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630 名前:1/4[sage] 投稿日:2006/10/31(火) 21:51:38 ID:lYEsVthX 最近ミス・ヴァリエールは虚無の曜日のたびになんだかんだと、サイトさんに用事を頼む…… 『側に居て』 たったそれだけの事が言えないあの方らしいけど。 ……口実がお茶会だと、準備するのちょっと大変。 「シエスタ、だから持つって」 「いいえ、サイトさん。わたしのお仕事ですもの」 ……シュヴァリエにお茶運ばせるメイドになるのは嫌です。 「ルイズもシエスタも頑固だよなぁ……」 …ミス・ヴァリエールほど頑固な方は居ないと思いますけどね。 そんな返事をしようとしている途中に、メイジの方々の使い魔が数匹、寄り集まって移動していた。 「……ここって、毎日ハロウィンだよな」 サイトさんが変なことを言った。 「『はろうぃん』ですか?」 「ん、あぁ地球の風習で、そうだな……モンスターに化けた格好で近所を回って、小さい子がお菓子を貰う。そんな感じのお祭りだよ」 「変わった風習ですね。ひいひいおじいさんには聞いたことも無いです」 どうしてかサイトさんが苦笑いをしてる。 変な事言ったのかしら? 「はろうぃん、はーろうぃん、はろうぃーん」 サイトさんの故郷の言葉は、皆不思議な語感です。ヨシェナヴェとか。 「あーシエスタ『トリック オア トリート』って言ってお菓子貰うんだ、ハロウィンじゃないよ」 ……お菓子が欲しかったんじゃ有りませんけど。 折角だから 「『とりっくおあとりーと』?」 「そうそう」 「『とりっくおあとりーと』、『とりっくおあとりーと』」 唱えながら目で、運んでるお茶請けの中のクッキーを示す。 「『とりっくおあとりーと♪』」 「………えーーっと」 きょろきょろとサイトさんが周りを見渡す。 ミス・ヴァリエールは居ない。 恥ずかしそうなサイトさんが、 両手の塞がっているわたしの目の前にクッキーが運ぶ。 お行儀は悪いけど…… あーんって空けてる口の中にお菓子が差し込まれる。 ゆっくり味わう。食べたことあるお菓子だけど……いままでで一番美味しい。 「いい風習ですね」 「……俺も今日知ったよ、こんな良いものだって」 赤くなったサイトさんが可愛い。 ミス・ヴァリエールの部屋に着くまでに、何度か 「『とりっくおあとりーと♪』」 唱えたおかげで、随分喉が渇いたけど…… 幸せ、サイトさんの故郷ってきっと素晴らしい所ですね。 631 名前:2/4[sage] 投稿日:2006/10/31(火) 21:52:15 ID:lYEsVthX ……遅い。 良く考えるとお茶運ぶのに二人も行く必要ないじゃない? サイトはわたしと部屋で待てば良かったのよっ。 ……べべべ別に二人っきりに成りたい訳じゃないわよ。 窓の外にシエスタとサイトが見える。 ……もうすぐそこまできてるのねーって。 あ――――――――なにあれっ!! シエスタが、あーーーんって……サイトも…… ………そう、お茶一つ運ぶのに随分時間がかかるわけね。 私の目の届かない所で、そーーーんなに楽しかったのかしら。 杖の準備。 始祖の魔道書……光らない。エクスプロージュンで十分ってことね? 「……物騒だなぁ、娘っ子」 「うるさいわ、棒っきれ、わたし今、機嫌が悪いの。」 「サイトったら、わたしにも『あーーん』ってしてっ!!てか?」 「……サイトに魔法使うために精神力温存したいの。黙ってね?」 にっこり笑ったルイズの顔は……それはそれは美しかったが…… 「……こえーって娘っ子」 「あらあら、棒っきれ、伝説の癖に臆病ね?」 「笑うたびに凄みが増してるぞ?」 「おほほほほほほほほ、そうかしらぁぁぁぁ?」 サイト早く帰ってこないかしら? わたしサイトが待ちどうしくて、おかしくなりそうっ。 カチリと小さな音がしてドアが開く。 