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200 名前: ロマン飛行 [sage] 投稿日: 2007/09/21(金) 00:04:49 ID:4G4284YU

 ティファニアがアンリエッタの計らいによって魔法学院に通うようになって、早三ヶ月ほど。  あれこれと困難な出来事に遭遇したりもしたが、友人達の助けもあって、ようやくここでの生活に 馴染み始めてきた今日この頃である。 (特に、サイトにはたくさんお世話になっちゃったな)  中庭の木陰で涼みながら、ティファニアは友人の少年の顔を思い浮かべる。 「なにか、お礼が出来ればいいんだけど」 「そんなあなたにオススメ」  急に後ろから声をかけられた。ティファニアは小さく悲鳴を上げて飛び上がる。息を整えながら振 り向くと、木の反対側から小柄な少女がこちらを覗き込んでいた。 「タバサさん?」 「サイトにお礼をしたいのなら、いい方法がある」  前置きなしに、タバサは単刀直入に言った。その唐突さに少々困惑しつつも、読書家で知識豊かな タバサの言うことなので、ティファニアは少々興味を惹きつけられた。 「いい方法、っていうのは、どんなものなんですか?」 「あなたにしか出来ないこと。サイトも大喜びする」 「わたしにしか出来ないこと、ですか」  それが具体的に何なのか想像もつかず、ティファニアは首を傾げた。少し考えてみたが、おいしい 料理を作るとか、冬にそなえてマフラーなどを編んであげるとか、そういったことしか思いつかない。 (でも、そんなのわたしじゃなくても出来るし、サイトが大喜びするとは限らないよね)  結局、答えは分からなかった。それを察してくれたらしく、タバサはおもむろに腕を上げて、こち らの体を指差してきた。 「それを使う」 「それ、って」  タバサの指が示している方向を目で追うと、自分の胸に行き着いた。出会った当初から才人がちら ちらと見ていたり、この学院に来てからは露骨に好奇の視線を浴びるようになった、彼女にとって 少々大きすぎる荷物である。それを真っ向から指差されたものだから、途端に顔に熱が上ってくる。 「か、からかわないでください!」 「からかってない」  静かに否定しながら、タバサは無表情のまま、自分の真っ平らな胸の前でぐるぐると大きく腕を回 してみせた。 「男の人は大きな胸が好き。あなたの胸は憎たらし……過剰なぐらいに大きい。よって、サイトはあ  なたの胸が大好き。これを利用しない手はない」 「で、でも」  タバサの言葉は一部を除いていちいち断定的で淀みがなかったが、ティファニアは素直に肯定する ことが出来なかった。  大体にして、この胸を使って何をするというのだろう。こんなもの肩こりの原因になる重い荷物と しか認識していなかったから、何かに使おうなどとは考えたこともなかった。 (も、もしかして、じゅ、授乳、とか……)  世間知らずなティファニアだが、母の胸から赤子を育てるためのお乳が出るという知識ぐらいはあ る。  逆に言えば、胸の使い方などそれしか思いつかない。アルビオンで暮らしていた頃、かなり年少 の子供がぐずって乳に吸いついてきたことも何度かあるので、なおさらそういう想像が強まってくる。 (でも、サイトは子供じゃないし! それにそもそも、わたし赤ちゃんいないから、おっぱいなんか  出ないし。いやいや、仮に出たとしても、大人の男の人にそういうことさせようとしたら、『子供  扱いするな!』って怒るんじゃないのかしら)  ティファニアが悶々と考え込んでいると、タバサが不思議そうに首を傾げた。 「どうしたの」 「あ、いえ。あの、タバサさん。多分、タバサさんの言ってる方法って、わたしには無理なんじゃな  いかなあって」 「どうして」 「だって、あの、これは確かに大きいけれども、ここからは何も出ないし」 「……別に何も出さなくてもいい」 「そ、そうなんですか?」  ほっとするのと同時に、また不思議になった。授乳でないとすれば、胸の他の使い方なんてあるの だろうか。 201 名前: ロマン飛行 [sage] 投稿日: 2007/09/21(金) 00:06:02 ID:4G4284YU

