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532 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/16(土) 14:38:39 ID:bD+MbxpG  ショートカットの金髪が二つ、膝丈の草原の間からぽつりと 突き出していた。 「……もう、いいだろう」  女が言って、足元のマントを体に引き寄せる。動作はひどく 緩慢で、戦い疲れているようでもあり、めくるめく快感の余韻に ひたっているようでもある。  男装とも旅装ともつかない実用一点張りの服装が、今はかまい たちに食われて無数の裂け目ができている。風の魔法のなせる 技だった。しなやかな二の腕を胸の上に、たるみのない腿を 胴体にしっかりと引きつけている姿は、負傷してなお闘志を 失わぬ大鹿を思わせた。  ジュリオは感嘆した。 「信じられないな! こんなに美しい人がこんなに強いなんて!  剣裁きなんかまるでワルツのようだったよ。童話から抜け出た 戦の女神ですら、あなたほど絵にはなるまいよ! ぼくは、 すっかり、見とれてしまった――」 ぴんと均整のとれた肢体の持ち主は、アニエスである。  美辞麗句を並べたてながら、彼はマントを踏んづけた。 真っ白いマントに草染みが飛び、土足の痕が刻印される。  アニエスは鋭く男を睨み、男は笑顔でそれをいなす。 「勝負はついた」 「ははは。参ったな」  アニエスは動揺を悟られまいとした。そうして笑っている とジュリオは朗らかな美少年にしか見えない。だがこの男は 笑っているときが一番恐ろしいのだと、長くはない時間の 中で思い知らされている。 「誰が勝手に負けていいって言ったかな」 「言っただろう、もうおしまいだと。疲れた」  ジュリオは笑顔を崩さぬままで、かたわらの愛する竜を 顎でしゃくった。飛竜は無垢な瞳で近寄ると、炎の舌で アニエスの肌をちろりと舐める。  アニエスはもう、悲鳴も出なかった。デッサンの整った ふくらはぎには、似たような傷痕がいくつもあった。 「……ゲスが」 「なんでかなあ――」  ジュリオは心の底から楽しげだ。 「ぼくは本当に女性が大好きなんだけどね――あなたの ような人を見ると、ぼくはむしょうに、虐げたくなる、 殺したくなる」 「殺せ」  アニエスが睨むと、ジュリオはばら色の頬を手で覆った。 深刻な面持ちで頭を振り、 「殺せだって! おお、なんて恐ろしいことを……!」  芝居がかって言うジュリオを、アニエスはヘドの出る 思いで見つめる。 「殺すさ。でも、お前に指図されることじゃない」 「言葉遣いが変わったな。地金が透けてるぞ、 卑しい即席の地金がな」  ジュリオはにこにこと笑いながら、アニエスを蹴り上げた。 「……かはっ!」  腹に入っていた。からだを枉げて咳き込むアニエスの、 手足の隙間にブーツの爪先を突っ込んで、ジュリオは アニエスの無防備な秘所をえぐっていた。 「ぐっ……うぅ……」  ジュリオはいつもの陽気な小芝居を、ここぞとばかりに 打ってみせる。 「罪深い人だな、あなたも! こんなにぼくの心を惑わせる!  ここが法廷なら極刑は確実さ! しかしぼくは神官だからね、 罪は許されなければならないともよおく心得ている!」 533 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/16(土) 14:42:01 ID:bD+MbxpG  どん、と、大きく胸を叩いて、下半身から取り出したのは、 ジュリオの勃起した肉の棒。 「さあ、ここに始祖ブリミルのお慈悲が宿った! 邪悪なる 武術もて人心惑わし御世鳴動せしむる魔女め――」  ジュリオはうすら笑いを浮かべているアニエスに、なにか ひどくプライドを傷つけられたような顔をして、もう一発 ケリを入れた。 「まあ、なんでもいいけど。しゃぶれよ」  アニエスの顎を持ち上げ無理やりに上向かせ、その唇に 指をねじ込む。噛み切ってやろうと言わんばかりにアニエスが 顎を硬くし歯を立て、その口内をジュリオは嬉しそうに 暴きたてる。  ぬぽんっ! 抜き取った指先と唇とに、透明な糸が 紡がれて消える。  