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175 名前:どっかで聞いた話[sage] 投稿日:2007/06/02(土) 01:01:27 ID:tgshzPus

「うーん、うーん……」 「何唸ってんだルイズ、腹でも痛いのかよ?」 「違うわよ。学院の課題で、物語を書くことになったの」 「はぁ? なんだってまた」 「貴族たるもの表現力が重要だとかなんとか」 「変なことになったな」 「全くだわ。ああもう、なんだってわたしが話なんか作らなくちゃならないのよ」 「ははは、まあやってみろよ、書きあがったら俺も読んでやっからよ」 「何でよ」 「そりゃ、お前が頭の中でどんなこと考えてんのかとか、気になるからな」 「やな言い方! 他人事だと思って……! 見てなさい、超大作を書き上げてやるんだから!」 「へいへい、ま、せいぜい頑張れよな」

 一ヵ月後。 「で、俺に何か用スかコルベール先生」 「うむ。先日生徒諸君に物語を作るよう課題を出したのだがね」 「ってあれ先生だったんスか」 「学院長の指示なのだよ。いやあ参った、私はこういう、物語というのにはどうも疎くてね。  それぞれに魅力があるように思えて、どうにも評価を下しづらいのだよ。  何本も書いてきてくれている生徒もいてね、どうにもこうにも……」 「ま、先生理系ッスからね……で、俺にどうしろと?」 「評価を手伝って欲しい。もちろん、給金は出そう」 「いらないッスよ、先生にはいろいろと世話になってるし。それに」 「それに?」 「あの愉快な連中がどんな話を書いたんだか、かなり興味ありますしね」

「さて、っつー訳で皆の物語を読むことになった訳だ」 「楽しそうだね相棒」 「おうよ。ま、とりあえず知ってる奴のから見ていくとするか。  まずは……お、こりゃギーシュだな。どれどれ……」 「……恋愛物かね、こりゃ」 「……いや、っつーかこれ、ずいぶん現実離れした話の運びだなあ」 「主人公が理由もなくモテまくってんね」 「多数の美少女に迫られて、一人と濡れ場まで行った挙句、ちょっとボコボコにされただけで  また全員と元通りの関係に戻れる主人公、か……欲望に正直すぎだろ、ギーシュ」 「なんてーか、男に都合の良すぎる話だね」 「ま、言っちゃなんだがモテない男が喜びそうな話だわな……  あー、でもさ、こういう感じの話、俺の世界でもあったわ」 「こんな都合のいい話がウケるのかね?」 「やり方次第じゃねえのかな。それに、女の子の行動と思考があんまり現実的じゃないと考えても、  話の構成とか要所要所のギャグはなかなかイケてるぜ、これ。  最後の落とし所も心得てるし、読んでて不快になる感じは全くないな。  出版したら、かなり大衆受けするんじゃねえのかね、これは。  それに、数もやたら多いし……スゲエな、書くの早すぎだよあいつ」 「なるほどねえ。さて、じゃ、次は……」

176 名前:どっかで聞いた話[sage] 投稿日:2007/06/02(土) 01:02:18 ID:tgshzPus

「タバサだな、これは……おっ、さすが文学少女だ、語彙も知識も豊富な……」 「でも中身は恋愛物だね」 「うむ。あいつも最近女の子っぽくなってきてるしな……実に喜ばしいことだ」 「しかし、書き慣れてる感じがするね、この文章はさ」 「ああ。ひょっとしたらあいつ、結構ちょくちょく話書いてたりするのかもしれないな」 「……しかし、この話の中身……」 「異世界に召喚された主人公が、ふとしたきっかけで元の世界に戻れることになる、と。  ところが、本人だけでなく、彼に思いを寄せる少女も同行する。  さらに主人公の主人や他の友人達も追いかけてきて、元の世界で大騒ぎ、と……」 「……どっかで聞いた話だねえ」 「……ま、タバサにもいろいろと地球のこと話したしなあ」 「……ふむ。それはそれとして、かなり面白いねこりゃ」 「ああ。あいつ、本職の作家としてもやっていけるんじゃねえの?」 「違ぇねえや。さて、お次は、と」

