※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

ボルボX

603 :調教録の人:2007/08/28(火) 23:31:18 ID:lnD6SN0q 「姫さまから呼ばれてるのよ。なぜかあんたも必ず同行するようにとわざわざ言われたわ」  朝食の席でルイズが言った。パンを豆のスープにひたしつつ、無表情でじーっと才人を見ながらである。 「ソウデスカ、ナンノ用ナンダロウネ」  才人はとりあえず心を仮死状態にして、肉切りナイフをキコキコと動かす。 「あんた、それで平静をたもってるつもり? とっくに肉は切れてるじゃない。 いつまで皿を切ってるのよ」  蛇ににらまれるガマよろしく、才人はだらだらと脂汗を流した。

 そんな使い魔を見やって、ルイズは石化作用でもありそうな眼光をギラリと放った。 「あんたと姫さまが、ゆ、ゆ、許しがたくもその、なんというか、あろうことか、 いやもうほんと絞めたいというか、デ、デデデ、デキてるのは知ってるわよ。  まあ覚悟はしてたわ。この犬ときたら、ご主人さま兼恋人(まあそれはそのー仕方なくだかんね!) がいるのに、あっちこっちへフラフラと落ちつき無いんだから…… メイドに手を出したのが皮切りだったわね? たしか」

「ま、待ってご主人さま! シエスタと姫さまだけです! 二人だけです!」 「一人でも浮気としては充分だろがァァァッ!  ふ、ふふふ、いけない、朝食は静かにがモットーなのに、 立ち上がってこの熱いスープパンを犬の喉に押しこむところだったわ……というかそれ、 わたしの許した(許してないけど我慢した)範囲では二人ってことよね?」

 才人はすばやく「朝食ごちそうさまでした」と手を合わせた。 「待ちなさい、逃げなければ殺さないとは保証できないけど、いま逃げたら確実に殺すわよ。  さあ吐け全部吐け、隠すことがあればハラワタまで吐かせるわよ!  今度は誰!? どこかのハーフエルフ!? どこかの小さな王女!?」 「お願いルイズ待って! 話が当初から大きくずれていると思うノデス!  姫さまがボクタチに何の用なのでしょう!?」

「さあ何かしら。急に間男に会いたくなったのかしら。姫さまもあんがい物好きな性質だと わたし知ったわ、ここしばらくで存分に」 (それだったら町に呼ぶんじゃねえかな)  サイトはそう思ったが、もちろん口には出さない。今、彼は生死の綱わたりをしているのである。自分から谷底にダイブしてどうする。  ルイズははぁはぁと肩で呼吸していたが、少し落ち着いたのか不機嫌そうに言った。 「今回はわたしよりあんたを呼んでるのよ、本当に。見せたいものがあるんだってさ」

604 :名無しさん@ピンキー:2007/08/28(火) 23:32:17 ID:lnD6SN0q  王宮の執務室で待っていたアンリエッタは、ルイズと抱き合って親愛を示した後、 才人を見てうっすらと微笑んだ。  才人もなんとなく照れてニヤケた笑みを返すが、隣のルイズの体から ドス黒い瘴気が噴出するのを感じて顔面を硬直させ、まじめ顔を作る。  アンリエッタは軽く会釈すると、説明した。 「急にお呼びたてしてすみません。見せたいものとは、実は東方の品なのです。 持ってきた商人がそう言ったのみで、実際はまだ確認しておりませんが、 たしかにハルキゲニアでは見ない意匠ですし、非常に珍しい魔法が感じられます」

「東方? それってロバ・アル・カリイエでしょうか?」 「いえ、はっきりはしないのです。ただエルフの地を通ってきたということは確かです。 サイト殿なら何かわかるかもと。異世界人とはいえ、ロバ・アル・カリイエ産の『緑茶』 というものを見知っておられましたし」 「なるほど、そういうことでしたら」 「こちらの箱です」  アンリエッタが差し出したぼろい木箱。  受けとって開けて一目見て、才人は考えこむ。ルイズが横から覗きこんできて、彼をつついた。 「どうなの? 何かわかった?」 「いや……その、そこはかとなく確かに慣れ親しんだ感じがあるというか、 なぜかこのまま閉めて捨てたほうがいいような予感がするというか……」 「? 言ってることがぜんぜんわかんないわよ」

アンリエッタが才人のそばにきて、ルイズと反対側の隣にならび、木箱の中のものを のぞきこんだ。 「見てのとおり、なんだか見たことも無い材質で、犬のような形ですわ。顔が独特ですけど。 それに、背中にねじ巻きがついています」  女王陛下の発言を受け、ルイズがうなずいた。 「とりあえず巻いてみましょう。サイト」 「ああ、なぜか気がすすまねえんだけどな……」  巻いてみた。