濡らした指を、アニエスの下半身に、塗りたくった。 「……あっは! なんだこれ!」  ジュリオは、にちゃぁっ、と、抜いた指をアニエスの 顔でぬぐってみせる。 「洪水じゃないか!」 「くっ……」  アニエスは恥じ入るように顔をそらす。 「なんと卑猥なことだろうね! 最高だよ! 苛烈なる 麗人が剣を交えながら濡らしていたっていうのかい!  暴力に感じてしまう性質ってわけかな!」  アニエスの頬を、自身の分泌物が伝う。粘っこい液体が 頬高のフェイスラインを流れて落ち、涙のしずくのようにしたたった。  ジュリオは満面に喜色をたたえて、アニエスを地面に 蹴倒した。それから背中をしたたかに打って息をつめる 女に馬乗りになると、ろくな愛撫もなしに突っ込んだ。  ――ぬ、ぷっ。  挿入は極めてスムーズに果たされた。 「史上でいちばん笑えるビッチだな! え! おい!  女だてらに武勲をあげたアニエス銃士隊隊長、 乙女らの敬愛を一心に集めてやまぬ気高き百合!  鉄火のドレスで踊り舞う銃の化身が――」  アニエスは声もない。  ジュリオはことさらにいたぶるように、中を突いた。 「帷子の下でこんなに熱く女を濡らしているとはね!」  ――にちゅっ、くちゅっ、みちゅっ。  軽快な滑り出しに、ジュリオは気をよくした。 「ああ……素晴らしいよ! いやに花弁をとろかすじゃないか!  すっかりぼくを受け入れたようだね……」  彼の言うとおりに、アニエスの『花弁』は、ひくつきながらも 『ぼく』の蹂躙に、むしろ快感すら覚えていた。  ――ちゅっぷ、ぱっちゅ、ちゅっく。  アニエスは変容し、反応し、やがては順応するだろうおのれの 体とジュリオから、ずっと目をそむけている。  ジュリオはそんな彼女の顎を捉え、目をのぞくよう鋭く命令 した。そうやって女を扱うのに慣れ切っているのがありありと伺える。 534 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/16(土) 14:43:51 ID:bD+MbxpG 「人を叩き伏すのが快感なのかい」  ジュリオはアニエスの、薄氷のような瞳を見ながら言った。 からだだけでは飽き足らず、心の底まで犯してやろう、 という趣向らしい。 「地べたに這い蹲る敗者が君を駆り立てるのかい? 死闘の末に 犯し手の立場をついには得られなかった男どもの視線が!  どうにかしてぶち込んでやろうともがいて万策尽き倒れて 死んでいく男どもの無念の目が!」  ――くちくちくちくちくちゅっ! ……  おのれの言葉に興奮したように、ジュリオは陵辱の度合いを 深めていく。  暴力的な言葉を浴びせ続けながらもなお、間近で見る ジュリオは、美しかった。この目で見つめられたら、 ほとんどの女性は拒めないのではないかというくらいに。 アニエスは場違いにうずきときめく自分の胸を意識する。  胸の高鳴りが、強靭な抽送とふいにリンクした。さきほどから、 ジュリオが動くごとに、体がいやというほど甘く痺れている。  ――ぱちゅ……ぱちゅ……にちゅ……ぐちゅ…… 声も出ず、乱暴な動作に身を任せるアニエス。 「銀より冷たく取り澄ました軍人女が、じつは命のやりとりに こそ熱くたぎってしまうとはね! なるほど欲情が原動力なら 剣の腕も冴え渡るというもの! そうやって何人殺して何人頭で 犯したんだい? ええ?」  アニエスは狂喜して息を弾ませる美貌の男子に、いけないと 思いながらも魅入られていた。 女性のように甘い頬、すらりと頑健な顎のライン。いたずらっぽい 笑いを宿した、切れ長の大きな目。やわらかい髪が、暖かい空気を はらんでふわりと乱れたまま、すっきりとしたフォルムの 小さな頭蓋を覆っている。 ――ぐっちゅ……ぱっちゅ……ぬっぷ……  ジュリオは天使そのものの無邪気な笑顔で、じつに粗野な振舞い のまま、アニエスを犯し続けている。 この笑顔をわずかなりとも自分のものにしたいと思う乙女が、 どれだけいただろう。その献身の積み重ねが、彼の強固な自信を 保ってあまりある。 「ぼくをねじ伏せて犯せないのが悔しいかい? こうやって 乱辱されるのは不本意極まりないだろう?」  悔しかった。  