「1-380」(2008/02/18 (月) 03:42:52) の最新版変更点
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380 名前:キュンキュン ◆4hcHBs40RQ [sage] 投稿日:2006/07/18(火) 01:30:24 ID:0obQkP+L
では>>355の予告通り、投下させていただく。
10レス消費。ルイズ×サイト。
381 名前:1/10 ◆4hcHBs40RQ [sage] 投稿日:2006/07/18(火) 01:31:26 ID:0obQkP+L
「ちっ、あのモンモンめ。
お蝶夫人のような髪型してるくせに、惚れ薬なんて余計なモン作りやがって……」
と、心の中で愚痴る平賀才人御年十七才。
好きな食べ物はテリヤキバーガー(もう食えない)
只今、自分のご主人様にして同居人であるルイズの部屋の前で右往左往しているのであります。
それというのも、ルイズが惚れ薬を飲んでしまったのだ。
もちろん、誰だって惚れ薬を好んで飲むわけがない。
先の言う、モンモラ……えーと……モンモンでいいや、モンモンが阿呆なギーシュが今後一切浮気をしないようにと、
惚れ薬を作り、それを飲まそうとしたところでうっかりルイズが飲んでしまったから、という、複雑な事情が絡みついた事故なのだ。
運が良かったのか悪かったのか、まず始めに見た人間が、ギーシュとかモンモンとかじゃなくて、俺だったわけでありまして、
あのルイズが、平気で人に下着を洗わせるルイズが、ちょっと粗相でもしようものなら鞭でぶったたいてくるルイズが、
ベタベタベタベタくっついて、好きだよ、サイト、好きだよ、と耳元で呟きまくってくれる姿は、男冥利として尽きる光景だけれども、
惚れ薬の勢いで、イケるところまでいっちゃうのは流石に、俺としてもどうかなあ、と思うところがあるのだ。
けど、あの、俺の惚れているルイズの誘惑を俺は耐えられるのか?
抱いて……と呟いて、潤んだ鳶色の瞳で見られたら、俺は耐えられるのか? いや、耐えられまい。
と、そういう背理にさいなまわれているのでござーます。
「……さ、さいとぉ……どこぉ……」
扉の向こうからルイズの声がした。
ルイズが惚れ薬を飲んだのは昨日。
飲んだ瞬間、めそめそ泣かれ、一体なんだどうした、と聞いても事情がわからない。
とにかく泣き疲れたルイズをベッドに寝かせ、今日起きてみたら「授業を休んで一緒にいる」と夜迷い事をのたまった。
結局午前中ずっとベタベタベタベタくっついて、昼頃にはまたコテッと寝てしまった。
昼食を、メイドのシエスタにもらいに行ったときに、初めて何かしらモンモンに盛られたということに気づき、
モンモンに犯行を自白させ、解除薬を作る確約を取って、今またルイズの部屋の前にいるわけです。
午前中、何することにもくっついて俺から離れなかったルイズが、起きたとき部屋に俺がいなかったらどうなるんだろう、
という疑問の答えが、多分、きっと、このドアの向こうにある。
「さいとぉ……さいとぉ……」
俺の名前を、オウムのように繰り返すルイズ。
どことなく、声に潤みがかかり、色っぽい。
むむむ、やっぱり入りづらい。
ルイズも、俺が部屋から出ていたということを本当の意味で怒ったりはしないだろう。
けど、一番おっかないのは、あのルイズの俺の気を引こうとする攻撃に、俺が耐えられなくなることだ。
下手をしたらだな……一番最後のステップを飛び越えて、大空にジャンプしちゃうことだってありうる、ぶっちゃけたところ。
俺だってお年頃だ、高校生だ、17才だ。
