※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

306 名前:1/5[sage] 投稿日:2007/01/03(水) 00:14:24 ID:Y7rYqJWv 深い深い穴を掘る。 俺達二人で穴を掘る。 「よーし、順調だな、ヴェルダンデ」 あぁ、ぼくの相棒は何て優秀なんだ…… 惚れ惚れとヴェルダンデを見つめてから、掘りあがった穴を覗く。 昼間のサイトとの取っ組み合いで悟った事が有る。 「武器さえ握っていなければ、勝てないほどではない」 そう……どういう仕組みかは分からないが、サイトが強いのは剣を握っている時だ。 「普通は、あの剣が特殊と考えるんだろうが……」 ぼくとの決闘でも強かったことを考えると、サイト自身の特性だろう。 なら……寝こみを襲えば勝てる……が。 「そんな卑怯なことは出来ないしなっ、貴族として」 しかしサイトには勝ちたかった。 理由――勝ったらモテモテ 「……罠だな、罠にかけて襲う、これぞ貴族らしい戦いかただ」 そうか? そして、その為に人の滅多に通りかからない裏庭に、ヴェルダンデと共に落とし穴を掘っていた。 サイトが飛び上がれない深さの穴が有れば、後は上から魔法をぶつければいい。 「完璧だ……完璧すぎる。なんて恐ろしいんだ、ぼくの頭脳!!」 ヴェルダンデがのっそりと穴から出てきた。 「一つ目は終わりかい?ヴェルダンデ」 ぼくたちは目と目だけで通じ合えた…… 「そうか、わかったよヴェルダンデ、すまないがそんな感じでこの辺り一帯を穴だらけにしてくれ」 『任せときな坊主!』 ヴェルダンデがそう言ってくれたような気がした。 流石だヴェルダンデ、男は黙って土木工事。 頼れる兄貴だヴェルダンデ。 ヴェルダンデが次の落とし穴を掘り始める横で、ぼくは今出来た所の落とし穴に飛び込む。 かろやかに着地!! 「ぬおぅ、そ、底がでこぼこおぉぉぉぉ」 ……あくまでも軽やかに着地……捻挫したりしてない。 痛くない、だってぼくは男の子!! 「く……目から水が……」 思わずその場に座り込む。 「くそっ……サイトめ……見事だ!!」 さすが我が好敵手!! 罠にかけるつもりが、先手を取られた様だ…… 「罠とは卑怯だな、サイト……しかしっ、最後に勝つのはこのぼく!! ギーシュ・ド・グラモンだ……今は……勝ち誇っているが良い!!」 サイトへの復讐を胸に、罠をとりあえず完成させてみる。 魔法を使って落とし穴の入り口に蓋をする。 「うぉっ、真っ暗になった」 うん、深さも丁度だし、あとは上に上がって外観を整えればいいかな? サイトなら捻挫もしないだろうし。 「重症を負わせてしまうわけにはいかないしな」 前回の決闘の時のように、ベットに数日貼り付けるわけにもいかない。 気の毒だし……なにより。 「ルイズに殺されるし……なんか人望あるからなぁ……」 サイトの悪口を言った生徒の食事は格段に味が落ちる。 学院における最近の常識だ。 理由は分からないが、とにかく現実問題そうなるのだ。 「恐るべし、サイト」 故にこそ、サイトとは正々堂々と、決闘によって勝負をつけなくてはならない。 落とし穴の底で、ギーシュは心に誓っていた。

307 名前:2/5[sage] 投稿日:2007/01/03(水) 00:14:55 ID:Y7rYqJWv 騎士隊の伝達事項を、どうして皆わたしに伝えるのかしら? ぶちぶちと、口の中で文句を言いながらギーシュを探す。 「ギーシュしらない?」 通りかかるのに声を掛けても、 「モンモランシーが知らないのに、俺が知るわけないじゃないか」 「あら、貴方の部屋ではなくって?」 クラスメイトは妙な誤解をしていると思う。 「わ、わかりませんっ」 昨日訓練を覗きに着ていた下級生は、人の事見て怯えるし。 面白くないわねー 「あ、ルイズ、ギーシュ知らない?」 「さっき、あっちに歩いていったけど……サイト知らない?」 「さっき、厨房の方に……お互い苦労するわね」 最近ルイズと妙に話が合う。 少し話してから、お互いに自分の相手の元に向かう。 あの子はちょっと危なっかしいけれど、大事にされているのが離れてみているとよく分かって…… 「うらやましいなぁ……」 ギーシュもアレくらい…… 少し想像してみる、わたしが危なくなったら一も二も無く駆けつけて、 危なかったら命でも掛けてくれる。 ……ギーシュじゃないわね。 「ま、わたしもルイズじゃないしね」 死んでしまったコルベール先生みたいに、いざと言うときに頑張るとしましょう。 ……って。 「ヴェルダンデ?」 人気の無い裏庭で、ギーシュの使い魔がもそもそと歩いている。 「どうしたの?あなたのご主人様は?」 結構賢いヴェルダンデが右手(右前足?)の爪を、向こうの方に向けた。 「ありがとう」 『なんの』 ちょいっと、手を上げて挨拶してくれる。 結構可愛いかも。 「……何この穴だらけ……」 ギーシュの指示だろう……ヴェルダンデは2,3個の穴を開けて、今もまた次の穴を掘っていた。 「怒られるわねーこれ」 まぁ、たまにはいい薬よね? そう思いながら、穴を避けてヴェルダンデの示した方向に一歩進んで…… 踏み出した地面がいきなり抜けて、そのまま真っ直ぐ落ちていった。