「おかえりなさーーい。サ・イ・ト。」 「ひぃっ」 あら? サイトがドアを開けた姿勢のまま固まってる。 「あ、ミス・ヴァリエール今戻りました。そこに置きますね。」 ……良い度胸ねシエスタ。 「駄目ですよ、サイトさん。」 「そうねー駄目な犬よね。」 「まてっ、ルイズ、何で怒ってるのか分からんぞ」 おほほほほ、どーしてかしらねー 「あ、サイトさんそれはですね。」 シエスタ? 「さっき、『とりっくおあとりーと』って言った時ここの窓から見える場所だったからですよ?」 「何よ『とりっくおあとりーと』って。」 「ミス・ヴァリエールはサイトさんの帰ってくる方向、ずっと見ながら待ってたに違いなんですから」 「あぁぁぁぁあれをルイズに見られたぁぁぁ……死ぬ……もうすぐ……コロサレル」 「だから『とりっくおあとりーと』ってなによ?」 「大丈夫ですよ、ミス・ヴァリエールがサイトさん殺せるわけないですよ」 「殺す寸前までいたぶられるぅぅぅ」 「だからぁぁぁぁぁぁ『とりっくおあとりーと』ってなんなのよぉぉぉ!!」 結局、サイトをボコボコにするまで…… (恩赦により魔法は使わないことにした。) 分からなかった。 632 名前:3/4[sage] 投稿日:2006/10/31(火) 21:52:58 ID:lYEsVthX 「へー、チキュウの風習ねぇ」 ルイズがやっと納得してくれた。 「変な風習ね」 「まぁ、日本じゃマイナーだけど、そんなのも有るんだよ」 「良い風習ですよね?」 「そ、そうねっ」 赤くなったルイズが暫く黙り込んで……やがて 「『とりっくおあとりーと』」 ぼそりと小さな声で呟く。 「え?」 「『とりっくおあとりーと』って言ったのよ!!貴方の故郷の風習なんでしょう?」 あ、そっか。 クッキーを手渡そうと…… 「何で、わたしだと手渡しなのよっ!!!」 ……ルイズの手が塞がってないからです…… どうやらこの二人にとって、ハロウィンは呪文を唱えると、 あーんってして貰える日に成ってます。 ………ま、いいか。 ルイズの口にクッキーを差し込む。 小さな口ではむはむとクッキーを齧る。 ……なんか小動物の餌付けみたいで可愛い。 「『とりっくおあとりーと』」 気に入ったようだ。 シエスタがお茶の準備をする間、ルイズの口に幾つもクッキーが消えていった。 機嫌が治ったルイズがニコニコとお茶を飲んでる。 「面白い呪文ですよね『とりっくおあとりーと』って」 「あ、呪文て言うか、意味が有って」 「そうなんですか?」 地球の話をすると、いつもシエスタは興味深そうにしてくれるから嬉しい。 「うん。お菓子をくれないと悪戯しちゃうぞ!って意味なんだ」 「そうなんですか……」 シエスタが暫く考え込む。 「ねぇサイトさん、お一ついかがです?」 シエスタがクッキーを摘んだまま聞いてくる。 うぁ、ルイズが鬼のような顔で睨んでる。 「貰うよ」 「…………」 ……いわないと駄目らしい。 「『とりっくおあとりーと』これで良い?シエスタ」 にっこりと微笑んだシエスタが、俺の側によってくる。 クッキーは何故か皿に戻した。 「?」 「サイトさん……いいですよ?」 ルイズも俺も何が起きてるのか分からない。 「えっと……シエスタさん?」 「イ・タ・ズ・ラ……してもいいですよ?」 シエスタが俺の手を取って………ふにゃんと柔らかい感触がぁぁぁぁぁぁあ 「なあぁぁぁっぁ、待ちなさいシエスタぁぁぁっぁあ」 ルイズが叫んでる。 「ミス・ヴァリエールも言えばいいじゃないですか?」 「なぁぁっぁぁ」 その間にも俺の手はシエスタの谷間に飲み込まれていく。 暫く考え込んでいたルイズが深呼吸をして…… 「あ、でも今言うと、サイトさんにイタズラしてーって事ですよね?」 あ、そのまま息吐いた。 「なななななな、ひ卑怯!!シエスタ卑怯!!」 ルイズが叫んでるが、俺の視界は……シエスタに塞がれていた。 