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33 名前:時を駆ける少女[sage] 投稿日:2006/09/07(木) 18:42:40 ID:JXKAwJlz 才人は上機嫌だった。 そりゃもう、冬の冷たい水も気にならないほど、上機嫌だった。 それは、今朝のルイズの寝言。 『サイトぉ、だいすき…』 ものすごく甘ったるい声で、ルイズは寝言で「才人大好き」を連発していたのだ。 ええいもうこの果報者、夢の中までルイズさん俺に夢中ですか。 しかし起きたルイズにそのことを報告する勇気は才人にはない。 もし報告しようもんなら、 「いいいい犬に対してそんなこと言うわけないじゃないの!ななななななに勘違いしてるのかしらこの犬は!」 と激昂するのは目に見えていたからだ。 この事はボクだけのちっちゃな秘密にしておきましょー♪ 鼻歌など歌いながら、才人は洗濯を続ける。 すると次の瞬間。 水場の水面が光りだし、中から茶褐色の「何か」が浮かび上がってきた。 「わわっ!?」 才人は慌てて、洗濯中だったルイズのパンツをその上に落としてしまう。 茶褐色の「何か」は歪んだ球をしており、ぱっと見、それは生物の毛の塊に見えた。 わかりやすく言うと、茶褐色の髪の、人間のアタマ。 それはどんどんせり上がり、顔が出て、弾力のありそうな胸が出て、きゅっとくびれた腰が出て、短いプリーツスカートに包まれた腰が出て、すらりと伸びた足が出た。 そこには、トリステイン魔法学院の制服とそっくりな服を着た、茶褐色の長い髪の美少女が浮かんでいた。 「よっと」 パンツを頭に載せたまま、洗い場から現れた謎の美少女は、自分が現れた洗い場の縁に飛び乗って、才人を見下ろす。 あれ、どっかで見たような…?奇妙な既視感を才人は感じた。 「ん?」 アタマにのっかった何かに気がつき、少女はソレを手にとって広げる。 レースの小さな下着が、ぴろーん、と少女の前で広げられる。 ふむ、と少女は頷くと、才人に向かって言った。 「あなた、ヒラガサイト?」 「え、そ、そうだけど」 「今、洗濯中?」 「そ、そうだよ」 何者だこの子、なんで俺の名前知ってんの、と才人が混乱していると、少女の顔がぱあ、っと明るくなった。 「パパだーーーーっ!!」 そう言って少女は才人に抱きついてきた。 「なにぃーーーーーーっ!?」 才人は純粋に驚いた。 34 名前:時を駆ける少女[sage] 投稿日:2006/09/07(木) 18:44:09 ID:JXKAwJlz 「ちょちょちょちょちょっと待て!  俺君みたいな大きな子供がいる年齢じゃ」 「知ってるわよー。まだ十七でしょー?同いだ同い」 「はぁ?だったら尚更」 「私はマナ。未来から来たパパの娘よ」 未来から来た。パパの娘ぇ? この異世界に来て大概のことには驚かなくなった才人だったが、さすがにコレには驚いた。 ちょっと待て。ってことは俺将来誰かと結婚すんのか…? 才人が少女に絡まれたまま動揺していると、背後から鋭い殺気を感じた。 はっとして振り向くと。 そこにはルイズがいた。 「ああああああ朝からいい度胸ね犬!今度は何!?新しい娘!?」 ちょっと才人の事が気になって様子を見に来たルイズが、そこに仁王立ちで立っていた。 それを見た、マナと名乗った少女がまじまじとルイズを見つめる。 「…ちっちゃ」 禁句!それ禁句! 才人の背筋を嫌な汗が流れる。 「な、なによアナタ!無礼ね!」 「ぺったんこ」 ルイズに近寄り、ない胸の上に手を当てる。 マナさん!世界破滅の鍵ですからそれ! 才人の体を悪寒が襲う。 「ななななななななななななな」 怒りの余り、ルイズの声は言葉にならない。 しかし、そんなルイズの怒りも意に介さず、マナはルイズに抱きついた。 「ルイズママだー!」 「え?ええええええええええ?」 今度はルイズが驚く番であった。 35 名前:時を駆ける少女[sage] 投稿日:2006/09/07(木) 18:44:54 ID:JXKAwJlz 少女の名前はマナ・ヒラガ・ヴァリエール。正式名称はもうちょっと長いんだけど、めんどいからパス。だそうである。 『虚無』の魔法の一種、「時の門」をくぐって、この時代にやってきた、才人とルイズの長女だそうだ。 「しょ、証拠を見せなさいよ」 もう一度名乗ったマナに、ルイズはそう言う。 ルイズはいまだ半信半疑だ。 「んー、じゃあ。  ルイズママは「虚無」の担い手なんだけど、今使えるのは「エクスプロージョン」と「イリュージョン」と「ディスペル・マジック」だけ。  パパは伝説の使い魔ガンダールヴ。今持ってないけど普段使ってる剣はデルフリンガー。吸魔の力を持ったインテリジェンスソード。  