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503 名前:未来図β  ― 年越しの定番[sage] 投稿日:2008/01/01(火) 00:12:51 ID:z+cCEjoy 「あー……あったかくて気持ちいいわね」 「ああ。コタツって最高だろ?」  二人はぬくぬくと才人が持ち込んだコタツに入ってあったまっていた。  コタツのコンセントは部屋のゲートを抜けて才人の部屋のタップに。  それに並んで伸びるテレビ線は、これまた才人の部屋のジャックに繋がっている。  結果、ハルキゲニアにはありえない光景がそこにあった。  ルイズの部屋に、コタツとテレビ。  ベッドなどはそのままなので、そこは一人暮らしの部屋の様相を呈していた。  ルイズは気持ちよさそうに天板にコテンと頭を乗せている。  コタツで丸くなる猫のような姿のルイズを才人は微笑ましく見つめた。 「このミカンってフルーツもおいしかったわ」 「ああ。これが日本の年越しの定番なんだぜ。こたつでみかん」 「へえ〜。他にもなにか定番はあるの?」 「そうだなぁ……あ、そうだ。年越しの日は年越しそばを食べるんだよ」 「トシコシソバ?」 「さっき持ってきて食わせただろ。あれが年越しそば」 「あぁ、さっきのね。なんか不思議な匂いで温かくてしょっぱくてざらざらしてたわね」 「お前おとなしく食べてたけどさ、あれってズルズル啜るのがマナーなんだぞ」 「な、なぁに?それ。下品じゃないの」 「ソバはそういうもんなの。ズルズル啜って食べる程旨いよ、って意味なんだってよ」 「ふぅん、変わった文化ね。わざわざ杖2本で挟むなんて小難しい食べかたするし」 「あれは杖じゃなくて2本1揃えで箸っていうんだよ。ま、文化って地域それぞれ違うもん だからなぁ。世界まで違うんだからコレくらい驚かねぇだろ?」  そう話しているうちに、ゴーン、ゴーン、とテレビから鐘の音が聞こえてきた。 「あ……もうすぐだぞ、新年」 「なぁに、これ?」 「除夜の鐘って言って、108回鳴らすんだ。一説ではそれが人間の煩悩の数なんだってさ」 「へぇ〜」  ……ルイズに教える為にあれこれ調べている内に、才人は雑学マスターと化していた。 「……あ。ねぇ、年越し、ご家族と一緒に過ごさなくていいの?」 「あぁ。いやさ、今年は年越しイベントに行っちゃったんだよ」 「年越しイベント?」 「うん。このテレビみたいに……ほら。みんなで集まってカウントダウンするんだ」  いいながら才人はリモコンで番組を変えた。  そのテレビでは大勢の観客と一緒に、芸人が10、9……と数えていた。  何しろこのテレビはサモン・サーヴァントのゲートを越えたものではなかった物だから、 ルイズにはまるで言葉はわからなかったが。 「ほら、新年になるぞ、ルイズ。……3……2……1……」  ルイズは思わず身を乗り出して、画面を覗き込んだ。 549 名前:未来図β  ― 年越しの定番[sage] 投稿日:2008/01/01(火) 21:59:55 ID:z+cCEjoy ”HappyNewYear!”  パーン! 「きゃあっ!?……いやね、びっくりしたわ」 「お前近づきすぎなの。目悪くなるぞ」  覗き込む画面の中で途端にあがった花火に、ルイズはびっくりして身をのけぞらせた。  才人は笑って言った。それからルイズの肩を引いて、テレビからすこし遠ざける。 「さて、と。新年あけましておめでとう」  才人は習慣のままに、ぺこりと頭をさげた。 「あ、あけましておめでとう?」  言葉の意味がよくわからないまま、ルイズは反射的に同じように挨拶を返した。 「ハルキゲニアではまだ年明けねぇけど、ま、別にいいだろ」 「そうね。別にかまわないわよ、私たちだけ違う日にお祝いしたって」 「今年もよろしくな、ルイズ」 「今年もよろしくね、サイト」  二人はほのぼのと新年の挨拶をした。 