いくらルイズに胸も色気もないとはいえ、惚れている女の子に「何してもいいよ」なんて言われて理性を保てる保障はない。
むしろ、襲うな、という方が無理があるだろう。しかし、襲ってしまったら負けかな、と思うわけでもありまして。
「んっ……さいとぉ……どこぉ……あっ」
……。
なんだかルイズの声が怪しげな……とてつもなく怪しげなうめき声のようなものが混じってきた。
耳に神経を集中させて、そっとドアに耳をつける。
ごくり、と喉をツバが通る音がした。
「こ、こんなところ……サイトに見られたら……んんっ。ううー、さいとの馬鹿ぁ、なんでご主人様の私をほうって置いて……」
382 名前:2/10 ◆4hcHBs40RQ [sage] 投稿日:2006/07/18(火) 01:32:25 ID:0obQkP+L
いささか矛盾しているような言葉が聞こえてくる。何やってんだか……。
気付かれないようにそっとドアノブをひねり、音をたてないようにすっとドアを押す。
つんとした香りが鼻をついた。
お香を焚いているのか。
「んっ、はぅ……サイトの……さいとの、藁たばぁ……」
藁束。使わなくて久しいものだ。
以前は、床に寝ることを強いられ、シエスタに頼んで下に敷いて寝るために置いておいたものだ。
もうルイズと同じベッドに寝ているから使ってはいないが、ルイズの機嫌を損ねたときに備えて、取ってある。
中からは確かに、藁と藁がこすれる音がしている。
……。
まあ、俺だって年頃だよ、高校生だよ、十七才だよ。
恋に溺れた十六才が、一人私室で苦しいような切ないような声をあげて行う『何か』がわからないわけじゃない。
あの高潔なルイズが、ハイパー自家発電(道具は俺の藁束)をしてしまうなんて……モンモンの惚れ薬、恐るべし。
さて、いよいよ進退窮まった状態でござい。
このドアノブに握る手を、どういった方向に向けたらいいのかわからない。
心の中の選択肢はこちら。ドンッ。
1.気にせず入る。後は野となれ山となれ。
2.そっとドアを閉めて逃げる。後は野となれ山となれ。
3.避けられない、現実は非情である。
1番はポジティブ。2番はネガティブ。3番に至っては意味不明。
我ながら自分の思考の突飛さに関しては右に並ぶモノはないような気がする。
機会が有れば、一度かち割って何色をしているのか見てみたい。
ていうか、どれも無計画。
これは2番だな。
自家発電中に顔見知りに部屋に入られたときの心痛は誰にも増して俺が良く知っている。
なぜ知っている、と言うツッコミしたら、デルフリンガーで串刺しな。
とは言え、逃げはしない。じっと息を潜めてドアの前で座っていることにしよう。
万が一、この部屋に誰かが入ってきたら、そしてそれが男だったら、更にその男がルイズに対して邪な思いを持っていたら、
はてさてどうなることか。
おい、そんな破廉恥なことしていることをみんなに言いふらされたくなかったら大人しくしろ、
いややめてはなして、さいと、さいとぉぉ! いやあああああ! 何その鬱展開。
残念ながら俺はそういった属性を持ち合わせていない。
そりゃあまあ、ルイズは惚れ薬の効能がなかったら、俺のことを見向きもしないんだろうけど、さ。
そっとノブを引き、ドアを閉める。
やれやれだ。手間のかかるご主人様だこと。
「あ、サイトさん」
「うぉあっ!」
あ、やばい。
目の前には、シエスタが。
料理を運んできたらしい。
そういや、頼んでたんだっけ。
しかし、最悪のタイミングだ。
383 名前:3/10 ◆4hcHBs40RQ [sage] 投稿日:2006/07/18(火) 01:33:15 ID:0obQkP+L
「どうしたんですか?」
「な、ななななな、なんでもないよ、ははははは!」
