※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

64 名前: ティファニア式豊胸体操 [sage] 投稿日: 2007/09/18(火) 01:33:43 ID:dQ2OoWrN

 最近、ルイズの視線は大抵一点で固定されている。  転入生として魔法学院へやって来た、ティファニアの胸である。  彼女のふざけたサイズの胸と自分の地平線を見比べつつ、哲学的な思考にふけるのが、最近のルイ ズの日課であった。 (一体何なのかしらあれ。あんなの胸って呼んでいいのかしら。そもそも胸って何なのかしら。何で  男はそんなの重要視するのかしら。あんなお肉の塊を。そうよあんなの邪魔なだけなんだし、わた  しには必要ないし)  などと毎回同じ結論を出すのだが、才人がティファニアの胸をデレーッと見ているところを目撃し て、また思考が振り出しに戻ったりする。 (悔しいわ悔しいわ。あんな肉の塊に負けるなんて。わたしにはなんであの肉の塊がちょっとでいい  からついてないのかしら。あの子からちょっと分けてもらえないものかしら)  そんな風に考えて、ちょっと期待しながら始祖の祈祷書を捲ってみたりもするのだが、さすがの虚 無系統と言えども「他人の胸の肉を奪う魔法」は存在しないらしい。祈祷書に新たな記述が追加され ることはなく、本を開くたびに落胆のため息を吐くことになるのである。  ルイズは作戦を変えた。自分の胸に肉がなく、あの子の胸には肉がある。つまり二人のどこかに違 いがあるということである。ティファニアを一日中観察していれば、その違いも分かるだろう。同時 に、胸に肉をつける方法も分かるはずだ。  そんな訳で、ルイズはその日以来暇があればティファニアを観察していた。朝起きた後も授業中も 食事中も大浴場に入っているときも、ずっと。 「なんかよー、テファが最近一日中誰かの視線感じるって言うんだよなー。俺の世界じゃストーカーって  言うんだぜそういうの。お前も気をつけろよな、ルイズ」  才人がそんなことを言い出したので、この作戦もそろそろ止めにしなければならなくなった。 (でも、まだあの子とわたしの違いなんて少しも分からないのに)  この数日間観察したが、食事も入浴法も就寝時間も、二人の間にはそれほど差はなかった。  では一体、この胸の肉の差はどこからくるのか。まさか彼女の体にエルフの血が混じっているのが 原因なのか。だとしたらもう手の打ちようがない。  歯噛みしたとき、ルイズはふと、ティファニアが奇妙な行動を取っているのに気がついた。  何やら、中庭の木の下で、奇声を上げながら妙な踊りを踊っているのである。不規則で乱雑な、見 たこともない踊りである。 (あれは一体……まさか、あれがあのふざけた胸の肉の秘密なの)  どきどきしながらティファニアの踊りを見つめるルイズに、背後から静かな声がかけられた。 「あなたの推測どおり」  振り返ると、タバサがいた。静かな瞳でティファニアを見据え、指で眼鏡を押し上げる。 「エルフに伝わる豊胸の踊りに違いない」 「ということは、あれをやればわたしも革命的な胸の肉を得ることが?」 「そう」 「イヤッフゥー!」  喜びながらも、ルイズは怪訝に思う。何故このタバサが、自分にそんな情報を与えてくれるのか。  その疑問が相手にも伝わったのか、タバサはこちらに右手を突き出すと、黙って親指を立ててみせた。 「貧乳同盟」  ルイズは雷に打たれたような衝撃を受けた。貧乳同盟。なんと分かりやすい名前なのだろう。まっ 平らな自分とまっ平らなタバサ。目指すところは同じだったということか。  ビバ、友情。ビバ、貧乳同盟。タバサの知恵と自分の努力が合わされば、恐れるものなどなにもな い。目指すは山盛り胸の肉である。 「タバサ。わたしたち、頑張りましょうね」  ルイズはタバサの両手を握ってぶんぶん上下に振り、足取りも軽くその場から立ち去った。 65 名前: ティファニア式豊胸体操 [sage] 投稿日: 2007/09/18(火) 01:34:39 ID:dQ2OoWrN

 ティファニアは悲鳴を上げて、大きくすぎる胸をばいんばいんと揺らしながら、必死で背中に手を 伸ばしていた。  しかし、届かない。あと少しのところで届かない。端から見れば奇声を上げながら踊っているよう に見えるだろうが、そんなことは気にしていられなかった。  そのとき、不意に背中に誰かの手が入り込み、すぐに抜き取られた。驚いて振り返ると、そこに見 知った小柄な少女が立っている。  その指先には、先程自分の背中に落ち込んだ毛虫が握られていた。小柄な少女、タバサはその毛虫 を無感動に地面に放ると、黙って親指を立てた。 「グッジョブ」  意味不明なまま、タバサは静かに立ち去った。

 翌日、才人は聞きなれぬ物音で目を覚ました。  重い目蓋を押し上げると、ベッドから降りたルイズが奇声を上げながら変な踊りを踊っているのが見えた。  数秒ほどもその奇怪な情景を眺めたあと、才人は深々と嘆息し、また布団を被った。 (いろいろあって疲れてるんだなあ、ルイズの奴。生温かい目で見守ってやろう)  ルイズの奇声は、それからしばらく続いていた。

 朝焼けの空に浮かぶシルフィードの背中に跨って、タバサは「遠見」の魔法でルイズの踊りを眺め ていた。もちろんいつもの無表情である。 「ねえねえお姉さま」 「なに」 「どうしてあんな嘘吐いて、ルイズに変な踊りを躍らせてるの。理由を教えてほしいのね」  タバサは無表情のまま一言答えた。 「面白いから」 「きゅいきゅい。お姉さまってときどきすごくひどいのね」

 これが、数百年を経た今も旧ヴァリエール公爵領に伝わる奇怪な儀式の始まりであったと、歴史学 者のノーヴォル・ヤマグッティー氏は語っているが、真相は定かではない。  なお、住民からこの逸話を聞き出したとき、同氏は 「とりあえず、おっぱいは大きい方がいいよね」  というコメント残している。まことに業が深い話である。