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549 名前:1/5[sage] 投稿日:2006/12/24(日) 21:50:16 ID:4a7WMG3s 重々しい音共に牢獄の入り口が開く。 囚人達の視線が私に注がれる。 「やれやれ」 この牢獄の中で私は今や時の人だ。 コツコツとブーツの音が私の牢獄に近づいてくる。 「ジャン・コルベール、食事だ」 フル装備の軍装。 昔はあんなに小さかったのに、今は立派な…… 「何を見ているっ」 鋭い叱責が飛ぶ。 「入るぞ」 三度三度の食事は毎回この娘が運んでくれていた。 「大変ではないですかな?」 「職務だ」 毎回繰り返されるこのやり取り。 「逃げはしませぬから、コレを解いてくれれば自分で……」 「うるさい黙れ、一人で城の警備を無力化するような化け物の枷を外せるかっ」 やれやれ…… 「枷が付いてても危ないからっ……こうやって毎食わたしがっ……」 私はどんな怪物だと思われているのですかな? ちなみに私が強いのではなく、ここの質が落ちているだけかと…… 何度か指摘したら凄い目で睨まれた。 「さぁ、食事を始めるぞ」 重々しく宣言するシュヴァリエの方に向き直る。 牢獄の視線が全て私に集まるのが分かる。 ひじょーに、居心地が悪い…… 「さぁっ、ジャン・コルベール!」 ミス・ツェルプストーに見られたらどんな事になるのやら…… 「あ――ん、しろっ」 550 名前:2/5[sage] 投稿日:2006/12/24(日) 21:50:55 ID:4a7WMG3s 「ほら、こぼれたぞ」 懐から出したハンカチでジャン・コルベールの口元を拭く。 周りの囚人がざわめいたが気にしない。 「じ、自分で出来ますので……」 ほほう 「何だとっ、まだ動けるのかっ、では更に厳重にせねばならんなっ」 「そ、それは違いますぞ?こ、これ以上は……」 泣きそうな顔が可愛い。 (苛めて苛めて苛め抜いてやる) その決心は揺らぐことが無い。 手馴れてきた所為で、残念なことに食事は結構すぐに終わってしまう。 「ごちそうさまでした、シュヴァリエ」 無意識に少し頬が緩む、毎食の後のこの時間がわたしは結構気に入っていた。 「さて、今日はまだ終わらんぞ?」 今からの仕打ちを思い出したジャン・コルベールが赤くなる。 「いえ……その……結構です」 両手両足を拘束されていて逃げられないこの男の服を、無言で脱がせる。 と、言っても腕や腿で服は引っかかるわけだが…… 「あーれー」 これを始めて知った事だが、この男の身体は結構締まっている。 食事と一緒に持ち込んだ桶の中の手拭を絞る。 「さ、拭くぞ?」 「で、ですからっ、解いてくれれば自分でっ」 「貴様っ、逃げる気だなっ」 がっくりと脱力するこの男の身体を、ほの温かい手拭でなぞる。 「シュ、シュヴァリエ……もっと、強めに……そのっ……」 ふっふっふ、くすぐったかろう、こそばかろう。 しかーしっ、これは復讐なのだっ。 一度で済むはずの所を、優しく優しく何度も繰り返して拭く。 なんて残酷な仕打ちだ、自分が恐ろしくなるなっ。 さて……背中は終わったし…… ガシャガシャと鎧を外す。 「あーシュヴァリエ?何を?」 ふっ……前回悟ったのだよ、ジャン・コルベールっ!!鎧を外した方が威力が上がると。 「邪魔だからな」 それだけ伝えると、背中側からお腹や胸、首筋を拭く。 「ちょっ……シュ、シュヴァリェェェエ」 出来るだけ密着する、そうすると…… 「あ、当たってますぞ?当たってますのですぞ?」 「ほほう?どこがだね?