ゼロの保管庫 別館

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湯けむり協奏曲(後編)

■1   「今晩は、ミス・ヴァリエール。入浴中のサイトさんにご用ですか?」  作り笑いなのが見え見えな笑みを浮かべながら、シエスタはルイズに問う。 「サイトがいつまでたっても帰ってこないから見に来たのよ。文句ある?」  ルイズは自分の肩を自分で抱きながら、そう言い返した。   「そうですか。……サイトさん、お風呂、ご一緒してもいいですか?」  ルイズと才人に特別な用が無いことを確認したシエスタは才人の方を見上げて、 今度は作り笑いではない穏やかな微笑みを見せながらそう聞く。  ”ご一緒”のところを妙に強調するのを忘れない。   「ちょっと! 一緒って何よ! それに、わたしが先にお風呂使わせてもらうんだから」  ルイズは目をつり上げてシエスタに怒鳴る。シエスタは意外そうな顔をしてルイズに向き直った。 「あら、ミス・ヴァリエールは学生寮のお風呂が使えるんじゃありませんか?」 「入ったけど湯冷めしちゃったのよ。もう入浴時間終わっちゃったし……」  だんだんとルイズの語気が弱々しくなる。   「大丈夫か? どうして湯冷めなんてしたんだ?」  才人が聞くと、ルイズは恨みがましい視線を才人に向けたが、特に何も言ってこない。  実は、才人が帰ってきたらパーカーを借りようと思って薄着で待っていたからなのだが、 そんなことを使い魔に対して言えるルイズではない。   「まぁいいや。じゃ、俺が出るからルイズとシエスタが一緒に入ればいい」  タバサとシルフィードがどこへ消えてしまったのかは気になるが、 さっさとこの場を去った方がいいのは明白だった。才人は平静を装い、最も常識的な提案をする。   「そんな、ミス・ヴァリエールと同じお風呂だなんて……。 それに、いつもみたいにご一緒してくださらないんですか?」  シエスタはちょっとむくれた顔をしながら頬を染める。今度は”いつもみたいに”の部分を強調。  ルイズの傍で、空気がピシッと張りつめるのがわかり、才人は青ざめた。   「い、いつもみたいにって、そんなしょっちゅう一緒に入ってるわけじゃないだろ」 「はい…一人で使わせていただく時は、何だか寂しいです…」  指を口元へ持って行き、切なげな表情で才人をみつめるシエスタ。 あぁ、何言っても駄目だこの娘。横にルイズがいるのを承知してわざとやってる。   「……サイト」 「はひっ!? ご、ごめんなさいっ!!」 「わわわ、わたしも一緒に入るわ。出ないでそこにいなさい」 「……はい?」  ルイズは視線を才人たちに合わせないようにしながら、意を決したように衣服を脱ぎはじめる。  才人とシエスタは呆気にとられた様子で肌を露わにしていくルイズを見つめた。   「え、一緒にって、マジで!?」 「わわ、わたしはいつでも大真面目よ」 「シエスタはどーすんだよ、待たせるの可哀想だろ!?」 「シエスタも一緒に入ればいいじゃない。あんたがメイドとどんな風に一緒に入浴してるのか見てやるわ」  まだ湯にも浸かっていないのに、りんごみたいに真っ赤になって早口でまくしたてるルイズ。 ほとんど自棄である。   「おいおい…シエスタも何か言ってやってくれよ…」 「ミス・ヴァリエールが許してくださるなら問題ありませんわ。三人で一緒に入りましょう?」  にっこり笑うシエスタ。彼女に助け船を求めたのが間違いであった。   ■2   「はぁ……気持ち良いですねサイトさん。この白いお湯も、いつもと違った感じで楽しいです」 「あ、あぁ、そうだな。良いお湯だな…」  うっとりとした顔で才人を見つめるシエスタに、才人は歯切れの悪い返事をする。  結局才人は風呂から上がる事を許されず、先刻とは別の少女二人と一緒に 長湯を続行することになったわけだが、針のむしろに座らされている気分だった。    その居心地の悪さの原因は、顎まで湯に沈めて先程から無言でいる才人のご主人様。  照れているのか、ヘソを曲げているのか。恐らく後者だろうな、と才人は考える。  すぐに裸になってさっさと湯の中に体を隠してしまったルイズの前で、 やけに色っぽく服を脱ぎ、体を丁寧に洗うシエスタに見とれたのがまずかった。とてもよろしくなかった。

