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364 :戦場のメリー・クリスマス〜シエスタの見た夢 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/03(月) 03:46:46 ID:iv147R+v
「起きて下さい、サイトさん」
耳慣れた声に目を醒ます。
目を開くと、黒髪のメイドがベッドに腰掛け、自分に呼びかけていた。
「んあ?シエスタ…?」
寝ぼけ眼で身体を起こす。
すると。
シエスタはかぶり布団を才人から器用に剥ぎ取った。
「うわさぶっ!?シエスタ何すんだよっ?」
上半身裸の才人は、身体を抱えてシエスタに抗議する。
「はーい、今日はせっかくの冬の晴れ間ですからねー。
お布団干しちゃいますよー」
言って今度はベッドのシーツに手を掛ける。
外は確かに快晴で、絶好の物干し日和だった。
しかし。
「だから寒いって!」
快晴で室内とはいえ、冬の空気は半裸の才人にはキツかった。
シエスタはそんな才人に、指を突きつけながら言う。
「いつまでもそんな格好してるからです。
さ、早く服着てください」
さすがにこのまま凍えているわけにはいかないので、才人はシエスタに言われるまま服を着る。
その間にも、シエスタはてきぱきとシーツとかぶり布団をまとめ、抱え込む。
「シエスタって、なんだかお母さんみたいだな」
なんとなく呟いた才人の言葉に。
「…もう、何言ってるんですか。
ほら、早く朝ごはん食べてきてください。ミス・ヴァリエールが食堂でお待ちですよ」
そういえば、既に部屋にルイズの姿はなかった。
「やっべ、急がないとまた不機嫌になる!」
「いってらっしゃ〜い」
シエスタに見送られ、才人は寮の廊下を駆け抜ける。
そして、駆け抜けながら思うのだった。
シエスタみたいな子がお嫁さんだったら、最高なんだろうな、と。
365 :戦場のメリー・クリスマス〜シエスタの見た夢 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/03(月) 03:47:50 ID:iv147R+v
夢を、見ていた。
どこか遠くで、こことは違う場所で、生活する夢。
それはとても楽しく刺激的で。
いつまでもそうして、まどろんでいたかった…。
「起きて下さい!才人さん!」
夢は唐突に終わる。
聞きなれた声が耳元で炸裂し、才人は思いっきり布団を跳ね上げて起き上がる。
「うわっ!?なんだなんだっ?」
慌てて辺りを見渡す。
目に入る、見慣れた部屋の光景。
白い壁紙。その壁に立てかけられたスチール製のラック。そのラックに雑多に積まれた書籍と、オーディオ機器。
そしてその前で、腰に手を当てて怒っている制服の少女が一人。
黒髪のその少女は、まだ寝ぼけ眼の才人に、顔をぐーっ、と近づけて言った。
「ほら、早く着替えて!また遅刻する気ですか?」
言いながら、手に持った橙色の折りたたみ式の携帯を開いてみせる。
可愛らしい猫の時計の壁紙が、十二月二十四日の午前八時前を指していた。
このままだと、二人は確実に二学期最後の始業時間に間に合わない。
「うわっ?もうこんな時間っ?」
慌ててベッドから飛び降りる才人。
その才人に、少女はてきぱきと着替えのブレザーとカバンを渡す。
「はい、着替え。ネクタイはあとで締めてあげますから、制服だけ着て。
今日の準備は全部しておきましたから。携帯もカバンの中」
手渡すとすぐに、ぐちゃぐちゃのベッドの掛け布団をばさっ、と開いて直す。
才人は慌てて制服に袖を通し、脱いだパジャマを放り投げる。
「あーもう!脱いだらきちんと畳んで!
