ゼロの保管庫 別館

13-134

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134 :シルフィメイドになる。の巻 ◆mQKcT9WQPM :2007/03/28(水) 18:44:08 ID:GeHvoadQ 「それじゃあイルククゥさん。  これより実習に入ります。あなたの目的は!?」 「ご主人様にお仕えして、合格をもらって来ること!なのねー!」

『メイド実習』専任講師シエスタの前で、メイド服に身を包んだシルフィードが、何故かびしいっ!と敬礼をする。 シエスタはその敬礼に対しこれまた何故か返礼で返すと、続けた。

「ではいってらっしゃい。  幸運を祈る!」 「さーいえっさー!なのね!」

何故か英語で敬礼を返し、シルフィードはシエスタに背を向ける。

「ところで、あなたご主人様にする相手は決めてるの?」

サイトさんだったら全力で阻止しないと、と思いながらシエスタは尋ねる。 シルフィードは一度振り返ってにっこり笑って答えた。

「今も昔も、わたしのご主人様はお姉さまだけなのねー!きゅいきゅい!」

そして愛しい小さなご主人様の下へと走り出す。 シエスタは思った。 …この娘怪しいとは思ってたけど。 …最近王都で流行の百合とかってやつ…? 事情を知らないシエスタは、そんな勘違いをして、青い髪のメイドを見送ったのだった。

「…邪魔」

タバサの部屋に意気揚々とやってきたシルフィードは、即座に追い返された。 ノックもなしに部屋の中に突っ込んだ瞬間、首っ玉をタバサにひっつかまれて部屋の外に放り出されたのだ。

「どぉしてー!ひどいのねお姉さまー!」

部屋の外の廊下で尻餅をついてタバサに抗議するシルフィード。 そして気付く。 よく見るとタバサはマントをつけておらず、スカートから裾のはみ出たシャツは、ボタンが全部外れている。 タバサの身体のぶんだけ開いた扉の向こうには、ズボンだけを履いた半裸の才人が。 シルフィードは思ったことを、首をかしげながら言ってみた。

「…真っ最中だったの?きゅい?」 「------------------!!」

その一言で真っ赤になったタバサが、これでもかとシルフィードを踏みつける。

「いたいいたいいたいいたい!邪魔してごめんなさーい!」

シルフィードはたまらず、タバサの振り下ろされる足の下から逃げ出したのだった。

135 :シルフィメイドになる。の巻 ◆mQKcT9WQPM :2007/03/28(水) 18:44:52 ID:GeHvoadQ 「…もうしらないのねあんな色ボケ娘」

タバサに聞かれたら間違いなくもう一回踏み潰されるであろう台詞を呟きながら、シルフィードは中庭で不貞腐れていた。 中庭の噴水に腰掛けると、足をぶらぶらさせる。

「じっしゅー、どうしようかなあ」

実際にはシルフィードはここの学院生でもなんでもないので、実習を修了しなくてもなんの問題もないのだが、一生懸命教えてくれたシエスタや、途中で夢半ばにして散っていった戦友たちのためにも、是非実習は修了したかった。 しかし、シルフィードには学院内に知り合いというものはそうそうおらず、そして、少ない知り合いも、もうお手つきなものが大半であった。

「どうしよーかなのー。きゅーい、きゅーい」

頬杖をついて何気なしに中庭を観察していると。 いつかどこかで見た丸い物体が中庭を横切るのが見えた。 …そうなの!あの子なら絶対誰も手ぇつけてないの!むしろ誰もつけたいなんて思わないのっ! 相当失礼な事を思いながら、シルフィードは丸い物体めがけて駆け出した。

マリコルヌは背後から聞こえる風を切る音に気付いた。 時にはもう地面に転がっていた。

「捕まえたのねっ!」

地面に転がるマリコルヌのお腹をぶぎゅると踏みつけ、シルフィードは高々と拳を挙げる。 傍目には肉食獣に捕らえられた野豚のようだ。

「ちょ、何をするんだ君ぃっ!」

シルフィードの足の下でマリコルヌはじたばたともがくが、例によってシルフィードの足の下から抜け出られない。 そして踏みつけられるマリコルヌの中で、あの忌まわしい記憶が蘇る。

『もっと僕を踏んでくれえええええええええええええええええええ!!』

訂正。いかがわしい記憶でした。

「きっ、君はっ、君はあの時のっ!」 「おー。よく覚えてたのねー」

シルフィードはそのままぐりぐりと踏みつける足にひねりを加える。

「ぼ、ぼくの女神ぃぃぃぃぃぃぃ」

ぞくぞくぞくっ!