 才人とのお風呂にはある程度慣れているシエスタのペースに、 ルイズはこれ以上ない敗北感を味わわされてしまったのである。    ――な、何よ何よ。やけに余裕ぶっちゃって。サイトはサイトでデレデレ鼻の下伸ばして。  男と女で一緒にお風呂に入るのに慣れてるだなんて、動物じゃない。犬そのものじゃない。  はしたないったらありゃしない。もっと慎みってものを持つべきなのよ。わたしが正常。  メイドと才人の方が異常なんだわ。羨ましくなんかないんだから。    ほとんど裸同然の格好で才人と毎日同衾しているルイズも他人のことを とやかく言えた立場ではないはずなのだが、彼女も使い魔同様自分の事は棚に上げる性格であった。   「どうされたんですか、ミス・ヴァリエール。貴女が一緒にお風呂に入ろうって提案されましたのに」 「何よ。わたしはお風呂の中ではしゃぐ趣味は無いの」 「あら勿体ない。サイトさんの国のお風呂は和気藹々と入るものなんですよ。ね、サイトさん?」 「ま、楽しみ方は人それぞれじゃないかな。うん」    そう言いながら、才人の視線はちらちらとシエスタの体に向いている。 シエスタはこの濁り湯の特性を早くも理解したのか、才人に対して胸が見えるか見えないかの 絶妙なところまで体を沈めているのであった。  見えたり見えなかったりするシエスタの谷間や桃色の頭頂部は、 才人の情欲を裸を直接見る以上に刺激する。  ただでさえ蠱惑的な光景なのに、才人は少し前にタバサやシルフィードといちゃつき、 自身は満足しきっていない状態であった。ムラムラと衝動だけが高まっていく。    ……そういえば、そのタバサとシルフィードはどこに消えたんだろう。  あの一瞬で気配も見せずに移動できる魔法なんて聞いたことがない。  その疑問を思い出したとき、才人の足に何かが触れた。   「わひゃっ!?」  思わず素っ頓狂な声を上げる才人。 「?」 「どうしたんですか?」  疑問符を投げかけるルイズとシエスタ。才人の方が聞きたいくらいだった。    さわさわ。才人の足に触れたものは、探るような動きで太股の方へ登ってくる。 くすぐったさと正体不明の不気味さに、才人の背筋がぞくぞく震える。   「ちょっと、どっちだ? 何すんだよ」  ルイズとシエスタはある程度才人からは離れたところにいるので、手は届かない。  湯の中が見えないのをいいことに、どちらかが足で悪戯したのではないかと才人は予想した。    ルイズとシエスタは、怪訝そうな表情で互いの顔を見つめる。 「ミス・ヴァリエール。サイトさんに何かしたんですか?」 「わたしは何もしてないわよ。そっちこそサイトに何かちょっかい出したんじゃないの?」    あれ? 二人とも何かした様子ではない。しらばっくれてるようにも見えないし……。  と、才人の混乱が高まるのと同時に、才人の股間の物……。先程から興奮はしっぱなしなのに その衝動は吐き出せずにいたモノが、明らかにこの場では有り得ない、異質な感触に包まれた。   ■3   「ッッ……!」  思わず大声を上げてしまいそうになり、慌てて口をつぐむ。  ルイズとシエスタは互いに疑惑の目で牽制しあっているため、気付かれていないようだ。    