時間ないんですから慌てずに急いで!」
「ムチャゆうなよ!全く、結婚前からこんなのって、先が思いやられるよ…シエスタ」
「…それはこっちの台詞です。いつまでもだらしのない許婚じゃ私が困るんです」
言いながら才人のネクタイを締める少女の名前はシエスタ。
才人の幼馴染であり、そして、両家の親が認めた許婚でもあった。
準備を整えた二人は玄関を飛び出していく。
「行って来ます!」
「それじゃ行って来ますね、おばさま」
パンを咥えた才人を、シエスタが押しながら駆けていく。
二人の背中を、才人の母親が手を振りながら見送った。
366 :戦場のメリー・クリスマス〜シエスタの見た夢 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/03(月) 03:48:46 ID:iv147R+v
「ま、間に合ったぁ」
閉じた校門の内側で、才人は肩で息をする。
その隣では、シエスタが同じように肩で息をしていた。
「これで、無事冬休みが迎えられますね」
言ってにっこり笑うシエスタだったが。
「…残念ながら、そういうわけにもいかないんですよ」
言って二人に話しかけたのは、生徒指導部教諭、コルベール。
「え?それってどういう…」
そう尋ねる才人に、コルベールは手元のボードに挟まれたプリントを才人に見せる。
そのプリントには二学期の遅刻・欠席数がカウントされており、才人のそれはちょうど三十回に達していた。
「遅刻三十回。罰則規定により、終業式の後片付けをお願いします」
「え?ちょっと待って先生、俺まだ二十九回しか…」
才人の言うとおりだった。
二学期に入って、才人は二十九回しか遅刻していない。従って罰則発生しないはずであった。
「お忘れですか?夏休み中の登校日、才人君遅刻してきましたよね」
「え」
「夏休み中の登校は、二学期分にカウントされます」
「えええええええええええええーっ!?」
頭を抱える才人だったが、結果は覆らず。
結局、終業式の後片付けをする羽目になったのだった。
367 :戦場のメリー・クリスマス〜シエスタの見た夢 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/03(月) 03:50:26 ID:iv147R+v
後片付けをまかされた才人の仕事は、主に体育館の隅に並べられた教員用のパイプ椅子を片付けることだった。
それ自体は、1時間もせずに終わるような内容の仕事だったのだが、いかんせん始めたのが大掃除の後では、遅すぎた。
才人がヒイコラ言いながら椅子を片付け終わった頃には、外は真っ暗になっていた。
才人は慌てて玄関に向かう。
「うっわ、もうこんな時間かよ!」
「お疲れ様でした。三学期は遅刻は少なめにね、才人君」
コルベールは手を振って、会釈だけ返した才人を見送った。
才人が慌てて家に帰ると、ダイニングで冷め切ったクリスマスのご馳走が、『お母さんたちはちょっと氷川くんのクリスマスライヴに行ってくるからあとはよろしく♪』と言う手紙と、物凄く不機嫌な顔の、制服の上にエプロンを着たシエスタと一緒に待っていた。
「…オコッテル?」
恐る恐る、才人は尋ねてみる。
「…怒ってます」
言ってシエスタはぷい、と横を向く。
どうやら怒っているようだ。
「…今日、帰りにデートしてくれる約束でしたよね」
むすっとした顔で、シエスタは才人を責める。
彼女の言うとおり、今日のクリスマスイヴ、才人はシエスタとデートの約束をしていた。
というより、持ちかけたのは才人の方だ。
まず映画。そしてプレゼントを買い、家へ。夕食の後、以下省略。
という予定だったのだが。
今からではせいぜい夕食その後、くらいなものだ。
「あ、あのさ」
「…言い訳は聞きたくありません」
言ってシエスタは、テーブルの上のフライドチキンの皿を電子レンジに突っ込む。
レンジを淡々と操作するその背中には、妙な気迫がこもっているように見えた。
「え、えと、怒ってる?」
さっきと同じ質問を、才人は繰り返す。
「えーえ、怒ってます」