「……そういえば、サイトの国では今日が年越しなのね」 「あぁ。ただずれてるだけじゃなくて、一年の長さがちょっと違うんだ」 「……じゃあ、何年か後にはサイトの国の年越しの日に一緒にコタツはちょっと入れない かもしれないわね」 「そうだな。すこしずつズレてくからなぁ。たまたま今回は時期が合ってたんだな」 「……」  ルイズは唐突に座っていた場所から出て、才人のすぐ横に滑り込んだ。 「ん?どーしたんだよルイズ」 「な、何年か先には……一緒にコタツ、入れないかもしれないからだもん」 「別に、19日位ずつズレてくだけだろ。こっちが寒いときはこっちに置いとくから別に」 「うるさいわね。細かいことはいいから、ここに居させなさい」 「……いや、いいけどよ」  いくらルイズの体が小さくても、コタツはせまい。  一緒に入れば、どうしても脚は当たるし、体は密着する。 「せ、狭いよな」  そう言って、才人はそっぽを向いてルイズの肩に手を回した。 「そそ、そうね。狭いからだもんね」  ルイズもそう答え、これまたそっぽを向いて、才人に体重を預けた。  なんとも妙な雰囲気で、二人はそのまま沈黙する。  流れのままに肩に回した腕はどうにも動かせなくなって、掌が汗ばんだ。 「……あ、あー。そうだ。ルイズ教えてやるよ!」 「な、何よ? 急に」 「俺の世界の新年の定番なんだけどさ、姫はじめってのがあってさ」 「……姫さま、はじめぇ??」  ルイズは不思議そうな顔をした。 「あぁ、王女様って意味じゃなくて。こっちでは女の子のことなんだ」 「それがどうしたのよ?」 「まぁ転じて、年明けて最初にやらしい事するのを指すわけさ」 「…………」  ルイズはぽかーんと口をあけて、数拍の後、顔を真っ赤に染めあげた。  それから我に返ると、才人を睨んだ。鬼も顔負けの目つきで睨んでいる。  ……才人の狙い通りに。  才人はこういう雰囲気は、どうも慣れないのだ。照れくさくてたまらない。  既に両手で数え切れない程度には事に及んでいるが、ルイズは雰囲気にこだわる。  だから、こういう誘い方をすれば、怒り出すに決まってる。と、才人は思った。  もう一押しして、鞭で一発しばかれでもすれば、この妙な雰囲気はどうにかなるだろう。 「あははははは。なぁ、してみる? 姫はじめ」  言いながら、わなわなと身を震わすルイズの頬をとどめとばかりにちょん、とつついた。 550 名前:未来図β  ― 年越しの定番[sage] 投稿日:2008/01/01(火) 22:00:41 ID:z+cCEjoy  しかし、ルイズの反応は才人の予想とは外れていた。  睨んでいたその目線をふいっと才人から逸らして、唇を尖らせる。 「……し、しし、新年の定番だって言うなら、仕方ないわ」 「そうそう、仕方な……って、えぇっ!?」 「な、なによ。アンタの国の定番なんでしょ?……するの?しないの?」  ルイズは薄い胸と一緒に虚勢を張った。 「……じゃ、じゃあ……しようか?」  才人は想定外の展開に、おもわずニヤけた。 「……ね、ねぇ、サイト?……顔が、なんかやらしいんだけど」 「うっ。……ほっとけ。どーせ俺は犬ですよ。ごちそうと見れば、よだれもたらすさ」  言いながら才人はコタツとテレビを消して、ルイズの膝の下に片腕を突っ込んだ。 「……しっかし、俺もずいぶん力ついたよなぁ」  才人はガンダールブの能力なしに軽々とルイズを抱き上げて、ベッドに横たえた。 「そうね。使い魔召喚の儀の時はてんで弱そうで、がっかりだったのに」 「あー、そうそう。お前コルベール先生に、弱そうな平民なんてイヤーって詰め掛けて」  言いながら、才人はベッドに上がって、唇に一つキスをした。  キスを続けながら、ルイズの着衣をなれた手つきで脱がす。 「ん……あの頃は、そのひ弱そうな使い魔とこんな事になるなんて、思わなかったわ」 「俺だってそうだよ。