その時になって、タバサがどこに消えたのか。才人はようやく理解した。  タバサのやつ、さっきからずっと風呂釜の中に潜って、 上手いこと俺やルイズやシエスタの体に触れないようにしていたんだ。  ……付け加えると、なぜか俺のナニを口で銜えている。   『やっと気付いた。鈍感』  必死に狼狽を隠す才人の耳に、タバサの声が響いてきた。  何だこれ、魔法? 水中にいて平気なのも魔法だよな。でも、タバサは杖を持ってないはずだし…。   『きゅい。お姉さまが溺れないのはシルフィの魔法なのね。 あと、サイトにお姉さまとシルフィの言葉が伝わるのも、水の中でお話するための魔法なの。 他の人には聞こえないから安心して欲しいのね』  今度はシルフィードの声。体が小さいタバサはいいとして、シルフィードはどこに?  いくらなんでも、二人の人間が風呂釜の中に隠れていてばれないはずがない。   『シルフィはお風呂のお湯と同化してるのね。人間の形になるより簡単。 ついでに言うと、お湯がさっきより滑らないのもシルフィが調節してるのね。 勝手に転ばれたりしたらお姉さまが隠れてるのばれちゃうから』  本当に? じゃあ、このお湯を零したら元に戻った時にシルフィードが小さくなったりするのか? 『そんなことはないのね』    いつの間にかとんでもないことになっていたらしい。このそんなに大きくもない風呂釜の中に、 才人、ルイズ、シエスタ、タバサ、シルフィードの五人が入っていることになる。   「(あの、それで、なぜにタバサは俺のせつない所を口に含んでいるのでしょうか?)」  声には出さずに、水中のタバサに才人は”聞く”。 『このまま放っておいたら、ルイズやメイドと始めちゃいそうなくらい大きくなってたから』 「(……さいですか)」 『それに……さっきの”お礼”しないと気が済まない』    水中にいて姿も見えないのに、タバサの口元が意地悪く持ち上がるのがわかった気がした。  才人の両脚の間に小さな身体を潜り込ませたタバサは、顔を落として才人のペニスを喉奥まで迎え入れる。 「あっ……つ……!」  唇が根本の陰毛に触れるくらいに深く飲み込んだ後、間を置かずに引き抜く。  喉の粘膜と頬裏の肉と歯茎と歯と唇とに満遍なく擦られ、才人のペニスは一往復で完全な臨戦態勢となった。   『……大きい。もう、全部は飲み込めなくなった』  唇をカリ首の部分に引っかけ、亀頭だけを口中に含んだ状態のまま、タバサの声が聞こえてくる。 魔法を使っての会話であるため、口が塞がっていても考えていることがわかるのだ。   「(タバサ、頼む、別に今じゃなくてもいいだろ。やめてくれ……)」 『さっき、わたしがやめてって言ったのにサイトはやめてくれなかった。それに……』 「(それに?)」 『わたしも、我慢できない』  ……こんな所で仕返しが来ますか。才人は調子に乗りすぎたことを後悔した。    張りつめてつるつるになった亀頭にタバサの唇が絡み、舌が鈴口を割って入る。 口の小さいタバサが好む、敏感な部分だけを狙った重点的な奉仕だった。   「くっ……ふ、ぁ……!」  才人の喉奥から掠れた声が漏れる。普段される時は、ベッドシーツなどを掴んで 体が震えるのを堪えなければならないほど強烈な責めである。平静を装ったままいられるはずがない。   「サイトさん、どうしたんですか? 先程から様子がおかしいですよ?」 「そうね、変な声出しちゃって…。大丈夫?」  さすがに何かおかしいと思ったのか、ルイズとシエスタがサイトの顔をのぞき込む。    ■4    まずい、非常にまずい。このままだと、この二人が見ている前で、別の女の子に責められて 達してしまうことになる。それだけは避けたい……!  そんなことを考えた才人に、タバサはちょっとむっとしたようだった。    