「耳を貸して」  タバサの言葉に従って彼女の口元に耳を寄せると、その方法について懇切丁寧に説明された。顔か ら火が出そうになった。 「そそそそそ、そんなこと無理です、絶対出来ません!」 「授乳よりは恥ずかしくないし、変態的でもない」 「え、授乳って変態的なんですか」 「あなたの発想に従うなら」  そうなんだ、母親って皆変態だったんだ、と新たな知識を身につけたティファニアだったが、思考 の混乱は収まらない。それだけ、タバサが言った方法は実行困難というか、有り体に言って恥ずかし かった。 「自信を持って」 「で、でも」 「大丈夫。サイトは必ず喜んでくれる。と言うか、それ以外の方法であなたがサイトを喜ばせるのは無理」  何気にひどいことを言う少女である。胸の痛みと恥ずかしさで泣きそうになりながら、ティファニ アは「でも、あの」とあうあう反論しようとする。すると、タバサが小さく頷いた。 「分かった。どうしても決心がつかないなら」  と、制服のポケットから、何かの液体が入った小瓶を取り出してみせる。 「一本いっとけ」 「は、ええと、これは?」 「飲めば分かる」  手の中に小瓶を押し付けられる。さすがのティファニアも、正体不明の液体に口をつける気にはな れず、タバサと小瓶を交互に見比べて困惑を露わにする。それを見て、タバサが静かに言った。 「本当にサイトを喜ばせたいという気持ちがあるのなら」 「え?」 「自分が恥ずかしいだとか、そういう感情は捨てるべき」  ティファニアは雷に打たれたような衝撃を受けた。確かにタバサの言うとおりだ。感謝の念を表し たい、御礼をしたいと言いつつ自分の都合を優先するのは、人間として間違っている。 「そうですね。ごめんなさい、わたし、目が覚めました」 「ちょろい」 「え? 今なんて?」 「なんでもない。さあ、ぐいっと一発」 「は、はい」  ティファニアは小瓶の蓋を取った。中の液体は緑と黒が混じったような、不快かつ実に印象的な色 をしていた。一度大きく深呼吸してから、一気に中身を呷る。どろりとした苦味のある液体が喉を通 過し、体内をゆっくりと滑り降りていく。 (これで、どうなるんだろう……)  しばらくの間は、特に何の効果もないように思えたが、その内に腹の底が妙に熱くなってきて、そ の熱は見る間に全身に広がって言った。 「あ、熱い……!?」 「漲る力。百万馬力。今ならきっと、何でも出来る。空も飛べるはず」 「いや、さすがに空は飛べる気がしませんけど」  だが、体中に力が漲ってくるのは事実である。次から次へと沸いてくる熱が、行き場を求めて全身 を縦横無尽に駆け巡っているようで、何かをせずにはいられないような高揚感がある。今まで体験し たこともないほどに頭の芯がカーッと熱くなっていて、恥とかそういった類の感情が一切気にならない。 202 名前: ロマン飛行 [sage] 投稿日: 2007/09/21(金) 00:07:07 ID:4G4284YU

(こ、これなら、さっきタバサさんが教えてくれたことも実行できるかも……! サイトに、大喜び  してもらえる……!) 「ティファニア」  と、タバサが無表情で親指を突きたてた。 「健闘を祈る」 「あ、ありがとうございます……!」  ここまでしてくれたタバサの友情に煮えた頭で感謝しつつ、ティファニアは体を突き破らんばかり のエネルギーに任せて大股で走り出した。

「うわー、すっごいのね、ばいんばいん揺れてるのね」 「暴力的乳革命」  空から降りてきたシルフィードに答えつつ、タバサは満足して頷いた。 「作戦は順調に進行中」 「ねーねーお姉さま」  きゅいきゅい鳴きながら、シルフィードが首を傾げた。 「さっき渡してた薬、一体何なの」 「恥を捨て去るための薬」 「よく分かんない。お姉さまが作ったの?」 「ううん。モンモランシーから譲ってもらった」  そのとき、ちょうど近くを通りかかったモンモランシーが、こちらに気付いて声をかけてきた。 「ねえタバサ、これぐらいの小瓶を探してるんだけど、見なかった?」 「知らない」  即答すると、モンモランシーは困った様子で小さく唸った。 「おかしいのよねえ。確かに机の上に上げておいたはずなのに。ちょっと調合に失敗して、元気が出  すぎる薬作っちゃったのよ。恥も節度も完全に吹っ飛んじゃって、ほぼ確実に社会的地位がドブに  沈むことになるぐらいハイになっちゃう、例のアレ。この学院の人間であれの効果と見た目を知ら  ない人間がいるはずもないし、誰かが盗むとも思えないんだけど。見かけたら教えてね」  モンモランシーはそう言い残して立ち去った。何か言いたげなシルフィードの視線を受けて、タバ サは重々しく頷いた。 「訂正。モンモランシーから無断で譲ってもらった」 「お姉さま、世間ではそれを泥棒というのね」  こういうときだけ妙に常識的である。 「使えない子」 「ひどいのね!?」