605 :名無しさん@ピンキー:2007/08/28(火) 23:33:26 ID:lnD6SN0q  突然、それはギギギィときしみながら動き出した。 「う、動……!? あ、この犬型アイテム、なんかしゃべりだしたわ!」 「まあ本当。サイト殿の剣デルフリンガーと似たような原理なのかしら」

  (・∀・) < テラワロwwwww毛唐ドモwwwwwゴキゲンヨウwwwwwwwwwwww

「変な鳴き声ね。ww(ウェッウェッ)て下品な声が多いわ」 「意味のある言葉もあるみたいだけど、異国の言葉ね。なんて言ってるのかしら?」  ルイズとアンリエッタが首をかしげた。才人は蒼白な顔で首をふった。 「い、いえ知らなくて別にいいというか……」 「え、サイトにはわかるの? なら翻訳しなさいよね」

  (・∀・) < wwww問題ナイwwww今翻訳機能ヲONニシタwwwwwww

「あ、聞こえるようになりましたわ」 「すごいわ! これが東方の魔法?」 「誰だ!? 余計な機能をつけた奴は!」

  (・∀・) < www魔法ノ犬型カラクリ人形『愛慕・びっぱ型』トイウwww開発者ノ名ハ祖煮井ダwwwwww

「捨てよう! こいつ色々と危ない!」 「そんな乱暴な。なにが問題なの?」

  (・∀・) < wwwソコノ小僧www頭ノ悪ソウナ顔シテルナwwwww

「んだとテメェ!」  才人は渾身の力でその物体の首を絞めにかかった。

  (・∀・) < ウェッウェッウエッ無駄無駄無駄www衝撃吸収機能、耐水機能、耐火機能、ソノ他完備ww煮テモ焼イテモ叩イテモ壊セナイwwwコレゾ東洋ノ叡智ノ粋ww開発費ハ占メテ五十三万両ナリwwwww払ッテミルカ貧乏人wwww

「くっ、本当に余計な機能と無駄な金をつぎこみやがって! 開発者の深刻な悪意を感じる!」

  (・∀・) < wwwソコノ小僧www頭ノ悪イ顔ダナwwww

「くおおおおおおおッ!」 「落ち着きなさいよサイト。心配しなくても最初から、誰もあんたの顔に知性を期待してたわけじゃないから」 「そ、そうだよなすまんルイズ。ちょっと取り乱したっつーか……え? 待って? 今の微塵もフォローになってなくない!? 姫さま! なんか言って!」 「あ、あの、ええと……サイト殿は、騎士として求められる高潔な魂と勇気を持っていると思います」 「ありがとうございます、でも知性には言及しないんですね!?」

606 :名無しさん@ピンキー:2007/08/28(火) 23:34:24 ID:lnD6SN0q と、その物体が矛先を変えた。

  (・∀・) < wwwソコノ桃色髪www女ダヨナ?

「あによ。見てわかんないの? わたしはレディよ」

  (・∀・) < プゲラwww胸無イノデ見テモワカラナカッタヨwwwwwwwウェッウェッ

 物も言わず突進しようとするルイズを、サイトが抑える。 「無駄だって! 相手するだけ無駄だって! 蹴っても殴っても壊せないんだから!」 「そそそそれが本当かどうか確かめてやろうじゃないぃぃッ! うわぁぁん放せ!」 「胸の大きさにこだわらなくたっていいだろ!?」 「それはアレ!? さっきのお返し!? 『大きな胸なんて今さらお前に期待してねーよ、へっ』てこと!?」 「曲解だ!」

  (・∀・) < ソウトモ桃髪娘、他人ノ言葉ヲ曲解シテハイクナイwww我ガ生誕ノ地デハ、小サナ胸ハ〈ひんぬー〉ト言ワレテ女性ノ〈究極ノ美シサ〉ノしんぼるダッタ……自信ヲ持テ

「え? ……ほ、ほんと?」 

  ( ゚д゚)、 < ペッ 簡単ニ釣レヤガッテ面白クネェ  信ジンナBAァァァァKA りりーすシテヤッカラ消エナ雑魚wwwww大キク育テヨwwウェッウェッ

 ルイズは杖をふりかざして詠唱を始めた。 「ルイズ落ち着いてルイズ! ここは王宮よ!」 「放してください姫さま! たとえ王宮半壊の罪に問われようとも、こいつだけは爆殺せずにおれません!  虚無にも耐えられるかどうか見てやろうじゃないのおおぉォッ!」 「過激なことはやめて、お願い! お願いだから!」

607 :名無しさん@ピンキー:2007/08/28(火) 23:37:12 ID:lnD6SN0q   (・∀・) < オイソコノ胸ガチャントアル女wwチョット来イww