「サイトさん、こっちの手……空いてますよ?」 頭に血が上ってクラクラした。 633 名前:4/4[sage] 投稿日:2006/10/31(火) 21:53:28 ID:lYEsVthX シエスタの馬鹿ぁぁぁぁぁぁ ズルイズルイズルイズルイズルイズルイ 自分だってサイトにあーんってして貰った癖にぃぃぃぃ サイトも笑ってんじゃないわよっ。 大きいのがいいのか? そうか、死にたいのか! 杖に手を掛ける。 って、シエスタぁぁぁぁ 「あ、サイトさんすいません」 とかってよろめきながらベットの方に行くなぁぁぁぁ 「う、うん」 サイトもついて行くなっ!! あまりの展開に…… 「あ、あうあうあうあうあ」 呪文がぁぁぁ 集中できるはずも無く、魔法なんて…… あ、目が合ったシエスタが笑った。 今のは笑った!!絶対笑った!! 杖を投げ捨てる。 魔法が使えないんじゃ、こんなの邪魔っ!! わたしもサイトに駆け寄る。 サイトとシエスタと絡み合ってベットに倒れる。 頭に血が上って、全然何も考えられなくなった。 そう、ドアがカチリと鳴るのも聞こえなかった。 「わたしにもイタズラしなさぁぁぁぁぁぁいっ!!サイトォォォ!!」 い、言えたっ!! 「……大胆ねーヴァリエール」 「ルイズ……あんた、大事にしなさいってアレほど……」 「まだ昼」 「……サイトっ!!凄いぞっ!!」 ……みんな、お茶会に呼んでたっけ? 「あ、さっきお声をお掛けしてたんですよ、サイトさんが。」 シエスタぁぁぁ?どゆこと?一体どゆこと? 「たまにはミス・ヴァリエールの素直な所が見たいなって、ちょっとやってみました。」 「すすすすす素直って何よぉぉぉ」 「「「「イタズラしなさーい」」」」 ……四重奏って、タバサまでぇぇぇぇ!! 「さ、みなさんお茶の準備できましたよー」 この後わたしを肴に話が弾んだ…… 「な、何?さっきの幸せはもう終わり?」 いつまでも腑抜けてるサイトに、八つ当たりしても…… 「逆よねー」 「ルイズがイタズラしてるわねー」 「……」(うらやましい) 「両方いけるんだなっ!!」 誰も真面目に取り合ってくれない…… 「ミス・ヴァリエール、お茶冷めますよー?」 ……なんだか思ってたよりシエスタが手ごわそうだしっ!! ―――――『はろうぃん』なんて…… ………夜にもう一度やろうかしら? 719 名前:1/7[sage] 投稿日:2006/11/05(日) 02:25:04 ID:SP1qeiv/ ……昼間は大失敗だった。 わたしの繊細な心は随分傷ついたわっ。 サイトに……慰めてもらってもいいよね? あのままからかわれながら過ごしたお茶会で、はろうぃんに付いての情報収集は完璧。 ○モンスターの扮装をした方が、呪文を唱える。 ○お菓子を食べさせるか、イタズラを甘んじて受ける。 ……サイトの世界って……変。 でも……この風習は……悪くないわね。 「風習じゃ仕方ないよね?」 サイトにあーんってしてもらうなんて…… 「し、仕方ないわよね?別にやりたくてやるわけじゃないんだしっ」 もし、サイトがお菓子を持ってなかったら…… 昼間のシエスタを思い出す。 ………お菓子を持って無さそうな時を狙おう。 サイトのことを考えて、サイトのためにできる事をする時はドキドキする。 「えっと、モンスターの扮装って……」 何か有るかな? わたしに相応しい……ユニコーンとか、………馬の格好?却下。 水の精霊……どうやるのよ? ドラゴン………可愛くない。 グリフォン………縁起悪い、瞬殺されそう。閃光ぽいし。 ……サイトの世界のモンスターってどんななのよ? わたしが扮装しても問題なくて、可愛いの!! 何かないかしら? 一生懸命考える………無理、仕方ない…… 困った時の伝説頼み。 「よう、娘っ子」 「知恵を貸しなさい」 「………いいけどよー、おりゃあ剣だぜ?