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729 :うちの妹のばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/10/31(水) 00:36:31 ID:tWLSNVXJ 「…っ!」

唐突に目が醒める。 自分の寝ているのは天蓋つきの立派なベッド。ウエストウッドでその身を預けていた硬いベッドとは違う。 朝日が柔らかく差し込むその部屋は、簡素だがしっかりした作りの上等な家具が一式、揃っていた。 そう、ここはトリステイン魔法学院女子寮の、ティファニアに与えられた一室。 真っ赤な顔で、ティファニアは朝日の中、上半身を起こす。 唐突に目が醒めたのは夢のせい。 その夢の内容は。 時には、優しく微笑みかけてくるあの人。 時には、自分の手を取り、ダンスに誘ってくれるあの人。 時には、強く抱き締め、愛を囁くあの人。 決まって、夢の最後は。 熱く愛を語るあのひとは、自分を欲しいと言って、そして自分はそれを受け入れて…。 そしてそこで目が醒める。

「…はぁ…」

ため息をついて、ベッドから降りる。 夢の余韻からか、顔はまだ赤く火照っていた。 ティファニアは母の形見の夜着を脱ぐと、トリステイン魔法学院の制服に身を包む。 そして昨夜の内に桶に溜めておいた水で顔を洗い、髪を漉く。

「ふう」

顔を洗ったら少しは気が紛れた。 準備万端整ったティファニアは、扉を開けて食堂へ向かう。朝食を採る為に。 この学院での生活にあわせ、ティファニアの朝はずいぶん遅くなった。 ウエストウッドでは、随分早く起きて、朝餉の支度をしなければならなかったのだ。 …みんな、どうしてるかな…。 ティファニアは、トリスタニアの孤児院に引き取られたウエストウッドの子供達のことを思い出す。 おねぼうさんのエマ、食いしん坊のジム、そして。 しっかりもののタニア。 みんな元気でやってるかな。 自分は貴族としての身分を与えられ、こんな所で暮らす事になったけど。 みんなは、幸せなのかな。 そんな事を考えると、ティファニアは少し寂しくなる。

「…はぁ」

なんか、ここに来てから、ため息ばっかり増えた気がするなぁ…。 食堂の席に腰を下ろし、そんなことを考えていると。

「おはようございます、ティファニアお姉さまっ」

ため息の原因の一つがやってきた。 ため息の原因は、長いツインテールを揺らしながら元気に挨拶し、ティファニアの隣に腰掛ける。 彼女の名前はベアトリス。ベアトリス・イヴォンヌ・フォン・クルデンホルフ。 ティファニアを『お姉さま』と呼んで慕い、あれこれと世話を焼いてくれる大貴族の娘。

「おはよう、ヴィヴィ」

ヴィヴィとはベアトリスの愛称で、今のところこの学院でこの愛称を彼女に対して使うことを赦されているのは、ティファニア唯一人である。 ちなみにティファニアが『ヴィヴィ』以外の呼び方でベアトリスを呼ぶと、しょうもない議論が始まるので、ティファニアは仕方なく彼女を愛称で呼ぶことにしていた。 ベアトリスはティファニアの隣に並ぶと、早速ため息の原因を尋ねてくる。

「どうされましたお姉さま?朝からため息なんて」

731 :うちの妹のばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/10/31(水) 00:37:25 ID:tWLSNVXJ 基本的に人のいいティファニアは、つい正直に今まで自分が面倒を見ていた子供達のことを、話してしまう。 ベアトリスはその話を一通り聞き終わると、何故か天を仰いでくぅ、と漏らすと。