かわいいのは顔だけで、あちこちゼロのご主人様となんてさ」 「なによ」 「なんだよ」  お互いむっとした顔を向け合ったが、以前のようにケンカにはならなかった。  顔を見合わせた二人はふと笑って、自然目を閉じながら、残った距離をゼロにした。 「……その弱かった使い魔が、今はずいぶん立派になっちゃったわ」 「ゼロだったご主人さまは……あー。胸だけはあんま育ってねぇよなぁ」 「ちょ、ちょっと! 何よ!……うぅん」  むにむに、とささやかな膨らみを揉む。  回を重ねるごとに、ルイズの反応は良くなる。  才人がポイントを押さえられるようになったのもあろうが、それよりも。 「まー、ご主人さまったら、大きさはともかく、最近はずいぶん敏感におなりで」 「や、やだぁっ!そういう事言わ……むぅっ」  真っ赤になって叫んだルイズを、才人は深く舌を絡めて、黙らせる。 「……いいじゃねぇの。その方が可愛いし」 「……こ、これ以上恥ずかしい姿なんてイヤ……あっ、やんっ!」  突然乳首に吸い付かれて、言葉が途切れた。  しつこく弄られ舐られ、そう経たずにルイズの体は悲鳴を上げた。 「ひん……あ、あぁっ」  ぴんと一度弓なりに反った体は、力が抜けるとふかふかのベッドを波打たせて沈む。 「……こういう恥ずかしい姿がどうしたって? 俺、聞こえなかったなぁ。そういう姿を もっと見てほしい、とか?」 「も……バカぁっ」  才人がニヤニヤしながらルイズの顔を覗き込んだのを、ルイズは手で押しのけた。 「なんだよ? ……あぁ、わかった。胸ばっかじゃ物足りねぇんだろ」 「えぇっ? そんなこと、わたし言ってないじゃない」 「キスよりこっちにきてほしいんだろ? えぇもう、犬は精一杯ご奉仕させて頂きます」  脱力したままのルイズの腰まで移動して、がばっと脚を開いた。 「あ、やだ……さっきの、そんなつもりじゃ」  身をひねって才人の動きを見るが、体に力が入らない。  才人は太ももまで流れた愛液をすくいとって、にやりと笑ってみせる。 「……あぁ、もうこんなか。……ほら、こぼれてる」 「……さ、さっきの……やりすぎなのよ……って、そんな所じっと見な……っ!?」  太ももにぬるりと熱い感触を受けて、ルイズの身体がびくっ、と大きく跳ねる。 「やだ、やっ……! 何するのよっ」 「……うーん、掃除、かな?」  冗談交じりにそう言って、才人は流れに沿って、雫の水源に向かい舌を進める。  身体に力の入らないルイズは、そんな才人の頭をぺちぺちと叩いた。 551 名前:未来図β  ― 年越しの定番[sage] 投稿日:2008/01/01(火) 22:01:03 ID:z+cCEjoy  たどり着いた泉で大きく音をたてて啜ると、ルイズは一際強く反応した。 「ひああぁっ! も、やだぁぁ……! わ、私はソバじゃないんだからっ!」  ……才人は想定外の発言に10秒くらい無言で固まった。 「…………えぇもう、とーってもおいしいですよ、ご主人さま」  才人が笑いを堪えつつ意地の悪い口調で返した言葉に、ルイズは真っ赤になった。 「あ、あうぅ……わ、忘れて、さっきのは。お願いサイト」 「いやぁ、ご主人様のお願いでもそればかりは。むしろコレする度に思い出す気がする」 「バカ! サイトのいじわるっ! ……きゃっ」  文句を無視して秘唇を舌でくすぐると、ルイズの腰が引けた。  構わずに奥に突っ込むと、反応して中が大きく脈動する。 「んん……なんかぞくぞくして、ヘン」 「じゃあ、こっちは?」  言って、肉芽を潰すように舐る。 「ひ、っ……!」  ルイズは声もなく大きく身を震わせて、太ももで才人の頭を締め付けた。 「だ、ダメ。強すぎて怖いから、やめて」  涙目になってぶんぶん頭を振る。かなり本気で嫌がっているようなので、あきらめる。 「そっか。ここはまだちょっとツラいか。……じゃあ、指と、俺。どっちにする?」 