「マリコルヌか。ま、どうせあの太っちょのことだ、ギーシュ以上に都合のいい小説に決まって……うわ」 「……相棒よ」 「……ああ。なんか、スゲードロドロした話書いてるな、あいつ」 「おう。男が身勝手な欲望のままに女を……だの、  復讐を誓った少女が返り討ちにあって記憶を消されて、気づかずに仇敵を愛してしまう……だの。  凄く暗めの話が多いね、どうも……」 「要所要所はギーシュと同じで、男に都合のいい展開なんだがなあ」 「あの坊ちゃんも、昔からいろいろ馬鹿にされてたみたいだしな……  腹に一物溜め込んでるってのも、まあおかしなことじゃないやね」 「うーむ。人間、見かけにはよらんもんだな。  あの、女さえ絡まなきゃ臆病で大人しい野朗が、こんな残酷なこと考えられるとはねえ」 「ま、人間なんだから、一面だけじゃ判断できねえのは当然っちゃ当然だわな」 「まあな。何にしても、話が面白いのは事実だし」 「そういうこと。さて、次は誰かね」

「お、いよいよお待ちかねのルイズか」 「おうおう、愛しのご主人様だね相棒」 「よせやい、あんな我が侭女、使い魔としての感情が消された今じゃ  なんとも思ってねえッスよ。……ホントだぜ?」 「へいへい。さて、それじゃ中身の方を読んでみるとするか。  どうするよ相棒、今まで以上にベタベタで、相棒に対する愛に溢れてる話が出てきたら」 「止めろよな! 照れるぜ全く」 「いやいや、あの嬢ちゃんもなかなか頭の方はメルヒェンでラブラブだからね。分からんよそれは」 「だからよせって……ん?」 「……相棒よ。何というか、至って真面目な話じゃないかい?」 「……ああ。あんま、恋愛とか絡んでこねえな。ごくごく真面目に物語を書こうとしてる感じだ」 「……ある意味、嬢ちゃんらしいっちゃ嬢ちゃんらしいね」 「……ま、一生懸命話考えてたみたいだしな」 「……実際、ガックリしてるだろ、相棒」 「うるせえや」

 数時間後 「さーて、これであらかた読み終わったな」 「そうだね。で、どれが一番だったよ?」 「一番ってのはねえけど、とりあえず印象に残ってるのは最初に読んだ四人のやつかねえ」 「ふむふむ」 「っつーか、勿体ねえなこれ。こんなに面白いんなら、皆にも読んでもらって……そうだ!」

177 名前:どっかで聞いた話[sage] 投稿日:2007/06/02(土) 01:03:14 ID:tgshzPus

「……で、何だって掲示板にわたしたちの作品が張り出されてるのかしら?」 「これも授業の一環だろ、ルイズよぉ」 「うう……なんか、すっごい恥ずかしいんだけど」 「でも、皆は喜んでるみたいだぜ?」

「おいギーシュ! なんだこの素晴らしい物語は! もっと書いてくれよ」 「そうだ。このままではあふれ出るパッションがどうにもならんぞ!」 「ははは、そうかそうか、それじゃあこれからも僕の素晴らしき空想を披露してあげようじゃないか」 「……どっちかと言うと妄想っつった方がいいけどな」 「イカしてるぜ、この変態野朗!」

「……」 「あらタバサ、今日はずいぶん嬉しそうじゃない」 「……そう?」 「ええ。あなたの書いた話、評判いいみたいだものね」 「……そんなことない。ただ、いつも通りに書いただけ」 「あらまあ、まるで本業の作家みたいなこと言うのね」 「……」 「……まさか、本当にそうなの?」 「……そうと言えなくもない、かも」 「キャーッ! ちょっと皆、聞いてちょうだい、タバサったらね」

「……正直さ、俺、マリコルヌの話になんか惹かれるんだよな」 「ああ。こう、一見明るいように見えて根底には暗くドロドロしたものがあるというか」 「……あのね皆、僕は女子をドン引きさせるために話を書いた訳じゃないんだよ……」 「そう言うなよ。なんかいいんだよねお前の話」 「そうだよ。もっと書けよ、俺らは見てやるからさ」 「はあ、全く……仕方ないなあ、これからも気が向いたら書くよ。  でも、しばらくはこの掲示板の管理でもしようかな。ギーシュの話とか、読んでて楽しいし。  うん、そうしよう。どうせなら感想書く紙も備え付けて、何人読んだかも分かるようにして……」