「ティファニアお姉さまのキモチはわかりましたっ!」

ぐっ、と拳を胸の前にもってきて、そして手をぱんぱん、と叩く。

「お呼びでしょうか」

それに応えて、クルデンホルフ家直属騎士団、空中装甲騎士団の団長が、恭しく頭を下げてやってきた。 ティファニアの中にイヤな予感が駆け抜ける。 そして案の定。

「すぐお父様に使いを出して!  お姉さまの子供達を全てクルデンホルフで引き取って、最高の待遇を」 「ちょ、ちょっと待ってヴィヴィ!」

ティファニアは慌ててベアトリスの口を抑える。 いくら大貴族でも、それはやりすぎというものだ。

「な、なぜ止めるのです!お姉さまの子供達なら、私の妹達も同然ですわ!」

…いやなんでそーなるかなぁ…。 ティファニアは、ウエストウッドの子供達に、普通に幸せになって欲しいと願っていた。 だから、貴族の庇護の下で育てられるより、孤児院から世に出てくれた方がいいと思っていた。

「ふーん、なら私も引き取ってくんない?」

絡み合う二人の前に、料理を乗せた盆を持って、一人のブルネットのメイドがやってきた。

「はい、朝食おまたせー。あとつかえてんだから、さくさく食べてよね、テファお姉ちゃん」

そのブルネットのメイドを凝視しながら、ティファニアは固まる。

「な、あなた、平民の分際で無礼ですわよ!このお方をどなたと」 「テファお姉ちゃんでしょ?あんたもさっさと食べなさいよ、冷めちゃったらおいしくないわよ」 「な、な、な、あなた何様の」

しかし肩を震わせるベアトリスの怒声は、放たれることなく終わる。 ティファニアが、メイドの名前を、叫んだからだ。

「た、タニアっ!?」 「や。おひさしぶり、テファお姉ちゃん」

タニアの話によると。 一番年上でもう既に働ける年齢であったタニアは、孤児院には行かず、奉公先を探した。 タニアは結構なんでも出来て、なにをしてもよかったのだが。 調度都合よく、トリステイン魔法学院でメイドを募集していたのである。 タニアはトリステイン王家の紹介状もあって、トリステイン魔法学院でメイドとして働くことになったのである。

「そうなんだー」

ティファニアは、食後の紅茶を飲みながら、タニアと談笑をかわす。

「ジムもエマも元気でやってるよー。寮母さんになついちゃってねえ。『テファお姉ちゃんより優しい』ってさ」 「ひどいなあ。私、そんな厳しかった?」 「厳しい厳しい。寝坊したら朝食抜きとか」 「あ、あれはエマがあんまり寝坊ばっかりするからっ」

732 :うちの妹のばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/10/31(水) 00:37:57 ID:tWLSNVXJ ウエストウッドの話に花を咲かせながら、二人は笑い合う。 すると、面白くないのは蚊帳の外のベアトリスなわけで。

「ちょ、ちょっとティファニアお姉さま!」

なんとか朝食を片付けたベアトリスは、ティファニアとタニアの間に割って入る。

「あ、ごめんなさいヴィヴィ。紹介が遅れたけど、この子タニア。  ウエストウッドで私が面倒見てた一番上の子」

ティファニアはそう言って笑顔でベアトリスにタニアを紹介する。

「あ、どーも。タニアって言います。よろしくねー」

タニアは言って、ベアトリスに手を差し出す。 ベアトリスは思わず、先ほどと同じように貴族風を吹かせようとしたが。 …マテヨ。 ベアトリスの中で、打算が働き始める。 ここで平民にも寛容な所を見せて、お姉さまに見直してもらわなければ…!

「よ、よろしく。ベアトリス・イヴォンヌ・フォン・クルデンホルフですわ」

言って、差し出されたタニアの手を握る。 それを見たティファニアが、優しく微笑む。 ああ、今ティファニアお姉さまは感心していらっしゃる…!平民にも寛容な私に…! ベアトリスが悦びに身を震わせていると、タニアは即座にその手を放した。 な、貴族が平民の握手を受けてやったというのに!即座に放すとは一体…! また思わず貴族風を吹かそうとしたベアトリスだったが。 それは今度は、タニアの言葉で止められた。

「で、テファお姉ちゃん。サイトお兄ちゃんとは上手くいってるワケ?」 「え、上手くいってるって、その、あの、どういう」

ティファニアの頬が一瞬で真っ赤に染まり、言葉がもつれ始める。 タニアはあー、やっぱりぃー、まだなんもしてないんだーとか言いながら、ティファニアを小突く。 そんな二人を見ていたベアトリスは。