なんだか最近みんな忘れてるみたいで、デルフ切ない」 「や、役に立つんならいいじゃないっ」 「まぁ、ずーーっと鞘に入れっぱなしよりゃ良いけどよ、何が有った?」 ……わたしはかいつまんで、はろうぃんと、昼間の出来事を話した。 「ぎゃはははははははは、大胆だなー娘っ子!!」 「……溶かす?」 「今溶かしたら、そっちが困るんじゃねーか?」 ……足もとみてぇぇぇ 「まぁ、そういう事情なら、簡単だ」 え、簡単なの? 「人型のモンスターに化ければいい」 「あ、そか……えっと、ワーキャットとか?」 「そうそう、あの耳また使えや」 「……アレには苦い思い出が有るんだけど?」 「文句が多い娘っ子だなぁ、じゃ仕方ない、おれの発案でよければ一個あるぞ?」 「どどどど、どんなの?」 「準備は少なくて良いし、ばっちりそそるぞ?」 「早く話しなさい!!」 「ヴァンパイア」 「ヴァンパイア――――?なんでそんな物騒なのに化けるのよ?」 会いたくないモンスターのトップクラスじゃない。 「いや、人型だしよ。それにほれ、それ使えばそれっぽいぞ?」 マント……? 「これつけるだけ?」 「それじゃあ、芸がないだろ?だからだな……」 わたしが側によるのを待って、ぽしょぽしょとデルフが…… 「えぇぇぇぇぇぇっぇえ、何の冗談よぉぉぉぉ!!」 720 名前:2/7[sage] 投稿日:2006/11/05(日) 02:25:36 ID:SP1qeiv/ 「スースーするっ」 「そりゃあなぁ……」 あんなミスがないように、ドアにはロックが掛かってるとはいえ…… 「かなり恥ずかしいわよ?」 マントの下は……裸だ。 「いや、相棒それに気がついた途端に飛び掛ってくるぜ?」 「ほ、本当?」 「おぅ、保障してやらぁ」 …………まぁ、サイトが……って 「べ、別に飛び掛ってなんかっっっ」 「そうだよな、ま、どうなるかはその時のお楽しみだ」 なんだか剣にあしらわれた…… 窓に駆け寄って、そっと下を覗き込む。 サイト……まだかな? そんなことを考えていると、風が渦巻く。 「きゃぁぁぁぁあ」 いきなりマントがまくれ上がる。 「きゅい?」 ……ドラゴンがつぶらな瞳でわたしを見てた。 (なにしてるの?なにしてるの?きゅいきゅい) そんな感じだ。 「ど、どっか行きなさい!!」 ドラゴンにだって見られるの恥ずかしい。 「窓から覗くなんて、非常識よっ!!」 (人間にしては非常識な格好してるのに、何か言われたよ) 「あぁぁぁぁ、なんか今ドラゴンに馬鹿にされたきがするぅぅぅ」 「む、娘っ子……そりゃあ…気のせい……でもないか、風韻竜か?」 「なんでも良いわよっ、立ち去りなさい、タバサに言いつけるわよっ」 (その格好じゃ言いつけにいけないくせに、きゅいきゅい) 「あぁぁぁぁ、やっぱり馬鹿にしてるっ!あの目は馬鹿にしてる目だぁぁぁ」 「……無理なくねーか?」 「サ、サイトの故郷の風習なんだから、仕方ないじゃないのっ!!」 (風習?) 「今日は、サイトがご主人様にゃん!!」 「……混ざってる混ざってる」 「いいのよ、今日は使い魔が主で、主が使い魔なのっ!!」 (そうなの?そうなの?きゅいきゅい) 「そうよっ、サイトの故郷の風習なのっ、モンスターが偉いの、あーんってしてもらえるし、いたずらOKなのっ」 (いい事聞いたーーーーきゅいきゅい) すごい勢いで何処かに飛んでいってしまう。 気まぐれな竜ね。 「やっと何処かに行ったわね」 「……やべーきがするけどなぁ……」 「なにがよっ?」 「いや、良いけどよ、ところで娘っ子、メイドはどうする気だ?」 「あ、」 「今日は外出でもするのか?いたら絶対何もできないと思うぜ?」 「わ……」 「その格好見られるのもアレだし……」 「忘れてたぁぁぁぁぁぁぁ」 「……降臨祭の二の舞か?」 「あんたも何か考えなさぁぁぁぁい!!」 シエスタの追い払い方なんて……そんなに簡単に思いつくはずなかった。 