「……しっかし、今回は慣れないことしたせいで本当に疲れたわ……」 「そか。ご苦労さんだな、ルイズ」 「……なによそのおざなりな……まあいいわ。で、どうだった、わたしの話?」 「……まあ、いいんじゃねえのかな。結構面白かったぜ」 「……そう。あのねサイト、実は、まだいろいろと書きたいものが浮かんできたんだけど」 「おう。じゃ、また書いたら俺に読ましてくれよ」 「し、仕方ないわね。そこまで言うなら読ませてあげるわよ」 「へいへい」

 という経緯により、学院の掲示板に学院生の書いた物語が掲載されることとなった。  公式に管理人となったマリコルヌは、その後も続々と寄せられた作品を熱心に管理し、  学生達は気軽に友人達の話を楽しめるようになったのである。  こうして掲示板には大量の作品が寄せられることとなった。  が、大抵の生徒は一作ニ作書き上げるだけで飽きるか、  人気のある生徒の作品に比べて自分の作品に対する評価が低いためにやる気を失い、  その後もう二度と作品を書かないかのどちらかであった。  そうして、十週間ほどの時が経過した頃になると、未だに新作を書き続けている生徒はごく少数となっていった。  その中でも特に目立って賞賛を浴びていたのは、ギーシュとタバサとマリコルヌとルイズの四人である。  ギーシュはこの中でも特にたくさんの作品を書き上げ、  その軽妙な筆遣いと理由もなく女にモテる主人公により、モテない男達にウケまくった。  タバサの方は淡々と作品を書き上げて、多少地味ながらも堅実な評価を受けていた。  マリコルヌの方はどちらかと言えば管理を中心に活動していたが、  作品の方も相変わらずドロドロとしたテイストを基本として書き上げ、その点を評価されていた。  ルイズの方はやる気と執筆のペースにムラがあり、そのときそのときの気分によって  様々な色合いの作品を唐突に書いては、周囲を感心させると同時に困惑させもした。  このように、魔法学院掲示板の四人組は、それぞれの魅力を最大限に発揮していたのである。

178 名前:どっかで聞いた話[sage] 投稿日:2007/06/02(土) 01:03:55 ID:tgshzPus

 ところが、その頃になって事件が起きた。 「クソッ、気に入らないぞあのチビッ子め」  問題は、ド・ロレーヌが起こした。元からタバサが気に入らなかった彼ではあるが、  今回のことでますます彼女が評価を上げることを妬み始めたのである。  彼はタバサの人気を下げるために、様々な妨害工作を展開し始めた。 「見ろ、あのタバサの傲慢振りを。多少人気が高いのをいいことに、まるで作家気取りじゃあないか。  聞けば、質問に対して思わせぶりな発言をして持ち上げられて、悦に浸っているという。  こんな浅ましい女に、この掲示板を利用させておいていいのか!」  そんな風に息巻いたものの、ド・ロレーヌの発言にはほとんど誰も耳を貸さなかった。  それどころか、静かで誠実な対応を返したタバサに対してますます人気が上がる結果となったのである。 「クソッ、クソッ、クソッ! 見ていろあのチビっ子め、どうなることか……!」  ド・ロレーヌは強硬手段に出た。なんと、姿を消すアイテムなど、ありとあらゆる手段を駆使して、  掲示板に貼り付けられていたタバサの作品を破り捨てるという暴挙に出たのである。 「けしからん! どうしてこんなひどいことをするんだ!」  その頃管理人としての立場がすっかり板についていたマリコルヌは、この許されざる犯罪に怒り狂い、  タバサの作品を直しながら、犯人に対して散々警告を発した。しかしド・ロレーヌの方は少しも耳を貸さなかった。 「どうせ、あんな大人しい奴に何かが出来るわけもないだろう」  と、調子に乗って、直る端からタバサの作品を破り捨てまくったのである。 「そうかそうか、そっちがその気ならこっちにも考えがあるぞ……!」  ついに怒りが頂点に達したマリコルヌは、自分の持てる知識を総動員して犯人の捜査に当たった。  油断していたド・ロレーヌは、あっさりと自分の犯罪を見抜かれることとなったのである。 「この腐れ(ピー)め、お前の赤裸々な私生活をバラされたくなかった、もう二度とこんなことはしないと誓え」  普段舐めきっていたマリコルヌのド迫力に、ド・ロレーヌは震え上がって土下座した。 「許してくれマリコルヌ、あのチビっ子の作家気取りが気に入らなかったんだよ!  反省してるから、先生に届けるのだけは勘弁してくれ!」 「……全然反省してるようには見えないが、まあいいだろう。次にやったら本気で通報するからな!」  だが、残念ながら問題はこれで終わらなかった。  タバサが、このような騒動になったことに責任を感じて、掲示板から自分の作品を取り下げるよう申し出たのである。 「そんな、別に君のせいでは」 「……わたしにも、責任の一端はある」  という訳で、タバサの作品は惜しまれながらも掲示板から姿を消すこととなった。  彼女はその後も物語を書き続けているという噂だったが、  残念ながらそれらが学院生たちの目に触れることは、二度となかったのである。