「そうですか? 顔色が一瞬真っ青になったと思ったら、今度は真っ白になりましたけど?」
「い、いや、だ、大丈夫、大丈夫。エーと……その、なんだ、と、とにかく、だ、大丈夫」
がたがたっと部屋の中で音がした。
やばい、全然大丈夫じゃない。
俺の見ていて憐れになるほどの慌てぶりに、シエスタは一瞬顔を傾けたが、にっこりと笑った。
「では、お料理を中にお運びしますね」
そしてドアノブに手をかけ……。
「だ、ダメ! い、い、い、今入ったらダメ!」
「なんでですか?」
「な、なんでって、そのー、そりゃ、なんだ……えーと、そうだっ、今ルイズ着替え中なの。
あは、あはは、だから、ね。もうちょっと待ってて……」
「……」
なんでだろう、シエスタの目が絶対零度の冷たさを放つのは。
「さっき、サイトさん、覗いてませんでした?」
ああー、見られてたのね、そうなのね。
……部屋の中のごたごた言ってる音が尋常じゃなくなった。
あ、こら、あかん、もうだめ、ぼく、もう死ぬ……。
いくら惚れ薬を飲んでいるルイズといえ、きっと、俺に向かってエクスプロージョン(レキシントン号撃墜級)
ガンダールヴの力を発揮することもなく、塵と化す。
いや、違うな、塵なんて甘いもんじゃない。
虚無なだけに虚無になるだろう。
「お、大きい方が好きだって言ってくれたのに……」
シエスタが懐から何かきらりと光るものを取り出してきた。
目が絶対零度の冷たさを脱却して、今度は、そう、キュルケもなんのそのな灼熱の炎が宿っている。
イッツ、修羅場。
一応、名誉のために言っておこう。
俺は確かに大きい方が好きだ。
視線がそっちの方向に行ったりはするものの、公言したことはない。
まあ、どっちでもいいよね、今に至っちゃったら、あはははは!
「ちょ、ちょっとまて、落ち着けシエスタ俺は大きい方が好きだぞ別に着替えなんて前はいつも俺が着替えさせてたんだから
今更ルイズの裸なんて見たところでどうってことないわけじゃないけどそれでもわざわざ覗いてみようと思うもんではなくて
だからだなちょっと落ち着けシエスタまず刃物はしまえ刃物はあぶないやばい刺さったら死ぬからさおいやめてくれとにかく」
「……じゃ、部屋の中では何をしているんですか」
こぇーよ! シエスタ!
ナイフが俺の心臓を狙ってるよ!
384 名前:4/10 ◆4hcHBs40RQ [sage] 投稿日:2006/07/18(火) 01:34:00 ID:0obQkP+L
「そ、それはだな……」
考える、俺は考える。
必死になって考える。
思わず目線が揺れる。
あっちいったりこっちいったり、左向いたり、右向いたり。
シエスタのおっかねぇ目を見たり、ナイフの矛先を見たり。
シエスタの、脱いだらすごい胸を見たり。
ああ、すごいな、シエスタ。
脱いだらすごいなシエスタ。
肘が当たったらすごいなシエスタ。
キュルケのおっぱい星人級おっぱいも素晴らしいが、こっちも負けてないぞすごいなシエスタ。
ああああ、何も考えられねぇぇええええええええええええ!
「何してたんですか?」
「そっ、それはだな……」
「もう『それはだな』は聞き飽きました。言ってください、サイトさん。
これ以上焦らしてくれましたら、あなたを殺して私も死にますよ?」
で、デルフリンガー……だめだ、ガンダールヴの力を発動する前に、デッドエンド確実。
こ、このまま部屋に逃げ込むのは……それもだめだ、部屋の中にルイズがいる。
エクスプロージョン(レキシントン号撃墜級)をお見舞いされる。
正直に言ってしまうか? 部屋でルイズがオナニーしてましたって。
それはルイズの名誉を著しく傷つけることだぞ?
