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379 :GIFT(1):2007/10/23(火) 19:13:09 ID:UKKj1zPe   地球から遠く離れた異世界の大陸ハルケギニア   この世界の多くの事象が魔法によって動いているように、俺がかつて居た世界は科学に支配されていた 科学はその進化の過程で、当時の地球にはありえない物から影響を受けた痕跡を数多く残しているらしい オーパーツとかオーバーテクノロジーとか言われているそれらはどこかの世界から一方的に送られた物で それが後の地球にいい影響を及ぼしたのか、それともいずれ来る破滅を早めた物なのかはまだわからない トリスティン魔法学院の静かな裏庭、分厚いが軽い多孔質の石で囲まれた半地下の部屋 日本の基準でいえば12畳ほど、ガラン洞の部屋の中、俺とルイズは手を握りながら魔方陣の中心に居た ルイズが呪文を詠唱する 俺の体内を何か気味悪い物が通過する感触、手のルーンが熱い、頭が、脳のどこかがもっと熱かった 爆発 魔方陣の中心には俺とルイズ、そして煙を発する何かが三位一体の調和を描くようにそこにあった 未だ全貌の知れない虚無の使い手にして魔法学院の劣等生、ルイズは最近、新しい魔法を習得した 俺は手を離してしゃがみこみ、自分とルイズの前に現れたもの、俺と彼女が召喚したものを手に取った いくつもの銀色の星が光る白い箱、それは中身が半分ほど無くなった煙草、セブンスターの箱だった   俺とルイズの協力によって発動する魔法は、異世界の物品、俺の世界にある物々を召喚する魔法だった   380 :GIFT(2):2007/10/23(火) 19:13:47 ID:UKKj1zPe 最初は偶然だった、明日の筆記試験に備え、部屋を歩き回りながら召喚の呪文を暗誦していたルイズが 例の如くすっ転びそうになり咄嗟に俺の手を掴んだ、突然、魔法が発動し、出てきたのはカマボコだった その魔法をルイズが習得して以来数回目の召喚魔法実験、この世界で某かの役に立つ物は出てこなかった ルイズの魔法に付き物の爆発に対応する為に、軽石に似た材質の石壁に衝撃吸収の魔法を施した部屋 どこかで似た物を見た記憶がある、俺が通ってた都立高の裏、ブロックで囲まれたプロパンの貯蔵所   プロパン部屋の中には数人の人間が居た、オールド・オスマンと、実験結果の記録を志願したコルベール そしてルイズの担当教官シュヴルーズ、赤土のシュヴルーズの二つ名を持つ肝っ玉オバサンだった 家では8人の子供を育て上げ、故郷を離れて寄宿舎で暮らす学生からは「お母さん」と慕われる教師 「魔法は使い手の人生を語る」という古えの言葉を地で行くような、智仁勇兼ね備えたメイジだった 今日は土系統の魔法を詠唱に取り入れた実験をする為、学院きっての土のメイジに特に同席をお願いした   俺はセブンスターのソフトパックを摘み上げた、俺が生まれた世界に居た頃に触れたくもなかった物 煙草は俺にとって依存性につけこんだ合法毒物だった、俺の祖父と叔父は肺気腫と食道癌で早死にしている 「これは確かに俺の居た世界のものです、しかし何の役にもたたないものです、焼き捨ててください」 潔癖なコルベールも、コカに似た葉の水キセルを時々嗜むオールド・オスマンも、その紙巻煙草を眺め 匂いを嗅ぎ、合成香料と調味料のたっぷり入った日本製煙草の臭いに顔をしかめると、俺の言葉に頷いた シュヴルーズ先生はセブンスターの箱を拾い、艶のある紙に印刷された幾つもの星に指で触れ、呟いた 「……これは…贈り物です……」 「贈り物?この世界をまた一つ汚くする贈り物ですか?それは俺の世界では百害あって一利ない物です」 落ちこぼれのルイズや優等生のタバサ、素行不良なキュルケを分け隔て無く育てる母の言葉には抗えない 「汚いもの、利のないもの、そんな物は決して存在し得ません、それを手にとる人間が道を誤らなければ」   煙草は嫌いだ でも俺が子供の頃、ドライブに連れてってくれた叔父さんがプジョーを運転する前と後に必ず吸う煙草 その匂いは嫌いじゃなかった、フィルターの無いジダンの煙を幸せそうに吐く叔父さんが大好きだった   「……贈り物…そうかもしれないな、お中元だって美味いもんばかりじゃないし……」                     それは贈り物の物語

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