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841 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 16:10:53 ID:s3ByzhiQ  一言で言えば、運が悪かった。ただそれだけだ。 そして、歴史にifは存在しない。

 テファを王宮に送り届けた後、彼女をどこに住まわせるかで軽い議論が起こった。 見知らぬだろう土地で一人にしてしまう、という事に今は特に強い抵抗があったサイトは、テファと子どもたちを魔法学院に置いてほしいとアンリエッタに話した。 しかしどういうわけかアンリエッタはそれを承認せず、城で厚遇するとの一点張りで議論は平行線を辿ったが、話がテファの保安に及んだときに、キュルケの 「たった二人に脱獄の手引きをさせちゃうような城と、その二人がいる学院。どっちが安全かしらね〜」 という、大きな独り言が決め手になった。

 学院に戻った翌日、サイトとルイズ、シエスタはテファニアを連れて学院内を案内して回っていた。 「ここがヴェストリ広場。最近はオレ達が訓練に使ってたりする場所」 「何が訓練よ。ただ集まってだれてるだけじゃない。」 どういうわけかまたルイズは不機嫌である。 今まで無視を貫いてきたサイトも少しむっとして 「何でついてきてんだよ、お前」 とぶっきらぼうに言う。 「あんたをその胸っぽいバケモノと二人きりにして、何か間違いが起こらないように見張ってるのよっ!!」 バケモノ、と言われたテファがひっとうめいて両手で胸を隠そうとする。 「嫉妬丸出しですね、ミス・ヴァリエール。大人の女性になるんじゃなかったんですか?」 「だっまっりなっさい! 馬鹿メイド!! 大体ツェルプストーの言うことなんか信じるべきじゃなかったのよ!!」 「その前はデルフさんの言うことを鵜呑みにして笑わせてくれましたけど」 「あんたはぁ〜……今一度貴族の恐ろしさってのを体に教えてやろうかしら……!!」 シエスタは凄むルイズを完全に無視して 「そういえばデルフさんは一緒じゃないんですね」 サイトは少しだけ朝の出来事を思い返し、 「ああ、アイツは今タバサんところにいるよ」

842 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 16:12:47 ID:s3ByzhiQ  タバサは自室にいた。目の前には数メイルはありそうな程山積みにされた本。 そして、ベッドの上には一振りの抜き身の剣。 鞘も同じ様にベッドに寝かされている。 デルフは直感的に今から自分が何を聞かれるのかわかっていた。 目の前の少女は聡い。数千年の歳月を重ねた自分でも、そう簡単に誤魔化されてはくれないだろう。 おもむろに、タバサは本を閉じ、そしていつもと変わらぬ調子で訊いた。 「4つ目の虚無の使い魔って何?」

 その頃サイト達は、まだ広場から動いてなかった。 怒れるルイズの魔力溢れる「爆発」が、当初の二人のケンカからある意味いつも通り横道に逸れ、サイトに炸裂し、 ボロボロの彼をどっちが介抱するか取っ組み合いを始め、 ただただサイトが心配なテファが膝枕をしているところに正気に返った二人が乳いびりを開始するというまさに混沌の様相を呈していた。 はじめは乳珍しさにフードを被ったテファを遠巻きに眺めていた生徒も 巻き込まれては敵わんと逃げ出し、いつしか広場は四人だけになっていた。 サイトが目を覚まし、他三人もだいぶ疲れ果て、広場を静寂が包む。 そんな時、ポツンとシエスタが呟いた。 「テファニアさんは使い魔を喚んだりしないんですか?」

「神の左手ガンダールヴ、神の盾。神の右手ヴィンダールヴ、神の笛。神の頭脳ミョズニトニルン、神の本。これだけでも調べるのには時間がかかった。でも、4つ目は存在を匂わす様な記述だけで、どの文献にも載っていなかった」 「……大したもんだな……嬢ちゃん。だが、知ってどうするってんだ?」 「彼がガンダールヴ、それはもう知ってる人は知ってること」 「……」 「そしてこの間戦ったゴーレムもどきを操ってたのが、ミョズニトニルン」 「何でそれを……」 「キュルケが言った。ルイズがそう呼んでたと」 「あの娘っこ……ハァ……」 「虚無の担い手がルイズ以外に2人。なら、もう一人いるはず」 「……」 少しだけためて、タバサは言った 「四の使い手と四の使い魔。これが揃った時、何が起きるの?」