ジャン・コルベール」 途端に口ごもるコルベール……言えまい、純で内気な貴様にはっ 『胸が当たっています』等と言えまいっ、甘いぞっコレは陛下直伝『あててんのよ』だ 陛下がいつか使おうと古代の魔法書から発掘した、超奥義っ。 多少恥ずかしかろうと、復讐の為ならばっ。 前回は鎧が有った為発動しなかったが……け、けしてわたしの胸が人並みな所為じゃないからな? ……学生の癖に、膨れまくった女が側に居たような気もするが…… っっっっ悔しくないしっ。 何度も絞りながら上半身済ませる。 ……前回はここで逃げてしまった……今回こそっ 「ちょっ、シュヴァリエ?」 湿った手拭をパンツの……って? 「何?これ?武器かっ……貴様ぁぁ、逃げる気だなっ、逃げる気だったんだなぁ?」 あのでっかい胸のところに帰る気だったんだな? 「ゆるさんっ」 とりあえず、武器を取り上げようと…… 551 名前:3/5[sage] 投稿日:2006/12/24(日) 21:51:28 ID:4a7WMG3s 「いたたたたたた、違いますぞぉぉぉシュヴァリエェェェェ」 周りの牢獄から失笑が漏れ聞こえる…… 誰か、誰か止めてくださいっ。 「なんだ?武器じゃないのか?」 握りしめたまま、パンツの中を覗き込んだシュヴァリエが真っ赤になって飛びずさる。 「ご、ごめんなさいっ」 あの……シュヴァリエ? タッタッタ…… 「駆け去るのは結構なのですが……ね」 周りの牢獄から声が飛ぶ。 「いい格好だなー先生」 「今日もいいもの拝ませてもらいやしたっ」 「あんたぁ、俺らの神様だぁ」 「はにかむシュヴァリエ最高ぉぉぉぉ」 彼女は今やこの牢獄のアイドルだった…… いえ、それは良いのですが…… 服をはだけて、濡れたままなのは…… 「風邪を引きそうですぞぉぉぉぉ」 爆笑が牢獄を包む。 「ひぃいぃ、出たくねぇぇぇ、俺明日出所ぉぉぉぉ」 「俺、コレ見るためにわざと捕まったぁ」 「それでこそっ、漢!!」 普通の牢獄はこんなにテンション高いものなのですかな? シュヴァリエの方をからかった囚人が、次の日に連れ出され、 『蝋燭、目玉……蝋燭……目玉』と、 なぞの言葉を繰り返すようになってから、彼女を直接からかう者は居ないのですが… 「だ、誰か、助けてくださいませぬかな?」 「「「無理〜」」」 むぅ、囚人の皆さんのなんと薄情な…… 「そ、そんな事では立派な大人になれませんぞっ」 つい教師のサガが…… またもや牢獄が笑いの渦に巻き込まれ…… 結局私、次の日高熱を…… 552 名前:4/5[sage] 投稿日:2006/12/24(日) 21:52:00 ID:4a7WMG3s 「陛下!!」 「な、なあに?アニエス?」 「今日はわたし、非番です」 「そ、そうだったかしら?」 「そうなのですっ!!ではっ、失礼!!」 これで、今日は休んで問題ないはずだっ、わたしは走り出す。 (ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい) 視界が涙で歪んだ。 (わたしの……せいだ……) 朝食は殆ど食べられなかった、青い顔で沢山汗をかいていた。 「担架だっ、担架を用意しろっ」 必死で叫んで……牢番に運ばせたのは…… 「おや……シュヴァリエ……お仕事は?」 わたしのベットでぐったりと休むジャン・コルベール…… 「今日は非番だ……じっくり復讐してやるからっ」 冷水で絞ったタオルを額に乗せる。 城付きのメイジにお金を払って大量の氷を手に入れていた。 絞る時に手が刺されるように痛かったけど…… 「気持ち良いですなぁ」 わたしを相手でもまったく引けを取らない覇気に満ちていた目が…… 力なく細められる。 わたしが濡れたまま寒い牢屋に放置したせいで…… 「スープなら飲めるだろう?