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119 名前: 使い魔の寝床 ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日: 2007/09/18(火) 23:49:21 ID:LDkAvjHO ぶるっ。 真夜中。 生徒たちはおろか使用人たちすら全て寝静まり、起きているのは夜警の者のみ、といった時間。 蒼い月明かりに照らされて、青い髪の少女は布団の中で身震いした。 そして、身震いの原因をぽそりと言い放つ。 「…おしっこ…」 ぼんやりとした顔で眼鏡をかけ、いつもの大きな杖を手に取り、寝巻きのままゆらりゆらりとタバサは歩き出す。 一階の、共同トイレに行くために。 魔法学院のトイレはトリステインでも珍しい、水洗式である。 用を済ませたタバサが個室の上から延びる紐を引くと、便器の中にタンクから水が流れ込み、タバサの尿を押し流す。 じゃぁぁぁーっ。 タバサはしばらくぼーっとその渦を眺めた後、やっぱり寝ぼけ眼でぽてりぽてりと廊下を歩いていく。 自分の部屋に戻るために。 丁度その頃。 ぶるっ。 真夜中。 使い魔はおろか使用人たちすら全て寝静まり、起きているのは夜警の者のみ、といった時間。 蒼い月明かりに照らされて、桃色の髪の少女は布団の中で身震いした。 そして、身震いの原因をぽそりと言い放つ。 「…おひっこ…」 ぼんやりとした顔で使い魔の腕枕から起き上がり、寝巻きのままもそりもそりとルイズは歩き出す。 一階の、共同トイレに行くために。 魔法学院のトイレには、当然の事ながら手洗い場がある。 しかしその手洗い場は普通のソレではなく、竜の首を象った蛇口の上に手をかざすと、水が流れる仕組みだった。 用を済ませたルイズが手を洗うためにその竜の口に手をかざす。 じゃぁぁぁーっ。 水が流れ、ルイズはその水で手を洗い、そしてそのままぽけーっと水の流れるのを見ていた。 ルイズはしばらくぼーっとその小さな滝を眺めた後、やっぱり寝ぼけ眼でもう一度手をかざして水を止め、ぺたぺたと廊下を歩いていく。 自分の部屋に戻るために。 120 名前: 使い魔の寝床 ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日: 2007/09/18(火) 23:49:59 ID:LDkAvjHO 丁度その頃。 タバサは今にも落ちそうな瞼と必死に戦いながら、温かいベッドを目指していた。 大きな杖と三角形のナイトキャップが、その歩みに合わせてへにょへにょと揺れる。 タバサは目的地の扉に辿り着く。 …そう、ここ。 一番、安心して眠れる場所。自分の居場所。 タバサは音もなく扉を開けると、てちてちと寝ぼけ眼でベッドに寄って行く。 ベッド脇に杖を立てかけ、脇の円卓に眼鏡を置いて、シーツをめくって潜り込む。 もそもそとベッドの中央まで登り、ちょっと硬いベッドの上で大きく深呼吸。 …うん、すごく、落ち着く…。 タバサはちょっと硬いその枕に顔を埋め、そのまますぴすぴと眠りに着いた。 そのちょっと後。 ルイズは今にも襲い掛かってきそうな睡魔と必死に戦いながら、才人の居るベッドを目指していた。 長いウェーブのかかった桃色の髪が、その歩みに合わせてふわふわと左右に揺れる。 ルイズは自室の扉に辿り着く。 …ねむー。早くねよー…。 だいすきな人の腕の中で。いちばんたいせつな場所で。 ルイズは軽い音を立てて扉を開けると、寝ぼけ眼でよろよろとベッドに寄って行く。 ベッド脇に何か長いものが立てかけてあったけど眠いからパス。 脇の円卓にあるのは昨夜才人と飲んだワインとなんか丸いもの。 ルイズはシーツをめくって目的のものを発見する。 そこにあったのは、ルイズ専用の腕枕。才人の左腕だった。 ルイズはとベッドに登り、才人の左腕を枕に決め込むと、大きく深呼吸。 …さいとのにおいだぁ…。 ルイズはちょっと硬いその枕に顔を埋め、才人のにおいに満足しながら、そのままふがふがと眠りに着いた。 121 名前: 使い魔の寝床 ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日: 2007/09/18(火) 23:50:54 ID:LDkAvjHO そして次の朝。 目を醒ますと、シエスタが目の前で固まっていた。 ルイズは差し込む朝日に目を擦りながら、才人を挟んで反対側で固まるシエスタに尋ねる。 「どしたのシエスタぁ?」 シエスタは応えない。 その代わりに、目の前の大きく膨らんだシーツを指差している。 ルイズはなんじゃらほい、と思ってシーツをめくる。 「な」 ルイズも固まった。 そこにいたのは。 青いナイトキャップに青い寝巻きを着込んだ、タバサがいた。 