「これから上手くいくのですわ!私にあのへっぽこ騎士を墜とす、とっておきの秘策があります、テファお姉さまっ」

負けじと声をあげ、ティファニアの右手をしっかと握る。 ついでにさりげなく、タニアに倣って呼び方を縮めてみたりする。 タニアは自分に向けられるベアトリスの敵意のこもった視線をしっかと受け止め。 …なーるほどー。なついちゃったかー。 納得した。 でも、やっぱりここは。

「へえ。奇遇ねえ。私もこないだ、メイド仲間から『男をメロメロにする方法』教えてもらったんだあ」

言って、空いた左手を握ってみたりする。

「え、あの、その」

視線で戦う二人に挟まれ、ティファニアは真っ赤な顔でしどろもどろのままだ。 そして、二人は同時に、ティファニアに尋ねた。

「私の秘策をお聞きください、テファお姉さまっ!」 「どーせなら『メロメロにする方法』よねえ、お姉ちゃん?」 「あうあうあうあうあうあうあうあうあうあうあうあう」

二人に挟まれ、ティファニアは困り果ててしまった。 103 :ウチの妹のばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/11/02(金) 23:32:34 ID:RA9dqpbO 結局。 ティファニアは今のも取っ組み合いを始めそうな二人をなんとか仲裁して、部屋に戻ったのだった。

「…ほんとにもう…二人とも、仲良くしてくれると思ったのに…」

ふう、とため息をついて、ティファニアはベッドに腰掛ける。 実はこれから授業なのだが、なんだかもう満身創痍だ。

「…サボっちゃおうかなあ」

などとひとりごちながら天井を眺めるティファニア。 そんな彼女に、語りかける人物が居た。

「お姉ちゃんがそんな不真面目さんだとは思わなかったなあ」

そこにいたのは。 先ほどさんざん叱って、ベアトリスと仲直りさせたタニアだった。

「え、なんで?」

ティファニアの疑問に、タニアはすたすたとベッドに歩み寄りながら言う。

「そりゃ、ベッドメイキングに来たに決まってんじゃない。  部屋の掃除とか片付けは、ぜんぶ私たちの仕事なんだから」

言いながら軽く皺になったシーツをベッドから剥ぎ取り、手にしていた新しいシーツを、古いシーツを剥ぎ取ったマットの上に敷く。 タニアはウエストウッドに居た頃と変わらない手際のよさでベッドを整え終わると、ティファニアに言った。

「で、授業はいいの?遅刻しちゃうよ」

タニアの指摘に、しかしティファニアはため息をついて、椅子に腰掛けた。

「…誰かさんのせいで疲れちゃった」

頬杖をついて、今日何度目か分からない、ため息をついた。 そんなティファニアを横目に見ながら、タニアはてきぱきと仕事を片付けていく。 そして言った。

「おばさんくさー。  そんなんだとお兄ちゃんに嫌われるよー」

机の上で頬杖をついていたティファニアの身体がぴくん、と揺れる。 それを見逃すタニアではなかった。

「なんかお兄ちゃんこっちじゃえらいモテるみたいだし?  いつまでも『お友達だから』とか言ってるどこかの誰かさんじゃ、勝ち目ないかもねー」

『お兄ちゃん』『モテる』『勝ち目ない』のところで律儀にぴくん、ぴくんと反応しながら、ティファニアはそれでも無視を決め込む。 タニアはそんなティファニアを見て、にやにや笑いが止まらない。

「わ。わわわ私には関係ない、もん…」

思いっきり噛んでるし。 そしてタニアは、とっておきをメイド服のポケットから取り出す。

「はいこれ」

それは、小さな香水の瓶。 透明な安っぽいガラスの瓶に、細いリボンが巻かれている。 そのリボンには、小さな字で『誘蛾香』と書かれている。

105 :ウチの妹のばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/11/02(金) 23:33:18 ID:RA9dqpbO 「…なに、これ?」 「いつまでも煮え切らないテファお姉ちゃんにとっておきをあげます。  これはね、『誘蛾香』って言って、オトコノコを興奮させる匂いの香水なんだって。  トリスタニアでは結構流行ってるんだってさ」