ぎゅっ。 「はうっ!?」  才人の体がびくっと硬直する。タバサがフェラチオを続けながら、その下の袋を握りしめたのである。  そのまま指と手のひらで、才人の睾丸をころころと弄ぶ。   『なに? こんなに縮み上がって、出したい出したいって言ってるのに、我慢なんてできると思ってるの。 これはあなたが一方的に不利な勝負なの。負けるとわかってる闘いに抵抗なんて無意味』  口中に溜めた唾液の中に亀頭を泳がせ、舌と粘膜でじゅぶじゅぶと攪拌しながらの言葉責め。  今、このシチュエーションでなければ成立し得ない、あまりにも特殊なプレイであった。   「あっ、だめ、もう……限界っ……!」  タバサの容赦の無い責めに、才人は白旗をあげる。今まで必死で取り繕ってきた表情を崩し、 自分のペニスにむしゃぶりついているタバサの頭に両手を沿える。   『んっ……とどめ。たっぷり吐き出して』  タバサは才人の手に後押しされるように、限界までペニスを飲み込んだ。そのまま、竿に舌を絡め、 喉で先端をしごきあげる。   「………ッ!!!」    どぷっ!  ほとんどカタマリと言って良いような濃い精液が、タバサの喉奥に発射された。  今まで興奮させられるだけさせられていた鬱憤を晴らすかのように、 びゅるびゅると際限なく才人のものが脈動する。  タバサはそれを口中から一滴たりとも溢れさせることないまま、喉を震わせて嚥下し続けた。   「あっ……は、ぁ………」  長い射精が終わって、才人はようやく体を弛緩させる。 何も考えられなくなるほどの強烈な快楽であった。その顔は絶頂の余韻に呆けかけている。   「…………」 「…………」  だが、その極楽気分にひたっていられる時間は悲しいほどに短かった。 ルイズとシエスタの方から、極楽を地獄に変えるほどの怒気が漂ってきたのだから。    見れば、ルイズとシエスタは、先程の牽制のし合いとは次元の違う殺気のこもった目で、 互いのことを睨みつけていた。   「し、しし信じられない…! 遂にそこまでっ……! ご主人様の前で、メイドと使い魔がっ……!」  わなわなと肩を震わせるルイズ。   「ま、まままぁ、なんっって、白々しいことを……! わたし、ミス・ヴァリエールは分別がある方だと信じてましたのにっ……!」  ひくひくと頬を震わせるシエスタ。    あれ。あれあれ。何この状況。一体どういう経過でこんなことになったのでしょう。  才人はアホの子みたいな顔で二人を見つめる。   『んー、たぶんだけどー、この二人からしてみると、自分とサイトともう一人しかいないお風呂の中で、 自分は何もしていないのに、サイトが水の中で”誰か”にイかされちゃったように見えるのね。 サイトのイき顔は可愛いから、知ってる人ならすぐピンと来ると思うの。きゅい』  ……解説ありがとう、シルフィード。   ■5   「サイト…? メイドの足はそんなに気持ちよかったわけ…?」  ルイズは形容しがたい恐ろしい笑みでサイトの方を向くと、震える猫撫で声で問いかけた。 「あ、ああ足ですって! サイトさんが足なんかで……!」  シエスタは驚愕の声を上げる。ああ、そんな可哀想な子を見る目でこっちを見ないで。   「ぬけぬけと何を言ってるのかしら…? この犬は足でされるの大好きよ。 知ってるからあんたもわたしの前でおイタしくさったんでしょう?」 「ミス・ヴァリエールが何を仰りたいのか全くわかりませんわ。でも、そうですよね。 あの格好からだったら、足を使う以外ありませんわね。いつも才人さんを蹴ってる足を使うしか」    二人の思いこみとすれ違いは最早修復不可能になっているようだった。 ちょっと考えれば相手が嘘をついているにしてはおかしい事くらいは気付くだろうに、 完全に頭に血が上ってしまっているのであった。   