843 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 16:14:40 ID:s3ByzhiQ 「サモンサーヴァントは簡単な魔法だから、エルフのあんたなら出来ないことないだろうけど……」 「なんせゼロのルイズが初めて成功した魔法だもんな〜」 「ふんっ!!」 詠唱なんかお構い無しに力任せに振った杖から閃光がほとばしり、サイトの顔面で極小規模の爆発が起こった。 バランスが崩れ後頭部から地面に突っ込み、気絶した彼をシエスタに任せ、ルイズはサモンサーヴァントの講義を再開した。

シエスタは少し離れた場所で彼を膝枕したままその講義を聴いていた。 「本当、知識だけはすごいんですね……ミス・ヴァリエール」 何を言ってるのかは断片的にしかわからなかったが、逆に平民の自分に断片でもわかるということが驚きだった。 そのずば抜けた知識がどのような過程で得たのかを知ってるシエスタは、少し複雑な気分になった。

「始祖ブリミルは確かに英雄だった。ただ、何時の世も英雄が人々に受け入れられるかと言ったらそうじゃねぇ」 デルフの表情は読み取れない。 「怖くなっちまったんだ、世界をほぼ統一しちまったブリミルの力が」 ただ、何を思っているかはタバサはわかる。 「人々は英雄を暗殺しようとして、代わりにその使い魔の一人が犠牲になった」 タバサの体が震える。 「ブリミルの使い魔は四人の人間の娘っこだった。その内の右手でも左手でも頭脳でもない、ゼロの使い魔なのにゼロだった、ブリミルと一番深い仲にあった娘っこが、死んだ」 タバサが顔を上げる。「四人目の使い魔」に反応した。 「ブリミルは復讐を考えるより先に、八方手を尽して娘っこを生き返らす手段を探した。そして可能性が見付かった。その場所が――」 「『聖地』」 「……その通り。唯一、ブリミルが統一できなかった土地、エルフの住まう場所だ。相棒がメイジを含めた七万の軍勢を一人で止めたのは知ってるな?」 頷く。 「ブリミルは残った使い魔三人と自身の四人で、千に近いエルフの軍勢を皆殺しにした」 「!!!」 今度ばかりは衝撃を隠せないタバサ。 「ただ、三人の使い魔はその戦いで生き絶え、ブリミルも致命傷を負った。ボロボロの体でたどり着いた聖地であいつは「虚無」の真実を知った」 「真実……?」 「そして、ブリミルが死のうとするその瞬間、エルフ共がブリミルの時を止めて聖地に封印した」 「……生きてる?」 「ああ、なんせ死なせるわけにはいかなかったからな。ブリミルも封印される間際に世界に呪いをかけて、自身の力を四つにわけ、王族の血に紛れ込ませた。今も復活の時を待ってる」

844 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/05/27(日) 16:16:15 ID:s3ByzhiQ  再び広場。 「準備はOKよ。始めなさい、テファニア」 「私、一言もやるなんていってないのに……」 「なんか言ったぁっ!?」 「ひうぅっ!!」 はっきり言って気乗りしなかったが、なんとなく視線を泳がせたその先に、離れた場所で膝枕されてるサイトが目に入った。 しばらく目を閉じ、 「……やるわ」 空気が変わった。 テファニアが教わった節を唱える。開くイメージ、魔力を集中させ、門を。

爆発。

「ごほっごほっ……げふ……ちょ、なんで爆発なんか……」 自分のことを棚に上げるルイズ。 煙幕が晴れた広場には変わらず四人しかいなかった。 ただ、変わったのは 「……サイ……ト?」 テファニアの前には離れてたはずのサイトが寝転がっていた。 「えと……あの……」 テファニアはこの後のことをどうすればいいか解りかねて、ルイズをあおぐ。 「………」 ルイズはしばらくポカンとしていたが、コントラクトに重い至ると 「ッダモガ「ぶちゅっといっちゃってください」 叫ぼうとしたルイズをいつの間にか近付いたシエスタが羽交い締めにしている。 テファニアもまたしばらく目を閉じたと思うと、再度開かれた瞳には何故か決意の炎がともっていた。 ルイズはモガモガいってジタバタしている。 シエスタは驚異的な力でそれを押さえ込む。 そして、唇と唇が触れ合ったその瞬間、ようやくサイトは意識を取り戻した。 「……ふぇ?」 唇が離れた後も放心状態。そんな彼を急な激痛が襲った。 「(胸が……熱い……っ!!)」 「サイトっ!!」 ルーンの痛みと分かっていても叫ばずにはいられない。 サイトは胸を押さえている。ルイズはそんな彼を見て、言い知れぬ恐怖を感じた。

「最後の使い魔、神の心臓、神の涙、正真正銘のゼロ。主が死んだときに、今いる世界をゼロに吹き飛ばす、破滅の爆弾だ」