393 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2007/09/11(火) 02:51:43 ID:JfOLpd2C 「行って……」 「え?」 「メイドからの伝言。『ミス・ヴァリエールを、助けて』って。『選んだんでしょ』って」 「でも……」 「エルフ達の足止めくらいなら、私達だけでも、何とかなる」 「…………」 「行って、サイト!」
ルイズは、数瞬の後に訪れるであろう自らの死を自覚していた。 眼前には、今にも虚無の障壁ごと消し飛ばさんと迫る強力な先住魔法。 避けようにも、自分の体は満身創痍、精神力も底をついた。回避など、できる筈も無い。 思わず、目を閉じる。 (ごめんね……サイト。でも、ちゃんと元の世界に帰れたよね……) 自身の不甲斐なさを悔やみながら、心中で想い人に謝罪した。だが、何時までたっても予想した衝撃も痛みも訪れない。 訝しく思い、目を開く。 瞳に映ったのは、自分を消し飛ばす筈だった魔法を縦に割る、見慣れた背中―― 馬鹿みたいに強力な魔法を切り裂き、取り込む、それは彼が一番の相棒とした剣の能力だ。 嘘、と呟く前に、目の前の、いつも見続けた背中の、だけどここにはいないはずの人の声が聞こえてくる。 『ゼロを……なめるな……』 耳に届いたのは、自分が愛しく想う人の声。 「サイ……ト……?」 呟く間にも、眼前の彼は腕に力を込め、『ゼロの使い魔を――なめるなァァァァァ!!』 咆哮し、瀑布のような光の奔流を斬り消す――!! それは、愛しい人との明日を掴むために挙げられた、世界への咆哮――