いや、言っちゃダメだな。むしろ、事態は悪化するぞ。
ルイズは更に怒るし、シエスタだってもっと怒る。
しかし、これといって素晴らしい言い訳が思いつかないような……。
俺の胸を、しびれをきらしたシエスタがちょんとナイフで突いた。
「ひっ、る、ルイズは部屋の中で大オナニー感謝祭を実施中であります!」
あ、いっちゃった。
しかもわけのわからない言い方で。
部屋の中からドッシーンと大きな音が聞こえるし、
シエスタはぽかーんと口をあけて、目の炎を消して俺を見上げてきている。
俺も正直、どんな顔していたのかわからない。
ああっ、やっべ。
レキシントン号撃墜級なんてレベルじゃねーよ。
国が一個消滅するよ。
ああっ、やっべ。
心臓一突きなんてレベルじゃねーよ。
全身滅多刺しだよ。
天災レベルでも人災レベルでもなんて酷い。
誰がこんな結果をもたらしたのか?
モンモンだ。モンモンが悪い。
モンモンめ、許さん。
モンモン……モンモン……。
385 名前:5/10 ◆4hcHBs40RQ [sage] 投稿日:2006/07/18(火) 01:34:36 ID:0obQkP+L
あんにゃろめ。
無理矢理惚れ薬飲ませて、まず一番最初に、阿呆のギーシュを見せてやる。
今まではずっとギーシュにへこへこさせてたけど、今度はギーシュにへこへこする立場に立たせてやる。
けっけっけ、どんなに屈辱だろう。
……いや、俺も悪いんですけどシエスタと二人用マフラー被ったり一緒に風呂入ったり。
ていうか理不尽じゃね?
確かにルイズが独占欲強いっていうのはわかる。
ああ、痛いほど分かるさー。プライド高いし、ツンツンしてるし。
だけど、ちょっといちゃいちゃしたり風呂入ったり……いや、風呂はダメか、流石に。
とにかく、別にシエスタと一緒にいてもいいじゃん。
なんであんなに怒ったりしてるのさ。
と、現実逃避してみても、現実は変わらない。
「うわっ!」
いきなり首根っこ掴まれて引っ張られた。
シエスタの顔が遠ざかる。
あれ? ルイズさん、なんでドアを……。
「ロック」
ルイズさんが、杖を取り出し、ぱぱっとドアにカギをかけた。
な、なんですか? なんで俺部屋の中で尻餅ついているんですか?
なんでルイズさん、裸なんで……いや、局所的に藁束がついているけど、何も衣類をつけていないんですか。
「ふふ、サイトぉ」
ルイズさんは……ルイズは杖をくりくり弄びながら、尻餅をついている俺を見下ろしている。
やばい、死ぬ、殺される、いや、『消滅』させられる。
ルイズは振り返り、その裸体を隠そうともしていない。
桃色の髪の毛が乱れ、わずかに胸の頭頂を分かりづらくしているが……下は何の処置も無し。
ど、どうすりゃいいんだ……。
シエスタがドアを叩きま……いや、蹴り……ナイフで突き立てまくってる音が聞こえる。
こ、こえぇよ、みんな、みんなこえぇよ。
ああもうっ、なんでこんなことにッ!
モンモンが悪い! モンモンがぜーんぶ悪い!
「サイトぉ……覗いてたんでしょ? どうだった?」
「ひっ、ご、ごめんなさいごめんなさい、もうしませんから」
「む〜……別に怒ってないよ。ね、どうだった?」
「へ?」
ルイズは裸のまま、俺の側に寄る。
尻餅のついている俺の顔を、横からそっと抱きついてきた。
な、ななななななっ、なんですか、これは!?
どういうシチュエーションですか、これは?
386 名前:6/10 ◆4hcHBs40RQ [sage] 投稿日:2006/07/18(火) 01:35:12 ID:0obQkP+L
「押し倒したくなった?」
お、おおおお、俺はどう返せばいいの?
誰か教えて!