もうすぐ出来上がる、いやでも飲んでもらうからなっ」 苦笑するコルベール……喋るのも辛いのか、何も言ってくれない。 切ない。 「死ぬなよ?死んだら復讐出来なくなるんだからなっ、死んだら許さんぞ?」 何かを喋ろうとしたコルベールがゴホゴホと咳き込んだ。 「黙れっ、何も言うなっ」 何か言おうとされるのも……辛い。 「ほら、水だ……水分はきっちり取るんだ」 典医の所から無理矢理借りて来た吸い飲みで水を飲ませる。 枕元に付いていても、出来ることなんて殆ど無くて…… 「ほら、出来たぞ、飲め」 スープを飲ませたり…… 「魔法薬だ、飲め」 薬を飲ませたりしているうちに、少しは楽になったのか、苦しい息のまま眠り始める。 額のタオルを何度も交換する。 熱くなっているタオルに触れるたびに責任感で押しつぶされそうになる。 (ごめんなさい……) 「さ、寒い……ですぞ……」 何枚も布団をかけているし、魔法の道具で温度も湿度も調節済みなのに…… 「わ、わたしの責任だからな……」 553 名前:5/5[sage] 投稿日:2006/12/24(日) 21:52:32 ID:4a7WMG3s 目が覚めると、久々に牢獄以外のところで…… 「両手が動くのって良いですなぁ……」 むにゅむにゅ 「そう、こーむにゅむにゅと……おや?」 「あんっ」 腕の中には見覚えのある顔…… 「こ、此処は何処ですかなぁぁぁぁ」 看病疲れでぐったりしているアニエスは熟睡したままだった。 「ま、まさかっ……あ、過ちをっっっ」 いや、しかし、自分は昨日風邪を引いて意識不明だったような…… 「ま、まさかっ、看病してくれたシュヴァリエに……そのまま襲い掛かったんですかな?」 最悪の可能性を考える。 それがコルベールに染み付いた思考法だった。 「ひぃっ、わ、私看病してくれた人間に……さ、最悪かもしれませんぞぉぉぉ」 いや、まてコルベール、まだコレは可能性のお話ですぞ? そう思っていると布団に風が入ってきたため、腕の中のアニエスが熱を求めて…… コルベールの胸に取りすがる。 「ジャン……」 そう呟きながら。 (ひっ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ) コルベールの魂の悲鳴に気付かないアニエスは眠り続ける。 と、何度もタオルを絞ったせいで荒れた指先がコルベールに触れる。 「痛い……」 (ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ) 「まだ……だめなの?……ごめんなさい」 (ひぎゃぁぁぁぁぁぁ) ……もう自分に生きている資格は無いかもしれませんぞ? というか、誰か昨日の記憶を返してくれませんかな? 覚えてないのはあんまりですぞぉぉぉぉぉ。 結局アニエスの復讐は有効で…… アニエスが起き出すまでの一時間、コルベールは燃え尽きて灰になっていた。 #br #br 685 名前:1/4[sage] 投稿日:2007/01/09(火) 01:53:21 ID:8eu1sYDr 「ねぇ、アニエス」 「はっ」 「私、使い魔さんのお話を彼としてみたいの」 陛下の繊細な指が胸の前で合わされている。 こっこれはっ、オネダリのポーズ。 いや、ダメだ、駄目だぞぉ、アニエス。 ここで負けては…… 「しかし陛下、彼は犯罪者です」 「自首してきたんじゃない、安全よね?」 ……確かに、陛下を襲うようなことは無いだろうけれど…… 陛下とジャン・コルベールの会談…… なんだろう?胸がもやもやする。 「なりません、陛下。彼は一人で城の守りを突破する化け物です。万が一の事が有っては成りません」 「私が牢屋に出向きましょうか?」 「なりませんっ!!」 なんて恐ろしいこと、国王自ら牢獄に行くなど。 