると思うけど?」
「私の名前は、タバサ・・・今はまだそれだけ」
自嘲気味とも取れる返事
キュルケは友人の肩に置いた両手に少し力を込めて語りかける
「あのねシャルロット、貴方がどういう経緯でタバサを名乗ってるかも聞かせてもらったわよ。
けど貴方は人形じゃない、貴方の友達として貴方を人形の名前で呼びたくは無いのよ。
でもまぁ本名そのままじゃ色々と面倒そうだし少し呼びづらいじゃない、だから縮めてシャロ♪
・・・っていう理由だけじゃダメ?」
一気にそこまで言い切って紺碧の瞳を覗き込む。しばしの沈黙の後きびすを返しつつ
「二人でいるときだけ・・・」
そういう声はどこか幸せな色を帯びていたようにキュルケは感じた。
171 名前:前375より2/2[sage] 投稿日:2006/09/09(土) 18:02:51 ID:vwcg2lYu
時を置かずして二人は、タバサの使い魔シルフィードに乗りゲルマニアの空に飛んでいた。
「・・・」
「ここから二十秒ほど東に飛んで頂戴、そこまでは黙祷。で到着したら二回旋回して報せて」
これからどうするのだという友人の無言の問いを察知しつつキュルケは指示を出す。タバサも
心得たと頷くと風竜に耳打ちし、瞼を閉じた。
〜二十秒後〜
いくら風竜のあしといえども二十秒でそう移動できるものでもない、眼下の景色も取り立てて
違いがあるようにも見えないのだが・・・。
風竜の旋回を感じてキュルケは瞼を開く、そして再度指示を出した。
「頼みっぱなしで悪いんだけど、貴方の風の呪文で先生を東に送ってもらえないかしら?
風だけだと少し寒いかもしれないから私も簡単な火の呪文を使うけど。」
そう、全ては彼を?「炎蛇」の?としてではなく?教師?コルベールとして送る為。
悔恨と償いと救済を求めて研究にあたった二十年、使い道の全く無いような愉快な蛇君にたどり着き
それを評価してくれた少年が来たという東方ロバ・アル・カリイエに興味を示した彼をそこへ。勿論、
ゲルマニア領内からタバサの風呪文で飛ばしたところで届く筈も無いが今の自分にはこのぐらいしか
できそうもないのだから是非も無い。遺灰の半分は墓に収めてあるから宿題の提出先もちゃんとある。
「別に嫌じゃない・・・。最期まで自分を持って人生を終えることができた人を送る事ができるのは
それ自体が名誉なこと・・・。」
少し陰を帯びた返事に、あぁお母様のことね、と察しつつキュルケは杖を取り出す。
「せっかくだしタイミング合わせて行きましょ、シャロ」
了解したとタバサの杖が動き、一拍置いて詠唱が始まる。キュルケが唱えようと思った呪文よりも
一呼吸長い詠唱節の呪文という気の利かせようは彼女ならではかもしれない、と思いつつ自分の詠唱に
かかる。
(時期が来たらサイトも東方へ帰る事があるかもしれません、それまで先に行っていてください。
そしてその時が来たら彼が無事辿り着けるように導いてあげてくださいましね、ミスタ)
数秒後、風と火のドットクラス呪文の連繋によるラインスペルによりかつてコルベールであったものは
ゲルマニアの空より東方へと消えていった・・・。
172 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/09(土) 18:09:59 ID:vwcg2lYu
この後、キュルケとタバサが百合ったり
落ち込んでるルイズを見かねたシエスタがモンモンに頼み込んで
サイトの残り香を発する香水を作ってもらいルイズと二等分したり・・・。
で、二人してその香水でサイトを想って致しちゃったり、とか企んでたんだけど
どうにも形に出来なかったので誰か代わって書いてくだせぇ・・・。
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