「押し倒しちまえよ、相棒」
黙れ、デルフリンガー、無責任な発言をすんじゃねぇ。
……。
なんだかんだ言って、そのまま膠着状態が三分ほど続いた。
デルフリンガーが俺にしか聞こえない小声で何か言っていたが、全部無視。
しかし、ルイズの方はと言うと。
「……いいもん、サイトが押し倒したくないなら、私が押し倒すもん」
「お、押し倒すって、おい、まて、何を……」
上体を突き飛ばされた。
ルイズは俺の上にのしかかるように寄り添い、手を俺のズボンに添える。
「ちょ、ちょっと待った! ルイズそれはちょっとお前には早いぞ!
もうちょっと、な、落ち着いて、落ち着け、そ、そんなとこ、はぁうっ!」
「だめっ! サイトいっつも他の子ばっか見てるから、もう私しか見ないようにするの!」
「み、見ないようにするって、い、一体どうすんだよ」
「……きせいじじつ」
「だぁほぅ! そんな直接的手段に訴える奴がいるかっ!
そ、そんなことしなくてもだな……なんだ、その、俺はちゃんとお前のことを見てるよ」
「……でも、私以外の子も見てるんでしょ」
「ま、まあ、そらまあ、そうだけど……」
「……きせいじじつ」
「ああっ、もうわぁーったよ! お前しか見ない。見ない、ああ、もう見ないって。
わ、わかったら、ふ、服を着ろ! か、風邪引くぞ」
「本当?」
「ああ、本当」
「本当に本当?」
「本当に本当」
「本当に本当に本当?」
「本当に本当に本当!」
「本当に本当に本当に本当?」
「本当に本当に本当に本当! もういいだろっ! は、はやく服着ろ! 目のやり場に困る」
「……信用できない」
「じゃあ、どうしろっつーんだよ!」
「……きせいじじつ」
「またそれかっ! いい加減にしろ!」
ついつい口調が厳しくなってしまった。
俺とてお年頃だ、高校生だ、十七才だ。
そろそろ、目のやり場に困るどころではなくなってきているんだ。
半ば怒鳴るように言ってしまったことがいけなかったのか、ルイズは目尻に大粒の涙を溜めた。
「あ、ちょ、ま……ご、ごめ……」
謝ろうとしたが、時既に遅し、ルイズは外見なんて自分の頭の中から蹴っ飛ばして、わんわん泣き始めてしまった。
あっちゃー、困った、困った。
387 名前:7/10 ◆4hcHBs40RQ [sage] 投稿日:2006/07/18(火) 01:35:46 ID:0obQkP+L
「っぐ……ごめ……んなさ……き、嫌いになら……ないで……」
……。
もうちょっと、このままでいいかな。
こういう風に俺に首ったけなルイズもかわええなー。
ふぅ……モンモン、そういうところだけは感謝してやるぜ。
「何言ってんだよ、ルイズ。俺がお前のこと嫌いになるわけないだろう?」
「……本当?」
「本当だ、本当。な、今のはちょっと怒鳴っちゃったけど、それもお前のことが嫌いで言ったんじゃない。
お前の今抱いている感情は精神疾患の一つじゃなくて、モンモンが持った薬によるものだから……」
「モンモランシーがいいの?」
「いや、違うって、っていうか今の話の流れでなんでモンモンがいいとか出てくるんだよ」
「……ふぇ……」
ルイズが泣き出す寸前のエフェクトを出した。
くっ、またかっ!
「ああー、よしよしー、ルイズ、いい子だから泣くのはやめようねー」
あんまり大声で泣かれるのは好ましくない。
誰かが聞きつけて……ドアにはカギがかかっているので入ってくるようなことはないだろうが、
やってきたらいい結果になるとは思いがたい。
第一、ドアの外には今なおナイフを突き立てているシエスタが……あれ? シエスタの気配がしないな。
どこかに行ったんだろうか?