言って、タニアは取り出したそれを、ティファニアの掛ける椅子の前にある円卓にたん、と置く。

「これをどう使うかはお姉ちゃん次第。  あ、値段に関しては気にしなくていいからね。友達になった子からもらったもらいもんだし」

ティファニアは十三の子に何を与えてるのよ、と心の中でその友達に突っ込みを入れたが、思春期の女の子はえてしてそう言うものに興味がいくものである。 そしてタニアは香水をそのままテーブルの上に置いて。

「んじゃ、頑張ってねえ〜」

ぱたぱたと手を振って、部屋から出て行ってしまった。 残されたのは、香水の瓶と、固まったティファニア。 ティファニアの視線は、香水の瓶に完全に固定されていた。 こ、こんなの、こんなのつけて、サイトの前に…。

『お?なんかいい匂いするね、テファ』 『え、あ、うん…』 『テファってこんないい匂いのする女の子なんだな…食べちゃいたいよ』 『え、あの、その、えとあの』 『いいだろ?テファ』 『あ、えと、さ、サイトだったら…』

今朝の夢とほとんど変わらない内容の妄想をそこまでして。 真っ赤な顔でティファニアは顔をぶんぶんと振った。 そ、そんな上手くいくわけないじゃない! 心の中で自分で自分に突っ込みを入れ、そして。 もう一度、香水の瓶を凝視する。 で、でも。 でも、た、試してみるくらいは…いいよね…。 白磁のような細い指が、瓶の蓋を開く。 即座に香水が気化し、辺りに香りを撒き散らす。 どこかで嗅いだような、少し鼻にかかる奇妙な匂いが、ティファニアの鼻腔をくすぐった。 162 :ウチの妹のばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/11/04(日) 03:14:58 ID:b9xVjTy0 よ、よし。 私はタニアのくれた香水をつけて、廊下に出た。 授業はもう始まっている。今から教室に向かっても、意味はない。 私が今から向かう先…。 それは、サイトのところ。 べ、べつにサイト墜とそうとか、そんな事考えてるわけじゃなくって! えと、うんと、もっと、サイトの事、知りたいから。 もっと、サイトと仲良くなりたいから。 お、お友達だもん。当然だよね! 私は廊下の左右を確認して、誰もいないことを確かめると、寮の外へ向かう。 …だって、サボってるの見られたりしたらまずいし。 外に出ると、空は晴れていて、気持ちのいい秋晴れだった。 中庭を見渡すけど、特に人影はない。 サイトは…ヒマなときには、中庭の隅っこにある倉庫にいるって言ってたっけ。 私は以前サイトが教えてくれたその場所に、向かっていく。 少し歩くと、すぐにその建物が視界に入った。 それと同時に、胸がとくん、と鳴る。 …ち、違うんだから!サイトは友達!大切なお友達なんだから! でも。 一歩一歩近づくたびに、私の胸はどんどん高鳴っていく。 倉庫まであと少し、と言った所まで来ると。 私の心臓は、早鐘のように鳴り響いていた。 …お、おおおお落ち着かなきゃ! 私は大きく深呼吸をして、気を静める。 新しい空気が私の中に入るたび、少しずつ落ち着きが戻ってくるのが分かった。 私は近くにあった水場の低い石積に腰掛けて、一息つく。 そして、水場の水面に、自分の姿を映してみる。 …ヘンじゃ、ないよね? そして少し落ち込む。 …やっぱり、ヘンだよね…。この胸。 私は白い制服を中から押し上げている胸を両手で隠してみる。 両手じゃ納まりきらなくて、少しはみ出てる。 …こんなヘンな胸、サイトは、どう思うのかな…。 …こんな胸でも、お友達って、言ってくれるのかな。 そこまで考えて、私は決めた。直接聞いてみよう。 …それで、もし、ヘンじゃないって、言ってくれたら。 そのときは、その時は。 え、えと、やっぱり『お友達からお願いします』かなっ? 『友達以上になりたいの』とかってダイタンに言ってみる? 香水の効果で、ひょっとしたらひょっとして、うまくいくかもだし…。