308 名前:3/5[sage] 投稿日:2007/01/03(水) 00:15:48 ID:Y7rYqJWv 穴の底に光が差し込んできた。 「おや?」 不思議に思っていると…… どすんと、ぼくの両脇の辺りに足が降って来た。 あぶなー、お腹に直撃だったら悶絶している所だ。 ふわりと甘い香りが漂う。 覚えのある香水。 モンモランシー? 不思議に思っている余裕があったのは一瞬で、 次の瞬間にはモンモランシーの膝がカクンと曲がり、彼女はぼくに馬乗りになった。 「ぐほっ」 重い…… 「なっ、何?なにこれ?真っ暗じゃないっ」 目が慣れているぼくと違って、何が起きているのか分かっていないようだ。 ……チャーンス モンモランシーの目が慣れるまでがチャンスだっ 日頃は触るどころか、見つめるだけで睨まれる胸の膨らみに手を伸ばす。 「ひっ……なに?なんなの?」 はっはっは、モンモランシーが怯えている。 むにむにっと 「やぁっ、なに?何か居るのっ?」 居ますよー、君の永遠の賛美者、ギーシュくんですよ〜 服の上から柔らかい感触をこね回す。 モンモランシーがガクガク震えているのが分かる。 ちょっと見えないところで一方的に身体を弄られているだけなのに、 可愛いところも有るなぁ……そう思うと、 「ひっ……いやぁぁぁ」 更に止まらなくなったぼくは、ブラウスのボタンをいくつか外して直に触ってみる。 直接の方が柔らかい感じがするのも素晴らしいが…… なによりこの、すべすべの感触がたまりませんなぁ、ギーシュさん。 まったくですね、ギーシュさん、女の子はみんないけない魔法使いですね。 脳内でギーシュ会議開催!!全会一致にて決議。 この、まったくもってけしからん身体を、もっと色々調べようではないか。 ――すまない、モンモランシー、議会の決定は絶対なんだ。 (この間3秒) モンモランシーは左手で胸をガードしようとしながら、右手で見えない何かと戦っていた。 「やぁっ、触らないでっ……なんなのよぅ……」 ぼくは足元に居るので、右手は空振りするだけで、左手のガードも両手を使えるぼくにはまったく障害にならない。 『おんなのこって素晴らしい!』 あーこれは、後でサイトやマリコルヌに自慢しなくては。 そう思いながら、胸の感触を堪能していると、諦めたのかモンモランシーの手が力なく落ちる。 ふっふっふ、観念したのかいモンモランシー。 今度はスカートから伸びる白い太ももでも…… この際触れる所は全て触ろう。 次の機会なんて有るのかどうか分からないし。 そう思っていたぼくの耳に、小さな小さな声が聞こえる。 「たすけて……ギーシュ……」 頭から冷水でも掛けられた様に、血の気が引く。 ……ぼくは……何を…… 「こわいよぅ……たすけて…………ギーシュ」 ……ぼくは……好きな子になんて真似を…… 調子に乗っていた行動を思い返し、何も見えないまま悪戯されたモンモランシーを見上げる…… その瞬間に、ぼくの胸に小さな雫が落ちた。 「ギーシュ……ギーシュ……」 何かから自分を守るように、両手で胸を抱きしめながらぼくを呼ぶモンモランシーの涙だった。