 走って寮に飛び込んだティファニアは、ルイズの部屋目指して一段飛ばしに階段を駆け上がった。 いつもは重く感じる胸の荷物も、今は全く気にならない。全力で走っているものだから思う存分揺れ まくっていて、通りすがった生徒がぎょっとしたようにこちらを見ているが、それも全く気にならな かった。 (サイトにお礼、サイトにお礼……!)  頭の中でただそれだけを念じながら、走る、走る、走る。 「サイト!」  ティファニアは、ノックするのも忘れてルイズの部屋に飛び込んだ。  掃除中だったと思しき才人が、ホウキ片手にぽかんとした顔でこちらを見つめてくる。 「テファ。どうした、そんなに赤い顔して」 「そんなことはどうでもいいのです」  扉を勢いよく締めながら、ティファニアは真っ直ぐ才人のそばに直行した。部屋の中に、彼以外の 人間は見当たらない。実に好都合な状況である。 「サイト。今からわたしは、あなたにお礼をします」 「お礼って、なんだ、そんなに改まって」 「いいから、黙ってちょっと屈みなさい」 「なんか今日はやけに強引だな」 203 名前: ロマン飛行 [sage] 投稿日: 2007/09/21(金) 00:08:56 ID:4G4284YU

 怪訝そうな顔をしつつも、才人は素直に軽く屈んだ。 「これでいいのか」 「もうちょっと頭を下に」 「注文細かいな。えーと、この辺か、って……」  こちらの指示に従って頭を下げたり上げたりしていた才人が、不意に息を呑んだ。 「どうしたの」 「いや、さ。なんつーか、ここだとテファの胸が真正面に……いや、別に、なんでもねえよ」  才人は慌てて目をそらす。ティファニアが胸のことを気にしているのを知っているから、気を遣っ ていてくれるらしい。才人に対する感謝の念が、ティファニアの中で爆発的に膨れ上がった。 (よし、わたしも張り切ってお礼してあげなくちゃ)  ティファニアは先程タバサに教えてもらったことを頭の中で反芻しながら、目の前にある才人の頭 を両手でつかんだ。 「え、テファ、一体何を」 「えいっ」  ティファニアは、両手でつかんだ才人の頭を思いっきり引き寄せ、躊躇いなく自分の胸の間に挟み こんだ。大きすぎる胸は、才人の頭を挟んでなお余りあるサイズである。才人が何かもがもが言いな がらじたばた腕を動かしているが、今のティファニアは百万馬力。ちょっとやそっとの力で、この胸 の中から逃れることは出来ない。 (ええと、次は、こね回すように……)  ティファニアは、才人の頭を包み込んでいる自分の乳房を両脇から手で押した。そのまま腕に力を 込めて、ぐにゅぐにゅと胸のお肉をこね回す。才人がさらに大きくじたばたし始めた。ティファニア は、その動作を喜びの表現として受け取った。タバサがこれで男は大喜びすると教えてくれたのだか ら、間違いないはずである。 (でも、これだけじゃまだお礼には足りないわ。もっと、もっと……!)  ティファニアは片手を乳房から離すと、才人の後頭部に持っていき、力をこめてさらに深く自分の 胸に押し付けた。もう片方の手は乳房につけたまま、才人の頭に向けて抉りこむ。今、彼は顔面全体 で胸の柔肉の感触を堪能しているはずである。  そのとき、才人が震える腕を伸ばして、ティファニアの腕をぱしぱしと叩いた。もっと強くしてくれ、の合図に違いない。 (サイトのためなら)  意を決して、満身の力を腕に込める。才人はさらに激しくティファニアの腕を叩く。もっと強くと いうことか。だが、ティファニアの方もさすがに限界が近い。 (ううん、感謝の心は滅私の心。わたしの限界なんか、気にしちゃいけないわ)  腕に血管が浮き出るぐらいの力を込めて、ティファニアは才人の顔面と己の乳房を極限まで密着さ せ、なおかつぐにぐにとこね回す。才人はさらに激しく腕を叩いていたが、やがてじょじょに力を抜 き、最後にはだらりと腕を下げた。 (もういい、ってことよね)  そう判断して、ティファニアは長く息を吐き出した。なかなか大変な仕事だったが、これで自分の 感謝の念は伝わり、才人は大喜びしてくれたに違いない。 (そうよね、サイト)  心の中で呼びかけながら、ティファニアが自分の胸から才人を解放すると、彼の体はゆっくりと傾 いで床に倒れ伏した。 「……あれ? サイト?」  不審に思ってしゃがみ込み、彼の顔を覗き込む。  顔は真っ青目は白目、開いた口からぶくぶく泡が垂れ流し。 (どう見ても失神状態です。本当にありがとうございました)  ティファニアは悲鳴を上げた。 204 名前: ロマン飛行 [sage] 投稿日: 2007/09/21(金) 00:09:54 ID:4G4284YU