721 名前:3/7[sage] 投稿日:2006/11/05(日) 02:26:08 ID:SP1qeiv/ 「しくしくなの、しくしくなの」 変な泣き声が聞こえた…… 「なんだぁ?」 ルイズの部屋に帰る途中……人気のない寮の廊下で泣き声が響く。 「……ホラーか?」 足を止めて声に意識を集中させる。 「だまされたの、ひどいの、人間なんて死ねばいいの」 物騒だな…… 泣き声の主を求めて廊下を進む。 「女の子の声だし……ほっとけねぇよな。」 人気のない廊下の端に、誰かうずくまっていた。 タバサの部屋の前? 側まで……ってぇぇぇぇぇ 「は、裸ぁぁぁ」 全裸の女の人が廊下の端ですすり泣いてるって、なんだぁぁ?? 「あ、アイト?サイトだっけ?サイフ?」 「真ん中のでって、わぁぁぁぁぁ立ち上がるなぁぁぁ」 「あ、サイトなのね?きゅいきゅい。どうして、こんなところにいるの?」 「うあぁぁぁぁ、無造作にすたすた寄って来るなぁぁぁ」 「サイト、テンション高いね、やっぱりお姉さまとバランス取れてるね」 頭が真っ白になる。 「赤いね、赤いね、面白いね、男の子ってみんなこうなの?遠くで見るのと違うね」 そんなことを言いながら目の前には二つの山……はっ 「こ、これでも着てぇぇぇぇぇ」 り、理性が……理性が…… 「えー嫌、窮屈だしっ」 「お願いだから着てくれぇぇぇぇ」 無理やり羽織らせる。ほっ一安心。 「いらない、邪魔だもん」 脱ごうとする。 「だ、だめだぁぁっぁあ、そんなことはゆるさぁぁぁん」 「なにするのぉ、いい人だと思ってたのにっ、騙したの?騙したの?」 「良いから、ゆうことをきけぇぇぇ」 「いやなのぉぉぉぉぉ」 「えぇぇぇぇいっ、こうなったら力ずくだぁぁぁ」 「あーれーなのっ、酷いの、ずるいの。こんなの嫌、助けてお姉さまっ」 「良いから、大人しくしろぉぉぉ」 722 名前:4/7[sage] 投稿日:2006/11/05(日) 02:26:39 ID:SP1qeiv/ 廊下の向こうの方にサイトさんの後姿が見えた。 今日のお仕事は一段落で、サイトさん達の部屋に帰るだけ。 「サイトさーん」 ……あら、気づかなかったのかしら? 結構離れてるし、仕方ないのかしら。 あれ?部屋の方に向かってない? ……どこに行くのかしら? こっそり後についていく。 (まさか他の女の子の所?最近……もてるし) これは突き止めないと。 ……女の声………やっぱり? ドキドキしながら付いていく。 ……あれ、この先は行き止まり? 十分距離をとって……向こうを覗く。 やっぱりサイトさんの向こうに人影が…… ……うふふふふふ、良かったですねぇ、サイトさんもてて。 どこまでの仲なのかしら? もう少し様子を見ましょうかしら? 踏み込むのとミス・ヴァリエール呼んでくるのどっちが良いかしら? そんなことを考えていると…… 「だ、だめだぁぁっぁあ、そんなことはゆるさぁぁぁん」 「なにするのぉ、いい人だと思ってたのにっ、騙したの?騙したの?」 「良いから、ゆうことをきけぇぇぇ」 「いやなのぉぉぉぉぉ」 「えぇぇぇぇいっ、こうなったら力ずくだぁぁぁ」 「あーれーなのっ、酷いの、ずるいの。こんなの嫌、助けてお姉さまっ」 「良いから、大人しくしろぉぉぉ」 って……何事ぉぉぉ? 慌ててサイトさん達の方に向かうと…… サイトさんが女の人の服を掴んで、必死の形相で引き剥がそうと…… 「サイトさん?」 大きな声を出したつもりはないのに、サイトさんも見たことがない女の人も、弾かれた様にこちらを見た。 「楽しそうですねぇ?」 「ひっ、シ、シエスタ?」 「だれ?」 ……へぇ、わたしなんて眼中にないんですね? 「こんな所で何してたんですか?」 「え、いやその、泣き声がっ」 「騙されたの!騙されたの!!騙されたの!!!」 「待てぇぇぇぇぇ」 サイトさんを見る。 「ひぃっ、ち、違う。誤解だシエスタ。」 「主従そろって、酷いから、やっちゃえやっちゃえ」 ……? 