「そうよっ! あんたわたしに足でされて喜んじゃったことは内緒にしてくれとか言ったくせに! 他の女にもされてたなんてっ!」 「はぐっ!」  濁った湯の中でも狙いを損なわずに、ルイズの足蹴りが才人のせつない部分にヒットする。  タバサはそれを予期していたのか、さっさと才人の後ろ側に回り込んでいた。   「何よ! ふにゃふにゃじゃない! 年中盛ってる犬のあんたがわたしとお風呂に入ってるのに こんなだなんて、よっぽどたくさんぶちまけたのね! 汚らしい!!」 「ちょ、やめ、痛い痛い!」  ふにゃふにゃなのはタバサに搾り取られたばっかりだからです。そう言い訳するわけにもいかず、 ナニを潰さんばかりの勢いなルイズの足から、才人は身をよじって逃げる他無かった。    だが、そんなルイズの様子を見て、シエスタも事の異常さに気がついたらしい。 「あの……ミス・ヴァリエール? 本当に、あなたがサイトさんに、その……あ、足でしたんじゃないんですか?」   「当たり前でしょ! した本人が何言ってるの!」 「いえ、わたしはしていません」  冷静に、きっぱりと言い放つシエスタ。その様子に、ルイズの頭も多少冷えたらしい。  そこに浮かんでくるのは、新たなる疑惑の対象。   「……サイト、あんた何か隠してるでしょう」 「さ、さぁ俺には何のことだか……うっ!」  ルイズの足が乱暴さを潜め、つつ…とつま先だけでサイトのものを撫で上げる。 「言いなさいよ。考えてみれば、わたしが最初にここに来たときから、何か様子が変だったわよね。 正直に言ったらちょっとだけお仕置きを加減してあげなくもないわよ。内容にもよるけど」  全然譲歩になっていない。   「ね、サイト…?」  ルイズは天使の微笑みを投げかけながら、足指できゅっと亀頭を掴む。 途端に才人のペニスに血液が流れ込み、びくん、と大きく跳ねた。   「あはっ……やっぱりわたしの足が好きなのね。 何を隠してるのか言ったら、もっと良くしてあげるのに」 「んっ…、く、ふぁ……!」  絶対嘘だ。というか、白状したらこのまま握りつぶされる。  そう恐怖しながらも、才人の喉からは抑えきれない甘い吐息が漏れた。   「あの……ミス・ヴァリエール? 本当に、足でしているんですか?」  湯の中でどんなことが行われているのか見えない状態で、才人が色っぽい声を上げるのを 目の当たりにして、シエスタはおずおずとルイズに聞く。   「そうよ。この犬はご主人様の足が大好きなの。そうでしょう?」 「べ、別に好きってわけじゃ…!」 「嘘おっしゃい。踏まれたって蹴られたって喜んじゃうくせに」  土踏まずで才人のペニスをお腹に押し付け、ぐりぐりと擦ると、才人は顎を上げて身悶える。   ■6   「……ホントに、足がいいんですか? 失礼します……」  シエスタは頬を染めて懐疑の目をルイズと才人に向けていたが、 ついに好奇心を抑えられない様子でその足を崩し、才人の腰があると思しき所へ伸ばした。   「おい、シエスタまで…」 「あ、これがサイトさんの太股ですね。これがミス・ヴァリエールの足……」  手探りならぬ足探りでシエスタのつま先が水中の才人やルイズの足をつっつき、 最後に才人のペニスをかすめる。   「うぁっ!」 「わ、本当にガチガチになってます……サイトさん……」  大げさに驚き、軽蔑の色を含んだ目で才人を睨むシエスタ。その口元には笑みが浮かんでいた。   「もしかして、いつもミス・ヴァリエールに蹴られるがままなのは、それが嬉しいからなんですか?」  つんつん、さすさす。   「そうなのかもね。それじゃあお仕置きにならないわね」  ぐりぐり、ぎゅっぎゅっ。    この状況がツボにはまってしまったのか、遠慮無く才人のものを足で弄ぶ二人。 