恍惚としたマリコルヌの表情と言葉に、あの時と同じヤバいものを感じたシルフィードは、思わず足を退けてしまう。

「ああっ、ど、どうしてっ?」

いや、どうしてと言われても。

136 :シルフィメイドになる。の巻 ◆mQKcT9WQPM :2007/03/28(水) 18:45:37 ID:GeHvoadQ 「な、なんかキモいのね!」

怯えた表情でシルフィードはそう叫ぶ。 その言葉を受けたマリコルヌは。

「…いい」 「…へ」

さらなる恍惚の表情を浮かべ、シルフィードににじり寄ってきた。 そして叫ぶ。

「もっと!もっと!なじってくれぼくを!その美しい声で蔑んでくれえええええええええええええ」

キモさ百倍。 シルフィードの中で何かが限界を超えた。

「いぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

げしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげし

踏む踏む踏む踏む踏む踏む踏む踏む踏む踏む踏む踏む踏む踏む踏む踏む踏みまくる。

「あひゅっ、これだっ、ほひっ、これだはっ、これだよほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

シルフィードに道端の害虫のように容赦なく踏まれながら、恍惚の表情を浮かべてマリコルヌは法悦に至る。

「いやぁぁぁぁぁぁ!きぃぃぃぃもぉぉぉぉいいいいいいいぃぃいいいいいのぉぉぉぉねえぇぇぇぇぇ!!!」

げしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげし

さらにさらにさらにさらにさらにさらにさらにさらに追加で追加で追加で踏む踏む踏む踏みまくる。

ぷちっ…

「ほひっ…」

シルフィードの百烈脚に徹底的に踏み潰され、恍惚とした表情でマリコルヌは果てた。

目を覚ますと、女神の腕の中にいた。

「だ、大丈夫なのね?」

さすがに悪いと思ったのか、シルフィードは踏み潰したマリコルヌを膝枕で抱えて介抱していた。 踏まれているときのマリコルヌはこれ以上ないくらいキモかったが、気絶していれば普通だった。 目を覚ましたマリコルヌは驚いたようにシルフィードを下から見上げる。

「も、もう罵ってはくれないのか?」 「今度ソレやったら殺すのね」

マリコルヌの言葉に、シルフィードはこれ以上ないくらいのマジ顔で言った。 本気だ。 それを悟ったマリコルヌは、ゆっくりと身体を起こす。 そしてシルフィードの対面に座り、彼女に尋ねた。

「…分かったよ。で、ぼくに何か用かい?」

シルフィードから声を掛けてきたということは、自分に何か用があるという事だろう。 マリコルヌはそう解釈した。 シルフィードはおずおずと、用件を話す。

137 :シルフィメイドになる。の巻 ◆mQKcT9WQPM :2007/03/28(水) 18:47:11 ID:GeHvoadQ 「えと、その、私の、ご主人様になって欲しいのね、きゅい」 「えっ?」 「か、勘違いするななのね!これは『めいどじっしゅう』の一環なのね!  アンタみたいな丸いのにはメイドになりたいなんて娘がいないだろうって判断なのね!きゅいっ!」

照れたように顔を赤く染めて逸らしながら、相当失礼な事を口走るシルフィード。

「そ、そうか…ぼくを主人に…へえ」

嬉しそうにニヤニヤと笑うマリコルヌ。 はっきり言ってキモい。 そして言った。

「よしわかった、君のご主人様になってあげよう!」 「た、助かるのね!」

これでメイド実習の修了が見えてきた。 シルフィードは意気揚々とマリコルヌに尋ねる。

「それじゃあ、して欲しいことを言うのね!ゴシュジンサマ!きゅい!」 「よし!それじゃあぼくを踏んでくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 「するなって言ったのねえええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!」

シルフィードの蹴りが、マリコルヌを学院の外まで蹴っ飛ばした。 翌日マリコルヌは半死半生で学院の外の森で見つかったが、その際救助に来た教員は、彼がうわごとのようにこう呟くのを聞いたという。

「キミは最高だ…合格…!」

*シルフィード(イルククゥ)メイド実習 修了*

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