才人の胸板の上で、まるで才人に抱きつくようにうつ伏せになって、すぴょすぴょ寝息を立てている。 先に、その衝撃から立ち直ったのはルイズだった。 「なにやってんのよチビっこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」 問答無用でタバサを踏み潰…せなかった。 タバサは半ば反射行動のようにがばっ!と起き上がり、ルイズの蹴り、というかフットスタンプを避ける。 ぼぐ! 「たわば!」 妙な声をあげて才人が眠りから気絶に突入したがそんなことはどうでもいい。 タバサはそのまま流れるような動きで杖を手にして眼鏡をかけ、杖を構える。 ナイトキャップと寝巻きが妙にラブリーだ。 「…いきなり何するの」 「それはこっちのセリフよっ!人の部屋で人の使い魔に何さらしてんのよアンタわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 「そうですよ、どこから入ったんですか!」 ルイズはどこから取り出したのか、杖をすでに構えていた。 シエスタもどこから取り出したのかフライパンを取り出して臨戦態勢だ。 二人ともネグリジェじゃいまいちサマにならないが。 タバサは二人の言葉に、辺りをきょときょとと見渡す。 そして。 「サイト!?」 心の声と同時に呼びかけるが、才人は応えない。 全力で気絶していた。 そして気付く。 「ここは…サイトの部屋?」 「私の部屋だってば」 「そうですね」 別々の答えが返ってきたが、その意味するところは同じ。 どうしてこうなったのかタバサは理論的に考えてみる。 自分は、サイトの使い魔になった。 使い魔は、自分の主人の下が一番安心できるという。 だから、寝ぼけた状態の自分は、一番安心できる場所…才人のところへ、やってきた。 ならば。 122 名前: 使い魔の寝床 ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日: 2007/09/18(火) 23:52:27 ID:LDkAvjHO 「…これは、当然の帰結」 「はい?」 「どういう意味ですか?」 首を傾げる二人に、タバサは淡々とありのままを説明した。 二人の目が点になったのは言うまでもない。 そして、証拠の使い魔の印である、額の雪の結晶を見せた瞬間、ルイズがキレた。 「くぉら犬、何主人の許しもなしに使い魔作ってんのよぉぉぉぉぉぉぉぉ!」 とんでもない言いがかりだが。 その言葉と同時に発された魔法は、才人をボロ雑巾のごとく吹っ飛ばしたわけで…。 123 名前: 使い魔の寝床 ◆mQKcT9WQPM [sage ] 投稿日: 2007/09/18(火) 23:53:16 ID:LDkAvjHO 目を醒ますと、どこかで見たようなベッドの上にいた。 そして起きようとした。 ずっきぃん! うわっだだだだだだだだだだだだ! な、なんだ?身体中いてえぞ? よく見ると、俺は身体中包帯でぐるぐる巻きにされて、ベッドに寝かされている。 …あ、目、さめた? 不意に、頭の中に心配そうな声が響く。 え?シャルロット? 俺がベッドの脇をなんとか向くと、そこにはシャルロットがいた。 …うん。身体大丈夫? …大丈夫じゃないし、この状況は何? 俺の心の質問に、シャルロットはしばらく考え、そして、声で応えた。 「…ルイズに、契約のことがバレた」 …………………………………………。 ………………………………………………。 な、なんだってー!(AAry る、ルイズに使い魔の契約のことがバレたってー? そ、それで俺殺されかけたんか!なるほどなっとく! じゃなくて! そこまで考えて、そこにシャルロットの心の声が割り込む。 どうやら、心の声をだだ漏れにしていたらしい。 …心配しなくていい。 ゑ? どういう意味なんだ? そう思った俺に、シャルロットは応えた。 …ほとぼりが冷めるまで、私のトコロにいればいい。 その声には、なんだか嬉しそうな感情が篭っていた。 …あの、シャルロットサン?そういう問題では …それまで。 うを?な、なんじゃこのメガ嬉しい感情の奔流は? 戸惑う俺に、シャルロットは声と一緒に言った。 「サイトは、私だけのご主人様、だから…」 その言葉と一緒に、シャルロットの感情が一気に俺の中に流れ込んでくる。 ………本当に、心の底から幸せなんだな。 ったく、しゃあねーなぁ。 「じゃ、シャルロット、まず一個お願いしていい?」 「なに?」 「お腹すいたから、なんか食べさせて」 「うん♪」 とりあえず、しばらくの間。そう、とりあえず怪我が治るくらいの間。 俺は、この小さな青い髪の使い魔のところに、世話になることに決めた。〜fin

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