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118 名前: 犬竜的日常〜お買い物編〜 [sage] 投稿日: 2007/10/13(土) 22:39:56 ID:8TP098i2

「お姉さまお姉さま!」 「うるさい」 「いきなりそれはひどいわ! シルフィ、今日はお姉さまにお説教しようと思ってるのよ」 「何が」 「お姉さまったら、サイトを誘惑する姿勢があまりにも弱すぎます!  このままじゃ、あの貧乳貴族や淫乱メイドにサイトを取られちゃうのよ」 「別にいい。彼に対する気持ちは、そういう次元のものじゃない」 「んまっ。女の子らしからぬお言葉ですこと」 「実際そうだから」 「今はそうでも、後々恋心に発展するかもしれないのね。  そのときになって、『あのころもっとたらしこんでればよかった!』と後悔しても遅いんですのよ」 「そんな風にはならない」 「いいえなります。そういう訳だから、今日はシルフィがサイトを誘惑するお手本を見せちゃうのね」 「彼に変なことしないで」 「変なことなんかしません。ちょっと一緒にお買い物して、服でも買ってもらえるように仕向けるだけよ」

「サイト、サイト」 「おおどうしたシルフィード、今日は人間の姿なんだな」 「えへへ、シルフィね、サイトと一緒に町へお出かけしようと思って、張り切ってきたのよ」 「そうなんか。ちょうどいいや、俺もお前に見せたいものがあったんだ」 「え、なに? なんなの?」 「お前にもいろいろと世話になってるからなあ。ずーっと前からさ、お前のために服作ってもらってたんだよ」 「服? シルフィのために?」 「そう。そろそろ出来る頃だから、一緒に見に行こうぜ。  ……あー、迷惑だったら、別に断ってもらっても構わねえんだが」 「行く行く、行くのね! サイトと一緒にシルフィの服見に行くのね!」 「ははは、ちょっと張り切りすぎだよ。じゃ、行くか。いちいち竜に戻るのも面倒くせえだろうし、馬の後ろに乗れよ」 「うん、分かった」

(……という訳で、シルフィからお姉さまに通信を送るのね) (……) (あら、お姉さまったらなんだか不機嫌なのよ) (そんなことない) (うそうそ。お姉さま、シルフィに嫉妬してるのね!) (あんまチョーシくれてっとひき肉にすんぞコラ) (こわっ!? ごごご、ごめんなさい!) (ちょっとした冗談) (……と、とにかく、やっぱり普段の態度が重要なのよ。  サイトったら、いつものシルフィのセクシーさに参っちゃって、秘密で服なんか作ってくれちゃってたのね。  お姉さまも常日頃からサイトに対するセクシービームを忘れちゃいけないのよ。  具体的には地肌が透けて見える素材の服を、こう) (それはただの変態) (そう? とにかく、シルフィったら天然の毒婦!  ほとんど竜の姿でしか会ってないのにいつの間にかサイトを誘惑しちゃうなんて、とっても罪な女。  ああ、シルフィ、自分の美しさが恐ろしいのよ……) (ミンチより酷いことになりたくなければ少し黙れ) (はい)

119 名前: 犬竜的日常〜お買い物編〜 [sage] 投稿日: 2007/10/13(土) 22:41:21 ID:8TP098i2

「……フィード。おい、シルフィード」 「……え? あ、な、なぁに、サイト?」 「何ぼーっとしてんだ。そろそろ町につくぜ?」 「う、うん! それで、どこに行くの?」 「んーと、どこだったかな……そうそう、目抜き通りから少し外れた……あー、アンリ通り、だったかな」 (……ん? そんなところに服屋なんてあったかしら?)

「ほらついた。ここの店だよ」 「……サイト」 「ん? どうした?」 「……シルフィがどうしようもないアホで、今目の前にある景色が歪んで見えているのでなければ……  ここは、どこからどう見ても鍛冶屋さんとしか思えないのだけど……」 「おう、鍛冶屋だぜ。いやー、いい職人さん見つけてよー。さ、入ろうぜ」 「いらっしゃい。おや、シュヴァリエ・ド・ヒラガ。ようこそいらっしゃいました。例のもの、出来てますよ」 「やあおやっさん、ありがとよ。どこにあんの?」 「こちらですぜ」 「おお、見ろよシルフィ、見事なもんだと思わねーか?」 「……サイト」 「ん、どうした?」 「……シルフィが救いようもないほどのアホで、服という言葉の認識を間違えているのでなければ……  目の前の壁を占領しているのは、どう見ても布じゃなくて金属の塊にしか見えないのだけど……」 「金属の塊、なんていい方は失礼だぜ。これは鎧という名の芸術品なんだぜ?」 「いや、芸術品なんて言い方されっと耳がこぞばゆくなりまさぁ。  槌を振るうしか能がねえ男の、一世一代の大仕事ではありましたがね」 「いやいや、謙遜するこたねえよおやっさん。俺が思ってたよりもずっといい出来だ。  これなら矢玉も鉄砲もなんのそのだな!」 「しかしまあ、聞いたときはたまげましたよ。竜用の鎧を作ってくれ、だなんて」 「おう。知り合いの竜が、いつも荒事こなしてるらしくてよー。  なのにいつも裸だから、心配になったんだよな。とにかく、ありがとうよおやっさん。  これならこいつも喜んでくれるはずさ! なあシル」

「……で、どうして君は窓を突き破って僕の部屋に吹っ飛んできたんだね」 「……『サイトのバカァッ! これのどこが服なのねーっ!』って蹴り飛ばされた……」 「……よく分からんが、君もいちいち難儀だね……」

「……なるほど、服というのは比喩表現だったということ」 「ひどいのねひどいのね、サイトったらひどすぎるのね」 「悪気はないはず」 「だからこそなおさら傷ついたの! ブロークンハートなのよ!  アホなのね、サイトはアホに違いないのね!」 「……じゃ、その鎧、着ないの?」 「うー……折角だから、着てあげるのね……でもこんなの可愛くないし……その上重い!」 「飛ぶのに不都合はないから我慢しなさい」 「でもー……」 「そういう風に考えて作ってくれただけ、ありがたいと思う」 「それはそうかもしれないけどー……ホントに重たいし……」 「彼の愛情の重さだと思えばいい」 「こんな鉄臭い愛情はイヤーッ!」

 とか言いつつその後ちゃんと鎧を着こんで行動するようになったりして。