179 名前:どっかで聞いた話[sage] 投稿日:2007/06/02(土) 01:04:35 ID:tgshzPus

 こうして、四人組は三人組となった。  ギーシュは相変わらずイケイケであり、マリコルヌもタバサの件で気落ちしたものの、その内また前のように作品を書き始めた。  が、次の問題はルイズが起こした。 「駄目よ、駄目だわ、こんなものでは……!」  真面目な性格の彼女は、やはり作品を書くときでもクソがつくほどに真面目だった。  気楽に書いて気楽に読ませていればよかったのに、いつの間にやら  「少しでもいい作品を書かなければ」という怨念めいた思い込みに縛られ始めていたのだ。  彼女が潜在的に持つ自虐傾向が、悪い方向に働き始めたのである。 「皆は面白いって言ってくれるけど、本当は違う。こんな穴だらけな作品が面白い訳ないわ!  きっと、わたしのこと哀れんでお世辞を言っているのよ!  それに、わたしもいつの間にか賞賛の言葉に安住して、いい作品を書くという志を失いつつある!  駄目、こんな腐りきった心のままじゃ、素晴らしい作品なんて書けるはずがない!」  周りから見れば深刻になりすぎだったのだが、元々思い込みの激しいルイズ、こういうときの暴走は止まらない。 「これは駄目だわ、何とかしなくては!」  彼女は早速マリコルヌのところへ赴くと、こう提案した。 「作品の悪いところをけなすためのコーナーを設けましょう!」 「ええ、そんなルイズ、これはあくまでも遊びだよ。別に人生が賭かってる訳じゃないんだし」 「いいえ、駄目よ! 芸術に妥協は許されないわ。さあやるのよ! 早くしなさい、この豚!」 「あひぃ! ……わ、分かった、とりあえず試しにやってみるよ」  という訳で、掲示板に新たに「文句を言うコーナー」が新設されることとなった。  多くの生徒はこれに困惑し、作者の心情を慮ってなかなか文句を言わなかった。  で、ルイズはますます怒った。 「何よ、わたしの書いた話には文句をつける価値もないって言うわけ!?」 「落ち着けよルイズ、お前段々意味不明になってきてるぞ」 「お黙りなさい!」  と、才人の助言にも耳を貸さず暴走するルイズを見かねて、マリコルヌが口を出した。 「分かった、じゃ、僕から見て気になったことを言うよ、ルイズ」 「よし、きなさい!」 「まずね、こことここ文章がおかしいし、ここも設定的に矛盾が……」 「馬鹿な、こんな簡単なことに気づかなかっただなんて!  ああ、やっぱりわたしは駄目な子なんだわ! 褒められていい気になってただけなのよ!」 「……いや、別にそこまで深刻にならなくても。  ほら、それでも皆が楽しんでるってことは、そういう欠点を補って余りある魅力がだね」 「マリコルヌ!」 「な、なに?」 「掲示板に載ってるわたしの作品、全部剥がして!」 「えぇ!? や、やだよそんなの、君の作品にだってファンが多いんだ、皆ガッカリするよ。  それに、僕が文句言った途端にそんなことしたら、僕の方にも責めがくるかもしれないし……」 「いいから! こんな中途半端なものを、これ以上世に出しておくわけにはいかないわ!」 「そんなあ……」  とは言え、結局のところ本人の自由ではある。マリコルヌは泣く泣くルイズの作品を剥がしてしまった。  こうして、雰囲気が読めずに暴走したルイズは、結局暴走したまま引っ込むこととなったのである。  この一連の騒ぎを横で見ていた才人は、こうコメントしている。 「いやあ、あいつなりに悩んではいるんだろうけど、正直何を考えてこういうことしてるんだかよく分かんないね」  ルイズはその後もあれこれと試行錯誤しているようだが、未だにその作風は安定せず、変わらず周囲を困惑させているようである。