 そんな様子を、シルフィードに乗って戸外から「遠見」の魔法で眺めつつ、タバサは何度もうんう んと頷いた。 「これで完璧。作戦は大成功」 「お姉さまが何をなさりたいのか、シルフィにはさっぱり分からないのね」 「サイトは巨乳で窒息した。これで巨乳がトラウマになるはず。巨乳がトラウマになれば逆方向の無  乳に興味が向く」  淡々と説明したあと、タバサはぐっと握りしめた拳を掲げた。 「つまり、わたしの勝利」 「脳味噌が沸いてるとしか思えませんわ」  批判的な意見である。このアホ竜は何も分かっていない。 「役立たず」 「ひどすぎるのね!?」

 その夜、中庭の片隅。ティファニアは顔面が焼け落ちるのではないかと思うほどの勢いで、激しく 煩悶していた。 (ああ、わたしったら、何だってあんなことを……!)  薬の効果はとっくに切れているので、今は漲る力の代わりに即刻自殺してしまいたいほどの恥ずか しさが全身を駆け巡っている。  いっそ自分で自分の記憶を消してしまおうかとも考えたが、そんなことをしたら、あんな真似をし たあと平気で才人の前に出て行くことになってしまう。 (その方がよっぽど終わってるわ……!)  ああ、うう、と意味不明に呻きながら、ティファニアはごろごろと地面を転げまわる。全身が草だ らけになる頃、ようやくほんの少しだけ気分が落ち着いた。  地面に座り込んで、ため息を吐く。あの後、気絶した才人を寝台に寝かせて、速攻で部屋を逃げ出 してきた。今頃は彼も目覚めているはずである。 (サイトは優しい人だから、今日のことはきっと秘密にしておいてくれると思うけど)  ため息を吐いたとき、背後から無数の足音が聞こえてきた。 「いたぞ!」 「例の女だ!」  口々にそんなことを叫ぶ声に驚いて振り向くと、ティファニアを取り囲むようにして、大勢の人間 が立っていた。男もいれば、女もいる。 (な、なに、一体なんなの!? あ、そうか)  ティファニアは気がついた。これは、おそらく先程の破廉恥な行為がもう学院中に広まってしまっ たということなのだろう。才人が話してしまったのか、それとも誰かに見られていたのかは分からないが。 (それで、そんなはしたない娘はこの学院にはふさわしくないって、わたしのことを追い出しにきたんだわ)  だが、仕方がない。全ては自分の責任である。ティファニアは観念して、全身についた雑草を払い ながら立ち上がり、深々と頭を下げた。 「皆さん、申し訳ありませんでした。わたし、とても破廉恥なことを」 「そんなことはどうでもいいんだよ!」  突然、ティファニアの謝罪が遮られた。驚いて顔を上げると、先程の台詞を叫んだと思しき男子生 徒が、ギラギラと目を光らせながらこちらを見ていた。  いや、彼だけではない。周囲の人間全員が、異様な目つきでこちらを見つめている。 (違うわ。わたしを、と言うよりも)  嫌な予感を覚えながら、ティファニアは彼らの視線を辿る。そして、予想通り自分の胸に行き着いた。 「ききき、君は、そのけしからん胸で僕らを桃源郷へと誘ってくれるそうじゃないか!」 「けけけけけ、けしからん! まことにもって、けしからん!」 「どどどどどど、どうやったんだ! そんなけしからん行為は、是非とも詳細かつ明確に記録しなけ  ればならない! という訳で、僕にも同じことをやってみせてくれたまえ!」 「オイ、抜け駆けするんじゃねえよ」 「そうだそうだ、ここは俺が」 「いいえわたしが」 「お姉さまのおっぱいで溺れるのはわたしですぅ」 「一緒にニャンニャンしましょぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」  訳の分からないことを口々に叫びつつ、数え切れないほどの人間が一斉にティファニアに向かって 走ってくる。彼女はまたも悲鳴を上げて逃げ出すことになった。