「え、わたくし? ちょっと待って。ル、ルイズ、お願いだからくれぐれも 過激な行為は慎んで、ね?」  暴れるルイズを受けとめた才人が、渋い顔でアンリエッタに声をかけた。 「姫さま、あれ多分、おちょくることに特化した悪質な存在ですよ。まともに相手したら駄目です」 「心配ないわ、わたくしとて悪意に打たれ弱い女ではありませんもの」

 え? そうなの? という才人とルイズの意外そうな視線を受けて、女王陛下はすっと 背筋をのばし、胸をはって言った。 「宮廷の社交界という場所は、けっして善意に満ちたところではありません。 品位というオブラートに包んで、他者の失敗、欠点をあざ笑う者たちには事欠きません。 陰湿な陰口や誹謗のたぐいをわたくしは恐れません。心配は無用です」

 そういうとアンリエッタはしずしずと妙な物体の前に出ていき、優雅に一礼した。  ルイズが感嘆をこめて、「やっぱり姫さまは立派よねぇ」とため息をついた。  才人のほうは「……まあ、見とこうか」と慎重である。

「遠いところからよくぞわが国に参られました。わたくしはこの国の女王です。  あなたは東方の生まれなのですね? 差し支えなければ、どのようにして 遠い故国からこの国に至ったのか聞かせていただけないでしょうか?」

  (・∀・) < 最初ハ、生マレタ島国カラ隣ノ大陸国ニ、親善ノ証トシテ送ラレタンダガ、ソコノ皇帝トキタラ『上ル国ノ王カラ、没ナ国ノ王ニ挨拶シテヤル。チャオ☆元気?』ッテ伝言ノ大意ヲ伝エタダケデ激怒シヤガッテサア……売リ払ワレタノヨwwwwwかるしうむガ足リテネエ奴ダッタwwww

 アンリエッタは「まあ、やはり数奇な運命だったんですね」と述べるに留めた。

608 :名無しさん@ピンキー:2007/08/28(火) 23:40:02 ID:lnD6SN0q フムフムとその物体は考えるように頭をぐるりと回してから、

  (・∀・) < アンタ男イル?

「え? え、えぇっと……ちょっと唐突な質問ですね……」  もじもじして顔を赤らめるアンリエッタ。 ちなみに後ろではなぜかルイズが才人の足をぐりぐりと踏みにじっている。

  (・∀・) < 東方デ『傾国』ッテ言葉ガアッテサァ、一国ノ王ガ女ニ溺レテ国ヲ傾ケル……ソンナ美貌ノ女ノコトヲ指ス単語ダwwwトコロデ、アンタ見ルトコロ傾国ノ相ダナ

 アンリエッタは頬に手を当てて穏やかに微笑んだ。美貌を褒められることは多いので、儀礼上の返しには慣れている。 「まあ、褒めてくださってありがとうございます」

  ( ゚д゚)、 < ペッ ナニ先走ッテンノ? コノ場合ハ、アンタガ『異性デ国ヲ傾ケル』たいぷノ女王ッポイ顔ダトイウツモリダッタンデスガ……自意識過剰ハケーンwwwwwwww 

 さすがに絶句するアンリエッタ。  その後ろで、二人がささやいている。 (あー……まぁ、姫さまが男で国を傾けるタイプってのはそうかもしれないわ) (ルイズお前、前より姫さまに容赦なくなったなぁ……ところで、いくら姫さまのよく知る 社交界が、陰湿な悪意に満ちた場所だからって、最低限、オブラートでも『品位』があるんだろ? アレにそういうのを期待すると泣きを見ると思うんだが……)

609 :名無しさん@ピンキー:2007/08/28(火) 23:40:55 ID:lnD6SN0q  十分経過。  あげ足取りとこじつけから生まれる嘲笑と罵倒の嵐が止まない。

(……気丈だわ姫さま、まだかろうじて笑顔よ) (ばか、もっとよく見ろ、肩が震えているし手はドレスのスカート握りしめて白くなってるし、 顔色が極端に悪くなっている。今にも『かはっ』て感じで血を吐きそうだ)    ついにアンリエッタは青ざめた表情でぷるぷる震えつつ、つぶやいた。 「……この物体は東方からの手のこんだ宣戦布告なのかしら?」

  (・∀・) < プハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ涙目涙目wwwwwwwウェッウェッウェッ

「ひ、姫さまどうか落ち着いてください! 一番過激な方向に話が飛んでいます!」 「待った待ったマジに! 大遠征とかやったら今度こそトリステインやばいと思うから!」

 即刻その物体は箱に詰めもどされ、厳重に封印された。  ゼンマイが切れていないのでがこがこ木箱の中で暴れている。  それを横目で見ながら、ようやく落ちついたアンリエッタがため息をついた。 「砂漠の商人が、エルフから二束三文で買ったそうですが、 そのエルフが厄介払いしたのは間違いありません。わたくしのところに持ってきた商人もね。 ……われわれはどうやってこれを厄介払いするか、今となってはそれだけが問題です」