ゼロの保管庫 別館

19-39

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だれでも歓迎! 編集

39 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2007/09/02(日) 16:53:13 ID:TxnQik1b 少しばかり12巻の内容が入ってる 読んでない方は飛ばしちゃってくれ ちなみに、エロはまだ入ってない 直前で止まってます

12巻135項 15行目より

 つまり……、俺には友達が出来たんだ。  いっしょになって笑ったり、バカ話したり、そして、命を張ってくれる友達が…… そんな風にしんみりとしていると、すっとカーテンが引かれて、桃髪のご主人様が顔を見せた。

「サイト。」 「ルイズ。」 「良かった…ひどい怪我しなくて。手の怪我は大丈夫?」  ルイズは心底ほっとしたようだった。先刻は感情の昂ぶりからサイトのことを気遣えてなかったのだ。 そんな様子のルイズを見て、マリコルヌに申し訳なく思う。  そして、ルイズはサイトがアルビオンより帰ってきてから、サイトの怪我に敏感になっていた。 自分の『お仕置き』の時には全くといって気にしないのにおかしな話だった。 「ティファニアがサイトに感謝してたみたい。『ありがとう』って伝えるように言われたわ。  直接ここへ来るみたいだったんだけど…あたしを見つけたら、サイトにさっきの事を伝えるように言われて  さっさと言っちゃった。何なのかしら…?」

 ティファニアはルイズがサイトの恋人であるように思っていた。邪魔をしないほうが良いと判断したのだろう。 もちろんこの2人は気付かない。 「ルイズに怯えてるんじゃないか?あんな大爆発を見た後だしさ。」 「馬鹿言わないでよ もう。ほら、手の包帯を取り替えてあげるから出しなさい」 サイトはルイズが世話をしてくれることに心底驚いた。 ( …!! ルイズが世話?!もしかして放置してたのが良い方向に働いてるのか?!  でないとこの対応に説明がつかない!間違いない!) 「今日はえらく優しいんだな。何かいいことでもあったのか?」 サイトは素直に手を差し出しつつ、答えをわかっていながら、そんな風なことを聞いた。 実際の所サイトの行動は全くの無関係だった。ルイズはそこまで考えていない。 『サイトが怪我をした』 それだけを聞いてお見舞いに来たのだった。 「何言ってるのよ。前にギーシュと決闘したときも看病して…」 ルイズは自分でそう言いながら、決闘の時の怪我のことを思い出す。三日三晩目を覚まさなかった。 あのとき取り乱したりしなかったが、今そんなようなことになったら自分はどうするのだろう。 40 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2007/09/02(日) 16:56:25 ID:TxnQik1b  そんなことを考えて急に怖くなった。そして、目の前にいる元気なサイトを見て安心する。 「はい。出来たわ。他に怪我してない?」 「あぁ。大丈夫だ。」 そう返しつつサイトは想像以上に放置していたことが効果的だったと心の中で歓喜する。  あのルイズがこんなに甲斐甲斐しく…可愛いなぁルイズ!畜生! やっぱり俺すげぇ。天才だ。こんなルイズを引き出すなんて俺天才。  とても真剣に包帯を巻いてくれるルイズをずっと見ていたサイトは、あまり記憶にないような姿のルイズを 可愛いと悶える事と、自画自賛することで忙しかった。男は得てしてギャップに弱いのである。  繰り返すが、この包帯を取り替えてあげるということに関して、あまりサイトの行動は関係がない。

「ところでルイズ、シエスタはどうしたんだ?」 「シエスタなら、怪我した人の包帯を取り替えてるわ。あんたみたいに、その、人気がないというか、  包帯を取り替えてくれる女の子が居ない人も居るから。一部だけみたいだけどね。」 そういってマリコルヌの方にちらっと視線を向ける。 サイトは自分が見ると目が合うような気がしてなんとか見ずにこらえた。 「それに今日一日シエスタは忙しいみたい。事情は良く分からないけど、今日は部屋に戻れないらしいわ。」

「先生、このベッドの患者の移送許可をいただきますわね。」 「えぇ。助かるわ。」 「サイト、とりあえず私の部屋へ戻るわよ。」 ルイズとサイトは2人揃って部屋を出た。 マリコルヌの恨むような目がサイトに刺さる。サイトは苦笑しつつ、手を使って謝る動作だけをして謝る。