「では、仕方ありませんよね?彼を連れて来て下さい」 「……はぁ……ではなくっ、そもそも会う必要性が無いではありませんか」 危うく騙される所だった。 陛下はこうと決められたら、結局いつも思い通りになさるから、常に気をつける必要がある。 「でも……私もお会いしたいですわ」 陛下の真面目な顔に、また胸の奥が痛む。 おかしいな……後で医務室に行こう。 「なりません」 「えー、でもでもアニエス」 「でもでも、ではありません、今日の決済はよろしいのですか?」 何とか話をそらそうとするわたしを助ける声が、意外な所から響いた。 「その通りです、陛下こちらに」 いつの間にか陛下の背後に枢機卿が居た。 陛下の首根っこを掴んで、ズルズルと引きずってゆく。 「あん、こらぁ、マザリーニ、不敬罪ですよ、不敬罪ぃ、ほらアニエス逮捕!!」 「不経済はいけませんな、陛下。働くべき時はきっちり働いてこその経済活動でして」 「ちーがーうー、退屈なお仕事いやぁぁぁ、使い魔さんのお話ぃぃぃぃ」 どうやら仕事以外なら、何でも良かったんだ。 別に陛下は彼に興味があったわけじゃないと分かり、ほっとする。 ……ほっと? 別に陛下と彼が話をしても、警備上以外は問題ないはずだが…… 「ま、いいか」 そろそろ昼の時間だ。 隊員の詰め所に顔を出して、一言皆に声を掛ける。 最近皆、妙にニヤニヤして送り出してくれる。 『苦労してやっと捕まえた・ずっと探してた』 とか言った辺りからかな? 『ちょっと、微妙な趣味ですけどっ、応援しますねー』 とか 『……ま、いいですけど……』 とか、色々なことを言われた。 しかし、最近はとても心強い。 「隊長、今日はこんなのどうでしょう?」 「いや、こっちが良いですよっ、イチコロです」 「……これで……悩殺」 悩殺ってなんだ?まぁ殺って付くからには、危害があるのだろう。 皆、親身に復讐の相談に乗ってくれて……なんて優秀な隊員達だ。 「ありがとう、皆今日は……うん、これにしよう」 隊員たちの提示する復讐プランから一つ選んで、牢獄に向かう。 「ふっふっふ、待っていろっ、ジャン・コルベール、けして逃しはしない!!」 叫ぶ私の声に、詰め所から上がった歓声が キャ―――――なのは、どうしてなのだろう? 686 名前:2/4[sage] 投稿日:2007/01/09(火) 01:53:54 ID:8eu1sYDr ……今日もまた、この時間が来ましたぞ? 「うぅ……また……」 涙で曇って、前が見えませんぞ? 周りの囚人さん達が、嬉しそうに見守る中、シュヴァリエガ来る時間が迫っておりますぞ。 シュヴァリエは自分が妙齢の女性だと言うことに、もう少し留意するべきだと思うのですぞ。 耳掃除とか、膝枕とかは、囚人にすることではありませんぞ? てーか、あんなに色々されると……貯まりますぞ? いい歳なのに……夢でシュヴァリエが出てきて、朝洗濯が必要だった時の切なさは、筆舌に尽くしがたいですぞ…… しかも洗濯もシュヴァリエがしてくれて、汚れているのを見つけて、 「何だこれは?」 ……死にたかったですぞ? もういや、こんな毎日絶えられないっ、実家に……帰りたいですぞぉぉぉぉ 「ジャン・コルベール、食事だ」 キタ―――――――― 泣きそうになりながら、シュヴァリエの方を見ると、今日も食事以外に何か携えてますな。 いっそ拷問された方が気楽なのですが。 いそいそとわたしの側まで来たシュヴァリエは、いつもの様ににっこりわらって…… 「ほら、あーんだ」 ……可愛いですぞ。 はっ、違う、流されてはいかん、コルベール。 運動不足防止のためと城内を腕を組んで歩いた時、危うく押し倒したくなったり、 今日の拷問は毒見だ!!