「言ってみる?ティファニア…?」

私は水面に映る自分に、そう尋ねてみる。 しかし、水面に映った虚像は、何も応えない。

163 :ウチの妹のばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/11/04(日) 03:16:07 ID:b9xVjTy0 なーん。

でも。 いつの間にかすぐ近くに居た、ちょっと太った虎縞の猫が、そう応えるように鳴いた。 私はなんだかその猫に応援されているような気がして。

「ふふ。ありがと」

優しくその猫を撫ぜる。 猫はぐるるるる、と喉を鳴らして石積に腰掛ける私の太股に擦り寄ってきた。

「甘えんぼさんね」

言って私はその猫の背を撫ぜる。 猫は変わらず、ぐるるるる、と喉を鳴らしている。

ぞりっ。

「ひゃんっ!?」

いきなりの刺激に、私の喉から声が滑り出た。 猫が、いきなり太股を舌で舐めてきたから。

ごるるるるるる…。

慌てて後ずさった私を見つめて、今にも飛び掛ってきそうな体勢で、その猫は喉を鳴らす。 …これ、どっかで見たこと…。 あ…! この猫、発情してる…! で、でもなんで?近くに雌猫なんかいないし…!

すんっ。

どこかで嗅いだ匂いがする。 ちょっとつんとくる、奇妙な匂い。 …え?ちょっとまって?これって…。 私はある事を思い出し、香水をつけた手首に鼻を寄せる。 そして完全に思い出した。 どこかで嗅いだ匂い。それは。 発情期の、雌猫のおしっこのにおい…! ま、まさか、この香水って…! 気づいた時には遅かった。 次の瞬間から、私は、十数匹の発情した牡猫に追い掛け回される羽目になったのだった。

164 :ウチの妹のばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/11/04(日) 03:17:37 ID:b9xVjTy0 「助けて、サイトっ!」

俺が午前中のアンニュイなひとときをゼロ戦の格納庫で過ごしていると。 あばれももりんごがおそってきた! コマンド? にアたたかう   ぼうぎょ   にげる   どうぐ   さいごまでつっぱしる じゃなくて。 テファが、そんな事を言いながら俺を見るなり駆け寄ってきた。

「どしたのテファ?」

テファは俺の呼びかけには応えず、俺の後ろに隠れると、格納庫の入り口を指差す。 そこには。

なーん、ごるるるる…。なー、なーん…。

あばれねこだまがおそってきた! コマンド? にアたたかう   ぼうぎょ   にげる   どうぐ   ぬっこぬこにしてやんよ な、なんじゃありゃあああああ? 猫の塊が、この格納庫めがけて走ってきている。 そしてテファはどうやら、その猫の塊に追いかけられているらしい。 あの猫どもになんかしたのかテファは? 俺が尋ねる前に、テファは言った。

「ねえサイト、ここに隠れられる場所、ないっ?」

…って、そんな隠れる場所、って…。 見渡す俺の目に、ゼロ戦の風防ガラスが映った。

「テファ、こっち!」

俺はテファの手を引いて、ゼロ戦のコックピットに乗り込む。 そのまま前にテファを抱えたまま、風防ガラスを閉じる。 すると。

べちべちべち!

さっきの猫の塊が、風防にとびついてへばりつく。 …なんなんだ一体?

