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 泣き疲れて眠った少女の傍らに少年が立つ。  優しい瞳で暫し少女を見つめるが、傍らに置かれたくたびれた人形に気が付いた。  少女を起こさないように静かに人形を手に取り、懐から糸と杖を取り出す。  土のメイジたる彼は、糸の先端を硬質化させ、器用な手つきで繕い始める。

 数分後少女の手の中にあるのは、幾分立派に成った人形と、一輪の薔薇の造花。

 彼が立ち去った後で、音を立てないように注意しながらも、床の軋みを止められない少年が心配そうに部屋の中を見つめる。  ふと窓の外を見た少年は、随分時間が経っていることに気付き、彼女の為に水と食べ物を用意する。  彼女を起こさないために、少しづつ何度も運んでテーブルを一杯にした。

 何度も何度も振り返りながら立ち去った彼と、入れ替わるように少女が部屋に忍び込む。

 薔薇と食べ物を見て苦笑した彼女は、自らに課した誓いに則り彼女の具合を確かめる。  怪我が無いのを確かめた彼女は、微笑みながら立ち上がる。  そのまま立ち去ろうとしたが、造花と暫し見詰め合う。

 彼女が立ち去った後で、部屋の隅で静かに香炉がたかれていた。

 鍛え上げられた動きで、彼女の親友が部屋に滑り込む。  部屋を見回した彼女の瞳は、驚きと歓喜に満ちる。  音も無く彼女の傍らに立つ親友は、彼女の実家を思い出して、なんども女の子らしくする様に、と注意した髪を撫でながら、その隣に潜り込む。

 それから間もなく、小さな寝息が二つに増えた。

 自らの剣と何かを語り合った少年は、日が落ちてから彼女の部屋の前で座り込んだ。  何者にも彼女を傷付けさせまいと心に誓って。  部屋の中には音が届かないように注意しながら、これから起きるかも知れない危険を相棒と語り合う。

 夜もふけた頃、相棒の勧めに従って少年は仮眠を取った。

 闇の中に桃色の髪が翻る。  少し怒った様子で、廊下で座り込む少年を見つめる。  少年の相棒は必死にとりなすが、少女は無言で立ち去った。  途方に暮れていた剣が廊下を何かが歩いて来るのに気が付く。  怒っていた……未だに怒っている少女は、それでもできるだけ優しく少年に毛布をかける。  剣を目で黙らせた少女は、一人宿の外に出る。

「おまえの主は幸せね」  心配げにある窓を見つめ続けるドラゴンが、心配そうに彼女に身を寄せた。

 少女の目が覚めたとき、そこに幸せがありますように。  そう願うみなに守られて、少女は今も眠っていた