と、手料理を自室でいただいた時、後姿にムラムラしたり、 非番なのに『寂しくないか』などと顔を出してくれたときには…… はっ、違う、とにかく、我慢だコルベール。 なぜなら、わたしは教師だからだ。 等と考えていると、カチャーンと言う音と共に、スープ皿の中にスプーンが落ちる。 しまっ…… 「……い、要らないのか?ど、どこか体の調子がっ??」 しまったぁぁぁ恥ずかしいからと、一度食事を取らなかった時の事を思い出す。 全力で泣きながら、『また風邪かもっ』などと自室で看病されましたぞ? 「てぃ」 ひっ、シュヴァリエ? 拘束具と重り付きのわたし結構重いはずですが? まるで重さを感じさせない、シュヴァリエはわたしを抱えたまま牢版に声を掛ける。 「おいっ、こいつを連れて行くぞっ!!」 ……分かってますぞ? 牢版の目がすべてを語ってますな。 『またか!!』 ……いや、確かに三日に一回は連れ出されてますが。 「いいなっ!!」 返事も聞かずに飛び出すシュヴァリエに、牢屋中から喝采が送られる。 あぁ……今日も牢に戻ったら質問攻めですな。 諦めの境地に達したわたしは、ただシュヴァリエに運ばれるだけですぞ。 687 名前:3/4[sage] 投稿日:2007/01/09(火) 01:54:36 ID:8eu1sYDr 「はいっ、あーーん」 「あーん」 部屋に来た、ジャン・コルベールは『もう治ったから』と、食事を再開させた。 ……えへ、ちょっと役得。 やっぱり、部屋で食べさせてあげる方が、落ち着くし。 「……熱くないか?ほら、ふーふー」 むぅ、料理長め、囚人が火傷したらどうする気だ。 後できつく注意しよう。 ……あれ?そういえば、昨日スープがぬるいって怒った様な……ま、いいか。 「ご馳走様でした」 ……もう、全部食べてしまった……よし、量も足りないと注意しよう。 「おいしかったですなぁ」 ……そうか、怒るのは今度にしておくとするか。 こいつを捕まえる前までは、わたしの部屋は結構散らかっていたが、 今は何時こいつを運ぶか分からないから、いつも片付いている。 片付ける時に、隊員達が協力的で嬉しかった。 可愛い小物とか沢山増えて、ちょっと恥ずかしいけど。 ナプキンでジャン・コルベールの口元を拭う。 慣れたもので、あちらも拭き易いように動いてくれる。 さて…… 「今日の復讐だがっ!!」 全身を強張らせる、ジャン・コルベール。 しかし、わたしは逃がさない。 「これだっっっ」 隊員に渡された一冊の本!! 怪訝に見つめるジャン・コルベールの拘束を解く。 この部屋に居るときは何時もだ。 ……まぁ、こいつが逃げる気なら、いつでも逃げれるし。 問題ないよな。うん。 本を抱えたまま、ベットの上で崩した正座……いわゆる女の子座り。 ここでポイント、皆の進めに従って、胸のボタンをいくつか外す。 完璧だ!! 「ほら、こっちだ」 膝の上をぽんぽんと叩くが、もじもじするだけだった。 「ほらぁ、ここだって」 無理矢理手を引いて、胸にぶつける様にして座らせる。 「シュシュシュ、シュヴァリエェェェ」 慣れないやつだ……うれしいけど。 抱き寄せたコルベールの位置を微調整。 後頭部が胸の谷間に来るように合わせて、コルベールの背中から本を見せる。 「こっこれはっ!!」 驚愕するのを、心地よく見つめる。 「さぁ、始めるぞ、ジャン・コルベール」 「な、なりませんぞぉぉぉ」 もがこうとするが、一言で動きを止める。 「そんなところで暴れると、痛い」 凍りついたコルベールの耳元でわたしは囁き始める。 「これは、わたしが小さいときに……」 涙なくしては語れぬ物語をっ!! 