ゼロの保管庫 別館

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101 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2007/09/03(月) 05:07:05 ID:AcuL4s98 「カトレア、ルイズの様子はどう?」 「大丈夫、でも…すでにかなりの魔力がルイズの身体に流れ込んでる」 カトレアは心配そうな表情を浮かべる。 「一日でも早く全ての魔法使いを消す。 そしてこんなことが起こらない本来の世界に修正するわ」 「気をつけてね」 「それにしても…ゼロの器になっちゃうなんてね…本当に世話のかかる妹よ」 エレオノールは頭を抱える。 「でも、あの子は偶然選ばれただけ」 「わかってるわ。 だから…、だからこうやってわたしが勝者になって あの子を助けようとしてるんじゃない」 エレオノールは歩きだした。 「今夜も一人でも多くの魔法使いを狩って帰ってくるわね」 「いってらっしゃい」

タバサは小さな竜を連れて家に戻っていた。 最初この竜をサイトにどのように説明しようか悩んだ。 しかし「怪我した猫か、かわいそうだから手当てするか」と言われて驚く。 どうやらこれも魔法の一種で タバサ以外の人からは普通の猫にうつっているらしい。 竜はシルフィードと名乗った。 それからいまこの街ではひとつの力をめぐって 魔法使いたちが日々戦いを繰り広げていると知る。 シルフィードが言うには、その力を手にした者は 世界を消滅させゼロに戻し、ゼロから新たな世界を生み出すことができるそうだ。 その力は最後まで勝ち残った魔法使い一人に与えられる。 つまり最後の一人になるまでこの戦いは続くのだ。 流石に話が壮大すぎてイマイチ実感が持てないタバサだったが すでに当事者となってしまったからには頑張るしかない。 「あと魔法使いには大きく分けてふたつのタイプがあるのね」 シルフィードは説明した。 自分と今日公園で戦った魔法使い(名前はフーケというらしい)は どちらもウィザードに属する。 ウィザードとは特定の力を軸に多くの攻撃パターンを有するタイプ。 タバサは氷の魔法使いで氷を自由に操る。 さきほどのフーケは土を自由に操る魔法使いだ。 そしてもうひとつのタイプがマスターである。 これはひとつの能力に特化したタイプで これに属する者は大抵相手との能力の相性に戦局を大きく左右される。 型にはまれば強いが、相性の悪い相手だと、トコトンなにもできない。 「前にこっちの魔法を消しちゃう人にあったの。 きっとウィザードタイプの人は、あの人と戦うのは大変。きゅいきゅい」 「つまり苦手な相手を避けて勝てる相手と戦うのが重要なのね」 「そうなのそうなの。きゅい」 「ふぅ」 とりあえずタバサは色々な出来事があったので疲れきっていた。 せっかく買ってもらった本だが読む気になれない。 タバサはベットに飛び込む。 「おいでシルフィード」 「きゅいきゅい」 タバサはシルフィードと深い眠りへと旅立った。 102 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2007/09/03(月) 05:08:53 ID:AcuL4s98 「くそっ、懐に飛び込めねー」 『相棒、相性が悪すぎるぜ。 こっちはウィザード全般には強いが、マスター相手だとからっきしだから』 「わかってるって」 女が放つ鞭を避ける。 「逃げてばかりで勝てるのかしら」 なんて長さの鞭だ。 相手の鞭はまるで意思を持った蛇のようにうねり襲いかかってくる。 しかもその長さが尋常じゃない。 彼女の周りを漂う鞭の長さは100mを超えているのではないだろうか。 「こうなったら一気に突っ込んでけりをつける」 『危ない賭けだぜ相棒』 「承知のうえさ」 サイトが女に向かって加速する。 鞭が一斉にサイトに襲い掛かるが全て寸前でかわす。 「いける!」 『相棒、ヤバイ!』 デルフの声でサイトは女の左手に気づく。 「げっ、もう一本鞭もってたのかよ」 女の手から二つ目の鞭が襲いかかってくる。 「くっそー」 間一髪だった。サイトは距離をとる。 『二匹の蛇は流石に辛いぜ』 「二匹ですって?」 デルフの言葉に女がおかしそうに笑う。 「これをみても二匹って言えるかしら?」 手にしている鞭が左右四つの首にわかれる。 「この私の鞭に勝てると思っているのかしらね」 全部で八つの首が一斉に襲いかかってくる。 「逃げるぞ」 『異議なし』 サイトは一目散に逃げ出した。 女はそれを追うことはせずにただ見送る。 「まったく今夜は収穫はなしだわ」 思わぬ強敵に出会い、今日の成果がゼロだったエレオノールはため息をついた。 103 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2007/09/03(月) 05:10:32 ID:AcuL4s98 ジュリオは三人の男たちに取り囲まれていた。 「さて、観念するんだな」 「そちらこそ観念したほうがいいよ、ぼくは君たちよりも強い」 ジュリオは余裕の表情で三人の姿をみわたす。 「はっ、お前の魔法がどんなものか知らねーが、三人相手に余裕じゃねーか」 「弱い者たちが徒党を組んでも、弱いことに変わりはないよ」 「て、テメー!」 ひとりが炎のつぶてをジュリオに向かって放つ。 だが、そのつぶてはジュリオの影から出現した塊によって阻まれる。 「さて、敗北する君たちにせめてボクの能力を教えてあげるよ」 ジュリオの影から黒い塊が無数に這い出してくる。 「ボクの魔法はとても単純さ」 それらが一斉に襲い掛かった。 「ぼくに懐いている動物の影を実体化させて戦わせる。ただそれだけさ」 三人の悲鳴が辺りにとどろく。 「ほんと、たった三人じゃ、ぼくの兵隊には勝てないよ」 仕事を終えた影たちはジュリオの影へと戻っていった。

「まったく散々だったよ」 「機嫌が悪いなフーケ」 「まーね」 フーケはワルドに今日のことを話す。 「まあ、無理に戦う必要はない。 最終的に残った魔法使いひとりを我々ふたりで倒せばいいのだから」 「わかってる。それまでは無茶はしない。 勝てる相手とだけ戦う。だったわよね」 「そうだ、最終的に我々のどちらかが力を手に入れれば、それで勝利なのだからな」 「ええ、そうね」

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