「主従?」 「うん、二人ともシルフィ騙したから、不幸になってしまうの」 ……… 「何が有ったんです?」 「今日は甘えてもいい日だって聞いたから、こんな格好までしたのに、お姉さまはそれは嘘だって言ったの、きゅい」 「そのあとここで泣いてたら、いきなり酷い事されたの」 「ひどくねぇぇぇぇ」 723 名前:5/7[sage] 投稿日:2006/11/05(日) 02:27:10 ID:SP1qeiv/ 「つまり、ルイズが甘えても良いって言ったんだよな?」 「そう、シルフィ聞いたし、間違えてないはずなのに、違うって言われたから、騙された。」 サイトさんと、シルフィさんが話してる。 口裏を合わせている様子はなかった。 ちょっと安心。 ……でも。 「ミス・ヴァリエールが『今日は、サイトがご主人様にゃん!!』って仰ったんですね?」 「そうなの、間違いないの、シルフィ大きなお耳で聞きました。間違いなく聞きました。」 ……大きい? それはさておき……また、降臨祭の時のアレね……どうしようかしら? 「ところで、お姉さまってだれ?」 サイトさんが普通に話を始めてる……良いけど。 「お姉さまはお姉さまなの。」 「……どんな人?ってか学生?知ってる人?何してる人?」 「シャルロットって言うの、綺麗よ、可愛いよ、お勧めよ」 ……ドサクサでサイトさんにアピール……敵かしら? でも、この階の貴族の方にシャルロットさまって居たかしら? メイドにもいないし…… 「何してる方なんですか?」 「……んー騎士様?」 なんで騎士様の妹がこんな所にいるのかしら? 「姉妹で仲良いんだな、やっぱり二人とも美人なの?」 ……へーサイトさん興味ですねぇ。 「お姉さま、可愛いのに強くて、こっそりと優しいの、誤解されやすいけど、シルフィ知ってるもの、誰か良い人がいたらいいなって思ってるの、サイトどう?」 なぁぁぁぁ 「だめですっ!!」 「えーなんで?なんで?お姉さま可愛いよ?お勧めよ?きゅいきゅい」 「きゅいきゅいとか言ってる人にサイトさんはあげません」 「……俺の意見は?」 「お姉さまはきゅいきゅい言わないよ?」 「却下です」 騎士同士なんて、ある意味ミス・ヴァリエールより手ごわいじゃないですかっ。 「………姉妹って日頃どんなことしてるの?」 わたしが睨んでるせいか、サイトさんが話をそらす。 「……んーーーー?日頃、毎日してること?」 「そうですねっ、貴族の方の生活って興味有りますねっ」 悪い予感がするからわたしもそれに乗る。 「お姉さまと、毎日する事……お姉さまは毎日シルフィに乗るの」 ……は? 「乗らない日も有るけど、大体毎日乗るの」 「……の、のる?」 「うん、そして飛ぶの」 ……のって……とんで? 「その……どんな感じに?」 「感じ?気持ち良いの、お姉さまも気持ち良さそうなの」 「な……ななななな」 「……シ、シルフィさん、具体的にっ詳しく、詳細にぃぃぃぃ!!」 「サイトさんっ!!!」 「詳しく?」 「是非にっ!!」 ……その……わたしもちょっと興味があったり……… 「シルフィがじっとしていると、お姉さまがシルフィの身体押さえつけて、無理に上に乗るの」 「シルフィが最初ゆっくり動かすの」 「な、なにを?」 「決まってるの、サイト分からないの?お馬鹿さん?」 こ、これは…… 724 名前:6/7[sage] 投稿日:2006/11/05(日) 02:28:01 ID:SP1qeiv/ 「ゆっくりのときは、ちょびっと飛んで、そのまま少し動いて良い場所を探すの」 ……うぉぉぉぉ、すげえぜ、シルフィさんのお姉さま!! 「いいところを見つけたら、強く動いてもっと高く上がるの。」 ゴクリって…何か聞こえた…おぉ…シエスタも聞き入ってる…… 「どんどん高く上がるととっても気持ちよくなるの、お姉さまとぴったりくっつけて嬉しいの、きゅいきゅい」 ぴ、ぴったり…… 「ぐ、具体的にはどこがぴったりくっ付くんでしょうか?」 