才人にとってはあまり良い思い出のないルイズとシエスタの意気投合である。  必死で自らのペニスを防御しようとする才人だったが、4本の足に同時に責められ、ままならない。   「二人ともっ、止め、止めろってば!」 「はぁ……ふぅ……、嘘ね。ほんとはしてもらいたがってるくせに」 「んっ……ふっ………そうです。サイトさんの顔、随分と気持ちよさそうです」  火がついてしまったらしい二人は、息を乱しながら才人のものを足で弄るのに 夢中になっている。いつのまにかシエスタが才人のペニスを跳ねないように支え、 ルイズが細かい動きで刺激を与えるという役割分担まで暗黙のうちに行っていた。   「はぁっ、はぁっ……それで、サイト? 話は戻るけど、何を隠してるわけ?」 「はいっ……ふぅっ……わたしも、是非聞きたいですっ……」 「だっから、何でもないって! やめてくれ、頼むからっ!」  もう足で悪戯などという領域はとうに過ぎている、美少女二人がかりの足コキ。 気を抜けばすぐに果ててしまいそうな快楽の中で、才人は必死の抵抗を試みる。   「ふぅん……あっそう、そこまで言うなら信用してあげてもいいかな…」  急にルイズの語気が柔らかくなる。気が済んでくれた?と才人が一瞬ホッとしたのも束の間。 「はぃ……でも、このままじゃサイトさんも収まりつきませんよね?」  満面の笑みを投げかけるシエスタ。それに、ルイズもうんうん、と同意する。   「ほら、ご主人様とメイドの足で、みっともなく出しちゃいなさい♪」  ルイズの足指の爪が、サイトの尿道口に遠慮の欠片もない力でぐりっと押しつけられた。   「ひっ……! ああぁぁっ!!」  頭の中に火花が散るような苦痛と紙一重の刺激に、才人は臆面もなく悲鳴を上げて、 それまで必死で我慢していたものを吐き出すほか無かった。   「あぁ…………すごいです。サイトさんのが暴れ回ってるのがわかります……ふぁ……」  蛇口を全開にしたホースのようにびゅくびゅくと白濁液を湯の中にまき散らしながら跳ねる 才人のペニスを足裏で感じて、シエスタはうっとりとした声を漏らす。   「はぁ…はぁ……ご主人様が一緒に入ってるお風呂の中にこんなに出すなんて…最っ低、変態……!」  そう言いながらも、ルイズの瞳は潤み、吐息には情欲の色が混じっていた。   ■7

 ああ、やっちまった。本気で逃げようと思えば逃げられるチャンスなんていくらでもあったのに。  ルイズたちの言うとおり満更でもなかった自分に激しい自己嫌悪を抱きながら、 才人は今度こそ湯船を脱出しようと腰を上げた。  タバサ達なら、ばれないようにしてくれると本人が言ったのだから、ルイズとシエスタが出た後に 上がってくれるだろう。    ……が、その才人の体は、ガンダールヴもびっくりの速度で間合いをつめてきた ルイズとシエスタの腕に捕縛され、再び湯の中に沈んだ。   「え、ちょ、何ですかお二人さん…!?」 「ちょっとあんた、自分だけ良い目にあって帰れると思ったわけじゃないでしょうね」 「そうです。男性だったらきちんと責任はとってください」  完全に女の目……いや雌の目になっている二人。  何だよもう。俺を足でされて興奮する変態だとか罵った癖に、そっちも足でして興奮する変態じゃないか。   「ほら、まだまだできるでしょう。あんたは一年中発情犬なんだから」 「酷いこと言わないでください。そういうのは男性の甲斐性のうちです」  竿に手を這わせ握りしめるルイズに、玉袋を撫でさするシエスタ。   「サイト…♪」 「サイトさん…♪」  両側から頬にキスされる才人。  天国と地獄が織り混ざった状況に、才人が観念して天を仰いだ矢先。    三人がもつれあっているすぐ前の水面が揺れ、小さな頭がざばっと浮き上がった。 