「…………さ、サイトにしとくわ」  熱っぽい目をそっぽに向けて、ルイズは恥ずかしそうに呟く。  才人は満足そうな笑みを浮かべて、自身を奥に押し込んだ。 「う……なんか今日、すごいみたいなんですケド」 「んん……な、なにがよ……」 「……えっと……。お前さ、濡れすぎ」 「ば、バカ! だからそういうの言わないでって言ってるでしょ!」  ルイズが力任せに振り回した腕が才人の顎に鈍い音をたててヒットした。  結果、二人は動きをとめ、揃って呻いた。  才人は叩かれた顎の痛みに。……ルイズはぶちあてた拳の痛みに。 「う〜〜、痛たた……。そうじゃなくてさ、あんま俺がもたなそうなんだよ」 「痛ぁ……もう、バカ……好きにしてよ、そんなの」  具体的な言い様にルイズはただ赤くなるしかできなかった。 「……へいへい、好きにしますよ、っと」 「きゃあっ! ちょっと、なに!?」  ルイズの背中に手を差し入れて、そのまま抱え起こした。  逃げようにも、深く刺さったままで、動けない。  ルイズは上手く逃げられずに、ピンでとめられた蝶のようにもがく。 「何って、ご主人さまのお許しがあったから、好きにしてるんだけど?」 「こ、こんな、なによこれ……きゃうっ」  突き上げると、とん、と奥にあたる。 「ふ……深いの……あっ、あぅ」 「うん、わざと」  何度か揺さぶると、ルイズはバランスを崩して、才人に強く抱きついた。  中までもが絡みつくように、しがみつくように締まる。  強く抱きついた分、物足りないふくらみも才人の身体に触れて擦れた。  最初こそ遠慮気味だった動きはいつの間にか激しくなって、ぐちゅぐちゅといつもより 激しくたつ水音が思考力を奪い、二人を快感の淵に押し上げた。 「んっ、あん……きゃうっ、さ、サイトぉ」 「ルイズ…………あぁ、やっぱもうだめ」 「……あっぁ……なっに……?」 「で、出るっ……!」 「んんっ! やああぁっ……」  奥をギリギリまで溜めた精液に叩かれて、それにルイズの意識はさらわれた。  ぽんぽん、と肩を叩かれて、ルイズはぼんやりと目を覚ました。 「おはよう、ルイズ」 「んん……?ふにゃ……おはよう、サイト」 552 名前:未来図β  ― 年越しの定番[sage] 投稿日:2008/01/01(火) 22:01:24 ID:z+cCEjoy  ルイズはベッドの上で半身を起こして、まぶたをぐしぐしと擦った。 「さっき来たらまだ寝てたから、ついでに顔洗う用意しといたぞ」 「んー、ありがと……」  よろよろとベッドから降りて、ルイズは顔を洗う。  ……一度身についた習慣というのは、なかなか消えない物だ。  ルイズがベッドでぐっすり眠り、よだれをたらしている様をみて、才人が反射的に考え たのは、『あ。俺、顔洗う水用意しねぇと』だったのである。 「しっかし、ルイズが寝坊なんて珍しいな」 「アンタねぇ…………ううん、いいわ」 「?」 「それより、アンタが持ってるその透明の箱はなに?」 「ん?あぁ。母ちゃんが縁起物だから、ルイズにわけてこいってさ」  タオルを顔に押し付けるルイズの前で、タッパーをあけてやる。 「はい、おせち料理」  とりどりをきれいに詰めたそれを見て、ルイズは感心するように眺めた。 「いつものそっちのお料理とはまたちょっと違った雰囲気なのね」 「こっちでも一部除いて正月だけの料理だよ」 「そうなの。お母さまにとても喜んでいたとお伝えしてね」 「あぁ。そのつもりで張り切って作ってたみたいだから、きっと喜ぶよ」 「そ、そうなの? ……」  ぱっと顔を綻ばせ、しかしルイズはすぐに佇まいを正した。 「……お前もさぁ、嬉しいなら素直に笑えばいいだろ?」  才人が肘でちょい、とつつくと、ルイズはさっと赤面する。 「……サイトのお母さまが好きだから嬉しいだけなのよ。別に、サイトのお母さまだから 嬉しいってわけじゃ、ないんだから」 「ん? そうだな。