……なんとかルイズをどうにかできても、今度はシエスタをどうにかしないと……。
「……」
なんとか泣きそうになったルイズをなだめ、ベッドに寝るように指示する。
な、なんだよ、別にやましいことは考えてねーからな、と誰に言うことなく心の中で言い訳しながら、
ルイズに布団を掛けてやった。
「もう眠れ。明日には解除薬ができるって言ってたから……」
ぷんぷんと鼻につくお香を消して、窓を軽く開ける。
冷たく新鮮な空気が肺を満たすと、少し冷静さを取り戻すことができた。
椅子を窓際までひっぱっていって、そこに座る。
「……」
ふとルイズを見てみると、ルイズはベッドの中でじっとこちらを見ていた。
「何?」
窓枠に頬杖をつきながら、ややぶっきらぼうに言った。
ズボンの前が膨れているのは、もうとっくにルイズに知られていることなので今更隠すことはしない。
「……一緒に寝て」
「だから、そういうことはできないって……」
「寝てくれるだけでいいの。別に何もしないから」
「……信用できないな」
「……ふぇ……」
「ああ、わかったわかった! で、でもな、俺に指一本触れたら、即行で逃げるからな!」
388 名前:8/10 ◆4hcHBs40RQ [sage] 投稿日:2006/07/18(火) 01:36:31 ID:0obQkP+L
かくして、理性の限界への挑戦は始まった。
ルイズから離れたベッドのすみで、ルイズに背を向けて寝る俺。
しかし、ルイズの切なげな息づかいの音が聞こえてきて、どうにも興奮してしまう。
いかんいかん、色即是空、空即是色。
このルイズは違うルイズ、だから手を出しちゃいけないんだ。
そうだっ、ルイズの怒った顔を思い浮かべろ、俺。
乗馬用鞭で、びしびし俺をぶん殴ってくるルイズを思い浮かべろ。
……だめだ、ムスコがもっと元気になってしまった。
「……」
「……」
ルイズはずっと黙りっぱなしだ。
どんな表情をしているのかわからないが、とにかく。
この状況じゃ寝るに寝れない。
目がギンギンに冴えて……。
……。
……。
「サイト?」
「んにゃっ!? な、何? 何か用?」
「まだ起きてる?」
「お、起きてるよ。べ、別にうとうとなんかしてないぜ」
「そう? なんかいびきかいてたみたいだけど……」
「き、気のせいだよ」
しまった、なんて寝付きがいいんだ俺は。
さっきまで心臓バクバク言わせてたのに、布団に入って目をつぶったら三秒で眠ってたぞ。
まぶたをかっぴらけ、俺!
……。
……。
「サイト、起きてる?」
「……」
「サイト? サイトぉ〜?」
……なんかルイズが呼んでるような気がする。
まあ、いいかぁ……。
……。
……。
389 名前:9/10 ◆4hcHBs40RQ [sage] 投稿日:2006/07/18(火) 01:37:15 ID:0obQkP+L
「ッ……はぁ……かっ……さ、い、とぉ……ん……ッ」
ん……あ?
あれ、俺、寝て……。
「あはっ……さいと、起きたぁ?」
「どぅわあああ! え? 何、何が、どうなって、ええっ!?」
目が覚めたら、全裸のルイズが目の前にいた。
桃色の前髪が、額の汗でくっついている。
「な、なに、やってんだよ、お前……」
ルイズが裸でいたのは、まだ百歩譲っていい。
けど……これは。
「ご、めんねぇ……さいと……。
最初は、ね……サイトの匂いを嗅ぎたかっただけなの……
でもね、なんだか我慢っ、できなくなっちゃって……気付いたら……サイトの、手を触ってたの……
けど、それでも我慢できなくて……ごめんね、嫌いにならないで、サイトぉ」
「き、嫌いに……って……や、やめろよ! ルイズ」
ルイズの右手の人差し指には血がついている。
その血を俺の頬になすりつけて……。
とにかく、ルイズは俺の上に乗っかっていた。
ただ乗っかっていただけじゃない。
男女の睦事、を、していた……。
ルイズの秘部からは、痛ましいほどの量の血が出て……更にそれ以上の粘液で満たされている。