180 名前:どっかで聞いた話[sage] 投稿日:2007/06/02(土) 01:05:40 ID:tgshzPus

 そうした一連の騒動の中、やはりギーシュはイケイケであった。  その人気は留まるところを知らず、他の有力作家が諸々の事情で衰退した今となっては、ほとんど学生達の人気を一手に集めていたのである。 「はははは、声援ありがとう皆、一緒に話を盛り上げていこうではないか!」  元々調子に乗りやすい性格のギーシュだったが、その性格が今回はプラスの方向に働いたらしい。  彼は休むことなく作品を書き続け、またその作風も初期の軽いものからいい意味で変わらなかったために、  学生達の支持も留まるところを知らなかった。  が、やはり困ったちゃんというのはいるものである。 「おのれ、ギーシュの奴め、この僕を差し置いて」  と再び憤ったのは、件のド・ロレーヌであった。  ギーシュの人気に嫉妬した彼は、あらぬ噂を立て始めた。 「ギーシュの奴の話、見てみろよ。ずいぶんと低俗じゃないか。  こんなくだらない話がウケてるだなんて、僕には信じられないね。  きっと、奴が自分で筆跡を誤魔化して、多数の感想を自作自演しているに違いない。  ま、僕の邪推でなければいいけどね……」  前回に引き続き、今回も彼の策謀はうまくいかなかった。理由はいくつかある。  その中傷の中身があまりにも馬鹿馬鹿しすぎたことが一つ。  読んでいる人間のほとんどが、話の内容が低俗だとかを気にしない程度に寛容で、「面白けりゃいいじゃん」という思考だったことが一つ。  ギーシュ自身がノリノリだったので、そんな中傷など大して気にせず作品を書き続けたのが一つ。  そして何より、結局のところ彼の書く作品が非常に面白かった、というのが一つである。  こうして、いつも通り気に病んでいるのはマリコルヌ一人だけとなった訳で。 「……ギーシュ、君はいいよな、いろいろと……」 「ん? どうしたんだい管理人殿。ははは、暗い顔してないで、新作でも読んでくれたまえよ」 「おおう、これは素晴らしい! いいなあ、僕も子供に戻ったら女の子に優しくしてもらってデヘヘヘヘ……」 「ははは、僕の空想は百八式どころでは留まらないぞ!」

 とまあ、あれこれと変な事件を巻き起こしつつ、トリステイン魔法学院の物語掲示板は未だ賑わいを見せているのである。

「ねえねえサイトさん、これ見てください」 「あん、なんだシエスタ、この紙束……おっ、こりゃ物語だな?」 「はい、わたしも書いてみたんです」 「へえ、シエスタが書いた話ならきっと優しい感じの……あの、シエスタ?」 「なんですか、サイトさん?」 「……この話、俺がシエスタに散々犯されるっていうとんでもねえ内容なんスけど……」 「フフフフフ……」 「ちょ、シエスタ、なんで後ろ手に鍵しめてんの!?」 「さあサイトさん、わたしと共にめくるめく甘美な世界に旅立ちましょう!」 「いやぁぁぁぁぁぁっ! 誰か助けてっ、ここに痴女が、痴女がぁぁぁぁぁぁぁっ!」

了。

※ この作品は二次創作です。現実とは一切関係がありません。   何ていうか、笑って流してくれると信じてる。