309 名前:4/5[sage] 投稿日:2007/01/03(水) 00:16:25 ID:Y7rYqJWv こんな所で……死ぬのかな? それとも……まるで人みたいな手だったから……最悪の可能性を考える。 怖い……よぅ。 『ごめんねギーシュ、こんな事なら……貴方に上げてれば良かったね』 もし危険な魔法生物とかなら、なんとしても……汚されても生きて戻って先生に報告しないと…… ギーシュにごめんなさいと詫びながら、最悪の事態に備える。 ……と、何も起きなくなる。 あれ? ……あの……わたしの決意は? 「ご、ごめん、モンモランシー」 ……聞きなれた、さっきまではすご〜く、聞きたかった声が…… ある意味一番聞きたくないタイミングで聞こえてくる。 「……ギーシュ?」 ――――マサカ、サッキマデノ、コイツデスカァ? 「ねぇ、ギーシュ、何してるのかしら?怒らないからおねぇさんに言ってごらん?」 ぼんやりとギーシュの輪郭が見えてくる。 ギーシュだって確認できると、さっきまでの緊張が嘘みたいに解ける。 でも……でもねぇ……あんた……ちょ〜〜っと 「洒落になってないわよ?ギーシュ」 「ごめん……モンモランシー」 そもそもこいつこんな所で何してるのよ? 二人も入ると結構狭い穴の底で、ギーシュから極力距離を取るため、足の方に…… 「って……熱い……これ、捻挫?」 「っっっ、ごめん、モンモランシー謝るからそこはちょっと……」 まさかこいつ、穴に落ちて足挫いて……わたしがいきなり落ちてきたからもがいてたのかしら? 「動いちゃ駄目よ?」 わたしは魔法を使おうと……あれ? 「杖が……無い?」 落ちた時に、衝撃で飛んだみたい。 「ごめん……ギーシュ、直せないわ」 「いや、いいさモンモランシー丁度良い罰さ」 ……ギーシュはそんな事を言っているけれど…… 気になって、ギーシュの表情を見ようと顔を寄せる。 ギーシュはジタバタを逃げようとしているけれど…… 「痛いのね?」 ギーシュの顔には涙の後が有った。 「平気さ」 こんな穴の底で、怪我をしてうずくまっているギーシュの上に落ちてしまって申し訳なくなる。 「ごめんね、ギーシュ」 せめて、と指先で涙を拭っていると…… 「ギーシュ?」 「ごめん」 馬乗りの成っているわたしの腰に、なにか硬いものが当たっている。 ……男の子って…… 「あんたねぇ……」 何を言って良いのか分からないけれど、とりあえず怒ろう。 言葉を捜しながら、ギーシュに詰め寄ろうとするけれど、ギーシュの言葉のほうが早くて…… 「すっ、好きな娘にっこんな距離で触られたら、男なら誰でもこうなるよっ」 そして何より効果抜群。 「好きな子?」 暗い中でもギーシュが頷くのが見える。

310 名前:5/5[sage] 投稿日:2007/01/03(水) 00:16:57 ID:Y7rYqJWv モンモランシーの顔がゆっくりと近づいてくる。 当然の主張だとは思うけれど、モンモランシーが不快に思ったのなら甘んじて制裁を受けよう。 そう思って歯を食いしばり、目を硬く閉じる。 ……と、 ちゅっ 小さい音共に、ぼくの唇に少し湿った感触が、一瞬だけ触れる。 「モンモランシー?」 赤くなったモンモランシーは何も言ってくれないが…… 「しまったぁぁぁぁぁぁ、目ぇ閉じるんじゃんかあったぁぁぁぁ」 父上、母上、ギーシュ・ド・グラモン一世一代の不覚でございます。 あ、本気で涙出てきた。 「もぅ……馬鹿ね」 「ぼ、ぼぉくぅのぉ、ふぁぁすときすぅぅぅ」 なんで見てなかったんだぁ、もったいねぇぇぇ 力の限り叫ぶ、ぼくの魂からの絶叫の最中に、 モンモランシーの呟きが聞こえた。 「次から見とけばいいじゃないの」 その情報が脳に到着するや否や、モンモランシーに問いただす。 「つ、次でありますかっ?」 暗くてよく分からないけど、モンモランシーの顔が紅く染まっているのが分かる。 ぼくの腰に座ったままとはいえ、真っ直ぐ背筋を伸ばして距離を取り、 顔まで反らして、小さな声で何か……いや、ぎりぎり聞こえる声だった。 「いやならいいわよ」 嫌な筈無いぼくは、思わず両手でモンモランシーを抱き寄せた。 いつもなら幾らでもモンモランシーを賛美する言葉が出てくるのに、胸が一杯で何もいえなくなった。 抱き潰されたモンモランシーは、一瞬身構えたけれど全身の力を抜いてぼくにしなだれかかってくれる。 「ばか」 小さな呟きに、今なら好意が含まれていると信じることが出来る。 「そうさっ、ぼくは君の前だと馬鹿な道化に成り下がるのさっ」 うれしさで一杯のぼくは、モンモランンシーに少しでもそれが伝われと、 我ながら甘くなった声で告白する。 最も、モンモランシーの答えは 「いつもじゃないの」 だったけれど…… 幸せの絶頂のぼくは、そんな事にめげない、負けない、挫けない。 「こんな穴の底でも、モンモランシーが居るだけでまるで太陽の照る花畑の様だ」 「……こ、香水のせいじゃない?」 つれない所も、更に良い。 「ぼくの事が好きなくせにぃ」 「っっっっ、調子に乗らないのっ!!」 はっはっは、赤くなってる赤くなってる。 可愛いモンモランシー。 抱き合ったままだと、大きな声が耳に痛いから、 いつの間にか二人の語らいは、囁く様な声に成る。 真っ暗な闇の底で、飽きることなく囁きを交わして……

……今度は目を閉じなかった。