「なにあれ?何があったのテファ?」

俺の質問に、俺の上で真っ赤になりながら。 テファは事情を説明してくれた。 184 :ウチの妹のばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/11/04(日) 17:57:10 ID:b9xVjTy0 ティファニアの説明によれば、タニアからもらった香水のせいで、猫に追いかけられる羽目になったという。

「…なんでまた、猫のおしっこなんか…」

才人はそう言うが、香水の中にはそういったものもある。 香水は本来、汗や垢などの匂い消しに用いられたものが起源である。 まず最初に、匂い消しに花や果物の香りが使われるようになった。 更に時代が進むと、様々な効果を求めて、様々な『匂い』が用いられるようになる。 『誘蛾香』も、そうした思惑から、発情期の雌猫の尿を使って、男の本能を刺激しようとしたのだろう。 才人は知らないが、女性の気を引く香水の中には、動物の雄の睾丸から搾り取ったエキスを使ったものすらもあるのだ。

「そ、そんなの知らない…」

言って、ティファニアは怯えたように才人にすがりつく。 猫たちはいまだ風防に張り付いており、ごるごると発情期特有の喉を鳴らす鳴き声を上げている。 風防越しにも、『誘蛾香』の香りが届いているらしい。 すがりつくティファニアの首筋から、つんとした奇妙な匂いが才人の鼻に届く。 …香水が、原因なんだよな…。 才人はちょっと考えてみる。 香水って、ふき取っても意味ないよな。 それに、肌に直接かけてたとしたら、全部は拭き取れない。 肌に、直接…。 才人の煩悩が、そこで発動する。

「あ、あのさ、テファ」

そして才人は提案した。 香水を、舐めて取ったらいいんじゃないか、と。

185 :ウチの妹のばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/11/04(日) 17:57:44 ID:b9xVjTy0 ティファニアは、才人の膝の上で真っ赤になってワイシャツをはだけ、首筋を晒していた。 まずはここから、ということらしい。 才人はどきどきしながら、ティファニアの真っ白な首筋に顔を寄せる。 薄桃色に染まったその肌からは、たしかにつんとした奇妙な匂いが立ち上っていた。 才人はその肌にそっと舌を這わせる。

「ひぅ!」

その瞬間、ティファニアの喉から声が上がる。 ティファニアは真っ赤になった顔を更に赤くして、声に見上げた才人の視線から顔を逸らす。

「つ、続けて大丈夫かな」

才人の疑問に、ティファニアは応える。

「う、うん、大丈夫、だから…。  こ、声邪魔なら、出さないようにするからっ…」

言ってティファニアは、右の人差し指を噛んで、猿轡にした。 真っ赤な顔を逸らし、羞恥に堪えるその姿は、才人の煩悩をこれでもかと刺激する。 才人はもう一度、ティファニアの首筋に顔を埋める。

「ふンっ…!」

才人の荒い鼻息だけで、ティファニアの敏感になった官能が反応する。 喉が意思に反して踊り、腰の奥の器官がきゅうきゅうと啼きはじめる。

ぴちゃ…。

「ふぅぐぅ…っ!」

才人の舌が這った瞬間、ティファニアの背筋が反り、鼻から声が漏れる。 声が漏れないように、必死に人差し指を噛んでいたが、しかし鼻腔から牝の鳴き声が漏れてしまう。

ぺろぺろぺろぺろ…。

才人の舌がピッチを上げ、舐める範囲を広げる。 それは鎖骨周囲だけに留まらず、広げられたシャツのぎりぎりまで、そのたわわに実った乳房の半分にまで及んだ。

「ふぅっ!ンふぐぅ!んふぅ!」

イヤイヤをするようにティファニアは首を振り、背筋を駆け上ってくる悪寒にも似た快感の電流に堪えようとする。 しかし意思に反し身体は震え、すでに堰の破れた股間は、牝の体液が溢れ出していた。 そして、無意識に、才人の膝を跨いだ腰が、前後にグラインドしてしまう。

ぬちゅ…。

「んふぅぅぅぅ─────っ!」

才人の膝とティファニアの股間の間で、薄い布が擦れる。 その電流が一気に身体を駆け抜け、一瞬、ティファニアの視界は真っ白になった。 指が口から離れ、くたん、と才人にもたれかかる。

「は、は、はぁ、はぁ…」

荒い息をつきながら、ティファニアは才人に全体重を預け、朦朧とする。

186 :ウチの妹のばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/11/04(日) 17:59:05 ID:b9xVjTy0 そんなティファニアを才人は抱え上げ、そして。

がばっ!