「サイトの……赤ちゃん、欲しいの……」
ルイズの顔が近づいてくる。
避ける間もなく、キスされた。
唇を割り、中に舌が割り込んでくる。
口の中に小さい何かが蠢く。
ルイズの舌が、執拗に俺の舌を絡めようと、頑張っている。
技術不足なのか、それとも舌の長さが足りないのか、あまり満足のいかないようで、大きく食いついてきた。
しかし歯と歯がかち、と音を立ててぶつかり合う。
「……やめろよ……」
なんか、自分のアホさ加減に吐き気を催してきた。
こうなることはわかるはずだったのに。
ルイズが「手を出さない」って言ったから、なんて言い訳にもならんだろう。
「……なんで……わたしはサイトのこと好きなのに……」
「それは薬なんだよ。お前の本当の気持ちじゃない」
「ううん、前からサイトのこと好きだったよ。でも、私ああいう性格だから……言えなくて」
「……そか」
どうしよう。
ルイズがウソ言っているようにも見えないけど、かといってそういったもの含めて全部薬のせいじゃないとも言い切れない。
390 名前:10/10 ◆4hcHBs40RQ [sage] 投稿日:2006/07/18(火) 01:37:52 ID:0obQkP+L
「あの……ね、子ども……二人の名前からとって男の子ならルイト、女の子ならサイズっていうのはどう?」
気が早ッ!
しかも、流石にそのネーミングセンスはどうかと思うが……。
ていうか、子どもなんて、ま、まだ早すぎ……いやだが、しかし、破瓜はしてしまってい……。
くああああー、そうだっ! 俺はなんて取り返しのつかないことを〜!
「そんな悲しそうな顔しないで。私が望んだことだもの……それとも、サイトは嫌だった?」
「い、嫌じゃないけど……な、もうちょっとちゃんとした形で……」
ルイズは、そっと俺の胸に耳を押しつけるような格好で寄りかかってきた。
なんだか心臓の音をルイズに聞かれているような気がする。
心拍数は間違いなく、通常時より跳ね上がった数になってるだろう。
「……お願い、サイト、今この瞬間だけでいいから……私を抱いて」
ぐ、ぐぅ……。
そ、そう言われちまったら、しわ寄せが後々俺の身に降りかかってくるとわかっていても、断れねーじゃねーか。
ルイズの頭に手を当て、桃色の髪を梳く。
随分余裕あるな、とおもわれているかもしれないが、事実は違う。
滅茶苦茶緊張してるし、動揺だってしている。
ただ、変なところで理性を持ってしまっていて……。
「……半分レイプされたもんだからなぁ」
寝ている最中やられるって、俺って間抜けだな。
「ご……ごめんなさい……」
「あ、ああ、もう別に過ぎたことはかまいやしないよ」
「き、嫌いにならない?」
「しつこいなルイズ。俺がお前のこと嫌いになるなんて、ありえねぇよ」
まだ何か言いたそうだったので、おでこにキスしてやった。
ルイズは顔を真っ赤に染めて……人が寝ているところをおかしている割には、恥ずかしがって目線を逸らしている。
「好きよ、サイト、元の世界にも戻っちゃ嫌。ずっと私のそばにいてね」
「ん……あぁ、わかったよ、ルイズ」
しばらくそのまま、互いの体温を確かめていた。
……初体験なのに、俺ががっつかないのは、ルイズへの気遣いとルイズからの教育の賜物、かな。
まあ、その後、なんだかんだやってモンモンに惚れ薬を無理矢理飲ませたら、
ちょっとした手違いでモンモンが最初にギーシュの顔じゃなくて俺の顔を見てしまったり、
今まで忘れられていたシエスタが乱入したり、色々あったけど、それはまた別の話で。
391 名前:キュンキュン ◆4hcHBs40RQ [sage] 投稿日:2006/07/18(火) 01:39:26 ID:0obQkP+L
以上。
まあ、今後もまたぼちぼち遊ばせて貰いますので、その節はどうぞよろしく。
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