背中を向けたまま、シエスタは応える。
一切才人の方を向かないのがなんだか怖い。
才人はなんだか声を掛けづらくなって、ごにょごにょと下を向いてしまう。
「…全く。どこかの遅刻魔人のせいで、せっかくのクリスマスがダイナシです」
言って、温め終わったフライドチキンの皿をどすん、とテーブルの上に置く。
その音にびくん!と身体を震わせる才人。
顔を上げると。
息のかかりそうな距離に、シエスタの顔があった。
「あ、あの、シエスタ?」
「ダイナシにしたぶん、しっかり償っていただきます♪」
その満面の笑顔は、才人には何故か怒っているように見えた。
368 :戦場のメリー・クリスマス〜シエスタの見た夢 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/03(月) 03:51:47 ID:iv147R+v
まずは、ダイニングで一回。
当然の事だ。裸エプロンで迫られて抵抗できるほど才人に根性はないのだから。
そしてお風呂で二回。
致し方のない事である。圧倒的な物量と、そしてシャンパンで紛れ込んだアルコールが才人の理性を場外までかっとばしたのだから。。
才人が疲れきって寝巻きで部屋に戻ったら。
「さーいーと、さん♪」
超ミニのサンタが、ベッドの上でおいでおいでしていた。
「あのー、シエスタさん…?」
疲れきった顔で、才人は部屋の入り口から黒髪のミニスカサンタを見つめる。
「まだ、なさるんで…?」
若いとはいえ、さすがに一夜で立て続けはこたえる。
しかし。
「何言ってるんですか。ここからが本番ですよ♪」
言って、それまで横で組んでいた足を才人の方に向け、膝を立てる。
そして。
膝を立てたまま足を開いて、膝の下から手を差し込む。
当然、シエスタは履いていなかった。
くぱぁ。
自らを両手で割り開き、真正面から才人に晒す。
粘液に滑る桜色の肉襞が、真っ赤に充血した肉の真珠が、才人の視線を釘付けにする。
ごくり、と才人の喉が鳴り、悲しいかな、男の本能が目覚める。
「ほぉらサイトさん♪」
立てられた膝の間で、シエスタはにっこり笑う。
それは、発情した雌の肉食獣に酷似していた。
「サイトさんの、クリスマスプレゼント…。
いーっぱい、くださいな♪」
才人は一瞬くぅ、と考え込んだが。
「ええいもう、明日っから冬休みだし!どーとでもなれー!」
叫んでパジャマを脱ぎ去り、シエスタに飛び掛ったのだった。
369 :戦場のメリー・クリスマス〜シエスタの見た夢 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/03(月) 03:53:06 ID:iv147R+v
「サイトさん、お・き・て♪」
シエスタは才人の耳元でそう囁き、彼の耳朶に熱い吐息を吹きかける。
「うわっ!?もうカンベンっ!?」
意味不明な叫び声を上げ、才人はがばっ!と起き上がった。
「さぶっ!?」
そして慌てて布団の中に戻る。
何故か裸だったから、冬の外気は余計にこたえた。
「おはようございまぁす」
シエスタの声は布団の中から聞こえた。
才人が布団を捲り上げると。
才人の下半身に柔らかい胸を乗せて、朝立ちの真っ最中の、才人の一物の向こうで全裸のシエスタが微笑んでいた。
「ちょ、シエスタなにしてんだよっ!」
「んー。夢の続き、かなー。
サイトさんてばあんな夢見せるんだもの。欲しくなっちゃうじゃないですか♪」
言って、柔らかい二つの肉球で才人を包み込む。
「ほ、欲しくなるって何を?」
この状況で何を言ってるんだか、とシエスタは思ったが。
盛り上げるために、あえて応えることにした。
「『クリスマスプレゼント』ですよ♪いっぱい出してください、サンタさん♪」
「ってそれ違っ…!」
才人に反論する隙も与えず。
シエスタは、口と胸を巧みに使って才人を搾りにかかった。
結局、その日才人は夢の中とたいして変わらない回数、シエスタに搾り取られたのだった。〜fin
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