はだけたワイシャツを一気にまくりあげ、ティファニアの胸を完全に露出させる。 『凶器』と湛えられるその胸が一瞬踊り、外気に晒される。

「え、サイト、何っ…」

ティファニアの顔が再び真っ赤に染まる。 才人はそんなティファニアの耳元で囁く。

「こっからも匂いがするんだよ、テファ」

言って、両手でティファニアの先端をつまんだ。

「…っひ!」

ぞくん!とティファニアの背筋に先ほどに倍する快感が走り抜ける。 きゅう、と両足で才人の膝を抱え込み、背筋を反らせる。 しかしなんとかティファニアは踏みとどまり、才人に反論する。

「で、でも、塗ったの首筋だけ…」 「広がっちゃったのかもよ?ほら、こんなに匂うし」

言って才人は、ぷっくり膨らんだ桜色の先端を集めるように、規格外に大きなティファニアの乳房を両手で挟み込んだ。 そして、くんくんとその乳首の匂いを嗅ぐ。その先端は、甘いティファニアの牝の香りがした。 そんな行為すら、焚き上げられたティファニアの獣欲は反応してしまう。

「ひぃ!や、だめぇ、嗅いじゃだめぇ…!」 「それじゃあ、舐めちゃうよ」

ティファニアの返事も待たず。 才人は、集められたその双つのピンクの真珠を、執拗に嘗め回した。

「ひぁ!やぁ!ら、らめぇ!ちくびぃ!」

才人の舌が往復するたび、びくんびくんと仰け反り、歓喜の声を上げるティファニア。 閉じられた脚がぎゅうぎゅうと才人の太股を締め付け、股間から溢れた蜜でティファニアの下着と才人のズボンはべとべとになっていた。

「ひ、ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

一際大きな声を上げ、ティファニアはもう一度、くったりと才人にもたれかかる。 今度は声も上げられず、もたれかかった才人の上でびくん、びくんと痙攣する。 胸虐だけで、ティファニアの意識は飛びかけていた。

187 :ウチの妹のばあい ◆mQKcT9WQPM :2007/11/04(日) 17:59:53 ID:b9xVjTy0 「すっごい感じやすいんだね、テファ」

言って才人は、返事をする気力もないティファニアの金髪を、優しく撫でる。 ティファニアはその言葉に、半ば反射で応える。

「も…らめ…らめなんらからぁ…」

しかし、才人は聞かなかった。 彼の股間はこれ以上ないほどにいきり立っており、そして、彼の上には、牡の来訪を今か今かと待ち受ける、涎を垂らした牝がいるのだ。 今度は才人は、身体を入れ替え、ティファニアをゼロ戦の操縦席に座らせる。 脱力したティファニアの身体はくったりと、操縦席にもたれかかる。 だらしなく開いた上半身では、そのオーバーサイズな胸が、桜色に染まって上下している。 脱力しきった脚はO字に開き、まるでお漏らしをしたように濡れそぼった下着を晒していた。 ごくり、と才人の喉が鳴る。 そして、もどかしく狭いコクピットでズボンを脱ぎ去り、己を晒すと。

「じゃ、いくよ、テファ…!」

いつの間にか開いていた風防の隙間から白い手が伸びて、その頭蓋をがっしりと掴んだのだった。

「さて犬?辞世の句は決まったかしら?」

そこには、にっこり笑顔の、戦闘態勢の牝猫を連想させる、桃色の髪の彼の主人が居た。 そしていつもどおりに。 トリステイン魔法学院に、ある牡犬の絶叫が響き渡ったのだった。

後日。 仲直りの印、と言ってタニアはベアトリスにある香水を贈る。 オトコノコにもてるわよ、と言われて渡されたその香水を、ベアトリスは受け取って。 二人の仲がより険悪になったのは、また別の話である。〜fin