「……ふぅ」  水を吸って重くなった髪を指で整え、久しぶりの普通の息をついた少女は、もちろんタバサである。  ルイズとシエスタは目をまんまるに見開いてその姿を見つめた後。 からくり人形のような動きでゆっくりと才人の顔に向き直った。   「やー………っぱり隠し事あったんじゃない。わたし、嘘は大っ嫌いなんだけどなぁ……」 「どういうことなのか、きっちり説明して頂かないと納得できませんわねぇ……」  とっても朗らかな笑みが水面上だけのものであることは、二人の手が才人のナニと袋を 渾身の力でにぎにぎしていることからも明白である。既に混乱と痛みで才人の意識は 吹っ飛びそうになっていた。   『お姉さまも黙って我慢していようとしてたんだけど、やっぱり限界みたいなのね。 というわけで、シルフィもお姉さまに味方するの。ごめんなさいなのねー』    と、急にどこからともなく聞こえてきた声に、ルイズとシエスタがきょとんとすると。  何と、お湯が急にゼリーのような質感を持ち、二人の手足に絡みついた。   「ちょっと、何よこれ! 気持ち悪い!」 「きゃー! きゃー!」  そのまま二人の体は才人から引き離される。その様は、いわゆるスライムプレイか触手プレイのよう。  そういえばファンタジー世界といったらある意味お約束だよなぁなどと、妙に暢気なことを考える才人。    ■8   「タ、タバサ? これは一体……?」 「わたしがいる傍で別の女とするなんて、納得できない」    自らが同化したお湯の性質を変え、スライム化したシルフィードに弄ばれるルイズとシエスタの 悲鳴と怒号が響く中、タバサは静かに才人の元へ近付く。  どうやらこの二人の回りはただのお湯のままなようである。   「サイト」  才人の胸に手を置き、キスするタバサ。今まで黙って隠れていた分を取り戻すかのような、 情熱的な口付けであった。   「……っは、三回目だけど、まだ大丈夫よね」  口元から銀色に光る唾液の糸を垂らしながら、タバサはそう聞く。   「大丈夫なわけないでしょっっ!! サイトっ、後で覚悟しときなさいよー!!」 「あーん、やだやだやだー! 怖いですーっ!!」 『これ面白いのねー。創意工夫で楽しさ無限大なのねー!』  タバサの肩越しには、スライムに両手首を頭の上に固定され、両脚を大きく開かされたまま 持ち上げられているルイズと、両手を後ろ手に繋ぎ止められ、太い棒状になったスライムに 股がされているシエスタの姿。後があまりにも恐ろしい阿鼻叫喚である。   「あの、タバサ……この状況で?」  震えた声で問う才人。タバサはこくんと頷いた。 「もう、我慢できない。あの二人はシルフィに任せておけば大丈夫」  ……実はこの娘、ルイズ達よりも恐ろしいのかもしれない。   『そうね、お任せなのねー。サイトとお姉さまがしてるとこを見てるだけじゃ可哀想だから、 シルフィが気持ちよくしてあげるのね。人外の快楽を味わわせてあげるのー、きゅい♪』  軟体動物のような質感になったお湯が、べろん、とルイズ&シエスタの体を舐める。  どうやら、この二人もただ事では済まない運命が決定したようである。   「それじゃ、サイト……いいよね?」  小さく微笑んで見せたタバサが、自ら才人の腰の上に跨り、秘裂にペニスをあてがった。  ああ、あれだけ平和だった俺の入浴時間が、どこをどう間違ってこんなことになったんだか。    その日のヴェストリ広場には、明け方近くまで水音と嬌声が響いていたという。          なお、この夜を境に、才人の入浴時間が安息の時では無くなったのは言うまでもない。      おしまい 前の回 一覧に戻る

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