ついでに言うと巨乳好き」 ルイズと才人は顔を見合わせる。 ここまで詳細な情報を知っているのは、本人たちくらいなものだ。 「信じてくれた?」 ニコニコと笑うマナは、髪の色こそ違うが、確かにルイズに似ていた。 目は少しルイズより優しげだが、通った鼻筋、細いあご、波打つ美しい髪は、ルイズに瓜二つだった。 ただし、顔から下の造作はルイズより遥かに大人っぽかったが。 特にゴム鞠のようなその胸が。 「…どこ見比べてんのよ」 ルイズとマナの胸部を見比べて観察していた才人のせつない場所を、ルイズは遠慮なく蹴り上げた。 「でも、それだけじゃ信用できないわ。信用に足る「何か」を見せてもらわないと」 悶絶する才人をよそに、ルイズは物証を要求した。 「しょーがないなー」 そう言ってマナは懐から杖を取り出し、ルーンを唱える。 この、聞き覚えのある響きは…。「虚無」の呪文だ。 ルーンがある程度完成すると、マナは杖を振った。 そこに現れたのは、結婚式の風景。 少し成長したタキシードの才人と、その隣に成長した、ウエディングドレスのルイズ。その周りに、祝福するようなトリステイン魔法学院の皆。 ルイズと才人は熱く見つめあい、そして…。 「わーわーわーわーわー!!わかったからもういいから!!」 真っ赤になって「イリュージョン」の写した幻影を両手でかき消すように動かす。が、幻影は消えない。 マナがくすっと笑って杖を振ると、幻影はかき消えた。 「し、信用してあげるわよ…。  …で、今のは?」 「ルイズママがよく見せてくれた結婚式の幻影じゃない。忘れたの?」 「忘れたもなにも、私こんな犬となんか、け、け、け、結婚しないもん!」 真っ赤になって否定するルイズ。 素直じゃないなあもう、と思いながらマナは言った。 「まあ、そうするかどうかは今のママが決めることだし。  まあそれはともかく、本題に入りましょ」 36 名前:時を駆ける少女[sage] 投稿日:2006/09/07(木) 18:46:00 ID:JXKAwJlz そして、マナは自分がこの時代にやってきた理由を話し始めた。 マナがここに来たのは、弟を追ってのこと。 弟も同じく虚無の担い手で、「時の門」を開けて、こっちに逃げ込んだというのだ。 「なんか悪いことでもしたのか?その弟さんは」 復活した才人が、そう尋ねる。 「んーん。シエスタママのお仕置きが怖くて、逃げただけ」 シエスタママ?不思議な単語に、才人とルイズは首をかしげる。 「シエスタママは、私たちの乳母。もう一人のママってわけ」 「なるほど。ルイズじゃおっぱいでそうに」 「それ以上言ったら殺すわよ。犬」 「すいましぇん」 そして、「時の門」をコントロールできるもう一人の「虚無」の自分が、弟を追ってきたという話であった。 「でもさ、俺たちと接触して大丈夫なのか?ほら、タイムパラドックスとかって」 才人の疑問に、マナが応える。 「タイムパラドックスなら起きないわよ。この時点で二人は私のこと知ってる。つまり私のいる未来は二人のいる今と繋がってないわけで」 「なるほど、多元宇宙とかってやつだな」 ルイズは完全に置いてきぼりだ。 「な、なによ、私にもわかるように説明しなさいよ!」 「んーまあ、「何も問題はない」ってことなんだよ要するに」 時空とか宇宙とかそんな次元の話をしてもルイズには理解できないだろうと、才人は思った。 「…なんか馬鹿にされてる気分」 「してないよ」 不満そうに口を尖らせるルイズを、才人がフォローする。 今度は丁寧に、タイムパラドックスってのはな、時間移動する際に起きる…と、丁寧な説明を始めた。 「仲いいよね、やっぱり」 寄り添う未来の両親を眺め、マナは小さくそう呟いた。 37 名前:時を駆ける少女[sage] 投稿日:2006/09/07(木) 18:46:42 ID:JXKAwJlz 弟はきっとお腹をすかせているので、厨房にいるだろう、というマナの予想に従い、三人は厨房に向かった。 すると、厨房の入り口に、シエスタと見慣れない男の子が座って、談笑していた。 「あ、シエスタママと…ショウだ」 ショウ。マナの弟の名だった。 確かに、その男の子は才人にそっくりだった。ただ、白いレース付のシャツに、黒いズボンを履いていて、マナと同じ茶褐色の髪をしていたが。 「お腹すいてるんでしょ?もっと食べていいのよ」 「うん、ありがとう!綺麗なお姉ちゃん!」 「綺麗な」の部分で赤くなり、シエスタは上機嫌になる。 「や、やだお上手ね、最近の貴族の子って。  そういえばあなた、どこかサイトさんに似てるわね。知り合いか何か?」 「んー、親戚みたいなものかなー」 シエスタの差し出したバケットから取り出したパンを貪りながら、ショウはそう応える。 