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692 :子供のころに戻って ◆mQKcT9WQPM :2007/05/24(木) 04:46:26 ID:fRG+rSoI 大変な事をしてしまった。 三人はそう思ってお互いに顔を見合わせる。

「なんだよーおまえらー。それにここどこだよー」

目の前では二〜三歳くらいの小さな男の子が、ぶかぶかの服に絡まれて不満そうにしている。 それはそうだろう。 彼にしてみれば、いきなり見も知らぬ場所に連れてこられて、しかもサイズの合わないぶかぶかの服を着せられているのだ。 動きにくいったらありゃしない。 男の子は黒い髪を揺らしながら、服と格闘を始めた。

「き、記憶がなんかヘンになってない?」 「…一時的に退行しているみたい」 「じゃ、あれ小さい時の…?」

三人の、黒と桃色と水色の髪の娘は、魔法陣の中心でようやくぶっかぶっかのズボンから脱出した男の子を眺める。 ぶかぶかのTシャツだけになった男の子は、壁際に面白いものを見つけた。

「わー、かっこいー!」

とてとてと駆け寄って、その鞘を持って、そのまま。 重さでばたんと倒れた。

「いったー!」 「なあ相棒、もうちょい優しく扱えないのかよ」 「わー剣がしゃべったー!おもれー!」 「…おもろいか?じゃあおいちゃんもっとしゃべっちゃおうかなあ」 「あはははははははははは、なんだこれー」 「今のどこにウケたのか知らんが。相棒昔はこんなに素直だったんだなー」 「あははははははははははははははははは」

喋る魔剣と夢中になって遊ぶ男の子を、三人は揃って見つめる。 男の子は一生懸命がんばって剣を鞘から抜き、よっこいしょ、と持ち上げて本人だけは格好良いつもりでよろよろと天井に向けて構える。 そしてそのまま、あわわわわ、とか言いながらバランスを崩して仰向けにころんと転がる。 Tシャツの裾からちいさなおちんちんが見えた。 三人はソレを見て、それぞれ別の方向を向きながら、赤くなって顔を逸らす。

か、カワイイっ…!

三人が三人とも、思い切り母性に直撃を食らっていた。 やばいまずいナニアレ!めっちゃ可愛いじゃないの! ま、まさかここまで破壊力があるなんて…! 鼻血吹きそうです、私。 そして最初に動いたのはやはりこの人。

「あーほらほら、危ないですよサイトさん。そんな刃物振り回しちゃ。ね?」

シエスタは小さくなった才人に駆け寄って、デルフリンガーを鞘に戻してから、才人を抱き起こす。

「うー、あたまうったぁ…」

シエスタの腕の中で、涙目で小さな才人はそう訴える。

つー。

ソレを見たシエスタの鼻から赤い液体が流れ出る。 鼻血であった。

693 :子供のころに戻って ◆mQKcT9WQPM :2007/05/24(木) 04:47:08 ID:fRG+rSoI 「ちょっとシエスタきったないわねえ!サイトが汚れちゃうじゃないっ!  ほらほらサイトー。こっちいらっしゃい。おねえちゃんがなでなでしてあげまちゅよぉー」

脇からルイズが出てきて、才人の手を取って、シエスタから奪い取りそのまま抱き締めてなでなでする。

「くすぐったいよぉ」

それでも優しく抱き締められてイヤな気はしないのか、まるで子猫のように小さな才人はルイズの腕の中でのどを鳴らす。 くっはー。ナニコレ。

「ああもうなんでそんなかぁいいのよもうっ!」

思わず抱き締める腕に力が篭る。

「い、いたいよおねぇちゃん…」

ルイズの腕の中で才人がそう訴える。 そのルイズの頬を、一陣の風が切り裂く。ルイズの頬に一本の赤い線が入り、そこから血が流れる。 『エア・カッター』の魔法であった。

「…何すんのよ」 「…嫌がってる」

ルイズの視線の先では、タバサが大きな杖を構えて殺気を発していた。 本気モードである。 ルイズはタバサのその視線に応え、才人を床に降ろし、懐から杖を取り出して、構える。

「やろうっての…?」 「サイトは、渡さない」

私だってなでなでしたいもん。 そして二人のメイジの戦いが幕を開けた。

694 :子供のころに戻って ◆mQKcT9WQPM :2007/05/24(木) 04:47:49 ID:fRG+rSoI

事の始まりは。 学院の図書室で、タバサが『形態変化』の術式の書を借り出した所から始まる。 タバサはその中の『成長』の術式で、才人を誘惑した時の事を思い出し、もう一度試そうと思った。 しかし、その帰り道、タバサはとんでもない事を思いついてしまう。 サイトに使ったら、どうなるんだろう。 青年、もしくはナイスミドルな才人。 …いいかもしれない。 タバサは書を手に、早速、才人の下へと向かったのだった。 そして当然才人の所には。 例の性悪貴族と、でかちちメイドがいるわけで。

「…何の用よチビっこ」 「お帰りはあちらですよー」

部屋の入り口を二人で固めて、ルイズとシエスタはタバサを部屋の中に入れまいとする。 その中には。 外の状況も知らずに、机に突っ伏して居眠りしている才人が居た。 何故か髪の毛にリボンなんか結ばれているが、それはメイドとご主人様の二人が悪ノリして、寝ている才人にいたずらしたものなのだが、それはまた別の話。 …仕方ない、作戦変更。

「話がある」

タバサは、攻め方を変える事にした。 篭城する相手に包囲戦は基本だが、物量がない時に包囲戦を行うのは自殺行為だ。

「あによ」 「なんですか」

まずは、二人の警戒を解くところから…。 そしてタバサは、しばらくぶりに才人以外の人物の前で、長い台詞を喋る事になった。

タバサの計画にまず食いついてきたのはルイズだった。

「そ、それは確かに見たいかも…!」

そして言われもしないのに棚を開いて魔法陣に必要なモノを捜し始める。

「待ってください」

それを止めたのはシエスタだった。 シエスタはタバサに尋ねた。

「それ、若返る魔法とかないんですか」

タバサはその言葉に、こくりと頷く。

「あることはある」

ただし、若返りの魔法は欠点がある。 体と共に記憶も退行してしまうのだ。 若返った才人はつまり、自分達の事を知らない才人ということになる。 しかも、持続時間が半日程度と、あまり長くない。 しかし。 次のシエスタの台詞が、二人のメイジに若返りの術式を選択させることになる。

695 :子供のころに戻って ◆mQKcT9WQPM :2007/05/24(木) 04:49:26 ID:fRG+rSoI 「ダンディなサイトさんならそのうち見られますけど。  ちっちゃくて可愛いサイトさんなんて、そうそう見られませんよ」

盲点であった。 そして三人は。 眠っている才人をふんじばり、無理やり若返りの術式を才人にかけたのである。

そして現在。

「サイトをなでなでしていいのは私だけなんだから…!」 「…サイトは、私が可愛がる」 「何を言うんですか、私がお持ち帰りするに決まってるじゃないですか」

三人はデルフリンガーとじゃれあっている才人を尻目に、火花を散らしているのであった。

15-884シエスタと小さな才人 16-158ルイズと小さな才人 16-267タバサと小さな才人