「そこに決まってるの、きゅいきゅい」 ……もちろん股間を指差された…… 「うぉぉぉぉぉ、シルフィさん最高!!」 「は、はしたないですっ!」 エロイ、エロイよシルフィさん。 「と、ところで何で裸だったの?」 「シルフィいつも裸だよ?きゅいきゅい」 え? 「お姉さまが服くれないと、着るものないの、きゅいきゅい」 ……ずっと裸ですかっっっGJお姉さま!! 「そ、そのぉ……飛ぶ時って……どこで?この辺りにいい所があるんですか?」 シエスタ……聞いてどうするんだ……って、潤んだ目で見つめられてるぅぅ。 「きゅい?飛ぶのはいつもお外なの」 「そ、外なんですか?」 「道とか、お姉さまのお家とか、お城でも飛ぶの、どうかしたの?きゅいきゅい」 「しょ、初心者にはきついです……でも……サイトさんが……」 ……レベルたかっ凄いぜお姉さま。 「す、凄いお姉さまですね」 「お姉さまは凄いの、あ、でも……」 「で、でもぉぉぉ?」 こ、これ以上があるのか? 「言うこと聞かないと、ご飯抜きで辛いかも。」 「うぉぉぉぉ、躾けられてるぅぅぅ、調教?調教なのかぁぁぁ?」 「す、すごい、本当にこんな人居るんですね……」 「あれ?でもサイトも一緒に飛んだこと無かったっけ?」 え? 「なんですってぇぇぇぇぇ」 シエスタが睨んでる…… 「ま、待って、心当たりがねぇぇぇぇえ」 そんな時どこからか口笛が聞こえた。 「あ、お姉さまが呼んでる」 シルフィさんマントを着たまま、何処かに行こうと…… 「ま、待って……」 誤解を解いていってくれぇぇぇぇシエスタこえぇぇぇっぇえ 「あ、これ返さないと、はい」 あっさりマントを脱ぎ捨てて俺に手渡す。 凹凸のはっきりしたラインについ見入ってしまう。 「サイトさぁぁぁぁぁぁん?」 はっ、やばっ 「じゃぁねー、きゅいきゅい」 裸のまま走り去るシルフィさん…… 「ちょ、まって……何か一言ぉぉぉぉ」 今のままだと本気でヤバイ 「んーーーーーサイトーーー」 「はいっ!!!」 何とかして行ってくれぇぇぇぇぇ 「また一緒にとぼうね、きゅいきゅい」 ぎゃぁぁぁぁあ、シルフィさんルイズ並に空気読めねぇぇぇぇ!! 「またって何ですかぁぁぁ、サイトさん!!」 725 名前:7/7[sage] 投稿日:2006/11/05(日) 02:28:32 ID:SP1qeiv/ 「なんだか二人とも遅いわねー」 「服着るのが間に合ってよかったじゃねーか?」 そうなんだけどねー 「いたいって、誤解!!誤解なんだよシエスタっ」 サイトの声が遠くから聞こえてくる。 何事? 「ただいま帰りました、ミス・ヴァリエール」 「お帰り、サイトのて、引っ張ってどうしたの?」 シエスタのオーラが黒い……何か有ったのかしら? 「『今日は、サイトがご主人様にゃん!!』?」 「なぁぁぁぁぁぁ」 「何かたくらまれた様ですね?」 何でばれてるのぉぉぉぉ? 「あーやっぱ誰かに喋ったか……」 「ぼ、棒っ切れどういうことよ?」 こ、怖いシエスタ怖い…… 「それはさておき、サイトさんが……よそで女性に手を出してます」 「な、何ですってぇぇぇぇぇ」 「誤解だって」 「何度も、一緒に、飛んだ、そうです」 「飛ぶ?」 何のことかしら? 「それはサイトさんに説明してもらいましょう……ね?」 「……そうね……サイト説明しなさい」 なんだか分からないけど、浮気したみたい。 「ご、ごかいだぁぁぁぁぁあ」 「じゃあ、ちゃんとご主人様に報告なさい!!」 「わたしも聞いてますね?」 「ひぃぃぃぃぃ、なんかモンスターが二匹居るぅぅぅぅ」 「……丁度良かったじゃねぇか、相棒、はろうぃんなんだろ?」 「こんなん、ハロウィンじゃねぇぇっぇぇえ」 サイトの言い訳は……一晩続いたという…。

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