その目の前に、さっと影が差す。 「や。元気にしてた?ショウ」 その影は、ショウの姉、マナのものであった。 「げ、姉貴!こんなとこまで追ってきたのか!」 「姉貴、じゃなくて姉さま、でしょう!まったく口の悪いのは直らないんだから!  さ、帰るわよ」 そう言ってマナは手を差し出す。 しかしショウは手を出さない。 怯えたようにマナに尋ねる。 「ね、ねえ姉貴」 「ね・え・さ・ま」 「姉さま。シエスタママ怒ってた?」 「怒ってたけど。それ以上に泣きそうなくらい心配してたわよ。あのシエスタママがルイズママに泣きついたんだから」 「げ…最悪だオレ…」 38 名前:時を駆ける少女[sage] 投稿日:2006/09/07(木) 18:48:49 ID:JXKAwJlz 二人にしかわからない会話を続ける姉弟に、才人とルイズは見入っていた。 「仲のいい姉弟ね」 「だなあ」 「きっと、家庭が温かいからなんでしょうね」 「きっとそうだな」 「私たち、そんなあったかい家庭を築けるんだ…」 「あ、ああ、そうだねえ」 なんだか妙な空気が二人を包む。 ルイズが才人を見上げる。才人がルイズを見つめる。なんだか二人の距離が近づいて…。 「あー。おほん」 シエスタの咳払いに、二人は冷静さを取り戻した。 「サイトさん、あの子今「シエスタママ」って言いましたよね?どういうことなんです?」 事情を知っているらしい才人に、シエスタが尋ねてくる。 あー、説明していいものかー、と才人が悩んでいると。 「あの二人は、未来から来た私たちの子供なの!」 いつの間にか才人の腕を抱え込んでいたルイズが、シエスタめがけてそう言い放った。 しかしいきなりそんなこと言われて信じるシエスタではない。 「はぁ?何をわけのわからないことを仰っているんですかミス・ヴァリエール?  ついに頭の中までゼロになっちゃいましたか?」 「ななななななななな何を言うのよこのバカメイド!ちゃんと証拠だってあるんだから!」 「じゃあ、今から子供作っちゃいましょうか才人さん?」 「ちょ、オレを巻き込むなよシエスタ!」 「サイトは私とけけけけけ、結婚するんだから!バカメイドなんかに渡さないんだから!」 未来を知ったことで、ルイズの中で何か歯止めが外れたらしい。才人の腕を放す気配は全くない。 シエスタも負けじと、才人の腕を取り、胸をぐいぐいと押し当てる。 それを眺めている、姉弟二人。 「昔っからこんなんなの?この三人…?」 「仲がいいんだか、悪いんだか…」 そして、マナはルーンを唱える。 ナウシド・イサ・エイワーズ…… 詠唱が完了すると、ルイズ、才人、シエスタの三人を奇妙な空気が覆った。 才人にはこの空気に覚えがあった。 ティファニアの…「忘却」だ。 「ごめんね?パパ」 薄れ行く意識の中で、才人はマナの声を聞いた。 「記憶、もらっていくね。末永く、お幸せに」 39 名前:時を駆ける少女[sage] 投稿日:2006/09/07(木) 18:49:52 ID:JXKAwJlz 「時の門」の時の流れの中で、ショウはマナに尋ねた。 「なあ姉貴、タイムパラドックスがないのに、なんで三人の記憶消したんだ?」 「んー。三人に幸せになって欲しいから」 「どういう意味だよ」 「先のこと知ってたら、もし結果が違ったらがっかりするじゃない?それに、先の見える道ほど退屈な道はないと思う」 「ふーん。そんなもんかな」 「それより。帰ったらちゃんとシエスタママに謝るのよ。すっごい心配してたんだから」 「…うん。わかった」 もう、出口はすぐそこだ。 「ちょっと!その手を放しなさいよバカメイド!」 「ミス・ヴァリエールこそ放したらどうなんですか!」 トリステイン魔法学院の中庭では、いつもの光景が繰り広げられていた。 メイドと、貴族の、使い魔を賭けた骨肉の争い。 当の使い魔はルイズの蹴りを股間に食らい、目を回していた。 その光景を目にして、仲間たちは笑いあう。 「ホント、飽きないわねー」「恒例」「二股かけるサイトが悪いのよ。ねえギーシュ?」「そそそ、そうだねモンモランシー」 そうして過ぎていく、いつもの日常、いつもの風景…。 「サイトさんは私のものですっ!」 「サイトは私の使い魔なの!だから誰にも渡さないのっ!」 未来は、誰にもわからない。 40 名前:あとがち[sage] 投稿日:2006/09/07(木) 18:51:05 ID:JXKAwJlz エロ抜きでいってみました。 某スレに投下したSSの内容に準拠しております。 かなり脳内バリッバリなので、嫌いな方はヌルーしてくだちいorz

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