688 名前:4/4[sage] 投稿日:2007/01/09(火) 01:55:11 ID:8eu1sYDr 「ひっっく……うぇ……まだぁ……つつ口から細く出ていましたぁ……」 あーあ、無理するからですぞ? 感情移入の余り、途中からすっかり幼児退行してしまいましたし。 「うぇぇぇぇぇ、ゴン……ゴン……」 「な、なぜ、こんな事を?」 「だって……泣かしてやろうと思ってぇ……」 自分が泣いてどうするのですかな。 「皆、これなら絶対に泣くってぇぇぇぇぇ」 泣いてますなぁ……自分が。 「だって、だって、最近復讐なのに嬉しそうだしぃ」 ぎくり、と硬直するわたしを他所に、シュヴァリエは続けました。 「何したら嫌がるのか分からないんだもん」 まぁ、真面目に聞いてたらわたしも泣いたかもしれませんが、はっきり言って背中とか頭とかが気になってそれ所では…… 「なんで泣かないっ」 子供のようにジタバタと暴れだしたシュヴァリエの一撃が、 ……位置的にとんでもない所に直撃して、 悲鳴も上げられずに丸くなって転げまわってしまいますぞっっ 「いた……い……です……ぞ……」 硬くなってたから更に。 「ご、ごめん……」 って、シュヴァリエぇぇぇぇ 「覗き込まないでくださいっっ!!」 はっ、違う!1 何時もここで間違えるのですぞ、かねてより考案していた 『おぺれーしょん・ぼたもち』発動ですぞぉぉ!! 隠すから見られる!!して欲しくないと言うとする!! この天邪鬼シュヴァリエに対抗するため、この発明家コルベールの粋を結集したプロジェクト!! 「ほーーら、ほらほら、見るがよいのですぞっ」 「ひっ」 はっはっは、いつもは無理矢理見ようとするくせに、見せられると案の定引いてますぞ。 「わたしを困らせたければ、その可愛いお手々で握って、優しく上下運動することですなっっっ」 「……握って……?」 「あまつさえ、咥えて、吸って、舐めたりすると、もう駄目ですぞっ!!」 「……く、くわ……え?……す……」 「一番いいのは、シュヴァリエも脱いで、胎内で擦り合わせてくださると、言うことありませんなぁっ!!」 「……ぬ…………こ……」 「ふむ、それぞれを再度詳細に説明しますと、まず手は強すぎず弱すぎず…… 口はこちらの気持ちの良い所を確認し、視線を極力私に向けてですな…… 十分に濡らした後、両者の一番気持ちい所をゆっくりと見つけ、その過程も……」 熱く熱く語り上げること数十分……おや?むう、やりすぎたでしょうかな? 真っ赤に成ったシュヴァリエが、頭から湯気を立てて倒れてしまいましたぞ? 「完璧だ……わたしの計画のなんと完璧なことか」 ……これで少しは、警戒してくれれば次から楽なのですが。 ちょっと苦笑して、緩んだ胸もとのボタンを元に…… 「アニエスやっぱりわたくし、お話……が……」 「おや、陛下ご機嫌よろしゅう」 む?何故陛下が硬直してるのですかな? 「へ……」 へ? 「へんたぁぁぁぁぁぁい、誰かぁぁぁぁ、誰かぁぁぁ、アニエスが襲われてるぅぅぅぅ」 なっ、誤解ですぞ? って……下半身丸出しの親父が、意識の無い女の子の胸元を…… 「むぅ、シュヴァリエ、貴方も何か言ってくださいっ!!」 国王陛下に誤解されるのはちょっと怖いですぞ?無理矢理起こして、コメントを…… 「……む、むり……そんなの入らないっっっ」 げ…… 「お、お口も……恥ずかしい……しぃ……」 「やっぱりぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」 …………終わった…… これは……次に生徒に会う日がひたすら怖くなった、ジャン・コルベールのある日の物語

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