しかし同時に、その事実に感じてもいた。 536 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/16(土) 14:46:00 ID:bD+MbxpG 「あっはは! そんな顔をしないでおくれよ!  まるでいたいけな少女そのものじゃないか!」  彼の言うとおりだった。このときのアニエスは、臆病な娘の ように、忍びながら、うるんだ瞳でジュリオのご機嫌をうかがい 見つめているだけの、無力な女に過ぎなかった。  すくなくとも、アニエスのまわりにはこれまで、そんな風に 彼女を扱う男はいやしなかった。誰も彼もがアニエスにこび へつらい、敵わないから遠ざける。 「もっと強くねめつけてくれ――自分は身勝手な男になんか 屈しないのだというように――いつか殺してやるのだというふうに! ――」  ジュリオは偏執的に規則正しく抜き差しを繰り返している。 『花弁』はもはや熱したゼラチンほどの抵抗力もなく、『ぼく』 はますます増長して猛々しい  アニエスはためいきひとつつかなかった。さすがといおうか、 多少の荒事では体が温まりさえしないのだ。 「――そのくせどうしようもなく身体が反応するのだというようにね!」  ――ちゅぐっ、ぐぷっ、ぐりゅぬっ。  体も脳も、なにもかもを巻き込み虐げるジュリオに侵食 されて、とろけていた。もはや、指一本も動かせないほどに。 このまま壊れてジュリオにすがれればどんなにか気持ちいい だろうと思わせるほどに。  冷えた手足とは裏腹に、おなかの中だけが温かかった。 違う生き物が猛り狂っているかのようだ。  官能が全身の神経すべてを制圧し乗っ取って、意識だけが うつろにジュリオの美しい顔立ちを追っている。  『花弁』がもどかしげにひくついている。  快楽が併せ持つ、ほとんど暴力的な思考停止作用に、 アニエスは完全に捕らわれていた。  アニエスはうっとりとトリップしたきりなかなか言うことを 聞かない腕に内心鞭打って、右手を上げた。  ジュリオの、神話の少年神のように上気した赤い頬を、 精一杯の力を込めて、平手打ちにする。  ――ぱしん、などというかわいい音はしなかった。 べっちーん! と、音高く反響して、くっきりともみじの痕が 残ったほどだ。  ジュリオはかたっぽの頬だけをあげて、笑った。左右対称の 整った顔立ちが、底知れぬ悪意と喜びにカタチを変えて、 アニエスを冷たく見下ろした。 「そう――そうだよ!」  ジュリオは狂喜乱舞して――あまりにも嬉しいとき特有の 奇妙なテンションで、アニエスをぐちゃぐちゃに犯し始めた。  ぬめる内奥を鉄の棒のように硬い屹立でぎちぎちに圧迫し ながらぶち込み、複雑に絡み吸いついて抜き差しならない中を めちゃくちゃにすり潰しながら引き抜いていく。  みだらなうねりで無言の催促をするアニエスの腰を徹底的に 抑えつけ、ジュリオは自分の好きなように突きまくった。  技巧も挿入する角度も自分のものを搾り取るためのものであり、 アニエスの疼きには一片も気遣わない。 537 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/16(土) 14:47:30 ID:bD+MbxpG  そんなジュリオの輝く双鉾を見つめながら、ふとアニエスは、 女性とまぐわっているような錯覚を起こした。めちゃくちゃに 喚いている姿はヒステリーのようにも見えるし、どちらかと言えば、 アニエスの抵抗を喜んでいる。拒絶されたがっている、反撃され たがっている――  ジュリオは、本当は。  ――まさか。  ジュリオの風貌がそんな錯覚を起こさせるのだろう。  本当はこうやって犯されたいのはジュリオの方なんじゃないか?  そんな幻想を抱かせるほどに、彼の美貌は儚げで、庇護欲を そそり、加虐の誘惑に満ちている。 「ほんとに君は名器だね! 歴史にあまた名を残す傾城の美姫でも こうは甘く射精をそそらなかっただろうよ! 」  しかしその半分は、ジュリオの魅力のなせる技だった。  もう半分は、いみじくも彼が看過してみせたように、アニエスの 性癖に由来するのだろう。彼女は真実、暴力に強烈なフェティズムを 覚えている。  ――ずくっ……じゅぷ……ぐちゅ……ぬぐっ……  ジュリオは乱暴にしているようで、じつはアニエスを痛めつける ようなことはしていない。後ろを乱暴にいじくるような真似を しなければ喉を犯すわけでもなく、刃物で体を切り刻むでもなく、 膣内に致命的な異物を挿入するようなそぶりもない。 首を絞めるくらいは、されると思っていたのに。 「すっかり愛液が吹きこぼれて、ぼくの毛まで濡らしているのが 分かるかい? からだごと全部弛緩しきって、刺激に過敏に なっているのが?」  いいながら、彼もまた興奮している。初恋にうかれてはしゃぐ 乙女のようにまつげを震わせて、瞳を半分以上まぶたで寝かせ、 青い未熟な色気をふくんだ目尻をアニエスに流している。  アニエスはとりとめもなく妄想する。  戦場にあって、これを犯したいと思う男も、少しはいただろう。 そして、おのれの乱心にひどくうろたえたに違いない。オレは 変態じゃない、悪いのはこいつだといわんばかりに、敵意を 向けてきた輩も、ひょっとしたらいたのではないか。  この傲慢な少年が、頬を染め、眉をしかめて、自分の下で 愛らしくも泣き叫ぶことがあったとしたら。 538 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/16(土) 14:48:44 ID:bD+MbxpG  アニエスはしびれる下半身の、限界を悟った。  すでに十二分に犯し尽くされた。  快楽の波が高まって、彼女をさらっていこうとするのが分かる。 その熱が、アニエスにうわごとを洩らさせた。 「……うえに」  ジュリオが首をかしげる。 「うえ、に、ならせて……」  そのしぐさがあまりにもかわいらしいので、アニエスは 無意識のうちに手を伸ばして、こめかみの髪を指ですいてやった。  ジュリオはその手に、反応した。  びくん! と身をすくめたのだ。  アニエスは知っている。これは叩かれるのを気取った 小動物とおなじリアクション。 「――図に乗るなよ、負け犬!」  ジュリオは怒っていた。傷付けられているようだった。 なににかは知らない――だが、推測はできる。 「お前は下敷きにされてればいいんだ! おもちゃのように 扱われて捨てられればいい!」 「……そんなに、上になられるのが、怖いか……?  ……コンプ、レックス? ……トラウマ、なのか?」  ジュリオは険悪に笑ってみせた。 「は、意味が分からないね! 気持ちよすぎてイカレたかい?  隊長どの!」 「そう、かもね」  アニエスはほのかに笑んで言うと、ジュリオの動きに集中を戻した。  ――じゅぷじゅぷじゅぷじゅぷっ!  『花弁』がとうとう乱れて散った。ジュリオのいたぶりに 悦んでいたひだがひきつけを起こし、これ以上の受け入れを拒絶し、 アニエスの思考を純白に染め上げた。 「……う、あっ」  一瞬、女の子のように鳴くと、ジュリオもその胎内に 熱い精を放った。鳴動すら感じ取れるほどに強く暴れ、 アニエスの鼓動にしごきあげられて目も眩むばかりの快感を 引っ張り出していく。 539 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/09/16(土) 14:49:41 ID:bD+MbxpG 「さて……」  ジュリオは憑き物が落ちたような純真無垢の、まっさらな顔つきで、 しずかにアニエスから自分のからだを引きぬくと、帯刀に手をかけた。 「復讐しようなんて気を起こされても、面倒だからね。それに我らの 主君も、アンリエッタ女王づきの護衛である君の有能さを、 疎んぜられている。ルビーのありかも知らないならば、 生かしておく道理もない」  それをアニエスの首にひたりと押し当てる。 「……命乞いも、しないのかい?」  ジュリオがあまりにもつまらなさそうに言うので、 アニエスは、言ってやった。 「……もう殺されてる」 「はい?」 「心がな。好きに、しろ」 「……なんとか言え。冗談だ」  きょとんとしているジュリオに。 アニエスは無感情に付け加えた。  ジュリオは笑いもしなかった。 おしまい

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