 部屋へ戻る途中、サイトは考えていた。 アルビオンから帰ってからというもの、冷静に分析をして、出した答え。 余裕を見せ、さらに無視をする。 その結果がどうだ?見たか?俺。さっきのルイズを。 あぁ見ましたとも。どう見ても出来上がっている。 俺の計画通りに進んでいる。 ルイズという名の猫は案の定近づいてきた。 近づいてきた?じゃあこの後にやることは? 首 根 っ こ を 捕 ま え る だ け じ ゃ な い か 。 今日はシエスタも大変だそうで。つまり、邪魔者、といえば聞こえが悪いが 途中で入ってくるような人も居ない。 いいのか 俺。いや、今やらないでいつやるんだ。そうと決まれば実行だ! いきなり行くと前みたいに拒まれるかもしれない。少しずつだ。焦るな俺。 やはりサイトは底なしにヌけていた。 41 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2007/09/02(日) 16:57:46 ID:TxnQik1b  そしてルイズもまた考えていた。 ここの所サイトいつも素っ気無かったのに、さっきからちゃんと私のことを見てくれてる。 サイトはそれを私が無視するからだ、と言った。でもどこかが違った。 しかし今はそんなことはどうでもいいように思えた。 話しかけてくれる。笑ってくれる。 たったそれだけの事なのに胸が躍った。『いつもの』サイトが居て、とても嬉しかった。 包帯を取り替えてる間は終始一生懸命になってしまい、全く考えなかったが 冷静になり嬉しさがこみ上げてくる。  そこまで考えて、冷静になったことでまた疑問に思う。 アルビオンから戻ってからのサイトの行動は何なんだろう、と。 やはり私の事は好きじゃないのかしら…アルビオンのフネの中のことは一時の気の迷い? でもでもあのときのキスはそんなものじゃない… …でもちょっと待って。サイトが正気(?)に戻ってから、はっきりと好きって言われてない! うやむやのまま事は進んでいたが、確かに言われてないのだった。 胸が不安で溢れていく。このまま考えても悪い方向へ向かうばかりだった。 部屋に戻ったら聞いてみよう。きっと今のサイトなら答えてくれる。 そこまで考えたところで部屋の前へ着いた。

 部屋に入ると、ルイズはサイトにベッドの上に座らせた。ルイズはその隣に腰を掛けた。 少しの間沈黙が流れる。 「…ねぇ。」「…なぁ。」 同時に話しかける2人。 「何?あんたから言いなさい。」 「いや、俺のことは大したことじゃない。後でいいよ。ルイズから言えよ。」 「………。」 また少しの沈黙。 「…あのねサイト。聞きたい事があるの。」 不安が募る中 意を決して尋ねるルイズ。 「あの…その…あのね、サイトは…わ、私のことをその…  どう思ってるの…?」 サイトは平静を保ちつつ歓喜した。 やはりこれはデき上がっている! 「どうって…ご主人様だろう?」 ルイズが欲しい答えが分かっていながら意地悪を言うサイト。 「そうじゃなくて!女の子として…その…「好きだよ。」 突然言われて嬉しくて赤くなるルイズ。 でも…と頭のどこかがまだ信じられない。 そして、ずっと聞きたかったが怖くて口に出せなかったことを尋ねた。 「信じらんない。だってサイトってばメイドやらおばけ胸ばっかり見てるし…。  …ねぇ。お願いだから正直に言って。私みたいな身体をした子より、ティファニアみたいな子の方が好きなんでしょ?」 「俺は男だから…、どうにも引かれることは否定しない。できない。それは本能なんだ。  だがな、だけどな……」 42 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2007/09/02(日) 16:58:26 ID:TxnQik1b ルイズを真っ直ぐな目で見て、サイトは言った。 「ルイズみたいなのも好きだ。いや……、むしろそっちの方が好きだ。」 ルイズは一瞬、頬を染めた。しかしそれでもまだ頭のどこかは冷静だった。 この答えは以前に想像していたのだった。 そして、聞きたくないが、聞かなければならない事を尋ねる。 「じゃ、じゃあ…やっぱり私よりタバサの方がいいの…?」 サイトはこれを聞いて少し笑う。ルイズは不思議で仕方ない。 「……?ねぇサイトどうなの?何で笑うの…?」 「悪い悪い。あまりにもルイズが…そのなんていうかな。」 あまりにも子供のようで、なんて言ったら雰囲気がぶち壊しになるような気がしてサイトはごまかす。 「まぁ、とにかくだ。いいかルイズ。よく聞けよ。男が一番欲情…といえば聞こえは悪いか。  興奮とでも言えばいいか。同じか…?まぁどっちでもいい。  ともかく、そうなるのは好きな子の身体と相場は決まってるんだよ。」 思いがけない言葉にルイズは言葉を失った。 そして頬は赤くなり、涙が溢れサイトに抱きついた。 欲しかった答え。優しい言葉。考えもしなかった返答。 全てが嬉しかった。 泣いてサイトに抱きついた。  そんなルイズをサイトは優しく抱きしめ頭を撫でる。 「サイト…サイト…。もっと早く言ってよバカぁ…。  不安だったんだから…アルビオンから帰ってきたらサイトは冷たいし…。  相変わらず女の子の人気は凄かったし…ティファニアも居て…。」 泣きながら胸のうちを話すルイズ。 そんなルイズにサイトはすっかりやられてしまった。 自分がアルビオンから帰って出した答えが想像以上に効いたことに驚いた。 そして、泣かせた時点でサイトが悪いのだ。もう少し考慮すべきだったと今更ながら後悔をする。 「悪かったよルイズ。俺が悪かった。」 ルイズは顔を上げて上目遣いに言った。 「今度冷たくしたりしたら許さないんだから…」 「あぁわかってる。」 そしてどちらからともなく唇を合わせた。

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