お前、母ちゃんと結構、馬合うみたいだもんな」  けろりと深く考えずに言った才人を、ルイズは呆れた目で見た。 「あら、これおいしいわ。このダテマキっていうの」 「そっか、よかったな」  おせちを嬉しそうにつつくルイズを、昨晩のように才人は見つめた。  そこでふと思い出したように彼女は箸を止めて、顔を赤らめ俯いた。 「……と、ところで、あのね? しばらく、お食事以外の定番は遠慮していいかしら」 「ん? どうかしたのか?」  ルイズは内容的に表情から察して欲しかったのだが、ここでもまたヌケた反応をされ、 半ば八つ当たり気味にキレた。 「……ものすごく疲れたし、腰が痛いのよ! バカ! あ、あんな何回もするなんて……! だから寝坊したんじゃないっ!」 「あ、あぁ、それでなの!? ……あー、うん。調子乗ってやりすぎた。ゴメン」 「ホントよバカ犬。エロ犬。ドすけべ犬。反省して」 「ハイ。犬反省します」  真っ赤な顔で犬を三段活用して怒るルイズの前で、才人はとりあえず苦笑した。  言うだけ言うと、ルイズはまたおせちに向かった。  すぐにうきうきした顔に戻ったあたり、おせちはなかなかにお気にめしたらしい。 「むぐ……ねぇ、サイト。そういえば、縁起物って……どんな意味があるの?」 「あぁ、語呂合わせとかだよ」 「じゃあ、例えばこの、コンブっていうのは?」 「よろコンブ。つまり喜ぶ」 「ぷふっ! ……じゃあ、このキンピラゴボウっていうのは?」 「すごく固くてしっかりしてるだろ? だから、強く頑丈に」 「じゃあこのサトイモっていうのは?」 「それは……ん? なんか里芋、やけにたくさん入っ…………」 「ねぇ、これはどういう意味なのよ?」  固まってしまった才人を、ルイズが急かした。 553 名前:未来図β  ― 年越しの定番[sage] 投稿日:2008/01/01(火) 22:03:10 ID:z+cCEjoy  ……母の意図に気づいた才人は、昨日からすっかり策にはめられていた事に気づいた。  よく考えれば、そもそもカウントダウンにそう興味を持つ家族でもないのだ。  コッチの方は才人がいつものように由来を調べていたのを見て、思いついたのであろう。  そりゃあ、載っていた。確かに調べた中に載っていた。しかし。  ……まさか張り切って作っていた理由の一つはこれなんだろうか?  ……なぁ母ちゃん。こんなもんでメッセージとか、どーなの。しかも内容はこれかよ?  俺がルイズにそういうのを日頃から教えてるのを知ってて、わざとかよ!  それを俺からルイズに教えろってかっ!! ……才人の顔は思い切りひきつった。 「……さ、さぁ? 俺もちょっと知らないんだよなぁ」  言って、才人はふいっと視線をそらす。 「……アンタ、絶対知ってるでしょう」 「犬知りません。なんせ犬ですから」  ひょい、と仏頂面をしたルイズが才人の視界に飛び込んだ。  才人はばっと大仰な動きで顔をそらした。 「…………ご主人さまに嘘をつくのね?」 「いやぁ、とんでもない。本当に知りません」 「嘘ッ! アンタがそういう態度の時は嘘ってもう知ってるんだから!」  ルイズの瞳の中で怒りの焔が湧き上がる。  そうなると才人はもうしつけされた犬のようなものだ。その目を見るだけで身が竦む。 「ほ、ほほ、ほんとうに知らない。許して」 「……許さないわ。ごごご、ご主人さまに嘘をつくような使い魔にはね、久しぶりに私の 乗馬の腕前を身体に思いっっきり教え込んであげるわ」 「お、お前のは乗馬の腕前ってより乗馬鞭の腕前だろぉぉぉ!?」  才人が腰を抜かして動けずにいる目の前で、ルイズは鏡台から乗馬鞭を取り出した。  ……そして、邸に使い魔の悲鳴が響き渡った。  なお、里芋の意味は「子宝に恵まれますように」。

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