205 名前: ロマン飛行 [sage] 投稿日: 2007/09/21(金) 00:10:38 ID:4G4284YU

「だからな、俺はそのとき思った訳だよ。ああ、これが全ての男たちが夢見る桃源郷、約束の地って  やつなんだなって」  ルイズの部屋に集まった男たちに向かって、才人は夢見心地で昼間の体験を語っていた。 「いや、凄かったねホント。顔面全体で感じるあの素晴らしい柔らかさ、その中でじょじょに意識が  遠のいていく感覚。何の枷もなく自由に空を飛ぶような感じさ。そう、まさにロマン飛行ってやつ  だ。俺はヤバい薬なんてキメたことねえけど、それでも間違いなく断言できる。あんなもん、おっ  ぱいで溺れるときの気持ちよさに比べたら、子供のお遊びみたいなもんだぜ。あれを凌駕する心地  よさは、この世にはない。間違いなくな」  そして才人は、ふーっと長く息を吐き出して、どこか遠くを見るように目を細めた。 「願わくば、またあの感覚を味わってみたいもんさ。と言うか、次はもっと上を目指さなくちゃな。  要するに、ぶっちゃけアレだ」  才人は集まった男たちをそっと見回したあと、恍惚の表情で両腕を広げてみせた。 「次は、おっぱいの海で溺れたい」  拳を突き上げる男たちの大音声が、ルイズの部屋のみならず学院寮全体を揺り動かした。

「……何故」 「きゅいきゅい。お姉さま、こういうの、策士策に溺れるって言うのね」 「死んでしまえ」 「ひどいってレベルじゃないのねー!?」

 この日誕生した「乳海溺死教」は、悟りを開いたかのような才人の語り口のおかげもあって、瞬時 にして爆発的な広がりを見せた。最終的にはロマリアの教皇を追い落として、ハルケギニアで最も信 仰される宗教となったのである。  初代教祖となったサイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガは、革命的巨乳の持ち主であるティファニア を生き神として祭り上げた。その乳の革命的な豊満さに、見る者は誰もが涙を禁じえなかったという ことである。  なお、当のティファニア本人もこのことが相当嬉しかったらしく、自分のために集まった大勢の信 者の前で、涙を流しながら 「もう存在ごと消えてしまいたい」  と発言したそうだ。感極まった喜びの表現としては多少オーバーな感じもするが、いかがだろうか。  また、この日を期に、男を桃源郷へと導く能力のない貧乳女たちは次第に迫害されるようになり、 集団で東方に逃れて「貧乳解放戦線」を結成。以後、「虚乳(ゼロ)」のルイズを頭に頂き、巨乳至 上主義の乳海溺死教徒と激しい戦いを繰り広げていくこととなる。

 以上が、歴史学者ノーヴォル・ヤマグッティ氏が提唱した、中世ハルケギニア史の新たな歴史観で ある。学会に提出されたこの論文を一瞥したスァン・スェンタイ変態紳士(尊称)は、呆れ顔で 「頭がおかしいとしか思えない」  と批判。これに対してノーヴォル・ヤマグッティ氏は 「だが、おっぱいの海で溺れるのは間違いなく男のロマンであるはずだ」  という反論を展開している。まことに業の深い話である。